ニュース

サイバーナビと連携し、先進運転支援を実現する「マルチドライブアシストユニット」を体感

ヒヤリハット交差点で注意喚起

2016年9月14日 実施

同乗試乗車は本田技研工業の「ステップワゴン」。サイバーナビは、車種別専用モデルの10V型「AVIC-CE900ST-M」。マルチドライブアシストユニット同梱モデルとなる

 パイオニアは9月15日、カロッツェリア「サイバーナビ」と連携し先進運転支援を実現する「マルチドライブアシストユニット」を9月に発売することを発表。同時に報道陣向けに同システムの同乗体験会を開催した。

 このマルチドライブアシストユニットは、5月の新型サイバーナビ搭乗時に発売が予告されていたもので、進化するサイバーナビを具現化するユニットの1つになる。新型サイバーナビの900シリーズでは、車種別シリーズの発売も予告されていたが、今回は10V型ディスプレイを搭載する本田技研工業の「ステップワゴン」専用モデルに、マルチドライブアシストユニット「ND-MA1」とフロアカメラユニット「ND-FLC1」を装着したモデルで同乗走行を行なってみた。

マルチドライブアシストユニットは、前席下にセットされていた
ルームミラー裏に取り付けられたフロントカメラ
フロントカメラを前方から。画素数は約100万画素
フロアカメラユニット「ND-FLC1」。こちらは室内を撮影するためのもの

 今回体験した先進運転支援機能は、「右折時つられ発進検知」「横断歩道予告検知表示」「セキュリティインフォ」「誤発進警告」「レーンキープサポート」「前方車両接近警告」。いずれも新型サイバーナビとマルチドライブアシストユニットの組み合わせで実現できる機能となっている。

 車両を連動制御するものではないため、前方車両に近づくと自動ブレーキなどがかかるものではないが、ほとんどの車両に取り付けが可能であるのがポイント。カロッツェリアカーナビの高精度なGPSと地図、そして新ユニットとなったカメラを活かした機能になる。

 その中でも「右折時つられ発進検知」は、パイオニアが運用するプローブ情報システムである「スマートループ」を活かしたもので、経済産業省の「次世代高度運転支援システム研究開発・実証プロジェクト」知見も採り入れられている。同プロジェクトにおける“右折時運転行動”や“有効な注意喚起音のタイミング”を参考にしているといい、「スマートループ」情報をもとに登録されたヒヤリハット地点データ(約7600カ所)と合致する交差点において、前方車につられて右折発進した際に“ポンポン”という注意音を発生する。このヒヤリハット地点データは、交差点の進入方向も持っており、カーナビの地図上では赤い矢印で表記されている。

 今回の同乗試乗では、パイオニアが別途前走車を用意。そのクルマにつられて右折発進すると、“ポンポン”と警告音を聞くことができた。

画面左側がフロントカメラ映像。右側が地図。自車位置の情報に見える赤い矢印2つがヒヤリハット地点かつ進入方向。交差点の人のマークは、ヒヤリハット地点であることを示している
右折レーンで前走車に近づく。距離が12mでターゲットスコープが表示されている
前走車につられて右折。“ポンポン”と警告音が聞こえた。特別な画面表示は行なわれない

 「レーンキープサポート」は、前世代のサイバーナビに用意されていたクルーズスカウターユニットでも高速道路において実現していた機能だが、新世代のマルチドライブアシストユニットでは高速道路に加え一般道路でもレーンを認識し、片寄った走行を検知するようになった。高速道路ほど整ったレーン表示でなくとも認識できるようになり、処理性能が向上した部分だ。

「レーンキープサポート」。左側の黄色い表示は、やや左側に近接していることを警告している
「誤発進警告」。前走車が停車中のときに誤って発進すると警告
「横断歩道予告検知表示」。横断歩道予告を認識し、横断歩道マークをオーバーレイ表示
左側の映像にどのような情報を表示するかはセッティングできる

 「セキュリティインフォ」は、マルチドライブアシストユニットで実現した新機能で、クルマに一定以上の衝撃が加わった場合や音の発生があった場合、そして電圧変化があった場合に、あらかじめ登録したメールアドレス(5カ所)にメールで告知する機能。駐車中にクルマに何かがぶつかった場合や、ドアを開けた(ルームランプが付き電圧変化が発生)場合に知らせてくれる。その際には室内を撮影するフロアカメラユニット「ND-FLC1」と、外部を撮影するフロントカメラの画像も送られるため、盗難を防ぐ際などに有効な機能だ。

エンジンを切って停車中になんらかのアクシデントが発生するとメール送信を行なう。これは衝撃を検知した画面
このようにスマートフォンにメールが届いていた
メールを開くと、位置情報やカメラ画像が添付されていた。カメラ画像はフロアカメラもあり、フロントカメラを指ではじいた際の衝撃だったことが分かる
アクシデントの感度は11段階に設定可能

 これらの詳細については別途お届け予定だが、およそ15分の同乗走行でも新世代のサイバーナビの持つ可能性を実感できた。高精度なGPSと地図、そしてヒヤリハット地点データなどスマートループによる情報蓄積、そして新型カメラと新たな処理ユニットによって、先進運転支援機能を自分の愛車に加えることができ、さらなるソフトウェアのアップデートにより新たな付加機能も予定されているようだ(予告されている機能としては、サーバーサイドでETCの割引料金なども考慮する「スーパールート探索」がある)。

 マルチドライブアシストユニットの発売により、新型サイバーナビを構成する最新世代のハードウェアは出そろった。特に10V型の車種専用モデルは、これまでにないモデルとなるため、マルチドライブアシストユニットとのセットモデルを含めて検討してみるのもありだろう。