首都高、大橋JCT接続部のシールドマシンを公開 中央環状品川線と連結 |
首都高速道路は10月11日、現在工事の進む中央環状品川線大橋連結路のシールドマシンを報道陣向けに公開した。中央環状品川線は、2013年度(平成25年度)の開通を目指して工事中の区間で、3号渋谷線まで開通している中央環状新宿線と、湾岸線の大井JCT(ジャンクション)を結ぶ往復4車線、延長9.4kmの高速道路。
今回報道陣向けに公開した中央環状品川線大橋連結路は、その中央環状品川線と大橋JCTを結ぶ通路となり、ここが開通することで3号渋谷線と湾岸線が結ばれることになる。
大橋JCTは2010年3月28日に開通。3号渋谷線と中央環状新宿線を双方向で結ぶダブルループ形状の構造物としても有名だが、中央環状線がこの大橋JCT部分で終わっているために、都心環状線の交通量は減少したものの、大橋JCT付近が渋滞の名所になってしまっている。中央環状品川線の開通は、そうした大橋JCT部の渋滞を解消することにもつながり、早期の開通が望まれている区間だ。
大橋JCT外観 | 大橋JCTの構造模型 | 大橋JCT概要図。ピンク色が大橋連結路。黄色が中央環状品川線。ともに工事中の部分 |
大橋JCTは、中央環状新宿線と3号渋谷線を結び、将来的に中央環状品川線とも接続される | 大橋JCTができる前の風景。東急のバス車庫などがあった | 現在の様子 |
首都高の路線を投影。ピンクが大橋連結路 | 大橋連結路は、シールドトンネル部が約500mとなる |
■DSR工法を採用するシールドマシン
大橋連結路のトンネル工事は、トンネルを掘りながら外壁をセグメントブロックで構築していくシールドマシンが使われる。大橋JCTから中央環状新宿線を接続する際には、山手通りの松見坂立杭からシールドマシンを入れ、大橋JCT側にある大橋立杭まで掘削。そこでシールドマシンを展開させて、大橋立杭から松見坂立杭まで掘削し、上下線2本のトンネルを作り上げていた。
中央環状品川線と結ぶ大橋連結路の工事では、片側にしかシールドマシンを入れる場所を確保できないため、大橋JCT脇の山手通り支線(国道246号との接続道路)近くにシールド発進立杭を設置。シールドマシンはそこから発進し、中央環状品川線との接続部までの500mを掘削。目的位置まで到達したシールドマシンは、内部構造のみ再利用のために解体。内部構造を発進立杭まで戻し、あらかじめ用意してある新たな外部構造と組み合わせて、もう1本のトンネルを掘削するという、DSR(Draw a Shield for Recycle:内胴回収、再利用)工法が採用されている。
このシールドマシンはあらかじめ内胴と外胴を分割可能な構造となっており、再利用によるコストや環境負荷の低減、工期の短縮を図っている。
シールドマシンの概要。外径は9.7m、重量は約800t。1分間に20mm進み、1日では約15~20m進む | 施工方法。ます、下層のシールドトンネルを奥から手前に向かって施工。その後シールドマシンを解体し、再度奥から手前に向かって上層シールドトンネルを施工する | シールドマシンの構造図。内部構造を再利用するDSR工法を用いる |
シールドトンネルの見学は、下層シールドから行われた。下層シールドは品川方向から大橋JCT方面に向かう車線となるが、シールドマシンは大橋JCTから掘り進んでおり、写真もその順で掲載する。
この終端部で解体されたシールドマシンは、内部構造のみを再利用して、上層シールド部分を掘り進んでいく。10月下旬に掘削を開始し、来年1月頃に掘り終える予定だ。その後、2013年度の完成を目指し、中央環状品川線との接続工事や、道路舗装などを行っていく。
国道246号と山手通り(環状6号)の接続路にある防音ハウス。この中に、発進立杭がありシールドマシンが設置されている。国道246号側から撮影 | 山手通り側から撮影 |
掘削開始を待つシールドマシン。内部構造は再利用されたものだ |
大橋JCTでは緑化に力を入れており、JCT上層部は公園になり、JCT脇にある大橋換気所屋上は「おおはし里の杜」と名付けられた、目黒の原風景を再現するエリアになる。すでに、田んぼなどが作られており、先日地元の小学生による刈り取りが行われたとのこと。おおはし里の杜で利用されている水は、雨水を再利用したもので、地下にためた雨水を地上31mまで導いて、小川を再現している。
おおはし里の杜全景 | 小川も再現されている | 小川の源流。小石の下から、水が湧き出ている |
一部刈り取りの終わった田んぼ | 脱穀は今月下旬を予定している |
(編集部:谷川 潔)
2011年 10月 11日