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SUPER GT史上初の2日連続決勝。今週末にチャンピオン決定

11月11日より開催。前売チケットは1枚で2度美味しいツインリンクもてぎ戦

2016年11月11日~13日 開催

 4月上旬の岡山国際サーキットのレースで開幕したSUPER GTの2016年シーズンも、11月11日~13日の3日間に渡ってツインリンクもてぎで行なわれる「2016 AUTOBACS SUPER GT Round3」「2016 AUTOBACS SUPER GT Round8 MOTEGI GT GRAND FINAL」という2つのレースを残すのみとなった。

 5月に行なわれる予定だったオートポリスでの第3戦が「平成28年熊本地震」により延期となり、その代替レースが最終ラウンドのツインリンクもてぎでダブルヘッダーとして行なわれることになったため、金曜日の11月11日に両レースのフリー走行が行なわれ、土曜日の12日に第3戦が、日曜日の13日に第8戦が行なわれるという変則的なスケジュールとなっている。

 ファンとしては土曜日、日曜日それぞれに予選、決勝を楽しむことができるという非常にお得なイベントとなっているこの最終ラウンド、本記事ではその見所を紹介していきたい。

SUPER GT史上初のダブルヘッダー。1戦分の料金で2戦分のレースが見られるお得なレースに

 今回のツインリンクもてぎでのSUPER GT最終ラウンドは、1つのイベントに第3戦となる"2016 AUTOBACS SUPER GT Round3"と、第8戦で最終戦となる"2016 AUTOBACS SUPER GT Round3、016 AUTOBACS SUPER GT Round8 MOTEGI GT GRAND FINAL"という2つのレースが行なわれるという変則的なイベントになっている。

 元々、第3戦は5月にオートポリスで行なわれる予定だったのだが、平成28年熊本地震によりオートポリスのサーキット施設などが被災したため、2016年の開催は見送られることになった。しかし、SUPER GTを主催するGTAは、全8戦というラウンド数を維持することを決め、その第3戦の代替として、ツインリンクもてぎの最終戦がダブルヘッダーとして行なわれることになったのだ。なお、2日通し券となる前売チケット(当日券は当日限り有効)では、土日両方行く観戦者にとっては1戦分の料金で2戦分を見ることができる。

 スケジュールは通常とは異なり、第3戦、第8戦のフリー走行を金曜日の午前、午後にそれぞれ行なう。そして土曜日に第3戦、日曜日に第8戦の予選・決勝をそれぞれ行なう仕組みとなっている。SUPER GTの公式戦が3日間で行なわれるのは、2009年にリーマンショックの余波を受けて現在の2日間のスケジュールになって以来で、ダブルヘッダーでの開催も特別戦を除けばSUPER GT始まって以来となる。

 このため、今回はルールもやや特別となる。通常のSUPER GTでは第7戦でウェイトが半分に、第8戦でウェイトなしとなる。今年は第7戦>第3戦>第8戦という順番で行なわれるため、10月にタイで行なわれた第7戦がポイント×2kgというウェイトが積まれて戦われており、今回のツインリンクもてぎで行なわれる第3戦はウェイトが半分のポイント×1kgとなり、最終戦となる第8戦がウェイトなしとなる。つまり、土曜日のレースはポイント×1kgのウェイトを積み、日曜日のレースはノーハンデ戦となる。これに合わせて金曜日も午前中は第3戦のフリー走行という扱いになるのでポイント×1kgのウェイトで、午後のフリー走行は第8戦のフリー走行という扱いになるのでウェイトなしで走ることになる。

大混戦のGT500、チャンピオン争いは日産の1号車とレクサス勢

 言うまでもなく、今回のツインリンクもてぎの最終ラウンドでは2つのレースの結果で年間チャンピオンが決定するレースとなる。SUPER GTのレースでは1レースの優勝で20ポイント、さらにポールポジションを獲得すると1点をもらうことができる。つまり2レース合計で最大42点の荒稼ぎが可能になる。現在、両カテゴリーともにランキングトップのポイントは50点台にとどまっており、この2レースで42点を獲得することが可能だと考えれば、このレースの結果が現在のポイントランキングを大きく変える可能性がある。

GT500のポイントランキング
順位カーナンバードライバー第1戦第2戦第4戦第5戦第6戦第7戦合計トップとの差ウェイトハンデ
11松田次生/ロニー・クインタレッリ202028656-56
26大嶋和也/A.カルダレッリ8692101146-1046
338立川祐路/石浦宏明51142545-1145
439ヘイキ・コバライネン/平手晃平4151534445-1145
519関口雄飛/国本雄資236182141-1541
612安田裕信/J.P.デ・オリベイラ6121836-2036
736伊藤大輔/ニック・キャシディ3861835-2135
837ジェームス・ロシター/平川 亮16113232-2432
946本山 哲1141328-2828
1017塚越広大/小暮卓史5152527-2927
1124佐々木大樹/柳田真孝22022-3422
1215武藤英紀411520-3620
13100山本尚貴/伊沢拓也11115119-3719
148松浦孝亮/野尻智紀553316-4016
1515牧野任祐1515-4120
1646千代勝正11415-4128
1746高星明誠1313-4328
1864中嶋大祐/ベルトラン・バゲット167-497
1915オリバー・ターベイ415-5120

