プジョー、「ライオン」ブランドデザインを変更
新コンセプトカー「SR1」も公開

プジョーの新ブランドデザイン

2010年1月8日(現地時間)発表



 仏PSA・プジョーシトロエンは1月8日(現地時間)、プジョーブランドの創業200周年を期して、ブランドデザインを全世界的に変更することを発表した。同日、都内ホテルでもプジョー・シトロエン・ジャポンによる発表会が開催され、その本国の発表会の模様が上映された。

ブランドデザインに関する発表を行ったジャンマルク・ゲールズ氏

 プジョー・ゼネラル・ディレクターのジャンマルク・ゲールズ氏は、「今日(1月8日)は、プジョーにとって記念すべき日だ」とし、プジョーにとって未来の自動車を考えることは、3つの大きなチャレンジに立ち向かうことであると言う。

 1つ目はプジョーブランドの独自性を明確に打ち出すこと、2つ目は環境問題への強いリーダーシップを持つこと、3つめはモビリティにおいて新しいソリューションを提供していくことであるとした。

 ブランドの独自性については、「常に革新し続ける能力が必要であり、ユニークでかつビジョンを形作っていくエモーションが大切。プジョーは機能や品質、頑丈さだけを追い求めるのではなく、理性と感情とを融合し、高品質と感動を同居させる」と言う。

 環境問題については、2010年末に電気自動車の「iOn」(三菱自動車工業「i-MiEV」のOEM)を投入、2011年にはディーゼルハイブリッドシステム「HYbrid4」やマイクロハイブリッドシステム「e-HDI」を搭載した308シリーズのクロスオーバーモデル「3008」を投入し、2012年にはプラグインハイブリッド車を発売する。

 モビリティでのソリューションとしては、プジョーは乗用車、商用車のほか、スクーターや自転車をラインアップに持つグローバル企業で、これらのラインアップを活かした「ミュー・バイ・プジョー」というモビリティ提案をしていくと言う。この自転車やスクーターに関しても、自転車ではウルトラモーターと共同開発した電動アシスト自転車を提案し、スクーターも電動スクーター「E-Vivacity」を2011年に発売する。

iOnの両脇には、自転車と電動スクーターのE-Vivacityが置かれ、環境問題をリードするメーカーであることを強調したE-Vivacityの最高速は45km/h。リチウムイオンバッテリーを搭載し、航続距離は80~100km
自転車に関しては、コンセプトモデルも紹介。自動車、スクーター、自転車と多用なモビリティ提案をしていく2011年には、3008にハイブリッドシステムが搭載される

 ミュー・バイ・プジョーは、プジョーのラインアップをレンタル可能なサービスで、週末の旅行に自動車を、家族でのツーリングに自転車を、市街地に行くためスクーターをといった使い方や、航空券・列車の切符・ホテルの予約などもできる。すでに2009年12月にパリなどでテストサービスを行い、ベルリン、ローマなどヨーロッパの大都市でのサービスを展開しつつある段階だと言う。

 これら3つのチャレンジについて触れた後、新しいブランドロゴが紹介された。

新ブランドデザインは「RCZ」から採用
 新しい「ライオン」ブランドデザインは、「よりシンプルで、ダイナミックな姿勢を持つ」と言う。同時に「MOTION&EMOTION」というタグラインを設定。このタグラインは、新ブランドロゴと一体となってプジョーの広告で使われていく。

 また、これまでロゴのバックにしかれていた青い「ブルーフラッグ」は廃され、そのカラーをより濃い青色の「プジョーブルー」に変更し、ブランドネーム表記に採用した。あわせてブランドネームのフォントも新しいものに変更された。

 この新ブランドデザインは、2010年春に発売される2ドアクーペ「RCZ」から採用され、RCZ以降のすべてのプジョー製品は、このブランドデザインをまとうこととなる。

MOTION&EMOTIONというタグラインが設定されたこのタグラインは、新ブランドデザインと一体となって使用される新ブランドデザインは、2010年春に発売されるRCZから採用される

新コンセプトカー、プジョー「SR1」
 発表会では、プジョーの未来のモデルにおけるデザイントレンド(スタイルコード)を表現した3人乗り(前席2名+後席1名)のコンセプトカー「SR1」が公開された。

 SR1は、前輪を最高出力160kw(218HP)の1.6リッターガソリンターボエンジンで、後輪を70kW(95HP)のモーターで駆動するHYbrid4システムを搭載するオープンカー。モーターのみでも走行できるモードを備え、エンジンとモーターを同時に使用する4WDモードでは最高出力230kW(313HP)を発揮する。また、4WS(4輪操舵)を採用し、ハンドリングの正確さとともに、究極の敏捷性を提供すると言う。

 このSR1は、3月に開催されるジュネーブショーにおいて一般公開され、デザイン各部の要素は、今後開発されるプジョー車に採り入れられていくと言う。

ハードトップのルーフを持つRCZ。HYbrid4システムを搭載するオープンカーで、そのデザインコンセプトは、今後のプジョーデザインの要素が随所に採り入れられている

2015年には世界第7位のメーカーに
 ゲールズ氏は、2010年から2012年にかけて14のモデルを市場投入し、過去10年で10倍となった販売台数をさらに伸ばしていくと言う。すでにプジョーでは未来の自動車への提案を行う準備ができており、世界第10位、フランス国内第1位の世界ランクを3つ上げ、世界第7位のメーカーを目指すとした。

日本市場の戦略について語った、プジョー・シトロエン・ジャポンのティエリー・ポワラ社長

 日本市場については、プジョー・シトロエン・ジャポンのティエリー・ポワラ社長が、2010年以降の戦略を語った。ポワラ氏は「北海道から沖縄まで展開する正規ディーラーネットワークを活かして、より積極的な販売を展開していく」と言い、より購入しやすい価格とした「207SW」を1月14日に発売。2月にはリトラクタブル・ハードトップを持つ「207CC」をマイナーチェンジするほか、第2四半期(4月~6月)には6速ATを搭載する3008と、RCZを発売。RCZに関しては、3月末までに受注を開始し、いち早く手に入れたいというプジョーユーザーの期待に応えていく。

 それらニューモデルの投入と、現在200周年記念として全車種を対象に実施してる2%ローンなどにより、2010年の販売台数を対前年比50%増まで引き上げると言う。2011年にはM2セグメント(「407」シリーズが属する)にハイブリッド車を投入し、状況次第だがディーゼルハイブリッドの日本市場投入も考えていると言う。そのほか、2012年には新しい3気筒ガソリンエンジン搭載車も投入していきたいと述べた。

(編集部:谷川 潔)
2010年 1月 9日