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愛知県名古屋市でドライバー不在の遠隔型自動運転システムの実証実験

損保ジャパンの“自動運転向け保険サポート”デモも実施

2018年2月22日 実施

遠隔型自動運転システムの実験車両とともに記念撮影を行なう名古屋市長の河村たかし氏(写真左から2人目)、愛知県知事の大村秀章氏(左から3人目)ら

 愛知県は2月22日、一般公道における遠隔型自動運転システムの実証実験を愛知県名古屋市中区三の丸にある愛知県庁本庁舎周辺にて実施した。

 愛知県内で行なわれる遠隔型自動運転システムの実証実験として3回目となる今回は、事前に作成した高精度3Dマップと車両に搭載した3Dセンサーやカメラからの情報をもとに、名古屋大学やティアフォーなどが開発した市街地公道での自動運転のための制御ソフトウェア「Autoware」で制御を実施。遠隔操作拠点は愛知県庁本庁舎近くの名古屋市役所西庁舎12階に置かれ、運転席に人が乗っていない状態で、愛知県庁本庁舎から愛知県三の丸庁舎を経由し、愛知県庁本庁舎へ戻る約1.2kmのコースを約15km/hで走行した。

愛知県で実施された遠隔型自動運転システムの実証実験(3分7秒)
遠隔型自動運転システムの実験車両
各種LiDARを搭載
実験車両の前後左右にも周囲を確認するためのカメラが設置されていた。なお、前方には4つのカメラが搭載されていたが、今回の実験で使用されたのは中央寄りの2台のみ
こちらは高精度3Dマップ作成用の車両。1度の走行で十分なデータを揃えられる機能が備わっているとのこと
遠隔操作の回線には4G-LTEを使用
車内にはモニターが設置されていて、車両周辺の映像や検知状態が確認できるようになっていた
遠隔操作拠点
車両に搭載されたカメラから送信される映像を確認し、万が一の場合には緊急停止などの措置を行なう
ディスプレイには走行中の速度やアクセル、ブレーキなどの状況が表示されていた
今回は、実証実験と同時に、損害保険ジャパン日本興亜による将来の自動運転モビリティ社会を想定した新しい保険サポートサービスモデルのデモンストレーションも行なわれた。このサポートは自動運転モビリティサービス事業者向けで、サポートセンターから遠隔で監視を行ない、遠隔操作中の車両にトラブルが生じた際に、代わりとなる移動手段の提供や、現場への駆けつけ、レッカー移動や消防・警察への連絡などを行なうものとなる

 実験車両には愛知県知事の大村秀章氏と名古屋市長の河村たかし氏が乗り、約20分の試乗を行なった。

大村愛知県知事と河村名古屋市長を乗せた実験車両は、前後の関係車両とともに愛知県庁本庁舎からするすると出発していった
一般公道を走行する実験車両
難しいと言われる信号のない交差点での右折も、スムーズに曲がっていった
信号待ちをする実験車両。安全な車間距離を保って停止していた
愛知県庁本庁舎へ戻ってくる実験車両
愛知県庁本庁舎の入り口前にある一時停止でもしっかりと止まっていた
20分ほどの走行を終えて、愛知県庁本庁舎の入り口前で停車した実験車両

 試乗後、大村県知事は「クルマの走っている数が多いなか、信号のある交差点で左折を3回、信号のない交差点で右折を1回行なうという難しい条件で実証実験ができたことをたいへん嬉しく思っております」と感想を述べた。

大村秀章愛知県知事

 続けて、「法規制などクリアする大きな課題はありますが、技術としてはもうあと2年~3年で実用化ができるところまできていると思います」と話し、「高齢者の方が医療施設や買い物へ行く移動手段として使える時代が来ると認識していただいて、社会的重要性を高めていけるように、自動運転システムに関する取り組みを引き続きしっかりと進めていきたい」と今後の抱負について語った。

河村たかし名古屋市長

 河村市長は「歩いている人やクルマなどを避けて通っていく、どえりゃーものだった」と感想を述べ、「若干怖いのが電波ジャックされたりしてしまった場合などで、その時はどういう対処をしていくかということも今後の課題になると思う。難しいとは思うけれど、愛知県が、名古屋市が世界のトップを走っていけるような、大きな希望を感じられた」と話した。

 なお、今回は、過疎地で行なうことが多い自動運転システムの実証実験を都心部で無人で行なえたことがとても大きな収穫になったとして、2018年度は実用化に向けて街のモビリティ機能の一部となっていくような、複数の自動運転システム搭載車両による実証実験を行なっていきたいとした。