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日産、自動運転技術「プロパイロット」搭載の新型「セレナ」発表会

高速道路の単一車線自動運転

2016年7月13日 開催

 日産自動車は7月13日、8月下旬に発売を予定している新型「セレナ」と、同車に初採用する自動運転技術「ProPILOT(プロパイロット)」の説明会を行なった。

 1991年に初代モデルが発売されたセレナは、4世代にわたりファミリー層を中心に支持されている日産の中核モデル。5代目となる新型セレナは、エクステリアとインテリアのデザインを大幅に刷新するとともに、数々の先進技術を搭載。今までよりも安全で安心してドライブできる新世代のミニバンに進化しているという。

発表会場に登場した新型「セレナ」
日産自動車株式会社 取締役 副社長 中村公泰氏

 発表会でセレナの概要について説明を行なった日産自動車 取締役 副社長の中村公泰氏は、「セレナは日産の日本事業における中核モデルとして、1991年の発売以来、累計150万台以上を発売し、今回の発表で5代目になります。歴代セレナは、ファミリーカーのリーダーとして奮迅するべく新しい提案を続けてきました」と述べ、1991年の登場から多くの支持を集めてきたセレナの歴史について触れた。

 続けて中村氏は、新型セレナの特徴について「エクステリアデザインで目指したのは、代々好評を得てきた“セレナらしさ”の継承と、次世代ミニバンとしての新しい魅力の創造です。ルーミーかつダイナミックで洗練されたエクステリアは、モダンで新しいミニバンの世界観を提供しています。フロントは、先代モデルで採用した2段構成のヘッドライトと『Vモーショングリル』で日産らしさを表現し、より精悍で立体的なデザインにしています。トレードマークとなる『シュプールライン』はより伸びやかになり、スポーティな印象を与えると同時にドライバーの視界の広さを実現しました。また、インテリアは室内空間の広さをアピールします。ダッシュボードデザインは空間的な広がりを見せる横方向の流れをテーマとし、さらにメーターを薄型化することでパノラミックな開放感を実現しました」と、大幅に刷新したというエクステリアとインテリアの特徴について語った。

新型セレナの解説を行なったのは、日本・アジア・オセアニア事業を担当している中村公泰副社長。セレナの歴史や新型のデザインについて解説した
日産自動車株式会社 取締役 副社長 坂本秀行氏

 新型セレナは「BIG」「EASY」「FUN」という3つの新しい価値を創造しているとのことで、この3つのキーワードについては、日産自動車 取締役 副社長の坂本秀行氏から説明があった。

「新型セレナは『BIG』『EASY』『FUN』の3つの価値の創造を目指して、我々の持っている技術とアイデアを集中しました。まず『BIG』の価値は広い空間になります。セレナは5ナンバーサイズの枠に収めるという課題があり、そろそろ限界がきたと思っていました。ですが、強度部材の開発により圧倒的に広い室内空間の創造ができました。見ても乗っても広く感じられるはずです。具体的には、人間工学を研究していて、広く感じるのはどのような特性なのかを探求しました。ルーフやピラーの見え方、室内寸法ではなく広さを体感できることを実現しました」。

「2つめの『EASY』は先進技術の導入です。新型セレナには3つの先進技術を採用していて、『インテリジェントパーキングアシスト』がその1つです。エクストレイルで初採用して好評を得てきましたが、それを一歩も二歩も進化させました。駐車やオペレーションの精度をアップすることで、より簡単に駐車や車庫入れができるようになっています。駐車や車庫入れの支援としては『アラウンドビューモニター』も先進技術として挙げられます。新たに移動物検知システムを採用することで、お子様や人、自転車などの動いているものを知らせることで安全な駐車を実現します。そして、最後の先進技術が「スマート・ルームミラー」です。こちらもエクストレイルで搭載した技術になります。よりデジタル映像技術を駆使してリアルな映像を提供しています。ミニバンで多人数乗車すると、ルームミラーに後ろの人が見えてしまいます。また、雨の日などにリアウィンドウが見にくい場合があります。これらの場合でもリアの視界を確保するのがスマート・ルームミラーになります」。

新型セレナの3つのキーワードについて説明を行なったのは、製品開発を担当する坂本秀行副社長
坂本秀行副社長(左)と中村公泰副社長(右)の2人がセレナの横に並んでフォトセッション

