「エコプロダクツ2008」の自動車関連展示をレポート
環境配慮型自動車や要素技術を多数展示

会期:12月11日~13日
会場:東京ビッグサイト
入場無料



 

 東京 有明の東京ビッグサイトで、12月11日から環境展示会「エコプロダクツ2008」が始まった。今年で10回目を迎えるこの展示会は、その名の通り企業や団体の環境問題への取り組みや、環境に配慮した製品・サービスが一同に会するもの。消費者の環境への関心が高まり、製品選びにも影響する昨今ゆえ、出展者数は750に上り、東京ビッグサイト東展示場の6つのホールすべてを使う規模となっている。

 また、来場者も17万人が見込まれている。とくに子どもに配慮されているのが特長で、子ども向けのサポートイベントがいくつか開催されるほか、展示パネルの説明文にルビを振ったり、環境学習に役立つような実験などを用意したりするブースも多数見られる。校外学習の場としても活用されていて、約2万人の小中高生が見学する見込みという。家族連れで訪れても楽しめて、ためになるイベントと言えるだろう。

 さて環境問題とは深いつながりのある自動車産業ゆえ、自動車メーカーのほか、タイヤ、石油、電装、素材、交通システムといった、自動車関連事業を持つ企業、団体も多数出展している。ここでは自動車関連の展示を、写真を中心にレポートする。

 本田技研工業は10月のパリモーターショーで世界初公開されたハイブリッドカー「インサイト」のコンセプトモデルを国内初展示し、注目を集めていた。パリでは色付きガラスだったウィンドーはすべて無色透明なものに替えられ、エコ運転を支援するコーチング機能付きメーターパネルなどがよく見えるようになっている。


 トヨタ自動車は今年最も話題となったマイクロカー「iQ」のほかに、6月に発表された燃料電池ハイブリッド実験車「FCHV-adv」(FCVHアドバンスド)を展示。FCHV-advはボンネットを開いた状態で展示されており、エンジンルーム内のパワーユニットを見ることができる。FCV-acvは、「エコカー乗車体験」で同乗走行することもできる。また「パーソナルモビリティ」と名付けられた1人乗りの車両「i-REAL」に乗り込むこともできる。

FCHV-adv
iQ
i-REAL

 日産自動車ブースにはキューブ・キュービックベースの電気自動車実験車両「EV-01」が。あわせてジオラマで、「走行中給電レーン」「パーク&ライド」など電気自動車に関連したインフラを提案している。

 さらに、エクストレイルに搭載されたクリーン・ディーゼルエンジンのカットモデルと、カーウイングスで行っているエコドライブ支援サービスの展示も。カーウイングスのエコドライブ支援は、最速ルート探索による燃費向上と、プローブ情報を元にしたエコドライブランキング、カーウイングス情報センターに蓄積された燃費記録の推移の表示などが組み合わさったもの。

 クリーンディーゼルを搭載したエクストレイルには、会場の外で行われている「エコカー乗車体験」で同乗走行できる。

EV-01電気自動車のインフラを解説したジオラマリチウムイオンバッテリーパック

エクストレイルに搭載したクリーン・ディーゼルエンジンカーウイングスのエコドライブ支援サービス

 マツダブーでには水素ロータリーエンジンを搭載した「プレマシー・ハイドロジェンREハイブリッド」を展示。水素ローターリーエンジンは発電のためだけに使われ、タイヤは電気モーターで駆動する、いわゆるシリーズ式ハイブリッド。水素ロータリーエンジンのカットモデルも展示される。また、「RX-8ハイドロジェンRE」にはエコカー乗車体験で同乗走行できる。

 さらに、2009年に市場導入されるアイドリングストップシステム「i-STOP」も展示。モーターを使わず、燃焼で始動させることで、始動にかかる時間を短縮した。

プレマシー・ハイドロジェンREハイブリッド水素ロータリーエンジンデミオに採用された軽量化技術。フロントサスペンションのロアアームを開断面化して約13kg軽量化した

アイドリングストップシステム「i-STOP」。エンジン停止時に、ピストンを再始動に最適な位置に止める

 三菱自動車工業に展示された車はパジェロディーゼルのみ。だが、ショッピングセンターの「イオン」のブースに行くと、電気自動車の「i MiEV」が急速充電スタンドとともに展示されている。イオンは越谷市のショッピングセンター「イオンレイクタウン」に急速充電スタンドを設置している。


