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ケーニグセグ、日本だけで販売される限定3台の「アゲーラ RSR」世界初公開

価格は2億6000万円(税別)。1160HP/1280Nmの5.0リッターV型8気筒ツインターボ搭載

2016年9月5日 開催

2億6000万円(税別)

 スウェーデンの自動車メーカーであるケーニグセグオートモーティブは1994年の設立とまだ若いブランドながら、これまでに世界最高峰クラスのスペックと独創的なメカニズムを持つスーパースポーツカーを次々と登場させた実績を持っている。

 そして今回、ケーニグセグは日本での販売網としてケーニグセグ ジャパンを設立。これに合わせ、9月5日に世界で3台のみの限定車である「アゲーラ RSR」を世界初公開した。現時点での価格は2億6000万円(税別)。

 発表会では定刻になるとケーニグセグのプロモーション映像が流され、それに続いてケーニグセグ ジャパン CEOの藤巻秀平氏からケーニグセグオートモーティブの紹介とケーニグセグ ジャパン設立について語られた。このなかではケーニグセグオートモーティブに藤巻氏を紹介し、ケーニグセグ ジャパン設立のきっかけを作ったのが、世界の名車を扱う高級輸入車ディーラーである「ビンゴスポーツ」代表取締役CEOの武井真司氏だったことも明かされた。

ケーニグセグ ジャパンが設立され、そのCEOに藤巻秀平氏が就任。発表会は藤巻氏によるスピーチから始まった

 今後はいつでもケーニグセグの最新モデルが見られるよう、日本初となるケーニグセグ専用ショールームの設置を計画。もちろん車両の販売、メンテナンス、日本におけるマーケティングや情報の発信なども行なっていくとのこと。

 続いて紹介されたのが、ケーニグセグ アゲーラ RSR。前述したとおり、このクルマは世界でわずか3台のみが生産された稀少なモデル。ベースになったのは25台限定の「アゲーラ RS」で、RSRでは専用エアロパーツや専用インテリアなどを採用している。この世界限定3台というアゲーラ RSRはすべてケーニグセグ ジャパンが独占輸入していて、すでに2台のオーナーが決まっているとのこと。また、残る1台も販売できるという見とおしとのことだ。

藤巻氏に続いてステージに登場したのはケーニグセグオートモーティブ CEOのクリスチャン・フォー・ケーニグセグ氏で、藤巻氏とともにアゲーラ RSRのアンベールを行なった。アゲーラ RSRは生産したすべての車両が日本に来ているので、これがワールドプレミアとなった
姿を現したケーニグセグ アゲーラ RSR。世界限定3台のうちの2台

 クリスチャン・フォー・ケーニセグ氏からは「ケーニグセグの創立以来、日本は極めて重要なマーケットと見ていました。アゲーラ RSRを生産し、デリバリーするにあたって日本のカスタマーと仕事ができたことは大きな喜びです」とのコメントがあった。そして「アゲーラ RSRはアゲーラのRSシリーズに新しい魅力を加えるモデルになった」と付け加えられた。

 ボディはドライカーボンとケブラーのサンドイッチ素材で作られている。ルーフもドライカーボン製の軽量デタッチャブル式で、取り外したらフロントフード内に収納する作りだ。

ケーニセグ氏からアゲーラ RSRのメカニズムについて説明された
ドライカーボン製のデタッチャブルハードトップを外すデモも披露。取り外したハードトップはフロントフード内に収納できる
アゲーラ RSRのスタイリング

 エアロパーツはフロントにスプリッターとカナードを装備。フロントフェンダー上部とドア側面には、タイヤハウス内の巻き込んだ風を排出するアウトレットがある。ボディ下面も「ダイナミックアンダーボディフラップシステム」を採用し、ボディサイドを流れる空気を整流するサイドスカートも装着。そしてリアにはアクティブリアスポイラーを装備する。

 ホイールはケーニグセグ製のAircoreセンターロック式中空カーボンファイバーホイールを前後に装着。サイズはフロントが19×9.5J、リアが20×12.5Jという異径設定。タイヤはアゲーラRSシリーズ専用のミシュラン パイロットスポーツカップ2を標準設定。サイズはフロントが265/35R 19でリアが345/30R 20。

 走行に関わる電子制御では、ABSに「ウエット」「ノーマル」「トラック」の3モードから選択できる「エレクトロニック・スタビリティコントロール」、電子制御デフ、さらに「ウエット」「ノーマル」「トラック」の3モード選択式のトラクションコントロールがある。

 サスペンション形式はフロント、リアともにダブルウイッシュボーン。フロントダンパーは2段調整電子制御ダンパーで、エンジンルームからも見えるリアダンパーはレーシングカーそのものの電子制御式プッシュロッドタイプを採用。シャシーはフルカーボンファイバー製で、ブレーキはセラミックローターにフロントが6ピストンキャリパー、リアがセラミックローターに4ピストンとケブラーのサンドイッチ素材で作られている。

