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ホンダ、「フィット」マイチェンでハイブリッドモデルの最高燃費を37.2km/Lに向上

「RS 6速MT車」にも「ホンダ センシング」設定

2017年6月30日 発売

142万8840円~236万7360円

マイナーチェンジして6月30日に発売するフィット ハイブリッド

 本田技研工業は、コンパクトハッチバック車「フィット」をマイナーチェンジして6月30日に発売する。価格は142万8840円~236万7360円。

モデルエンジン変速機駆動方式価格
13G・F直列4気筒DOHC 1.3リッター5速MT2WD(FF)1,428,840円
CVT1,428,840円
4WD1,623,240円
13G・L Honda SENSING2WD(FF)1,653,480円
4WD1,847,880円
13G・S Honda SENSINGCVT(7速モード付)2WD(FF)1,790,640円
4WD1,985,040円
15XL Honda SENSING直列4気筒DOHC 1.5リッターCVT2WD(FF)1,853,280円
4WD2,015,280円
RS Honda SENSING6速MT2WD(FF)2,050,920円
CVT(7速モード付)2,050,920円
ハイブリッド直列4気筒DOHC 1.5リッター+スポーツハイブリッドi-DCD7速DCT2WD(FF)1,699,920円
4WD1,894,320円
ハイブリッド・F2WD(FF)1,815,480円
4WD2,009,880円
ハイブリッド・L Honda SENSING2WD(FF)2,079,000円
4WD2,241,000円
ハイブリッド・S Honda SENSING2WD(FF)2,205,360円
4WD2,367,360円
モデルエンジン変速機駆動方式価格
13G・L 助手席回転シート車直列4気筒DOHC 1.3リッターCVT2WD(FF)1,637,280円
4WD1,831,680円
ハイブリッド・F 助手席回転シート車直列4気筒DOHC 1.5リッター+スポーツハイブリッドi-DCD7速DCT2WD(FF)1,912,680円
4WD2,107,080円
フィット ハイブリッド
フィット ハイブリッド・F
フィット 13G・F
フィット 15XL Honda SENSING
フィット ハイブリッド・F 助手席回転シート車
フィット 13G・L 助手席回転シート車

 今回マイナーチェンジを実施するフィットは、2013年9月に3代目モデルとして発売されたもの。これまでにも一部改良などが行なわれてきたが、大幅なマイナーチェンジは今回が初めて。今回の改良点としては、すでにティザーサイトなどの情報でも予告されているように、ホンダの先進安全運転支援システム「Honda SENSING(ホンダ センシング)」を搭載したほか、内外装のデザイン変更、パワートレーンの細部に渡る刷新、ボディの剛性強化やキャビンスペースの静粛性向上など多岐におよんでいる。

 外観デザインは「Low wide Gravity」のコンセプトを新たに与えて刷新。フロントマスクではバンパーロアグリルを左右に連続するスタイルに改め、リアビューでも同様にバンパー下側を左右で接続するウイング形状として、低重心で安定した雰囲気を演出している。装備品ではLEDリアコンビネーションランプに採用する導光チューブの発光部分を拡大して点灯時の存在感を高めた。

 このほか、ハイブリッド・S Honda SENSINGとRS Honda SENSINGの2グレードでは、全長が55mm拡大される「スポーティバンパー」を車両前後に装着。ほかにもサイドシルガーニッシュ、大型テールゲートスポイラー、ブラックドアミラー、16インチアルミホイールなどを標準装備。伸びやかでスポーティなテイストを与えている。

フィット 13G・L Honda SENSING(2WD)。ボディサイズは3990×1695×1525mm(全長×全幅×全高)、ホイールベースは2530mm。新コンセプト「Low wide Gravity」を反映した新しい前後バンパー形状などを採用
フィット ハイブリッド・S Honda SENSING(2WD)。ボディサイズは4045×1695×1525mm(全長×全幅×全高)、ホイールベースは2530mm。4WD車の全高は全車1550mmとなる
フロントマスクの「スポーティバンパー」は前方に伸び、光沢ブラックの加飾などでスポーティさを演出
ハイマウントストップランプ内蔵の大型テールゲートスポイラー
サイドシルガーニッシュ
前後のバンパーにシルバーラインを設定。先進感を表現している
ハイブリッド、ハイブリッド・F、13G・F以外のグレードで標準装備するインラインタイプのLEDヘッドライト
フロントウィンドウはハイブリッドではUVカット機能付、そのほかのグレードではIR(熱線)カット/UVカット機能付となり、ハイブリッド・S Honda SENSINGは遮音機能も備える
フィット RS Honda SENSING。ボディサイズは4045×1695×1525mm(全長×全幅×全高)、ホイールベースは2530mm。車両重量は6速MT車が1070kg、CVT車が1090kg
スポーティバンパーはハイブリッド・S Honda SENSINGと共通の形状だが、ロアグリル下側にオレンジラインを設定。さらにダーククロームメッキバーを備えるフロントグリルに「RS」バッヂを装着
大型テールゲートスポイラーはハイブリッド・S Honda SENSINGと共通
13G・S Honda SENSINGとハイブリッド・S Honda SENSINGの4WD車で標準装備する15インチアルミホイール
ハイブリッド・S Honda SENSINGの2WD車とRS Honda SENSINGで標準装備する16インチアルミホイール

