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アルピーヌブランドが日本でも復活。新スポーツカーコンセプト「アルピーヌ・ヴィジョン」日本公開
4気筒ターボをミッドシップに搭載。2017年に欧州で販売スタート
2016年10月12日 20:50
- 2016年10月11日 開催
ルノー・ジャポンは10月11日、イベント「アルピーヌ・東京ランデヴー」を都内で開催した。このイベントではルノーのアルピーヌブランドについての紹介とともに、「アルピーヌA110」のイメージを引き継ぐ新型スポーツカーのコンセプトモデル「アルピーヌ・ヴィジョン」が公開された。
アルピーヌはルノー車ベースの競技車製作を手がけていた会社で、1963年にアルピーヌA110をデビューさせ、ル・マン24時間レースやWRC(FIA世界ラリー選手権)などで活躍。その後、1973年にルノー傘下の企業になっていたが、ブランド自体は休止状態が続いていた。
ところが2012年末にルノーグループからアルピーヌの発売計画が発表され、2016年のジュネーブモーターショーでアルピーヌ・ヴィジョンを初公開。今回のイベントでもアルピーヌ・ヴィジョンが会場に展示されていたが、まだ試作車の段階。現在は80%のコンセプトが反映されているという。
発売スケジュールだが、新型アルピーヌは2016年末までに発表され、2017年にプレミアムスポーツカー市場に投入される予定とのこと。販売は欧州からということだが、欧州以外では日本が初めての輸出市場になるという。価格はまだ公開されていない。
イベントはアルピーヌ ジェネラル・ダイレクターのマイケル・ヴァン・デル・サンデ氏のスピーチでスタート。ここではアルピーヌの生い立ちから始まり、1971年のモンテカルロラリーでの1~3位独占、1973年のタイトル獲得。そして1978年のル・マン24時間レースでの優勝など、アルピーヌのモータースポーツでの活躍が紹介されたが、サンデ氏は「アルピーヌはレース、あるいはラリーだけのクルマではありません。今ままでもこれからも、フランスの美しいロードカーであり、ユニークな特性と高性能を組み合わせたクルマです」というひと言を付け加えた。
アルピーヌが手がけたクルマは1955年~1995年の間、3万台以上が生産され、どれも非常に価値が高いものになっているとのこと。ただ、現在までの約20年間においてアルピーヌは生産されていないが、当時のレースやラリーでの活躍が語り継がれているので今もファンが多い。そういった特別な熱意が感じられるブランドだけに、アルピーヌはルノーグループにとっても大事な位置づけであることが語られた。
そして再スタートを切るアルピーヌはモータースポーツだけではなく、先進のテクノロジー開発などを含めて“プレミアムスポーツカー”という成長市場にチャレンジするとのこと。この件についてはルノーグループが日産自動車との協力によって、世界規模で大きく成長しているだけに準備は十分という見解だった。実際のところ、ルノーのRSシリーズのロードカー販売は日本を含めて世界各国で成功しているので、スポーツカー市場での地位は確立済みといえる。そこで次なるステップとして豊かな歴史があるアルピーヌをプレミアムスポーツカー市場に送り込むということだった。
新型アルピーヌの生産はフランスのディエップにあるアルピーヌの工場で実施されるが、この生産のためにハイテク化を含めた大きな投資も行なわれたとのこと。ちなみにアルピーヌはルノーグループのシャシー、エンジンなどの開発ノウハウにアクセスでき、ルノー・スポールのテクニカルウィザードの知識や最新のF1を開発するチームなどにも関係を持つという。それだけに高度なクルマ作りが可能な環境になっている。
販売についてだが、これは前述のように2016年末に発表。2017年から欧州で発売され、その後に日本でも発売される。新生アルピーヌにとって日本は欧州以外で初めての輸出先になるだけに、アルピーヌの販売に関してはルノーを扱うパートナーのなかでも優秀なところから扱うディーラーを選抜するとのことだ。
続いてはアルピーヌ デザインディレクターのアントニー・ヴィラン氏からアルピーヌ・ヴィジョンのデザインについて紹介があった。アルピーヌ・ヴィジョンのデザインチームは12名ほどの熱意を持った少数精鋭のスタッフで構成されていて、チームはデスクワークだけでなく、ヘリテージカーからレーシングカーまで実際に触ったり見たり、スケッチを行なったりする時間を設け、そういったことで受ける感性や刺激を生かし、よりクリエイティブなものを生み出しているとのこと。
そしてアルピーヌ・ヴィジョンだが、デザインの大きなポイントは「軽快感」と「官能」とのこと。この軽快感というキーワードの根本にあるのは、運動性能の高いミッドマウントを採用しているという点。それに加えてボディサイズをコンパクトに抑えているところも軽快感を生み出すことにつながるという。さらに軽快感を生み出すために行なっているのが、構造物である金属にカバーを被せず、直接見せてしまうというデザイン。写真でも分かるとおり、ステアリングやシートは金属パーツをあえて剥き出しにすることで、レーシングカーの車内で見られる軽量化のような印象を持たせているのだ。
つぎに官能についてだが、これは視覚的にアルピーヌのイメージを引き出すためのもので、例えば4リングのヘッドライトデザインはA110のイメージであるし、ボンネットのプレスラインもA110のデザインテイストを盛り込んでいる。また、A110のスタイルとして特徴的なリアガラスまわりの形状も、現代のクルマ作りに合わせてアレンジして採用されている。このようにアルピーヌを代表するクルマのデザインテイストを引き継ぐことで、走りのよさなどが伝わりやすくなっているとのこと。
ところで、アルピーヌのイメージといえばブルーのボディカラーを連想する人も多いと思うので、今回のイベントに展示されたクルマがブルーでないことに違和感を持つ人もいるかもしれない。でも、実はアルピーヌの歴史においてホワイトのボディカラーも多くの場面で登場しているので、ホワイトもブルー同様にアルピーヌを代表するカラーだという。ちなみにアルピーヌのホワイトカラーは万年雪に覆われたアルプスの山々をイメージしていて、純粋さや優美さなどを表すとのこと。
今回のイベントには、10月14日~16日に富士スピードウェイで開催される「2016FIA世界耐久選手権 第7戦 富士6時間耐久レース(WEC)」に参戦するために来日しているシグナチュールの関係者も参加。WECには「シグナテック」の名前でエントリーする。アルピーヌが参戦するのはLMP2クラスで、ゼッケンは35と36。今週末のWECではシグナテックの走りにも注目していただきたい。