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ブリヂストン、RRC 3.0以下の転がり抵抗を実現する「ECOPIA with ologic」を「2017 ブリヂストンワールドソーラーチャレンジ」に供給

東レ、パナソニックなどの最新技術が搭載される東海大学のソーラーカーも紹介

2017年6月5日 発表

ブリヂストン、東海大学、東レ、パナソニックがソーラーカーレースへの取り組みを解説した

 ブリヂストンは6月5日、10月にオーストリアで開催されるソーラーカーレース「ブリヂストンワールドソーラーチャレンジ」に供給する専用タイヤをはじめ、参戦チームの車両開発に携わる各メーカーの取り組みを解説する説明会を開いた。

ワールドソーラーチャレンジの概要を説明した株式会社ブリヂストン 執行役員 ブランド戦略担当の鈴木通弘氏

 ワールドソーラーチャレンジは、2年に1度オーストラリア大陸を舞台に開催される、太陽光のみをエネルギー源としたソーラーカーによるレース。2017年の今年で開催14回目、第1回大会から30周年を迎える同レースは、世界中の大学などを中心に毎回数十チームが参加する一大イベントとなっている。今年は10月8日〜15日の日程で、ダーウィンを起点にアデレードへと至る、約3000kmの大陸縦断ルートの走破を目指す。

 説明会では、同レースの冠スポンサーを務め、11チームに専用タイヤを供給するブリヂストンが、そのタイヤの概要を紹介。さらに、2011年と2013年にワールドソーラーチャレンジを連覇した東海大学のチームと、同チームの車体を設計・製造する東レ、太陽電池モジュールなどを提供するパナソニックの担当者も登壇し、技術の解説を行なった。

RRC 3.0以下の圧倒的な低転がり抵抗を実現した専用タイヤ

ブリヂストンがソーラーカー向けに供給する「ECOPIA with ologic」
サイズは95/80 R16。幅95mmは乗用車には通常使われない細さ

 ブリヂストンが2017年のワールドソーラーチャレンジでタイヤを供給するのは、日本チームでは東海大学のほか、呉港高等学校、工学院大学、名古屋工業大学の計4チーム。それ以外にオーストラリア、アメリカ、カナダ、台湾、トルコのチームにも供給する。

圧倒的な低転がり抵抗のECOPIA with ologicを解説した株式会社ブリヂストン ブランド戦略担当 主任部員の牛窪寿夫氏

 タイヤは、ソーラーカー専用に開発された「ECOPIA with ologic」。乗用車向けの市販低燃費タイヤで採用されている、空気抵抗と転がり抵抗を低減する技術「ologic」を取り入れている。重量は1本あたり2kg以下、サイズは95/80 R16で、これに500kPaという高圧のエアを充填する。同社ブランド戦略担当の牛窪氏によると、前回2015年大会で供給したものと外観上ほとんど変わるところはないが、構造やコンパウンド(素材)を大幅に変更しているという。

 この変更により、転がり抵抗の低減や耐久性の向上など、走行性能をさらに高めたと同氏。「転がり抵抗係数であるRRC(Rolling Resistance Coefficient)は3.0以下になる。乗用車タイヤ(のラベリング制度)における転がり抵抗は最高ランクが“AAA”だが、それがRRC 6.5以下」とのことで、市販タイヤとは段違いの低転がり抵抗だとした。

 なお、レース中はほとんどの場面でまっすぐな舗装路面を走行することになるが、オーストラリアの舗装は粗く、唐突な段差が続くエリアもある。実地調査や過去のレースから得たデータなども分析し、そうした悪路にも対応する、十分な耐久性を備えた仕様であることも付け加えた。

ECOPIA with ologicでは、3000kmという長距離走行に対応する耐久性と、「極限の低燃費性能」を実現しているという

多数の企業と共同開発。最新テクノロジーの塊である東海大学のソーラーカー

東海大学工学部 電気電子工学科の木村英樹教授

 1993年からワールドソーラーチャレンジに参戦している東海大学のチームを率いる工学部 電気電子工学科教授の木村氏は、同チームのソーラーカー「Tokai Challenger」で使用しているテクノロジーなどについて解説した。

