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伊ランボルギーニの2017年モータースポーツ計画。SUPER GTに「ウラカン GT3」が継続参戦、ル・マン参戦は"夢"

「ランボルギーニ・ブランパン・スーパー・トロフェオ・ワールドファイナル」レポート

2016年12月2日~4日(現地時間) 開催

ウラカン LP620-2 スーパー・トロフェオ

 伊ランボルギーニは、12月2日~4日(現地時間)の3日間にわたってスペインのバレンシアサーキットにおいて、同社のスーパーカー「ウラカン」のワンメイクレース「ランボルギーニ・ブランパン・スーパー・トロフェオ」の世界一決定戦となるワールドファイナルを開催。同会場において、ランボルギーニのモータースポーツ責任者 ジョルジョ・サンナ氏が同社のモータースポーツ戦略について説明した。

 2017年に関しては、現在行なっているスーパー・トロフェオのワンメイクレースや、FIA-GT3車両を利用してGTレースを戦うチームのカスタマーサポートといった現在のプログラムに加えて、スパ24時間レース、デイトナ24時間レースなどへの参戦を行なう。さらに、2チーム/4台体制で参戦しているSUPER GT/GT300に関しても今シーズン同様2チーム/4台体制が継続されるとした。

新しく始める中東シリーズは、欧州やアジアのシリーズに参加しているチームにとってのウインターシリーズでもある

 ランボルギーニのモータースポーツ責任者 ジョルジョ・サンナ氏は、スーパー・トロフェオが行なわれている会場で、2017年のランボルギーニのモータースポーツ体制に関して説明した。

Automobili Lamborghini S.p.A モータースポーツ責任者 ジョルジョ・サンナ氏

 ランボルギーニがモータースポーツ活動に力を入れるようになったのは、実はここ3年のこと。スクアドラコルサと同社が呼んでいるランボルギーニのモータースポーツ部門が設立され、その責任者としてサンナ氏が任命されて以降になる。それから同社は、ワンメイクレースのランボルギーニ・ブランパン・スーパー・トロフェオを発展させ続けており、ついに2016年は欧州、アジア、北米と3つのシリーズで90台の車両がエントリーするほど好評を博している。

 そのランボルギーニ・ブランパン・スーパー・トロフェオシリーズに関しては、2017年に新しいシリーズとして中東の3戦を追加することを明らかにした。1月にF1GPが開催されてもいるアブダビのヤス・マリーナサーキットで行なわれ、2月と3月はドゥバイで行なわれるという全3戦のシリーズとなる。

ランボルギーニ・ブランパン・スーパー・トロフェオ・ワールドファイナルを走る「ウラカン LP620-2 スーパー・トロフェオ」

 この中東のシリーズについてサンナ氏は「中東はランボルギーニにとって重要なマーケットで以前から顧客に開催して欲しいというリクエストを受けていた。短いチャンピオンシップだが22台が参加する予定」と述べ、中東という富裕層が多い市場で開催する意義について説明した。

 サンナ氏によれば、この中東のシリーズには、アジアや欧州などのシリーズに参加するチームにとっては、シーズンオフの新しいビジネスチャンスやトレーニングの場になるとも述べ、オンシーズンにランボルギーニ・ブランパン・スーパー・トロフェオに参加するチームのオフシーズン中のプログラムという側面もあるとした。

ランボルギーニのモータースポーツの構造。GT3のカスタマーレーシングを頂点に、スーパートロフェオ、育成カテゴリーなどと階層化されている
ランボルギーニ・ブランパン・スーパー・トロフェオの説明、現状では世界で一番成功しているワンメイクレースとなっている
欧州、アジア、北米の3つのシリーズが行なわれている
来年は中東シリーズが追加される

 現行車両の「ウラカン LP620-2 スーパー・トロフェオ」に関しては、2015年に導入されて今年で2年目。3年間は車両を凍結するという決まりであるため、来年までは現行車両が使われるという。サンナ氏によれば、顧客の投資を保護するという側面もあり、とりあえず来年までは現行車両が使われ続けることが確約されているということだった。

 なお、2017年のワールド・ファイナルに関しては既報の通り、イタリアのイモラサーキットで行なわれる。2015年は米国で行なわれたワールドファイナルが2016年は欧州で行なわれたのは、やはりメインが欧州であるということもあり、ロジスティックスなどを考えると欧州がよいということになったとのこと。

