ニュース

【SUPER GT第7戦タイ】GTA記者会見レポート

SUPER GTタイシリーズやブリーラムのインフラ整備でモータースポーツ振興を目指す

2016年10月9日 開催

会見後、がっちり握手するチャン・インターナショナル・サーキットのオーナー ネウィン・チドチョップ氏(左)と、GTA 代表取締役 坂東正明氏(右)

「2016 AUTOBACS SUPER GT Round7 BURIRAM SUPER GT RACE」(以下、SUPER GT第7戦タイ)が10月8日~10月9日の2日間にわたって、タイ ブリーラム市内にあるチャン・インターナショナル・サーキットに置いて開催されている。

 決勝日となる10月9日の午前中には、SUPER GTを主催するGTアソシエイション(以下、GTA)代表取締役 坂東正明氏と、チャン・インターナショナル・サーキットのオーナー ネウィン・チドチョップ氏による記者会見が行なわれた。

 この中で坂東代表とチドチョップ氏は両者が協力して、タイでのSUPER GT国内シリーズを構築していくほか、サーキットがあるブリーラム市内のインフラ増強を行ない、より多くの観客などを呼べるようにしていくと説明した。

3年目となるSUPER GTのタイ戦、4年目の開催も決定し5年目以降の開催も視野に

──チャン・インターナショナル・サーキットで3回目のSUPER GTのレースになる。4年目の開催もすでに決まっているとうかがっているが、GTAとサーキットでそれぞれどのような活動をしていくのか?

ネウィン・チドチョップ氏:我々のサーキットにとってSUPER GTは一番規模が大きなレースになっている。これまでの3年間、サーキットを作ったときからSUPER GTをここで走らせることが目標だった。そして、2017年、2018年も引き続きSUPER GTのレースを行なうことは目標で有り続けている。

チャン・インターナショナル・サーキットのオーナー ネウィン・チドチョップ氏

 これまでの3年間で、日本のSUPER GTのチームが見せた速さや進化には驚いている。GT500でも、GT300でも1秒以上タイムが縮まっている。また、ワイルドカードでタイの2チームを出場させてもらっているが、その2チームのレベルも上がってきているがまだ日本のチームには追いついていない。ぜひとも、日本のSUPER GTの関係者の皆さま、タイヤメーカーの皆さま、自動車メーカーの皆さまにはタイのチームへの支援をお願いしたい。

 我々にとってはSUPER GTは非常に面白いレースであり、2017年そして2018年とSUPER GTを継続開催したい。ブリーラムとしても、課題があることは認識しているので、宿泊や食事の問題などを解決して、タイ国内のお客さまや外国からのお客さまももっとおもてなしできるようにしていきたい。

坂東正明氏:意外と暑くない天候だが、タイのほかの地域では(雨が)降っているのに、ブリーラムだけは降っていないという天候にも恵まれ、3回目のブリーラムでのSUPER GT開催を迎えることができてうれしい。チャン・インターナショナル・サーキットでは3回目の開催で、アジアを代表するサーキットの1つとしてモータースポーツに多大な貢献をされていると考えている。それを実現したのも、代表であるネウィン氏の力であり、タイにモータースポーツが根付きつつあることに感謝したい。

株式会社GTアソシエイション代表取締役 坂東正明氏

 チャン・インターナショナル・サーキットとはすでに来年の契約も済ませており、今後はここを起点にタイ、ひいてはほかのアジア地域を含めてモータースポーツの発展をしていかないといけないと心を新たにしている。サーキットだけでなく、ブリーラムの街も発展しており、レースがし易い環境作りをして頂いていることに感謝したい。

 また、タイ側と一緒にやれることとして、ワイルドカードでBMWとタイ・トヨタのマザーシャシーの86という2台に出ていただいている。しかし、どちらも少ないテストで1年間シリーズで戦っている日本のチームに対抗するのはとても難しく、ハンデは大きいと感じている。今後はワイルドカードのチームが出るときには何らかの配慮が必要なのではないかと感じています。

 そうした状況を改善するには、タイ国内のシリーズ戦を作ることが大事だと考えている。今後はJAFやタイ側と協力してタイ国内でのSUPER GTシリーズの構築に努力していきたい。

ブリーラムのインフラ整備も進め、数年のうちにホテルを1000室増室し、国際空港も建設

──FIAーF4出身の牧野選手が予選2位を獲得しました。それについてどう思われるか?

