【ETC休日特別割引】映画「おくりびと」のロケ地を巡る(後編) 埼玉県の大宮から山形県各所を回って、高速代は合計4600円 |
前編に続き後編は、アカデミー賞受賞映画「おくりびと」のロケ地巡りの2日目。銀山温泉から始まる。3月29日中には埼玉県の大宮まで戻らなければならないため、2日目に回れたロケ地は1カ所のみ。渋滞を心配しつつ「レガシィ アウトバック 2.5XT EyeSight」と帰路を急ぐことにした。
一夜明けた銀山温泉とレガシィ アウトバック 2.5XT EyeSight。路面には雪が残るが、天気は快方へと向かう |
■うまい、うますぎるぞ「あらきそば」
一夜明けて、ロケ地巡りの2日目。「旅館松本」で朝風呂を堪能し、さらに銀山温泉の共同浴場である「しろがね湯」でも一風呂浴びる。このしろがね湯は大人500円の有料温泉なのだが、旅館松本に宿泊すれば無料チケットをもらえるので、それを使用した。
旅館松本の内湯はやや熱めのお湯であったが、このしろがね湯はものすごく熱い。おそらく45℃以上はあろうかというお湯で、肩までつかるのに時間がかかってしまった。肩までつかれば、なんとか我慢できる……人もいるかもしれない。ただ、おかげで風呂上がりに冬の寒さを感じることはなかった。
銀山温泉を後にし、昼食を取るため村山市の「最上川三難所そば街道」へ。この最上川三難所そば街道は、最上川の急流ポイント「碁点」「三ヶ瀬」「隼」近辺のそば店12店舗からなり、そば打ち体験のできる店もある。
記者が立ち寄ったのはそのうちの1店「あらきそば」というお店。そばのメニューは板そばのみで、サイドメニューとして「身欠きニシンの味噌煮」があるくらい。170年以上前の農家がそのままお店となっており、地粉を使った手打ちそばとのこと。1人前の「うす毛利」と身欠きニシンの味噌煮を注文して食したが、めんが太く、コシがあり、しかも十割そばのため十分な食べ応えがある。ニシンの味噌煮もその真っ黒な外観から苦いかな?とは思ったものの、甘く柔らかな身で、食べ応えのあるそばとのマッチングは最高であった。ちなみにうす毛利の価格は800円、ニシンの味噌煮は370円。お店の人によると「秋の新そばの季節であれば、もっとツヤツヤして、もっと香りがあるんですが」とのことだが、十分以上の香りがあり味のよいそばだった。
朝から風呂に入るわ、そばは堪能するわで、さっぱりロケ地巡りが進んでいないが、地の温泉や地のものを体験できるのが旅のよいところ。ここで、進路を真南にとり、上山市のJRかみのやま温泉駅近くにある大悟の自宅に向かう。ルートは東北中央自動車道を通ってもよかったのだが、国道13号→県道51号を使用。県道51号は西バイパスと呼ばれている道路だが、非常に快適な道路だった。
大悟の自宅の外観はほぼ映画で見たまま。広末涼子さんの演じる美香と大悟のさまざまなドラマが展開された場所で、川沿いに建つ家の前には「美香の気分で写真をパチッ」と書かれたカメラ台も備え付けられていた。撮影風景を伝える掲示板も立てられており、映画のあのシーンやこうやって撮ったんだなぁという思いにふけることもできる。残念ながら中に入ることはできないが、映画でも室内は東京都調布市の日活撮影所で撮られており、外観を見ることができただけで満足。
■一路、埼玉へ。渋滞は事故渋滞の6kmのみ
大悟の自宅を離れたころには14時をまわり、あたりが暗くなってきたと思ったら、またもや雪が降ってきた。上山市からの帰路は東北中央道の山形上山IC(インターチェンジ)を使い、山形JCT(ジャンクション)で山形自動車道にという方法もあるが、それだと若干遠回り。国道13号を北上し山形蔵王ICから直接山形道に乗ることにした。
ICに乗る前に一旦燃料を満タンにし、トリップメーターをチェック。酒田から銀山温泉を回るなどしての走行距離は295.4kmと意外と距離を走っていた。レガシィ アウトバック 2.5XTには、「SI-DRIVE」という機能があり、エンジンとトランスミッションのセッティングを変更し、車の性格を3パターンに変化させることができる。
アウトバックのカタログによると、“スムーズ&環境性能を目指す”のが「Intelligent(インテリジェント)」モード[I]、“全域でスポーツフィールを愉しむ”のが「Sport(スポーツ)」モード[S]、“アグレッシブな走りで、心を解き放つ”のが「Sport Sharp(スポーツ・シャープ)」モード[S#]となっており、簡単にいうと[I]モードは燃費によく、[S#]は走りに優れ、[S]はその中間となるだろう。