ウラカン GT3でのカスタマーレーシングを拡大

 また、同社のスーパースポーツカーであるウラカンのFIA-GT3版となる「ウラカン GT3」を利用するカスタマーレーシングに関しても、2017年も引き続き同社の顧客サポートを続けていくとした。なお、今年投入したウラカン GT3に関しては、通常のサポート以外は特にアップデートなどはなく、基本的には現行のウラカン GT3が継続されるとした。ただし、欧州のブランパンGT選手権に関しては、タイヤサイズを大きくするなどの取り組みを行なっていくとした。

ウラカン GT3は世界中で40台が走っている、そのうち4台は日本のSUPER GT/GT300
ウラカン GT3が走っているGTレーシングのシリーズ

 GT3での新しい取り組みとしては、「デイトナ24時間レース」、そして「スパ・フランコルシャン24時間レース」といった伝統的な24時間耐久レースに、ウラカン GT3で参戦するカスタマーチームのサポートを行なうという。両レースとも、24時間レースとしては「ル・マン24時間レース」や「ニュルブルクリンク24時間レース」に並ぶ歴史と伝統を備えており、そうしたレースに新たに参戦することで、GT3レースの幅を広げていくとサンナ氏は語った。

来年はデイトナ24時間、スパ・フランコルシャン24時間に参戦する
従来より続けてきた育成プログラムなども継続される

 記者からはル・マン24時間レースにLM-GTEクラスで参戦する気はあるかという質問が出たが、「それは夢で、いつかはチャレンジしたいと思う。ウラカン GT3も今年ようやくレースに参戦することができ、2つのチャンピオンを獲るなどの結果を出した。将来的に、FIA-GT3とLM-GTEを同じプラットフォームで作ることができるようになれば可能性はあるが、現時点では夢であって具体的な計画がある訳ではない」と述べ、数年というレンジではル・マン24時間レースのLM-GTEクラスなどに参戦する可能性は今のところないとした。

 現在、ル・マン24時間レースとWECのLM-GTEクラスは非常に活況を呈しており、フェラーリ、コルベット(GM)、ポルシェ、アストンマーティンといったこれまで参戦してきたメーカーに加えて、今年からはフォードがワークス参戦しているほか、2018年からはBMWも参戦することを明らかにしており、アウディが撤退したことで2メーカーになってしまうLMP1-Hよりも活況と言ってもよいほどだ。

 そこに「ランボルギーニも」という声もあるわけだが、サンナ氏の発言を聞く限り、将来的にな可能性こそ否定はしなかったが、短期的には計画はないというのが現状のようだ。

 なお、アジアでのGT3への取り組みに関しては、GTアジア、そして2017年から欧州でブランパンGTレースを展開しているSROが開始するブランパンGTアジアの両方に出場するチームをサポートする。

 どちらの方がランボルギーニにとって重要なシリーズかという質問に対しては「難しい質問だ。言うまでもなくSROは欧州でよい仕事をしており、それは誰もが信頼している。日本以外の地域ではブランパンGTアジアが成功を収めることは確信している。しかし、GTアジアに関しても引き続き重要なシリーズであることは言うまでもない。ランボルギーニとしては、チームがどちらをチョイスするのか次第だ」と述べ、ランボルギーニとしてはどちらかをということではなく、カスタマーとなるレーシングチームがどちらをチョイスするか次第だとした。

SUPER GT/GT300では写真の88号車 マネパ ランボルギーニ GT3を含めて4台のウラカン GT3が参戦した。来年も同等の体制が維持される見通し

 今年はJLOCとディレクションの2チーム/4台が参戦したSUPER GT/GT300については「引き続き2チーム、4台体制で2017年に臨む予定だ」と述べ、引き続きJLOCとディレクションの2チーム/4台体制で臨む予定だとした。

 なお、GT300でウラカン GT3にかなり厳しいBOPだったのではないかという点については「欧州と日本の大きな違いはタイヤ戦争だ。ヨーロッパではタイヤが決め打ちであるため、BOPで損をしているということはなかったと思うが、日本はタイヤ戦争が激しく、そこにBOPでパフォーマンスが制限された状態での合わせ込みなどが大事になる。我々はチームをサポートしており、タイヤサプライヤーの横浜ゴムとも話し合いを続けている」と述べ、欧州のワンメイクとは異なるタイヤへの合わせ込みが課題だったとし、来年はそれを克服するべくチームやタイヤサプライヤーと協力していきたいと説明した。