坂東氏:FIAーF4出身の牧野選手が鈴鹿の時は(GT300で)エボーラから、このレースではGT500にデビューした。もしたれていないタイヤをつけば、セクター1はトップだったのでもっとタイムを更新できたのではないか、その悔しさがあるのではないかと思う。FIAーF4はそうした若手が戦える場所を作る目的でシリーズを作ったのでいいことだと思っている。今後も若い選手が戦える場所を作っていきたい。

 でも、19歳でポールポジションなんてことはあり得ないので、彼は空気を読んだのではないかと思う(笑)。ほかのFIAーF4卒業生もそれなりの活躍の場を与えるようになってきているので、FIA-F4という場を作ってよかったと思っている。

──2017年のGT500新型車両の進捗状況について教えてほしい。

坂東氏:17年型車両に関しては、各マニファクチャラに対して40時間のテスト時間を与えている。ホンダさんに関しては遅れているけど、それ以外のマニファクチャラはすでに実装している。その結果を見ると、ダウンフォースは落ちているため、ストレートスピードは上がっているけど、コーナリングは遅くなっており、安全性が上がっており、我々が目指している方向性になっている。

──タイ側にとってのSUPER GTの価値を教えてほしい

ネウィン氏:坂東代表がおっしゃっていたように、タイでSUPER GTのシリーズを構築していきたいと考えている。タイのモータースポーツを発展させていくには、チームやドライバーのレベルを上げていかないといけない。そのために、今年はサーキットの入り口近くにカートコースを作り、今後の目標としてはレーシングスクールを作っていきたいと考えている。また、将来的にはここでもFIAーF4のレースをして欲しいと思っているし、若い人がステップアップして将来はF1やFE、SUPER GTなどに上がっていくことが可能にしたい。

 そのためにも、ブリーラムのインフラをもっと整備したいと思っており、2017年にはブリーラム全体でホテルが500室増え、2018年には現在よりも1000室増える計画だ。それにより外国のメディアやお客様にも来てもらえるようにしたいし、SUPER GTに加えて、2輪のMoto GPを開催することが次の目標となる。

──タイでのSUPER GTシリーズはいつ始まるのか?

ネウィン氏:坂東代表もおっしゃっていたように、現在レギュレーションに関して検討しているところだ。タイのチームだけでなく、日本のチームでも一緒に走れるようにレギュレーションを作っている。とは言え、タイの状況から乖離しては意味が無いので、タイの状況に合うようにGTA側と協議を続けている。

 大事なことはタイ側のレベルを上げることであり、一緒のレギュレーションがあって、そこに日本のチームが参戦していただければレベルが上がっていくことになる。最終的にはできるだけモータースポーツを盛り上げていきたい、そういう思いでやっている。

──交通機関についてはどうか? バンコクからのフライトなども増える予定があるのか?

ネウィン氏:(SUPER GTを開催した)最初の年にはバンコクからのフライトはなかったが、今は1日3便が飛んでいる。来年のSUPER GTの時には1日4便になる予定だ。さらに2018年以降には1日6便~7便にできるように努力している。

 また、タイ国内の鉄道網も整備が進んでおり、2019年頃にはハイスピードレール(筆者注:日本で言うところの新幹線)がここまでできる予定。さらに2019年~2020年には高速道路の整備も進み、バンコクからクルマでの移動も1時間は早くなる見通しだ。タイ国内のお客さまにとっても、ここまで来ていただくのは意外と大変なので、お客さまのためにも整備を続けていきたい。

 今後2年間のうちに、現在あるブリーラムの国内空港だけでなく、国際線が発着できる国際空港も整備していきたい。それによりチャーター便などで日本から直接お越しいただくことも可能になると思う。

──現在船便で機材を送っているため、前後1カ月はイベントはできないが、例えば途中のほかのアジアの国でイベントをやる計画はないのか?

坂東氏:現在は船で運んでいるため、前後1カ月は何もできないが、話があれば検討はしていきたい。ただ、現在国内でやっているイベントを外すというつもりはない。最終的には船便でなくなればいいのですが、いろいろと制約もあるので今後とも検討していきたい。