 ボディカラーは新規開発色の「ルージュアメジスト・メタリック」「スカイライドブルー・メタリック」「プレミアムアガットブラウン・パール」の3色、新採用色の「ルナシルバー」「シャイニンググレー・メタリック」「プレミアムイエロー・パールII」の3色を含めた全12色をラインアップ。

新規開発色の「ルージュアメジスト・メタリック」
新規開発色の「スカイライドブルー・メタリック」
新規開発色の「プレミアムアガットブラウン・パール」
新採用色の「ルナシルバー・メタリック」
新採用色の「シャイニンググレー・メタリック」
新採用色の「プレミアムイエロー・パールII」
「ブリリアントスポーティブルー・メタリック」
「クリスタルブラック・パール」
「プレミアムクリスタルレッド・メタリック」
「プレミアムホワイト・パールII」
「ミッドナイトブルービーム・メタリック」
ハイブリッド・S Honda SENSINGとRS Honda SENSING、13G・S Honda SENSINGで選択可能な「サンセットオレンジII」
RS Honda SENSINGの走行イメージ

 パワートレーンのエンジンやトランスミッションのラインアップには大きな変更はなく、エンジンの最高出力や最大トルクの数値にもとくに変化はないが、全エンジンに共通してカムシャフト中空径を従来の16φから17φに拡大してエンジン単体重量の軽量化を図ったほか、エンジンピストンが摺動するスリーブ表面性状の平滑面を増やし、カムチェーンのテンションアームの材料特性を改善して摩擦係数を低下させ、それぞれでフリクションによるロスを低減。さらにエンジンブロックのブロック軸間にスリットを設定して冷却性能を向上。ノッキングの発生を抑制して燃焼を向上させ、エンジンが持つポテンシャルアップを図った。

 ハイブリッドモデルのエンジンでは、インテークポートの高流動化を図って燃焼室に流入するタンブル流を最適制御・ノッキングの抑制、燃焼の安定性向上を実現。また、エンジンのヘッドやピストンの形状を変更してS/V比を下げ、燃焼室のコンパクト化によって熱損失を低減し、燃焼効率を向上させた。また、エキゾーストバルブにナトリウム封入中空エキゾーストバルブを採用してノッキングを抑制している。

 このほか、Aピラーの形状を変更してフロントウィンドウから側面に空気がスムーズに流れるよう改良し、フロントバンパースポイラーの形状を最適化して小型化するなど空力面も改善しており、Cd値を1.5%改善してパワートレーンの持つポテンシャルを追求。ハイブリッドの2WD車では、JC08モード燃費を従来の31.4~36.4km/Lから31.8~37.2km/Lに高めている。

パワートレーンの改良や空力改善などの取り組みにより、ハイブリッドモデルのJC08モード燃費を最高37.2km/Lに高めた

 シャシーではハンドリング性能や乗り心地、静粛性のクオリティアップを目指し、ボディの各所で板厚の向上やスティフナーの追加などを行なってボディ剛性を向上。ステアリングのベアリング部も剛性を高め、サスペンションではバルブ構造を変更して減衰力の特性を最適化。思いどおりのラインをトレースできるハンドリング性能と多彩なシーンで快適な乗り心地を両立する。また、ハイブリッドモデルのブレーキペダルにはリンク機構を追加。ブレーキ操作の足の動きとペダルの動きがリンクするようになり、踏み込み操作に対する急激な制動力の発生を抑制する。

 静粛性ではフロア下に設置しているメルシートの板厚を全車で2mmから3mmにアップしたほか、15XL Honda SENSING、RS Honda SENSING、ハイブリッド・S Honda SENSINGはダッシュボードインシュレーターの遮音層の目付量を5kg/m2から7kg/m2に増量している。

 さらにハイブリッド・S Honda SENSINGではエンジンマウントにマスダンパーを配置してエンジンの振動を抑制し、フロントアンダーカバーの素材をプラスチックから吸音効果のある不織布に変更。フェンダーやガーニッシュ類に配置するシンサレートの厚さも増やしてキャビンの静粛性アップを追求。各種部材を増やしたことで燃費悪化の要因になるほどの重量増となっているが、より快適なドライブを実現するため採り入れられたという。

