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【鈴鹿8耐】YAMAHA FACTORY RACING TEAMが2連覇達成

2016年7月31日 決勝開催

YAMAHA FACTORY RACING TEAMが2連覇

 7月31日、「2016 FIM世界耐久選手権シリーズ第3戦“コカ・コーラ ゼロ”鈴鹿8時間耐久ロードレース 第39回大会」(鈴鹿8耐)の決勝レースが行なわれ、中須賀選手率いるYAMAHA FACTORY RACING TEAMが2年連続の優勝を果たした。ここでは後半、スタートより3時間40分前後の時点からレース終了までの模様をお届けする。

後半は路面温度が落ち着き、転倒は減少。天候崩れ、セーフティカー介入はなし

 レーススタートから3時間39分が経過し、トップの21号車YAMAHA FACTORY RACING TEAMが100ラップを消化。2番手には1分40秒ほどの差をつけた独走状態を築き上げている。2番手の87号車Team GREENと3番手の12号車YOSHIMURA SUZUKI Shell ADVANCEは、3時間40分頃に急接近。やがてバトルになり、ついに順位が入れ替わる。

21号車YAMAHA FACTORY RACING TEAM
87号車Team GREENを12号車YOSHIMURA SUZUKI Shell ADVANCEがかわす

 4時間経過時点の順位は、トップに21号車YAMAHA FACTORY RACING TEAM、2番手以降に12号車YOSHIMURA SUZUKI Shell ADVANCE、87号車Team GREEN、7号車YART YAMAHA - OFFICIAL EWC TEAM、そして01号車EVA RT TEST TYPE-01 TRICK STAR。この頃から路面温度が下がってきた(ピーク時は56度ほどあったが、53度くらいにまで低下した)ためか、転倒が少なくなる。

 その01号車EVA RT TEST TYPE-01 TRICK STARは、4時間20分、前を走る7号車YART YAMAHA - OFFICIAL EWC TEAMをかわして4位に。しかし、次の周には抜き返され、再び同じポジションへ。この後も激しいバトルを繰り返しながら周回を重ねる。

熱いバトルを繰り広げた01号車EVA RT TEST TYPE-01 TRICK STARと、7号車YART YAMAHA - OFFICIAL EWC TEAM

 大きな動きがなく、淡々と周回し続けるなか5時間が経過し、5回目のピットインタイミング。3番手87号車Team GREENが先にピットインし、その後2番手の12号車YOSHIMURA SUZUKI Shell ADVANCEがピットイン。この時のタイミング差やピット作業の時間によるものか、一気に2台が近づき激しいセカンドポジション争いが始まる。

 数多くの周回遅れをパスしながら、抜きつ抜かれつを繰り返すも、クリアラップの時と大きく変わらないペースどころか、両チームともチームベストタイムをマークする、見ている方がハラハラするようなアグレッシブな戦い。しかしながら、最終的には87号車Team GREENに軍配が挙がった。

先ほどのリベンジを果たした87号車Team GREEN

 そんな2番手争いにひとまずの決着が見えたころ、今度は01号車EVA RT TEST TYPE-01 TRICK STARと32号車Moto Map SUPPLYによる長い5番手争いが勃発。次のピットインをはさんで数十周に渡りバトルが続き、15分ほど遅くピット作業に入った32号車Moto Map SUPPLYが先行する形で、01号車EVA RT TEST TYPE-01 TRICK STARがしつこく食い下がる展開となった。

32号車Moto Map SUPPLYと01号車EVA RT TEST TYPE-01 TRICK STARの抜きつ抜かれつの5番手争いは、後半の見どころの1つとなった

 残り2時間頃からは各チーム安定した走行を続ける。最後の給油・ライダー交代が終わり、陽が落ちると各車ライトオン。薄闇になっても上位の状況は大きく変わらなかったものの、フロントタイヤが外れるトラブルでいったんは下位に沈んだ17号車Team KAGAYAMAが、懸命の追い上げで暗闇の中6位まで挽回するという底力を見せた。

17号車Team KAGAYAMA
トラブルが多かったが、それでも最後まで諦めず6位に

 結局、21号車YAMAHA FACTORY RACING TEAMが3位以下を全て周回遅れにし、(2輪用のシケインが追加されたコース変更後としては)鈴鹿8耐最多となる218周回を記録するという圧倒的な速さで2年連続の栄冠を獲得した。2位はトップと唯一同一周回の87号車Team GREEN、3位は12号車YOSHIMURA SUZUKI Shell ADVANCEで、前日のトップ10トライアル上位3チームと同じ組み合わせとなった。その他チームを含むトップ10の順位は以下の通り。

優勝した21号車YAMAHA FACTORY RACING TEAM
ほぼ同じファクトリー体制の7号車YART YAMAHA - OFFICIAL EWC TEAMは4位
87号車Team GREENはなんとか同一周回をキープして2位
3位に12号車YOSHIMURA SUZUKI Shell ADVANCE

1位:21号車 YAMAHA FACTORY RACING TEAM
2位:87号車 Team GREEN
3位:12号車 YOSHIMURA SUZUKI Shell ADVANCE
4位:7号車 YART YAMAHA - OFFICIAL EWC TEAM
5位:32号車 Moto Map SUPPLY
7位:17号車 Team KAGAYAMA
6位:01号車 EVA RT TEST TYPE-01 TRICK STAR
8位:22号車 SatuHATI. Honda Team Asia
9位:18号車 Mistresa with ATS
10位:090号車 au&Teluru・KoharaRT