「3つめの『EASY』、これは運転のしやすさになります。新型セレナはステアリングのギヤ比をクイックにしたことで、ハンドルを少し操舵しただけで素直にクルマが動くようになっています。つまり、取り回し性が高くなったということです。また、高速では静かに、低速では軽く運転できるようになっています。ミニバンでは、カーブに入った際にクルマがグラっと傾くことがありますが、それを抑制し、ソフトさとクイックさと安定性を重視したのが運転しやすさのポイントです」と語り、新型セレナに導入した3つのキーワードと、それに対応する技術について解説した。

 解説の最後に坂本氏は「新型セレナは、新しい価値を妥協なく提供できている」と、国内マーケットでの重要なモデルとなる新型セレナの完成度について自信を見せた。

世界初公開された新型セレナ
フロントグリルに「Vモーショングリル」を採用
大型の三角窓と「シュプールライン」が特徴的なサイドビュー
リアビューでは縦型のリアコンビネーションランプを継承しつつ、ブラックアウトされたDピラーとサイドパネルに合わせてコンパクトなランプ形状になった
タイヤはブリヂストンのエコピア EP150を装着する
デザインが異なる「セレナ ハイウェイスター」
バンパー中央がガンメタリック塗装となり、上下のグリルが連続したデザインとなる
タイヤはこちらでもブリヂストンのエコピア EP150を装着
メーターを薄型化することで室内空間の広さを演出したインテリア
ステアリングの右側スポークにあるブルーのボタンを操作するとプロパイロットが作動する
インパネシフトの右側に電動カーキングブレーキのスイッチをレイアウト
7インチのインターフェイスにプロパイロットの作動状況が映し出させる
白系のインテリアカラーではブラウンレザーのステアリングを採用
ロングスライドするセカンドシートなど、限られた全幅の中でも最大限の広さを実現する後部座席
サードシートはそれぞれ両サイドに跳ね上げるスタイルで格納する
新型セレナの特徴をまとめたスライド資料
プロパイロットの技術的な特徴を解説したのは、日産自動車株式会社 電子技術・システム技術開発本部AD&ADAS先行技術開発部長の飯島徹也氏

 新型セレナの発表とともに、新規に導入されることとなった単一車線の自動運転技術「プロパイロット」の技術説明も併せて実施された。

 まず、日産が想定している自動運転のロードマップは、2016年に新しいセレナによって高速道路の単一車線における自動運転を市場導入。2018年に高速道路の複数車線での走行と自動車線変更の実現。2020年には市街地の交差点も含めた自動運転を予定しているという。

 プロパイロットの概要を説明した日産自動車 電子技術・システム技術開発本部AD&ADAS先行技術開発部長の飯島徹也氏によると「プロパイロットは、とくに運転の負荷が高い渋滞時や移動距離が長いときに役立つもので、高速道路の全域でドライバーの負担を低減できる技術です。機能を簡単に説明すると、プロパイロットは設定した車速により車間距離を保ちながら走行します。また、車線の中央を走行するようにハンドルをサポート。低速域においてもハンドル、ブレーキ、アクセルをサポートするのはクラス初となります」と、全車速でステアリングとブレーキ、アクセルをサポートするのがプロパイロットの最大の特徴とする。

 プロパイロットのシステム構成では、とくに高価なアイテムを用意しているわけではなく、フロントウィンドウのカメラ、カメラ情報を使ってユニットをコントロールするADAS ECU、スロットルを制御するECM、ステアリングを制御するEPS、ブレーキ制御のVDC、車両の停止保持を行なう電動パーキングブレーキによって構成される。

「低速域においてもハンドル、ブレーキ、アクセルをサポートするのはクラス初」と語る飯島氏

 自動運転のキーポイントになるのはカメラで撮影した画像の解析で、これには日産が過去20年に渡り自動運転の開発を行なってきた技術と、イスラエルのモービルアイの技術を活用した独自の画像解析技術を採用している。高速道路の混み合った状況でも車両と車線を認識し、割り込んでくるクルマの形や大きさなどを高速で解析して認知する。その認知した情報を元に、ステアリング、ブレーキ、アクセルを操作するのがプロパイロットの基本動作になるのだ。

 また、日本国内の高速道路での使いやすさを重視して、これまで徹底的な走り込みを行ない、データを集めて完成度を高めてきたという。

 このように、エクステリアとインテリアに新たなデザインを用いて、クラストップレベルとなる室内空間や快適性を保持した新型セレナ。プロパイロットと呼ばれる単一車線の自動運転を可能とした運転支援システムなど、多くの先進技術が採用された注目モデルは、8月末に発売される。

日産が考えるインテリジェント・モビリティの概要
新型セレナで初採用となるプロパイロットの概要