ボディの剛性強化やサスペンションのチューニング変更、制振材や吸音材などの増量して走行性能の魅力を引き上げた

 2015年2月に発売された「レジェンド」で初採用された先進安全運転支援システムのホンダ センシングは、フィットでの採用で8車種目。車両前方の車両や歩行者などの位置や速度などを検知するミリ波レーダー、対象のサイズや形状を識別する単眼カメラを組み合わせ、アクセル、ブレーキ、ステアリングと協調制御を行なって衝突を回避する「CMBS(衝突軽減ブレーキ)」、路外の歩行者を回避する「歩行者事故低減ステアリング」などで安全性を引き上げるほか、高速道路の航行中に適切な車間距離を保ちつつ定速走行する「ACC(アダプティブクルーズコントロール)」、車線の中央を走れるようステアリング操作を補助する「LKAS(車線維持支援システム)」などで運転操作をアシストする。

 なお、RS Honda SENSINGの6速MT車はマニュアルトランスミッションの車両で初めてホンダ センシングを採用することになり、ほかのCVT車や7速DCT車同様に各機能が働くが、約30km/h~約100km/hで作動するACCについては、設定した速度に適さないギヤに入っているときはメーター内にシフトチェンジをうながすアラートを表示するという。

ホンダ センシングはフロントウィンドウの単眼カメラ(中央)、フロントグリルのミリ波レーダー(右)を組み合わせて車両前方の状態を検知
歩行者や対向車にも対応する「CMBS(衝突軽減ブレーキ)」
障害物がある場合の急発進を抑制する「誤発進抑制機能」
走行中の車線を外れて歩行者との衝突を予測したときにステアリング制御などで回避操作を支援する「歩行者事故低減ステアリング」
ステアリングやブレーキを制御して車線から外れないようにアシストする「路外逸脱抑制機能」
前方を走る車両との車間距離を設定に合わせて調節する「ACC(アダプティブクルーズコントロール)」
車線中央を走るようにステアリング操作をアシストする「LKAS(車線維持支援システム)」
前方の車両が走り出したことをブザー音などで知らせる「先行車発進お知らせ機能」
制限速度などの道路標識を認識してマルチインフォメーションディスプレイに表示する「標識認識機能」
「VSA(ビークル・スタビリティ・アシスト)」(左)と「ヒルスタートアシスト機能」(右)は全車標準装備
運転席用i-SRSエアバッグ&助手席用i-SRSエアバッグは全車標準装備
前席用i-サイドエアバッグ+サイドカーテンエアバッグはホンダ センシングの採用グレードに標準装備。13G・Fとハイブリッド・Fでもオプション装着が可能

 インテリアでは素材やカラーコーディネートを変更。ベースとなるデザインをシンプル化しつつ、シート表皮に上質織物などを採用してキャラクターを鮮明化したほか、RS Honda SENSINGではこれまで表皮のジオメトリック柄やステッチなどをオレンジにしていたが、新たにフロントシートのサイドサポートエッジ部分やドアトリムなどをオレンジ色にしてアグレッシブな雰囲気を演出している。また、ハイブリッドモデルのシフトセレクターでは上部のブルー加飾をブラックに変更している。

ハイブリッド・S Honda SENSINGのインテリア
ハイブリッドモデルのシフトセレクターは上部の加飾をブラックに変え、黒基調のインテリアとコーディネート
RS Honda SENSINGはシート表皮やドアトリムなどにオレンジを使い、アグレッシブな雰囲気を演出
パドルシフトやステンレス製スポーツペダルはハイブリッド・S Honda SENSINGとRS Honda SENSING(パドルシフトはCVT車のみ)に標準装備
ハイブリッドモデルのメーターパネル。左側にハイブリッドシステムの作動状態や燃費情報を表示できるマルチインフォメーションディスプレイを設定
ハイブリッドモデルのパワースイッチは、全体が赤いデザインから黒と赤を組み合わせるスタイルに変更
15XL Honda SENSING
ハイブリッド・L Honda SENSING

 このほか、15XL Honda SENSINGとハイブリッド・L Honda SENSINGには、素材と色にこだわったという「プレミアムブラウン・インテリア」を新たにオプション設定。シート表皮のメイン部分にウルトラスエード、サイドサポートにプライムスムースを使い、シートの一部に加えてステアリングやドアトリムにブラウンカラーを採用。インテリアパネル類をブラック基調に変更して“大人の落ち着き”を演出している。

15XL Honda SENSINGとハイブリッド・L Honda SENSINGにオプション設定される「プレミアムブラウン・インテリア」
フィットの大きな特徴である「センタータンクレイアウト」。フロントシート下に燃料タンクを配置して後席フロアを低下。後席をワンアクションで格納してラゲッジスペースとフラットにつなげたり、座面を持ち上げて高さのある荷物を載せられる
4つのモードで自在な使い勝手をアピールする「ULTR(ウルトラ)シート」。これは後席を格納してラゲッジスペースを拡大した「ユーティリティ・モード」(U)
後席を格納し、助手席シートバックを後方に倒した「ロング・モード」(L)
後席座面を持ち上げて室内高を最大限に利用する「トール・モード」(T)
フラットにしたフロントシートと後席を接続してロングソファのように使う「リフレッシュ・モード」(R)