 なお、鈴鹿8耐は2017年シーズンより世界耐久選手権シリーズの最終戦となる。2017年7月に最終戦として鈴鹿8耐が開催され、国内の1レースイベントというより、選手権として重要な意味をもつ世界的なレースイベントの色合いが強くなる。

表彰台3チームのライダーコメント

表彰台を獲得した3チーム
優勝 21号車 YAMAHA FACTORY RACING TEAM
中須賀克行選手

ウィークを通して今日が一番暑いということで、ライディング的には非常に厳しいレースになったんじゃないかなと思います。自分のスティントでもう少し序盤から前に出ていきたかったんですけども、(予想以上に高い)路面温度に対してテストの時からの流れで選んでいたタイヤのフィーリングが違い、思うように走れなかった。でも、ラスト10ラップくらいは前に出てしっかりペースを作って走ることができたので、非常によかった。

ポル・エスパルガロ選手

ドウモアリガトウ。とてもうれしい、すごくすごく満足している。テストの時から3人で一生懸命頑張って、一番いいセッティングを見つけてレースに臨むことができた。中須賀さんと自分、今年加わったアレックスは素晴らしいコンビだから、来年もアレックスがやってくるんじゃないかと思っている。ただ、3人だけの力で優勝できたわけではないので、チームにも大変感謝している。

アレックス・ローズ選手

鈴鹿8耐での初めての優勝、本当に本当にうれしい。いつものチャンピオンシップとはまったく違った経験ができたのはファンタスティック。初めての体験、初めての環境、初めてのチームだが、3人仲よく過ごすことができて、個人的にも楽しくやることができて、こういう感じは今まで味わったことがなかった。2人のおかげで僕もいいスティントを走ることができたので、2人にも、呼んでくれたYAMAHA FACTORY RACING TEAMにも大変感謝している。とても楽しかったし、優勝して良かった。来年もぜひ呼んでほしい。

2位 87号車 Team GREEN
柳川明選手

昨日は予選で全然仕事をしていなかったので、今日は頑張ろうと思って。最初のスティント、スタートライダーを任されたんですけど、もうちょっと前のグループから離れずにいれば、もうちょっと違った展開にできたかなと思う。結果的に2位にはなれたので、そこは満足はしていないけれど、やれることはすべてやったのかなという形ですね。他の2人ともすごく頑張ってくれて、いい思い出をまた1つ作らせてくれたので、すごくおじさんはハッピーです。

レオン・ハスラム選手

今の気持ちを説明するのは難しい。とっても幸せ。テストの時から新しいZX-10Rで開発してきて、チーム、3人と力を合わせて、このいいセットを見つけ、レースに臨み、2位を獲得することができた。このうえない最高の気持ちで、チームに感謝するのと同時に、仲間にも感謝したいと思います。

渡辺一樹選手

過去2年がすごく苦しい8耐になってしまっていたので、そんななかで初めて8耐の2位表彰台という場所にこられて、まずそこにほっとしている部分が大きいです。テストからずっと3人でバイクを作り上げてきて、チームのみんなも本当に全力を注いで、しっかりそれを形にできたのが結果として2位につながったのかなと思う。ただ、あくまでも2位なので、レースはやっぱり1位にならないと意味がないというのはどんなレースでも同じ。1年に1回しかないですけど、来年こそは1位を狙えるようにしたいなと思います。

3位 12号車 YOSHIMURA SUZUKI Shell ADVANCE
津田拓哉選手

チーム一丸となって戦えた結果が3位なので、今は満足はしていないですが、納得はしています。来年に向けて自分がしっかりもっといいバイクを作って、紀行さんとジョシュにまたきていただけるなら、もっと速い、いいバイクを作り上げるくらいしないとと思っています。

ジョシュ・ブルックス選手

テストでは2つのタイヤ選択オプションがあった。自分はソフトタイヤがいいと思っていたが、チームメイトはハードタイヤがいいと話していた。(ソフトタイヤで)レースが始まると、路面温度が高く、自分の最初のスティントはタイムが出なかった。3回くらい転倒しそうだったし、コーナーではほとんどスライドしていて、きつかった。ラップタイムを上げていきたかったのに、それができなかった。ピットインした時にハードタイヤに換え、新しいスティントにつなげることができて、後半はまたソフトタイヤにして、最後のスティントはそれなりに走ることができた。ベストを尽くしたが、3位までしかいけなかった。この結果に自分も満足はしていないけれど、納得するしかない。世界中で知られているYOSHIMURAだが、そのなかの一員として認めていただいて、一緒に走ることができたのは光栄だった。

芳賀紀行選手

今回は、僕が2スティント目でレオンに最終的に20秒離されてちゃったということが、2位になれなかった敗因だと思うんですけど、その後、拓哉もジョシュもすごく頑張ってくれて、それに対してすごく感謝してます。初めてのヨシムラバイク、23年ぶりのブリヂストンタイヤ、初めて尽くしで、タイヤにも慣れないところがあったんですけど、最終的にすごく楽しみながら走ることができました。また来年チャンスがあったら参加したいと思います。