 レクサス(トヨタ自動車)、日産自動車、本田技研工業の3メーカーが激しく争うGT500では、現在15点で15位、16位になっている牧野任祐選手、千代勝正選手まで可能性があるように見えるが、実際には両選手ともチームメイトがさらに上位にいるため、仮に42点フルスコアでマークしても、同僚がチャンピオンになるので2人には可能性がなく、現在14位につけている8号車 ARTA NSX CONCEPT-GT(松浦孝亮/野尻智紀組)の2人までということになる。ただし、いくら42点フルスコアが可能とはいえ、GT500では15台しか出走していないため、上位が総崩れでポイントが取れないという事態はなかなか考えにくいので、実際には8位の37号車 KeePer TOM'S RC F(ジェームス・ロシター/平川亮組)あたりまでを圏内と考えることができるだろう。

1号車 MOTUL AUTECH GT-R(松田次生/ロニー・クインタレッリ組)

 チャンピオン候補の筆頭は、56点と頭1つ抜きん出ているポイントリーダーの1号車 MOTUL AUTECH GT-R(松田次生/ロニー・クインタレッリ組)だろう。1号車は開幕戦、第2戦と連勝して40点を荒稼ぎしており、最大で100kgになったウェイトに苦しめられたが、前戦のタイラウンドを除くと確実にポイントを獲得しており、速さでも安定感でもピカイチだ。また、1号車は2015年のツインリンクもてぎのレースで予選12位からスタートして2位、一昨年の2014年はポールからスタートして優勝と、現在のコンビになってからの2年は圧倒的な強さを見せている。順当にレースが展開されれば、両方のレースで1号車が強さを発揮するというのは誰もが予想できる展開だ。

ポイントランキング2位の6号車 WAKO’S 4CR RC F(大嶋和也/アンドレア・カルダレッリ組)

 対抗馬になるのはレクサス勢だろう。ポイントランキングで2位の6号車 WAKO’S 4CR RC F(大嶋和也/アンドレア・カルダレッリ組)、3位の38号車 ZENT CERUMO RC F(立川祐路/石浦宏明組)、そして4位につけている39号車 DENSO KOBELCO SARD RC F(ヘイキ・コバライネン/平手晃平組)もトップとの差は10~11点と少なく、1号車が重いウェイトハンデで苦しむと考えられる第3戦のレースで上位に入って1号車とのポイント差を縮めることができれば、大いにチャンスがある。また、前戦タイで優勝している19号車 WedsSport ADVAN RC F(関口雄飛/国本雄資組)も、タイヤサプライヤーの横浜ゴムがツインリンクもてぎに合わせ込んだタイヤを持ち込むことができれば大いにチャンスがあるだろう。また、昨年のこのレースで優勝している37号車 KeePer TOM'S RC Fも、第3戦で優勝して大量にポイントが獲得できれば逆転のチャンスがあるだろう。

ウェイトハンデ20kgの15号車 ドラゴ モデューロ NSX CONCEPT-GT(武藤英紀/牧野任祐組)

 ホンダの子会社であるモビリティランド所有のツインリンクもてぎは、ホンダ勢にとってホームコースとも言えるが、実はこのコースとホンダ勢の相性はあまりよくない。ホンダ勢がこのコースで優勝したのは2009年までさかのぼる必要があり、ホンダ勢が速いコースではないのも否定できないところ。ただ、土曜日に行なわれる第3戦に関してはウェイトハンデが残るため、20kgの15号車 ドラゴ モデューロ NSX CONCEPT-GT(武藤英紀/牧野任祐組)や、19kgの100号車 RAYBRIG NSX CONCEPT-GT(山本尚貴/伊沢拓也組)などのホンダ勢にもチャンスがあると言える。特に、15号車はドラゴチームによる参戦が今年限りと発表されたばかりであり、最終戦に賭ける想いは並々ならないものがあると言え、期待したいところだ。

 ただ、これらの予想はあくまで、天気が晴天になった場合。ツインリンクもてぎでのレースは雨がらみになることも少なくないので、雨になった場合は全く別の展開となる可能性がある。特に今シーズンは決勝レースでは鈴鹿の第6戦で後半にウェットになったぐらいで、あまりウェットタイヤの出来は分からない状況だ。このため、雨が降った場合にはまさに予測不能。予想もしないところが上位に来てもおかしくないだろう。

誰にも予想ができないGT300。土曜日の第3戦の結果次第で大きく動くことになりそう

ランキングトップの25号車 VivaC 86 MC(土屋武士/松井孝允組)

 GT300に関してもGT500と同じように混戦のポイントランキングになっており、トップから10点差以内に5チームがいるという激しい争いが繰り広げられている。最大42点獲れることを計算に入れると、ランキング14位の51号車 JMS LMcorsa 488 GT3(都筑晶裕/新田守男組)までチャンピオンの可能性がある計算となる。

