「CEATEC JAPAN 2011」リポート【部品メーカー編】
進化型LEDヘッドライトや、EV向け半導体など


 10月4日~8日まで幕張メッセ(千葉県千葉市美浜区)で開催される、IT・エレクトロニクスの展示会「CEATEC JAPAN 2011」。現在は電気・電子製品の巨大総合展示会となっているが、もともと電子デバイスの展示会から発展した歴史があり、半導体メーカーをはじめとした部品メーカーも多数展示している。本記事では、それら電子部品の中から、クルマ関連の製品をお届けする。

 ヘッドライトのメーカーでもあるスタンレーは、次世代型のLEDヘッドライトユニットを展示。現在実用化されているLEDヘッドライトユニットは片側3灯で重量も1kgほど。展示された次世代型ではLED自体の高輝度化を進め、2灯でも保安基準に適合する明るさを確保し、重さも400gまで軽量化した。同時に省電力化も進んでいると言う。

 さらに、スタンレーは今後のロードマップを掲示、2014年を過ぎたころにLEDヘッドライトの片側1灯化と、12Wまでの省電力化が進む見込みが示されている。

スタンレーが展示したLEDヘッドライトユニット。左が現世代、右が次世代で、軽量化が進んでいるスタンレーが示したLEDヘッドライトのロードマップスタンレーの車載デバイスコーナー

 ロームは、高温度下での動作特性に優れるという次世代の低損失素子「SiC(シリコンカーバイド)」の半導体製品展示を行った。高温特性がよいため車載用としてのラインアップが充実、モーター駆動用のモジュールをはじめ広範囲な製品が展示された。

 また、LEDライトを駆動するLSIも展示した。テールランプ用に2種類の輝度で正確に点灯させるLSIと、ヘッドライト用のLSI。半導体の進化がさらなる低消費電力化には欠かせないとアピールしていた。

次世代の低損失素子「SiC」を使ったEV用駆動モーターと駆動モジュールSiCによるソリューションが多数展示されたLEDライトのLSIでテールライトやヘッドライトを点灯するデモが行われた

 マキシムは、自社のバッテリー監視モジュールを搭載したEVを展示した。EVはアメリカのOptaMotive製の実物で、最新のマキシムの半導体を使うことで1回の充電あたりの走行距離を延長することに成功したのだと言う。

 さらに、既存のタッチパネルを使いながら、手袋利用やスタイラスペンの操作にも反応するように進化させるという高性能インターフェイスICを展示した。10点のマルチタッチにも対応し、車載利用でも使いやすいタッチパネル操作に応用できると説明している。

マキシムのICが搭載されたOptaMotive製のEVマキシムのバッテリー監視システムなどが搭載されているバッテリー監視システムなどの基板
既存のスマートフォンに使われるタッチパネルに、マキシムのインターフェイスICを採用すると、手袋などにも反応するようになったインターフェイスICを搭載した試作基板

 10月1日にOKIセミコンダクタから社名変更したばかりのラピスセミコンダクタは、赤外線イメージセンサーを展示した。すでに約2000画素のモジュールは実用化されているが、画素数を落としてさらに安価にしたもの。

 赤外線センサーは、クルマに活用すれば、場所ごとに空調の温度管理を最適化できるなどの進化が見込める。今後は空調やセキュリティといったもののほかにも、ゲームの操作デバイスなどといったエンターテイメント的な使い方も視野に入れて活用を提案していくと言う。

 そのほか、多数の電子デバイスメーカーが出展、車載ディスプレイやタッチパネルなども含め、今後の自動車の進化を占うことのできるデバイスが多数展示されている。

ラピスセミコンダクタの赤外線センサーは空調の温度管理などに利用できるSMKの「2段階入力フォースフィードバックタッチパネル」、タッチすると振動してあたかもクリックしたように感じる
双葉電子工業のVFD(蛍光表示管)による車載デバイスアルプス電子が展示したアウディA8に搭載されたタッチパッドモジュール

(正田拓也)
2011年 10月 4日