東海大学、南アの世界最長ソーラーカーレースに参戦
高低差1800m、公道4000kmを10日間で走破

参戦するライトパワープロジェクトチーム

2010年8月2日発表



グローバル・グリーン・チャレンジ参戦時のトーカイ・チャレンジャー

 東海大学は8月2日、ソーラーカーレース「サウス・アフリカン・ソーラーチャレンジ2010」への参戦を発表した。

 同レースは南アフリカ共和国を舞台に開催される、FIA(国際自動車連盟)公認のソーラーカーレース。コースは首都プレトリアからヨハネスブルグ、ブルームフォンテイン、ボーフォートウェスト、ケープタウン、ジョージ、ポートエリザベス、ダーバン、バッドブラースなどを経て、プレトリアに戻る公道。

 全長は4000km以上あり、ソーラーカーレースとしては世界最長。また、コースの高低差は約1800mあり、箱根の2倍という過酷さ。さらに公道のため、未舗装区間が予想されるほか、沿岸部では雨や霧になることもあると言う。

 東海大学は2009年に、同大の学生71名からなる「ライトパワープロジェクト」チームで、オーストラリアで開催された「グローバル・グリーン・チャレンジ(ソーラーカー部門)」に、同大が製作したソーラーカー「トーカイ・チャレンジャー」を持って参戦し、優勝している。また、2008年に開催された前回のサウス・アフリカン・ソーラーチャレンジにも優勝しており、2連覇がかかる。

サウス・アフリカン・ソーラーチャレンジ2010の概要参戦チームは16名で構成

 トーカイ・チャレンジャーは、CFRPのボディーにシャープが開発した変換効率30%を誇る人工衛星用太陽電池6m2と、ミツバ・日本ケミコン・ジェイテクトが共同開発した変換効率97%のモーターを搭載。タイヤはミシュランのソーラーカー用超低転がり抵抗ラジアルタイヤを履く。

 また、日照が足りないときなどのために、25kgのパナソニック製リチウムイオンバッテリーを搭載。バッテリーのみで100km/hで300kmの走行が可能という。

 この結果、トーカイ・チャレンジャーの最高速度は太陽電池のみで100km/h、リチウムイオンバッテリーを併用すると理論上は160km/hを出せ、実際には123km/hでの走行を確認していると言う。

トーカイ・チャレンジャーの概要

 東海大学は同日、オーストラリアでの優勝の記録をまとめた書籍「世界最速のソーラーカー」の出版記念パーティーを兼ねた記者会見を都内で開催した。

 今回もライトパワープロジェクトが、トーカイ・チャレンジャーで参戦することになるが、南アフリカへ行くライトパワープロジェクトチーム12名の学生のうち、グローバル・グリーン・チャレンジの経験者は6名。半数は実戦初体験となる。

 一方で、トーカイ・チャレンジャーは基本的にグローバル・グリーン・チャレンジ参戦時と同じ車体。前照灯や最低車高1mを満たすためのロッドなどが追加されているが、これらはサウス・アフリカン・ソーラーチャレンジのレギュレーションを満たすためのもので、性能改善のためではない。

 ライトパワープロジェクトの木村英樹監督(東海大学工学部電気電子工学科教授)は「車体の基本的なパーツは変わっていないが、サポートスタッフは経験を積んで変化している」と、数々のレースを制してきたチームの強みをアピールした。

 また、オーストラリアに引き続き、同大OBでラリードライバーの篠塚健次郎氏が特別アドバイザーを務める。ドライバーとしても登録されている篠塚氏は「スプリントレースと異って食べる、寝るといったことも入ってくる長期間に渡るレースでは、トラブルが起きても巻き返すチャンスがある。ミスを犯さないようにチーム全員が集中力を切らさず、モチベーションを持たせ続けるのが僕の仕事」と言う。「世界最速は去年までの話、今回はまったく別のレースで結果は分からない。集中してミスせずに10日間勝負ができるかどうかの結果が、成績に現れる。新しいレースに出る気持ちで挑む」と、意気込みを語った。

篠塚健次郎氏学生リーダーでドライバーでもある伊藤樹氏
「(グローバル・グリーン・チャレンジの優勝は)大学だけでできることではなく、産学協力の成果。これからも挑戦を続ける」と語る東海大学の松前達郎総長(左)。南アフリカでもトヨタの現地法人が、サポートカーとしてプリウスとエスティマ・ハイブリッドを提供するほか、さまざまな企業や後援会の協力を受ける

(編集部:田中真一郎)
2010年 8月 3日