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国交省、自動走行車の公道実証の保安基準緩和など車両の保安基準等を改正

2輪車でも高速点滅で急ブレーキを知らせる「緊急制動表示灯」を装備可能に

2017年2月9日 公布・施行

今回の保安基準改正により、2016年8月にクローズされたコースでの試験運行を行なった無人運転バス「Robot Shuttle(ロボットシャトル)」のように、ステアリングなどを備えない車両でも公道での実証実験が可能になった

 国土交通省は2月9日、フルラップ前面衝突時の乗員保護等に関する国際基準の改正案が国連欧州経済委員会自動車基準調和世界フォーラム(WP29)で採択されたことを受け、これらの国際基準を導入することなどを目的に道路運送車両の保安基準等を改正して同日に公布・施行した。また、合わせて2017年を目途に実施が予定されている限定地域での「無人自動走行移動サービス」に向けて、より幅広い自動走行車の公道実証実験を可能とする保安基準の改正も行なわれている。

 国際基準改正への対応では、「フルラップ前面衝突時の乗員保護基準の強化」「2輪自動車等に備える緊急制動表示灯の基準の新設」の2つが大きな改正点となっている。

 乗員保護基準の強化では高齢者や体格が小さい乗員の保護性能の向上させるため、衝突時にシートベルトなどによって発生する胸部圧迫の許容量を引き下げた。これにより、乗車定員10人以下の乗用自動車、車両総重量2.8t以下の貨物自動車などで実施するフルラップ前面衝突時に発生する助手席乗員(女性ダミー)の胸部圧縮の基準値が、従来の42mm以下から34mm以下に変更されている。国交省ではこの結果として、シートベルトなどによる胸部圧迫に起因する死亡事故等がさらに低減されることを期待する効果としている。

 2輪車での緊急制動表示灯については、2輪自動車、側車付2輪自動車、3輪自動車、原動機付自転車などを対象に、すでにクルマでは装備が認められ、メーカーによる採用が進み始めている緊急制動表示灯が、規定の要件に適合すれば装備を認められるようになるというもの。これにより、2輪車などでもブレーキランプやウインカーなどを高速点滅させることで、後続車などに強いブレーキによる急制動を知らせることが可能になる。

 このほかにもWP29で採択された国際基準の改正に伴い、これまでタイヤ単体で規定されていた耐荷重性能などを車両との組み合わせについて考慮することの明確化、ブレーキアシストシステムと横滑り防止装置の国際基準適合、ヘッドクリアランスと着席に必要な空間に関する基準改正などが行なわれている。

 自動走行車の公道実証実験では、自動走行を行なう車両に関する保安基準を緩和。これにより、ステアリングやアクセル、ブレーキペダルなどを備えていない車両でも、速度制限、走行ルートの限定、緊急停止ボタンの設置といった安全確保措置が講じられることを条件に公道を走れるようになり、公道実証実験が可能になっている。