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東海大学、「ブリヂストン・ワールド・ソーラー・チャレンジ 2015」でトロフィー奪還を目指す
新たにタイヤを供給するブリヂストンは「優勝をぜひつかみ取っていただきたい」とエール
(2015/8/28 00:00)
- 2015年8月27日開催
東海大学チャレンジセンター・ライトパワープロジェクト・ソーラーカーチーム(以下、東海大学ソーラーカーチーム)は8月27日、同校湘南キャンパス(神奈川県平塚市)において「ブリヂストン・ワールド・ソーラー・チャレンジ 2015」の参戦体制発表会および新車両の披露を行った。
ブリヂストン・ワールド・ソーラー・チャレンジは、オーストラリアを舞台に開催される世界最大級のソーラーカーレース。2015年は10月18日~24日に開催され、ダーウィンとアデレード間の約3000kmを走破する。なお、レース期間の前後となる17日に予選が、25日に表彰式が行われる日程となっている。同レースは1987年から隔年で開催されており、大会規模は徐々に拡大。13回目の開催となる今年は、25の国と地域から46チーム(日本からは5チーム)が参戦する予定。
東海大学ソーラーカーチームは2009年、2011年と2連覇した後、2013年は惜しくも準優勝。しかし2014年にチリで開催された「Carrera Solar Atacama(カレラ ソーラー アタカマ) 2014」では優勝していることから、トロフィーの奪還を目指す。
タイヤはブリヂストン製に
参戦体制発表会には東海大学 学長 山田清志氏、東海大学チャレンジセンター所長(工学部教授)木村英樹氏、東海大学チャレンジセンター・ライトパワープロジェクト ソーラーカーチーム監督(工学部准教授)福田紘大氏、東海大学チャレンジセンター・ライトパワープロジェクト ソーラーカーチーム学生代表 工学研究科 航空宇宙学専攻1年 大塚隆司氏のほか、パナソニック エコソリューションズ社 エナジーシステム事業部 ソーラービジネスユニット長 吉田和弘氏、東レ 産業材料事業部 部長 奥村勇吾氏、ブリヂストン グローバルモータースポーツ推進部 部長 堀尾直孝氏が出席。参戦体制および今後のスケジュールを発表した。
山田学長は、ソーラーカーレースへの参加について大学としては教育の一環として行っているが、「参加するだけでなく優勝目指すのは言うまでもないことだが、参加する課程そのものが大学としては重要だと考えている」と参加の意義を説明。昨年の大会ではアブダビの大学との連携、そして今年の大会にも留学生が参加するなど、国際的な学生によるプロジェクトも大きな目的だとした。
HIT太陽電池とリチウムイオンバッテリーの支援およびチームスポンサーとなるパナソニックの吉田氏は「(今回提供する)ソーラーやリチウムイオン電池は世界最高レベルであると自負している。世界最高の部品を世界最高のソーラーカーチームの皆様方にご活用いただいて、世界最高峰のレースで優勝を目指していただきたいと思っている」とコメント。
また、ボディーやホイールに使われるカーボン素材を供給する東レの奥村氏は「昨年のレースの舞台となったチリには炭素繊維でできました大型の電波望遠鏡がありましたが、今回のレースの舞台になりますオーストラリアの内陸部には、炭素繊維を使用した巨大なタンクを積んだトレーラーが火力発電所への天然ガスの運搬に使用されておりまして、ご縁の深い場所でもあります」と前置き。続けて「今回、採用していただいた素材は最新鋭航空機のボーイング787やフォーミュラレーシングカー、人工衛星に採用されているものと同じ製品。車体の軽量化並びに車両全体の性能向上に貢献している」と解説した。
ブリヂストンの堀尾氏は、同社のモータースポーツが「環境を機軸とした活動を推進している」ことから、2013年に引き続き、今年もワールド・ソーラー・チャレンジのタイトルスポンサーを務めているとした。今回、同社のタイヤを初めて採用する東海大学ソーラーカーチームには「優勝奪還という非常に大きな目標を掲げておられます。私どもの技術と一緒に優勝をぜひつかみ取っていただきたいと思います」とエールを送った。
チームとしては優勝、王座奪還が第一
木村教授より東海大学チャレンジセンターの取り組みについての説明が行われた後、福田准教授と学生代表の大塚氏から参戦計画と新型車両の概要が説明された。
2015年型では視界に関するレギュレーションが若干緩和されたのを受け、従来よりドライバーを後方に移動させることが可能になった。同時にサスペンションをスイングアーム式とすることで車体の薄型化(300mm→130mm)を実現するとともに、車体下部の形状を見直すことで空力性能の大幅向上を果たしているという。
車両の製作はこの2月からスタートし、6月末に空力開発が終了。続けて機械設計に着手し、この日の発表となった。開発スピードの速さは長年ソーラーカーに携わってきた同校ならではと言えるが、現時点ではまだ本格的な走行をしておらず、この週末に栃木県那須塩原市にあるブリヂストンのプルービンググラウンドでチェックを行い、レースに臨むという。
ドライバーを務める工学部 精密工学科3年生 高柳光希氏によると、まだサスペンションが本番仕様ではないため2013年型との比較はできない状態。ただ、ブレーキはかなり改善された印象とし、「チームとしては優勝、王座奪還が第一。ドライバーとしては協力していただいた多くの企業様や、学生達が頑張ってクルマを作ってきたので、ドライバーのチカラでそれを120%出し切れるように頑張りたい」と抱負を語ってくれた。