実は、この最後の給油をするまではほとんどの距離を[I]モードで走行しており、帰路は[S#]で走ることにして、その燃費を比較してみようというもくろみだ。[S#]に切り替えるとさすがに活発的な走りができ、車の追い越しや車線の合流も楽々。アウトバック 2.5XTの持つ圧倒的な性能を引き出せるのだから当たり前と言えば当たり前だが、100km/h近辺での追い越しも素早く行える。ただ、350km先を目指さなければならないので、結局はEyeSightに頼った走りに終始した。やはりEyeSightは疲れないのである。
帰路は往路と同じく、村田JCTで東北自動車道に入り、同じく国見SA(サービスエリア)、那須高原SA、蓮田SAと立ち寄った。最初の15時過ぎに立ち寄った国見SAでは、駐車場が満車の状態。これは岩槻ICに着くころには、ものすごい渋滞になるだろうと一瞬思ったのだが、国見SAの駐車車両のナンバーを見てみると、ほとんどが福島県のナンバー。たまに宮城県のナンバーもあるが、品川、練馬、多摩など東京都のナンバーはついぞ見かけなかった。
高速道路本線上を走っていてもそれは同じで、国見SA~那須高原SA間では上下線とも多くの車が通行しているのに、我々と一緒に上り線を走っている車は、ほとんどが福島・宮城関連のナンバー。ときたま北海道や熊本県のナンバーを見て「おおっ!!」と思うが、東京都のナンバーはたま~に見る程度であった。実際那須高原SAでは、駐車場がガラガラで日曜日の夕方過ぎとは思えない状況。これは、たとえば福島から宮城の仙台に行くなど、地方での移動が活発化したということなのだろう。
心配した渋滞も、129.5KP(キロポスト)から6kmほどの事故渋滞が東北道矢板IC付近で起きていただけで、そのほかの渋滞は特になし。無事岩槻ICで降りることができた。往路の岩槻IC~月山ICが1350円であったのに対し、復路の山形蔵王IC~岩槻ICは1500円。これは、岩槻IC~加須IC間が大都市近郊区間になり、時間帯によって割引率が違うためで、岩槻ICを19時50分に通過したからだ。22時~翌6時の間に通過すれば1350円となったのだが、順調に帰って来ることができたのでそれがなにより。
復路も国見SAに立ち寄った。駐車場はほぼ満車ながら、誘導員の手によって、スムーズな駐車が行われていた | 復路に見かけた、黒磯板室ICの看板。3月29日15時オープンしたばかりのIC。黒磯PAから行くことはできないので注意 | 岩槻ICでの料金表示。22時前に通過したため、1500円となった。22時~翌6時に通過すれば1350円になるが、帰路を急いだ |
■まとめ
岩槻IC~月山ICまでが往路1350円、復路1500円。途中少し一般道を走って湯殿山IC~酒田ICまでが合計で1000円という表示になっていたが、この区間は特殊な区間となっており、表示は1000円だが、料金引き落とし時は最大50%割引の500円となる。かかったガソリン代は大宮~酒田間489.1kmで45.49Lの5731円(ハイオク)。往路で計算すると7581円で大宮から酒田まで行けたことになる。
鉄道で行く際は、JR大宮駅から山形新幹線でJR新庄駅まで行き、陸羽西線(奥の細道最上川ライン)→羽越本線で行くことになり、新幹線は自由席を使った場合で料金は1万1320円。ETC休日特別割引は、地方部が上限1000円なので、遠くに行けば行くほど車のほうがお得になるわけだ。しかも、月山IC~湯殿山ICは乗継特例区間になっており、4月29日以降は2時間以内に乗り継げば(雪の中を走って20分程度の距離)岩槻IC~酒田ICまで1350円もしくは1500円と、さらに1000円安くなる。
新幹線はともかく、JRによって地方交通線と位置づけられている陸羽西線は、1日に11本しか列車が走っておらず、使い勝手はよいものとは言えない。大宮から酒田までの500kmという距離はさすがに遠いが、費用という点では圧倒的に車が有利だろう。時間についても鉄道ではおよそ6時間かかるので、途中で温泉に入るなどしなければ、それほど変わらない時間で到着できたかもしれない。
