SUPER GT最終戦を前に、HSVを駆る井出選手と塚越選手が来社
HSV-010 GTのデビューイヤーを飾りたい


来社した塚越広大選手(左)と、井出有治選手(右)。中央はもてぎエンジェルの山田千春さん

 今週末(10月23日、24日)にツインリンクもてぎ(茨城県茂木町)で、SUPER GTの最終戦となる「MOTEGI GT 250km RACE」が開催される。そのプロモーションの一環として、昨日はエヴァンゲリオンレーシングの松浦孝亮選手と、レースクィーン2人がCar Watch編集部を訪ねてくれたが、今日はGT500クラスに参戦する井出有治選手と塚越広大選手が訪れてくれた。

 井出選手、塚越選手とも今シーズンからGT500クラスに投入されたホンダ HSV-010 GTを駆るドライバー。井出選手はAUTOBACS RACING TEAM AGURIから、塚越選手はKEIHIN REAL RACING参戦している。

 シーズン後半に向けて、HSV-010 GTの戦績は向上しており、第5戦SUGOでは塚越選手/金石年弘選手が優勝し、前戦となる第6戦鈴鹿では井出選手/ラルフ・ファーマン選手が優勝し、現在2連勝中。ホンダの地元とも言える、最終戦ツインリンクもてぎでの3連勝に期待がかかる。


静かな語り口ながら、優勝に対する熱い思いが感じられた井出有治選手

 井出選手は前戦で優勝したものの、前半の成績が響き現在ランキング11位。1位とのポイント差も27ポイントとなっており、逆転チャンピオンの可能性はない。だからこそ、「チーム一丸となって2連勝したいし、ホンダの地元でもあるのでそこで勝ちたい」と井出選手は言う。

 一方、塚越選手は現在ポイントランキング3位。1位とのポイント差が10点なので、逆転チャンピオンの可能性がある。塚越選手も「どちらにしろ、もてぎで勝たないとチャンピオンは見えてこないので、優勝を狙っていく」と言う。


逆転チャンピオンの可能性が残る塚越広大選手。最終戦での優勝を狙う

 ツインリンクもてぎでSUPER GTが開催されるのは、この最終戦が初めて。井出選手はHSV010-GTでの走行はまだ行っておらず、塚越選手は今月前半に行われたタイヤテストで走った程度だと言う。塚越選手によると、「相性としてはわるくないサーキットであると感じた。ただ、レースになると気温の影響が大きい。HSV-010 GTは、ほかのメーカーに比べて走行データが不足している。ただ、タイヤテストで初めて走行したデータを見ると、よいタイムが出ている」と言う。この走行データは、ホンダ陣営(井出選手、塚越選手ともブリヂストン製タイヤを使用)で共有され、最終戦のセッティングに活かしていくそうだ。

 気温の変化に対しては「ブリヂストン製タイヤは、年間を通して安定している。そういう意味では、チームが選択したタイヤがあうかどうかだけ」(井出選手)と言い、「うちのチームは気温が高いほうが成績がよいので、高くなったほうがよい」(塚越選手)と、ややニュアンスの差があるようだ。


第6戦鈴鹿で優勝した井出選手

 レースの見どころに関しては、「もてぎはストップ&ゴーの多いサーキット。HSV-010 GTは、昨年使用していたNSX-GTに比べて、高速からのブレーキングが安定している」(井出選手)、「NSX-GTはスポーツカーらしく機敏なところがあった。HSV-010 GTは、その機敏さはそのままに、より安定した感じ」(塚越選手)と言い、高速からのブレーキが必要な、ダウンヒルストレートから続く90度コーナーなどでHSV-010 GTの力強さを見ることができるかもしれない。

 すでに各種ファンシートは売り切れとなっているが、通常のチケットはまだまだ販売中。ノーウェイトハンデとなる最終戦では、シリーズチャンピオンが決まるのはもちろん、1年を通して熟成された最速GT500マシンが判明する。とくに今年は、HSV-010 GTのデビューイヤーとなっており、そういった意味でもHSV-010 GTを駆るドライバー&チームにとっては、チャンピオンの獲得とともに、最終戦の優勝を飾りたい部分だろう。もちろん、ほかのドライバー&チームもそれは同じで、激しい戦いが繰り広げられるに違いない。

第5戦SUGOで優勝した塚越選手

 なお、決勝戦の翌日となる10月25日に、井出選手と伊沢拓也選手が特別講師となるトライビングレッスンがツインリンクもてぎで開催される。参加枠はまだあるそうなので、興味のある方は関連記事を参照いただきたい。

(編集部:谷川 潔)
2010年 10月 20日