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【レッドブル・エアレース最終戦 インディアナポリス】決勝詳報、最終の「Final 4」で最速1分03秒026秒を記録した室屋義秀選手が優勝&世界チャンピオン獲得
ランキング1位だったマルティン・ソンカ選手を逆転
2017年10月16日 17:13
- 決勝日:2017年10月15日(現地時間、日本時間10月16日)
世界最高の飛行技術を競う「レッドブル・エアレース・ワールドチャンピオンシップ2017」の最終戦が米インディアナポリスで10月15日(現地時間、日本時間10月16日)開催され、同大会で日本人パイロット室屋義秀選手(No.31 チーム ファルケン)が優勝。ポイントランキングトップとなり、2017年シーズンの世界チャンピオンを獲得した。
決勝日は、朝から嵐のような雨が時折ふる悪天候。午前中は少し回復したが小雨がぱらつき風が強くパイロンが大きく揺れている。チャレンジャークラスの決勝はキャンセルとなってしまった。13時ごろから開始される予定のマスタークラス決勝も中止が危ぶまれたが、45分遅れで開始された。
決勝レースは、14名のパイロットによる対戦「Round of 14」、その勝者7名と敗者の中から最速タイムを記録した1名を加えた対戦「Round of 8」、その勝者4名の中から最後に優勝者を決定する「Final 4」で争われる。悪天候で風が強めのため、全体的にペナルティの多い荒れたレース展開となった。
まず、Round of 14でアタックした室屋選手は、ゲート通過時の水平姿勢不正で2秒のペナリティを受けながらも1分06秒134秒を記録。直接対決となったマルティン・ソンカ選手(No.8 レッドブルチーム ソンカ)のタイム1分07秒866秒を1秒732差で下した。ソンカ選手はパイロンにヒットし3秒のペナルティを受けつつも、敗者の中の最速タイムを記録した1名に選ばれ、2名ともにRound of 8に進出する結果となった。
Round of 8では、室屋選手は1ヒートでミカエル・ブラジョー選手(No.11 ブライトリング レーシング チーム)と対決。室屋選手のアタックは1分04秒557秒で、先にアタックしたブラジョー選手の1分07秒126秒を上回り、Round of 4に進出した。マルティン・ソンカ選手は、4ヒートで予選で最速のマット・ホール選手(No.95 マット ホールレーシング)と対戦。マット・ホール選手がパイロンヒットなどで5ポイントの減点があり、マルティン・ソンカ選手が勝ち上がる。結局、最終のFinal 4にて再度、室屋選手とマルティン・ソンカ選手が直接対決するということになった。
室屋選手が勝ち抜けた余韻も冷めぬまま、続けてすぐにFinal 4が始まり4選手中最初にアタックした室屋選手が、スピードと切れのある猛烈な攻めのフライトで1分03秒026秒と、いきなり1分03秒台をレコード。観客席は興奮と絶叫に包まれた。
攻めのフライトは、垂直にしたときに反転してしまうのではと思うほどの傾きから、危うくパイロンヒットを強引にかわす場面もあり、そのテクニックに会場がどよめくほどだった。レース後のインタビューで聞いたところ、このシーンではホントにギリギリで危うくヒットするところで、自分でもよくかわせたと感じたとのこと。予選まで1気筒吸気漏れの不調があり、メカニックが仕上げて完調した機体は絶好調だったようだ。
その後に続く、マティアス・ドルダラー選手(No.21 マティアスドルダラー レーシング)が1分05秒546秒、フアン・ベラルデ選手(No.26 チーム ベラルデ)が1分05秒829秒といずれも1分05秒台とふるわず、最後にアタックした第7戦までポイントランキングトップのマルティン・ソンカ選手も1分07秒280秒と調子が上がらず、室屋選手の優勝が決まった。
これにより、室屋選手がマルティン・ソンカ選手のポイントを超え、ポイントランキングトップとなり、世界チャンピオンの座を手に入れた。2017年シーズンの室屋選手は、第2戦米国のサンディエゴ、第3戦日本の千葉、第7戦ドイツのラウジッツと、3回の優勝を果たすものの、ノーポイントも2戦あり、最終戦までポイント争いが続いた。