 同車両には、国内有力メーカーとの協力のもと開発したモジュールがふんだんに盛り込まれている。ブリヂストンが供給するタイヤをはじめ、パナソニックが開発した高効率な太陽電池モジュールとリチウムイオン電池、東レグループが開発した軽量・高強度なCFRP(炭素繊維強化プラスチック)製ボディ、ミツバ製の高効率モーター、KYBなどによるサスペンション、産業技術総合研究所らによる電力コントロールシステム、JAXAや他大学との共同チームTEEDDAによる天候予測システムといった多数の部品、システムがTokai Challengerのために用意された。

東海大学のソーラーカーレースにかかわる歴史
多数の企業の協力によりTokai Challengerができあがっている
モーターはミツバ製

 三次元熱流体解析ソフトウェアを開発するソフトウェアクレイドル、マイクロソフト、植木プラスチックの3企業と協力して設計した低空気抵抗ボディは、CD値が現行「プリウス」の6分の1に満たないという。これらの最新技術を組み合わせることにより、80km/h走行時には、一般的な市販のEV(電気自動車)では6000Wもの電力が必要になるのに対して、Tokai Challengerでは1500Wに満たない電力しか必要としないという。

低空気抵抗ボディのCD値は現行プリウスの6分の1以下
エネルギー源が太陽光のみとなるソーラーカーでは、天候予測システムを活用しながら、充電と電力消費の適切なマネジメント戦略を立てることも重要となる
一般的なEV(電気自動車)よりも格段に少ない電力で高速走行を可能にしている

低燃費、高効率を支える東レのCFRPボディとパナソニックの太陽電池モジュール

東レ株式会社 産業材料事業部長 奥村勇吾氏

 東レ 産業材料事業部長の奥村氏は、Tokai Challengerのボディについて説明。CFRPの実際の設計・開発を行なったのは、東レの関連会社である東レ・カーボンマジック、およびタイに拠点を持つTORAY Carbon Magic Thailandとなっている。高品質なCFRP素材開発のノウハウをもつ2社が連携し、Tokai Challengerのボディの大部分を構成するCFRPを、シート状の素材を積層するオートクレーブ成形と呼ばれる工法で作り上げたことを解説した。

Tokai Challengerのボディに用いられているCFRP
東レ・カーボンマジックが設計・開発、TORAY Carbon Magic Thailandが量産を担当する
Tokai Challengerのボディは多数のパーツに分かれている
炭素繊維を積層していくオートクレーブ成形という工法で製造
一体化した巨大なボディが完成した
パナソニック株式会社 ソーラーシステムBU 技術開発部長 岡本真吾氏

 パナソニック ソーラーシステムBUの岡本氏は、同じくTokai Challengerに提供する太陽電池モジュールを紹介。今回採用しているものは「HIT」と呼ばれる新しい太陽電池モジュールで、量産品で22.5%、実験室レベルで25.6%もの変換効率を達成する「ヘテロ接合型太陽電池セル」を用いたもの。従来型のシリコン結晶を素材としたソーラーパネルと比較して、同一設置面積で年間発電量が36%も向上するという。

 同氏は、これまで東海大学のソーラーカーに提供してきた太陽電池モジュールの技術が、トヨタの新型「プリウス PHV」に採用されたことも報告。ワールドソーラーチャレンジで培ったノウハウを着実に市販製品へ還元していることをアピールした。

新しい太陽電池モジュール「HIT」の特徴
世界最高レベルの変換効率を実現する
Tokai Challengerで使用した太陽電池モジュールの技術が、新型プリウスPHVに採用されている

【お詫びと訂正】記事初出時、登壇者の名前に誤りがありました。お詫びして訂正させていただきます。