イオンのブースにはi MiEVと急速充電スタンドが展示されている

 メルセデスベンツ日本はマイクロカー「smart」の自動販売機風ディスプレイ。カタログとシールを無料でもらえる。

 会場外ではエコカー乗車体験ができる。いずれも運転はできないが、ドライバーの隣で2km程度の走行を体験できる。用意されているのは燃料電池車がトヨタFCHV-adv、電気自動車がスバル・プラグイン・ステラ・コンセプトと三菱iMiEV、ディーゼル車がアウディA4カブリオレS-line 3.0TDiと日産エクストレイル、水素燃料自動車がマツダRX-8ハイドロジェンRE、アイドリングストップ車がスマート・フォーツー・クーペ。

7車種8台に同乗できるエコカー乗車体験

自転車タクシー「ベロタクシー」の試乗もできる

 自動車メーカー以外でも、環境配慮型のモビリティについて、多数展示されている。

ヤマハの燃料電池スクーター。シート下にメタノールのカートリッジを装着する
こちらは帝都産業のバイフューエル・スクーター。LPGとガソリンを使用でき、走行中でもスイッチ一つで燃料を切り替えられる


NGP日本自動車リサイクル事業協同組合が、リサイクルパーツで作り上げたマーチ・リムジン。エコと同時に価格の安さもウリ

 またエコカーを支えるパーツや素材の展示も興味深い。

トヨタのお隣、トヨタテクニカルディベロップメントは、プリウスのカットカットモデルで、同社が開発に関わった部分を説明

スロットルバルブの開度でなく、吸気バルブのリフト量を変えることでエンジンの空気流入量を制御するバルブマチックエンジンのカットモデル

豊田自動織機のブース。左からプリウス用電動コンプレッサー、プリウス用DC-DCコンバーター。その隣にさりげなくプラグイン・ハイブリッド車用チャージャーがあったりするプラグイン・ハイブリッド車用チャージャー。プラグイン・ハイブリッド車は家庭用AC電源からバッテリーを充電できるが、非常時にはプラグイン・ハイブリッド車から家庭へ給電することもできる

アイシングループのブースには、アイシン・エイダブリュが開発した、トタのFRハイブリッド車用2モータートランスミッションがあった三洋電機ブースにあった、フォード・エスケープ・ハイブリッドのニッケル水素電池システム

クリーン・ディーゼルエンジンの要、コモンレールシステムはボッシュとデンソーが展示。ボッシュ(上段)はECUを含めたエンジン全体のマネジメントを展示し、デンソー(下段)は髪の毛より細いピエゾインジェクターの先端を顕微鏡で見ることができる
デンソーのハイブリッド車用インバーター。インバーターによる波形の制御の様子もわかる
電気自動車用バッテリーで日産と提携しているNECは、ハイブリッド車用リチウムイオンバッテリーパックを展示
住友電装の自動車用超伝導モーター。現在は超伝導用冷媒に液体窒素を使っているが、液体水素を使えるようにする計画。水素燃料自動車なら燃料と冷媒を一気に調達できる
帝人のカーボンFRP「ウルトレッサ」はホンダFCXクラリティの燃料タンクに採用
トーヨータイヤ(東洋ゴム工業)の新製品「PROXES Ne」の転がり抵抗の小ささを見せるデモ。人力で2つのタイヤを回転させてから中央の赤いボタンを押すと、ローラーがタイヤに当たる。転がり抵抗の小さいPROXES Neのほうが長い距離を転がる
「PROXES Ne」には東レのリサイクルポリエステル繊維「エコペットプラス」が採用されている

ブリヂストンの転がり抵抗デモは2種類。上は、転がり抵抗の違うタイヤを履いた2台の模型を走らせて、転がり抵抗の小さい車のほうが長く走るというもの。下は、転がり抵抗の違うローラー2本を同時に転がして、転がり抵抗の違いを体感する実験
JOMO(ジャパンエナジー)は水素燃料ステーション構想をジオラマで説明(左上)。また、燃費志向の低粘度オイル0W-20の、粘度の低さを見せるデモも

 

URL
エコプロダクツ2008
http://www.eco-pro.com/
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【2008年12月10日】エコプロダクツ2008出展社リンク集
http://car.watch.impress.co.jp/docs/news/20081210_38250.html


(編集部:田中真一郎)
2008年12月12日