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国交省、道の駅「にしかた」で自動運転サービスの実証実験を開始

自動運転レベル4のDeNA「Robot Shuttle」が走行

2017年9月3日~9日 実施

国土交通省が道の駅「にしかた」で自動運転の実証実験を開始

 2020年までに道の駅などを拠点とした自動運転サービスの社会実装を目指す国土交通省は、その実証実験を全国13カ所で実施する。9月2日、初の実証実験を栃木県栃木市の道の駅「にしかた」で行ない、実験開始式を開催した。

 実証実験は9月3日と4日、7日から9日までで、1日に2~3回運行する。走行するのは、栃木市役所西方総合支所と道の駅にしかた、そして住宅が集まる集落前の3カ所を結ぶ約2kmのルートである。

今回の実験で使われるDeNAの「Robot Shuttle」。運転席のない電気自動車だが、緊急時にはコントローラを使ってマニュアル操作も可能

 検証項目としては、まず路面上や路側の障害物、あるいは水たまりなどの湿潤状態を再現し、車両が円滑に走行できるかどうかの確認が挙げられている。また、道の駅内で歩行者との混在空間を創出し、車両から音を出すことで歩行者が認知・待避するかどうかを確認するといったことも盛り込まれる。

 集落内の家庭から注文された商品の配送や、農産物の道の駅への出荷などを自動運転車両で行ない、自動運転車両による地域への効果検証も行なうとしている。

Robot Shuttleの走行中の様子。実証実験の走行ルートは、片側1車線の狭い道のほか、クラックや段差がある路面も走行し、自動運転に必要となる道路の管理水準を検証するという
乗降口は2枚扉で幅広く、乗り降りしやすい。また車イスで利用する人などのために、スロープも備えている

 今回、自動運転車両として使われたのはDeNA(ディー・エヌ・エー)の「Robot Shuttle」で、最大12人(6人着席/6人立席)が乗車できる。GPSやカメラ、レーザーレーダー(LiDAR)をはじめとする各種センサーを使って車両位置の特定や障害物の検知を行ないつつ走行する。なお、Robot Shuttleに運転席はないが、今回の実証実験ではすべての走行において係員が同乗する。

社内に備えられたエマージェンシースイッチ
走行中の様子。今回の試乗では、時速5km程度で非常にゆっくりと走行した
車内には3人掛けのイスが向かい合って並んでいる

 実際に試乗したところ、速度は5km/h程度ときわめて低速ではあったが、安定してルートを走行していた。また車内には緊急停止ボタンが3つ用意されるなど、安全性にも配慮されている。

 実験開始式で主催者代表として挨拶を行なった栃木市 市長の鈴木俊美氏は、「無人の自動車が迎えにきて、安心して乗って買い物などに行くことができる時代がくれば、地方の自治体にとってもありがたい。この実験を進めていただき、1日も早く実用化することを期待している」と話した。

 国土交通大臣の石井啓一氏も出席した。挨拶に立った石井氏は「国土交通省では自動運転戦略本部を2016年12月に設置し、自動運転の加速に向けて取り組んでいる。なかでも地方は高齢化の進行により、日常生活の人流、物流の確保が喫緊の課題となっている。そこで全国1117カ所のうち、ほとんどが地方に設置されている道の駅を拠点とした自動運転サービスの実証実験を全国13カ所で順次実施する」と話した。さらに「各地での実験を通じて、自動運転の技術的な検証だけでなく、地域の特性に応じた多様なビジネスモデルの検討を進めていきたい」と、今後の展望を述べた。

栃木市長 鈴木俊美氏
国土交通大臣 石井啓一氏
試乗会では、石井大臣なども乗り込んで自動運転車両を確認していた