フロントとリアのエアロパーツ形状
フロントバンパーにスプリッターとカナードを装備
フロントフードはAピラーの付け根近くからフロントフェンダーごと開く
フェンダー上部のスリットはタイヤハウス内に巻き込んだエアを抜くためのアウトレット。タイヤハウス内のエアを放置して車体を持ち上げる力になってしまうことを避けるための装備だ
ドアウィンドウなど形状はWECなどのレースに出場するプロトタイプマシンのように大きく湾曲している
ドアミラーも独特な形状。ドアの下側には冷却用のダクトを備える
可変式のアクティブスポイラー。ここはアゲーラ RSと大きく形状が異なる。RSがリア後端からステーが立ち上がるの対して、RSRではルーフラインからつながるデザインだ
ホイールはケーニグセグ製Aircoreセンターロック式中空カーボンファイバーホイール。タイヤは専用のミシュラン パイロットスポーツカップ2を標準設定。サイズはフロントが265/35R 19、リアが345/30R 20
アゲーラ RSRのエンジンフードを開けたところ。リアサスはプッシュロッド式

 インテリアでは、室内装備は現代のスーパースポーツカーらしく快適装備や安全装備が充実している。レザーインテリアやカーボンバケットシート(形状記憶材入り)、アジャスタブルペダル/ステアリングコラム、“Satnav”ナビゲーションシステム、メーターパネル内のインフォメーションシステムなどによって高級感とレーシーさが混じり合った空間を演出。シートに座るだけでワクワクしそうな空間となっている。ただ、サイドシルは高く幅があり、シート位置が低いので乗り降りにはコツが必要だろう。また、安全装備ではデュアルエアバッグに加え、KES(スタビリティコントロール)を採用する。

アゲーラ RSRのインテリア。レザー貼りの高級な仕上げで、ケーニグセグ製のカーボンシートも表皮を革張りとする。シート座面にフルハーネス向けのベルトバックルを収納しているところも注目点
センターコンソールにスイッチ類を集中配置。エンジンスタートボタン、シフトモードボタン、ヘッドライト、パワーウィンドウなどの操作もここで行なう
ペダルはレーシーなオルガンタイプ。ケーニグセグのメーカーロゴが入っている
独創的な開き方をするドア。ヒンジの形状も特殊だ

 一番のポイントでもあるアゲーラ RSRのエンジンは、5.0リッターV型8気筒ツインターボ。最高出力865kW(1160HP)/7800rpm、最大トルク1280Nm/4100rpmを発生。レッドラインは8250rpmに設定する。会場にはアゲーラ RSRのエンジン単体も展示されていたが、5.0リッターのV8としてはコンパクトな印象。アルミニウム製で単体重量は189kgとなっている。

 ターボチャージャーはプレシジョンターボ製のボールベアリングタービンを装着していた。ブースト制御をウエストゲートで行なうタイプだ。エキゾーストマニホールドは鋳物でなく、0.8mm厚のインコネル材を使ったパイプをTIG溶接で組み上げており、ジャンクション部の補強などはレーシングエンジン用エキマニのような仕上がり。設定ブーストは1.3バールとのこと。

 吸気系は4気筒ずつにスロットルを備える電子制御ツインスロットルで、サージタンクはカーボン製。燃料供給方式は直噴システムはなくポート噴射のみだが、1気筒にインジェクターが2本刺さるツインインジェクター方式を採用。1気筒ごとに形状の違うインジェクターを組み合わせているのが特殊なところだが、この理由については会場で明確な答えは得られなかった。

 エンジン下側を見てもオイルパンはなく、代わりにスカベンジポンプを装着するドライサンプ潤滑方式。エンジンルーム内にオイルタンクも付いていた。トランスミッションは7速DCTで、エンジン側にAP製のマルチプレートクラッチが装着されていることを確認できた。

コンパクトな印象のV8エンジン。本体はアルミダイキャスト製、サージタンクはカーボン
タービンはプレシジョンターボ製を装着。EXハウジングが黒く塗装されていた。コンプレッサー側はサージングを抑えるためのポーテッドシュラウドを装備
インジェクターは1気筒に2本装備。エンジンルーム横にはクーラントの確認用の窓がある。レイアウト上、タンク等で見ることができないための作り
スカベンジポンプが装着されるドライサンプ式のオイル循環。トランスミッションは7速DCTで、クラッチはAP製のマルチプレートクラッチが装着されていた

 なお、ケーニグセグ ジャパンのショールーム建設予定地や日程などについてはまだ未発表だったので、今後の展開についてはケーニグセグ ジャパンのホームページで確認していただきたい。