レガシィ アウトバック 2.5XTの燃費(満タン法)については、往路はSI-DRIVEの[I]モードで走って、大宮~酒田間が489.1km/45.49Lの10.75km/L、酒田~山形間が295.4km/30.00Lの9.84km/Lとなった。また、復路は[S#]モードで走り、山形~大宮間が359.0km/33.00Lの10.9km/Lであった。酒田~山形間は半分ほどが市街地や峠道走行なので10km/Lを切ってしまっているのは仕方のないところだが、なぜか[S#]モードで走った復路のほうが燃費がよくなってしまっている。6kmの渋滞区間だけはさすがに[I]モードで走っていたのだが、復路の山形~大宮間については月山近辺の峠道を走行していないため、それが数字に反映されたのだろう。なお、トータル燃費は、1144km/108.49Lの10.5km/Lとなった。
【お詫びと訂正】記事初出時、「山形~大宮間が359.0km/11.30Lの10.9km/L」と記載しておりましたが、正しくは「山形~大宮間が359.5km/33.00Lの10.9km/L」です。お詫びして訂正させていただきます。
[I]モードと[S#]モードを比較すると明らかに[S#]モードのほうがレスポンスのよい走りをすることができる。しかしながら、高速道路などを走る場合においては、それほど燃費が変わらないのは、とても優秀な制御がされていることがうかがえる。スタッドレスタイヤ+4WD+195kW(265PS)+5速AT+1530kg+2名乗車という状態で10km/Lを超える値が出るのも大したものだ。また、アウトバック 2.5XTには燃費計が付いているが、その値は11.2km/L(大宮~酒田)、9.8km/L(酒田~山形)、11.3km/L(山形~大宮)、10.8km/L(全行程)。満タン法での燃費計測のため異なる値となったが、1144km走ってわずか0.3km/Lの違いであった。
マルチインフォメーションディスプレイに表示されたトリップメーターと燃費計。1144km走って燃費計では10.8km/L |
今回ETC休日特別割引企画として、1144kmを走ってみて感じたことは、長距離ドライブにはオートクルーズ機能は必須機能であるということ。長距離ドライブ時の負担を確実に減らしてくれるし、それがドライブの安全性の向上にもつながる。特にEyeSightは15km/hの低速域でも作動し、前走車を確実に認識してくれるため、渋滞時のノロノロ運転の負荷も軽減してくれる。室内への出っ張りがやや気になる部分ではあるが、確実な動作を期すためにはある程度のスペースが必要なのだろう。
また、蛇足ではあるが、映画「おくりびと」のロケ地を巡るのであれば、4月29日以降をお勧めしたい。乗継特例が開始され、高速料金がさらに500円安くなるということももちんだが、なにより月山近辺の気候の厳しさが和らぐからだ。東京はすっかり春めいているものの、山形は春と冬が混在している状況で、スタッドレスタイヤ+4WDのアウトバック 2.5XTでなければ、安心して走ることはできなかっただろう。
利用IC(自) | 利用IC(至) | 通常料金 | 割引後料金 | 割引額 | 割引内容 |
岩槻IC | 月山IC | 8250 | 1350 | 6900 | 休日特別割引(大都市近郊区間22~翌6時+上限1000円) |
湯殿山IC | 酒田IC | 1000 | 500 | 500 | 休日特別割引 |
酒田IC | 鶴岡IC | 450 | 250 | 200 | 休日特別割引 |
鶴岡IC | 湯殿山IC | 550 | 300 | 250 | 休日特別割引 |
月山IC | 東根IC | 1400 | 700 | 700 | 休日特別割引 |
山形蔵王IC | 岩槻IC | 7400 | 1500 | 5900 | 休日特別割引(大都市近郊区間6~22時+上限1000円) |
合計 | 19050 | 4600 | 14450 |
区間 | 距離 | ガソリン使用量 | 燃費(満タン法) | 燃費計 | ガソリン代 |
大宮~酒田 | 489.1km | 45.49L | 10.8km/L | 11.2km/L | 5731円 |
酒田~山形 | 295.4km | 30.00L | 9.8km/L | 9.8km/L | 3570円 |
山形~大宮 | 359.5km | 33.00L | 10.9km/L | 11.3km/L | 3729円 |
合計 | 1144km | 108.49L | 10.5km/L | 10.8km/L | 1万3030円 |
(編集部:編集部:谷川 潔)
2009年 4月 7日