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ブリヂストン、史上最高の氷上性能を実現した新スタッドレスタイヤ「BLIZZAK VRX2」発表会

摩耗ライフを22%向上、騒音エネルギーを31%低減して総合性能を向上

2017年7月20日 開催

乗用車用新スタッドレスタイヤ「BLIZZAK VRX2」発表会。左からブリヂストンタイヤジャパン株式会社 常務執行役員 消費財タイヤ事業担当 上田達也氏、女優の綾瀬はるかさん、株式会社ブリヂストン 執行役員 消費財タイヤ開発担当 井出慶太氏

 ブリヂストンは7月20日、9月1日に発売する乗用車用新スタッドレスタイヤ「BLIZZAK VRX2」を発表。同日開催された2017年冬タイヤ新商品発表会では、ブリヂストンタイヤジャパン常務執行役員 消費財タイヤ事業担当 上田達也氏、ブリヂストン 執行役員 消費財タイヤ開発担当 井出慶太氏が、新商品導入の狙いや商品の特徴を示した。

BLIZZAK VRX2

 新商品のBLIZZAK VRX2は、新「非対称パターン」や「アクティブ発泡ゴム2」などの新技術を採用することで、従来品「BLIZZAK VRX」との比較で氷上ブレーキで制動距離を10%短縮、摩耗ライフは22%向上させ、静粛性では騒音エネルギーを31%低減させるなど、ブリザック史上最高の氷上性能とともに、高い摩耗ライフ性能や静粛性を実現させたという。発売サイズは135/80 R12 68Q~245/40 R20 95Qの全109サイズを用意して幅広い車種に対応した。価格は9018円~9万504円。

135/80 R12 68Q~245/40 R20 95Qの全109サイズを用意するBLIZZAK VRX2
ブリヂストンタイヤジャパン株式会社 常務執行役員 消費財タイヤ事業担当 上田達也氏

 乗用車用の新スタッドレスタイヤとなるBLIZZAK VRX2について、ブリヂストンタイヤジャパン常務執行役員 消費財タイヤ事業担当 上田達也氏は、「BLIZZAK VRX2のコンセプトは氷上での効きをさらに向上させながら、ウェット、ドライ、耐摩耗性、静粛性など、総合性能を高次元で実現させた最先端のブリザックとなる」と新製品の位置付けを示した。

 加えて、上田氏は「商品特徴は、最優先となる氷上性能については従来品に対して10%向上させ“より止まる”“より滑りにくい”商品になっている。そのほかにも、お客様のニーズが高い摩耗ライフも22%向上させ、さらに車内での静粛性も従来品に対して31%向上させ、総合性能をさらに進化させた。氷上での圧倒的な効きを発揮して、効きが長持ちして安心安全なカーライフに貢献する」と、ユーザーのニーズを反映した商品であることを示した。

北海道、北東北主要5都市での装着率No.1、北海道のタクシードライバーの装着率No.1というブリザックブランド
「BLIZZAK VRX2」と「BLIZZAK VRX」の氷上ブレーキ性能比較結果で停止距離を10%短縮
「BLIZZAK VRX2」と「BLIZZAK VRX」の比較で摩耗ライフを22%向上
「BLIZZAK VRX2」と「BLIZZAK VRX」の静粛性比較結果で騒音エネルギーを31%低減
販売面ではスタッドレスタイヤの重要性を伝達していくという

氷上ブレーキ10%短縮、摩耗ライフ22%向上、静粛性31%低減

株式会社ブリヂストン 執行役員 消費財タイヤ開発担当 井出慶太氏

 具体的な製品の特徴に関しては、ブリヂストン 執行役員 消費財タイヤ開発担当 井出慶太氏が説明。新商品の開発コンセプトについては、氷上での“効き”を向上させながら、長く使える摩耗ライフの向上、快適に使える静粛性の向上を重視して開発を進めてきたことを示した。

 氷上ブレーキ性能を向上させる基本的な考えについて、井出氏は「まずは滑りの原因となる氷上の水を除水する。除水ができたら路面にゴムをグリップさせる。そしてトラクションをかけたときに、ひっかきで力を出す。そのために除水性能を高めた新しいゴム、接地やひっかきを追求した新しいパターンを開発した」と述べた。

新商品の開発コンセプト。アイスでの“効き”を向上させながら、長く使える摩耗ライフの向上、快適に使える静粛性の向上を重視して開発

 続けて、井出氏は「新しく開発したアクティブ発泡ゴムは、路面上の水を吸収して、さらに発泡という柔らかさによって路面と密着する。今回、新シリカを配合したゴムにより、今まで以上に氷にグリップさせることを実現した。従来モデルではブロックが倒れ込むことで接地面積のロスが発生していたが、新しいパターンでは接地面積のロスをなんとか少なくするため、前後ブロック剛性を24%上げて、ブロックがしっかりと路面をつかまえることを実現。加えて、Wシェイプブロック、マルチアングルグルーブによる新しいパターンの技術で、ひっかく力をさらに向上させた」と新しく採用した技術を紹介した。

氷上ブレーキ性能を向上させる基本的な考え
新シリカを配合したゴムにより、今まで以上に氷にグリップさせることを実現
前後ブロック剛性を24%上げることでトレッドパターンの変形を抑制。タイヤと路面の滑りが少なくなり、摩耗ライフも22%向上した

 さらに摩耗ライフを向上させるポイントについて、井出氏は「タイヤが摩耗する原因は、タイヤと路面において滑りが生じることでゴムが減っていくこと。先ほど申し上げたとおり、ブロック剛性を上げることで路面にしっかり密着させ、滑りをできる限り少なくすることで摩耗ライフを向上させようと考えた。今回、前後ブロック剛性を24%上げることでブロックの滑りが減り、このことにより摩耗ライフを22%向上することができた」と紹介。

 静粛性について井出氏は「スタッドレスタイヤはサマータイヤと比べてゴムが柔らかいことに起因して、低周波、中周波のロードノイズについてはサマータイヤに対して有利な状況であった。しかし、横方向の溝の体積がサマータイヤより多く、高周波ノイズが気になる点があった。今回、その横方向の溝のボリュームを最適化し、パターンの配列を最適化して、このスタッドレスタイヤでは静粛性の阻害要因となる高周波パターンノイズの騒音エネルギーを31%低減することができた」と説明した。

横溝のボリュームを最適化し、パターンの配列を最適化することで高周波パターンノイズの騒音エネルギーを31%低減させた

 最後に井出氏は「我々はアイスでの性能、静粛性、ライフの向上を主眼に開発してきましたが、ドライ路面で乗っていただいても、数値として示していないがサマータイヤと比べて安心できる運動性能を有していると思っている。我々はこのブリザックによりダントツの氷上性能、さまざまな路面における総合性能の向上をベースにお客様の安心安全なカーライフを支えていく。今後もこの発泡ゴムの進化、これまで以上の技術の飛躍を続けていきたい」と、プレゼンテーションを締めくくった。

BLIZZAK VRXとBLIZZAK VRX2の比較映像
新技術の採用で氷上ブレーキ10%短縮、摩耗ライフ22%向上、静粛性31%低減を実現させた