GT300のランキング
順位カーナンバードライバー第1戦第2戦第4戦第5戦第6戦第7戦合計トップとの差ウェイトハンデ
125土屋武士/松井孝允611162154-54
23星野一樹/ヤン・マーデンボロー1206521549-549
355高木真一/小林崇志16211148-648
461井口卓人/山内英輝11112547-747
531嵯峨宏紀/中山雄一2018644-1044
64谷口信輝/片岡龍也15468336-1836
70アンドレ・クート/富田竜一郎36213832-2232
821リチャード・ライアン/藤井誠暢4415629-2529
965黒澤治樹/蒲生尚弥20424-3024
1018中山友貴/山田真之亮8311123-3123
1111平中克幸/ビヨン・ビルドハイム884222-3222
1288織戸学/平峰一貴2583119-3519
137ヨルグ・ミューラー/荒 聖治111517-3717
1451都筑晶裕/新田守男65213-4113
1533山野直也549-459
1651脇阪薫一55-4913
1733坂本祐也55-499
1833ヨルグ・ベルグマイスター44-509
1987細川慎弥/佐藤公哉33-513
2026密山祥吾/元嶋佑弥33-516
2130永井宏明/佐々木孝太22-522
2248高森博士/青木孝行11-532

 ランキングトップは前戦タイで優勝した25号車 VivaC 86 MC(土屋武士/松井孝允組)。SUPER GTを主催するGTAが導入したマザーシャシーは今年で導入2年目になり、特にいち早く導入した25号車は熟成が進んでおり、開幕戦と第4戦でポールを獲得したほか、前述の通り第7戦タイで優勝し、現在ポイントリーダーだ。

3号車 B-MAX NDDP GT-R(星野一樹/ヤン・マーデンボロー組)
ランキング3位 55号車 ARTA BMW M6 GT3(高木真一/小林崇志組)

 ランキング2位は、3号車 B-MAX NDDP GT-R(星野一樹/ヤン・マーデンボロー組)、3位は55号車 ARTA BMW M6 GT3(高木真一/小林崇志組)とFIA-GT3勢が占めている。どちらのチームも毎年ランキング争い上位に来ている強豪チームで、25号車とのポイント差も小さく十分チャンピオンの可能性がある。さらに4位のSUBARU BRZ R&D SPORT(井口卓人/山内英輝組)、5位の31号車 TOYOTA PRIUS apr GT(嵯峨宏紀/中山雄一組)、6位の4号車 グッドスマイル 初音ミク AMG(谷口信輝/片岡龍也組)あたりまでは十二分にチャンピオンを争うことが可能だろう。特にGT300は出走台数が多く、ランキング上位のクルマが下位に沈んでノーポイントというのは普通にあり得るだけに、どこのチームにもチャンピオンの可能性があると言えるだろう。

 はっきり言って今の段階でGT300がどんなレースになり、どんなチャンピオン争いになるのか予想するのはほぼ不可能だ。だからこそサーキットへいって確かめる価値がありそうだ。

グランドフィナーレ、2017年型GT500の展示、NSX特別展などイベント盛りだくさん

 今回のツインリンクもてぎの最終ラウンドでは、SUPER GTの最終戦となる第8戦が行なわれるため、最終戦ならではのイベントも予定されている。

 特に注目はグランドフィナーレと呼ばれるSUPER GTシーズンエンドのセレモニーだ。このグランドフィナーレにはシリーズチャンピオンになったチームのドライバー・監督を始め、各チームのドライバー・監督が登壇し、シーズンの最後に相応しいセレモニーとして行なわれる。今年もグランドフィナーレはレース終了後にレーシングコースのストレートで行なわれる予定となっているので、ぜひとも参加したい(観戦券があれば参加費は無料だ)。

 もう1つは、2017年に新しく導入されるGT500の新マシンがホスピタリティガーデン内の特設会場で展示される。2017年型GT500のマシン、特に3メーカーのマシンがすべて揃って一般に公開されるのはこれが初めてとなる。こちらも観戦券があれば無料で楽しむことができる。

ホンダ「NSX-GT」2017年仕様
レクサスが2017年から投入する「LC500」
日産「GT-R」の2017年仕様

 また、ツインリンクもてぎの常設博物館であるホンダコレクションホールでは"最速のNSXを目指して~全日本GT選手権制覇への軌跡~"と呼ばれる特別展が行なわれる予定だ。SUPER GTの前身である全日本GT選手権などで活躍したNSXやそのライバル車両が展示される。こちらも観戦券があれば無料で楽しむことができるので、ぜひとも行ってみるといいだろう。

 なお、この最終ラウンドの前売チケットは、ツインリンクもてぎチケットセンターを始めとした窓口や、各種プレイガイド・コンビニエンスストアなどで11月11日まで販売されている。なお、当日券(当日限り有効)も販売される予定だ。詳しくはツインリンクもてぎのWebサイトで御確認頂きたい。