ベントレー、「コンチネンタル」の「GTC」と「GT V8」

英ベントレー モーターズのピール氏(左)とウィリアムズ氏

2011年12月21日発表



 ベントレー モーターズ ジャパンは12月21日、都内で記者会見を開催し、新型「コンチネンタルGTC」と「コンチネンタルGT V8」を発表した。

 GT V8はV型8気筒4リッター直噴ツインターボエンジンを搭載する、コンチネンタルシリーズのエントリーモデル。米デトロイトで開催される「2012年北米国際自動車ショー(デトロイト・モーターショー)」(一般公開日:2012年1月14日~22日)で公開されるが、世界に先駆けて日本でのお披露目となった。

コンチネンタル GTのオープンモデル「コンチネンタル GTC」
 「GTC」は、2月に導入された2代目「コンチネンタル GT」のオープントップモデル。価格は26,400,000円で、納車は2012年第2四半期からを予定する。

 ルーフにはファブリックを採用したが、これは「グランドツアラーとして、荷室容量を犠牲にしたくないから」(ベントレー モーターズ ジャパンの横倉典 PR&マーケティングマネージャー)。7本の骨(ボウ)で支えられる3層のファブリックの中間には吸音素材のラバーフィルムを挟み、ボディーやフロントガラスの吸音材と合わせてクローズ時の静粛性にも気を使っている。25秒で開閉し、32km/h以下なら走りながら開閉できる。

 オープンモデルとするにあたって、車体下面前後にクロス・ブレーシングを入れ、サイドシルの剛性を強化することで、車体を補強。22,500Nmのねじり剛性(静的)を確保し、スカットルシェイク(ボディー剛性の低さに起因する振動)を最小化したと言う。

 ボディーサイズは4,806×1,943×1,403mm(全長×全幅×全高)、ホイールベースは2,746mm。先代より2mm長く、5mm広く、27mm高く、ホイールベースは1mm長いが、重量は25kg減の2,495kgに抑えられている。

アンダーフロアを補強ルーフはファブリック
遮音にも配慮

 この高剛性ボディーにはフロントフェンダーまわりに採用された「アルミスーパーフォーミング」も貢献している。500度に熱したアルミパネルを空気圧で一気に整形するこの手法は「継ぎ目がなく、高剛性で軽量なボディーを作り出すことが可能」なうえに「50年代、60年代に職人が叩き上げて作り出したような複雑で美しいボディーラインを再現した」(横倉マネージャー)と言う。ボディーカラーは標準で17色用意される。

 この他はGTとほぼ同様で、最高出力423kW(575PS)/6,000rpm、最大トルク700Nm(71.4kgm)/1,700rpmを発生するW型12気筒ツインターボエンジン、6速AT(ZF6HP28)、前後トルク配分4:6のフルタイム4WDシステム、エアサスペンションなどを備える。6速ATは変速時間を最大50%短縮する「クイックシフト」システムを備え、ダブルダウンシフトやブリッピング機能を備える。

 一方、インテリアはレザーとウッド、金属で作られており、「金属の部分には金属を、ウッドは無漂白の天然素材を」使用した。シートはGTと同じくショルダー部が張り出した「コブラデザインシート」。リアシートのレッグスペースが先代よりも35mm拡大され、前席を倒すレバーが改良されたほか、フロントシートのモーターが高速化された。また小物入れが拡充され、首筋に温風を吹き出すネックウォーマーが装備された。

 インテリアカラーも17色用意され、ウッドパネルは7種類。シートを中心とした「メインハイド」と、ダッシュボードを中心とした「セカンダリーハイド」の色を組み合わせるが、この組み合わせは標準で6種類用意されている。

 

燃費40%改善でも“ベントレーらしい”「GT V8」
 本来デトロイトでお披露目されるはずだった「GT V8」だが、急遽日本でお披露目された。しかしエンジンフードを開けることは許されず、詳細なスペックや性能値も明らかにされていない。納車は2012年第3四半期。日本での価格は2012年に発表される予定だが、W12モデルよりは安価な設定になると言う。

 W型12気筒6リッターツインターボエンジンを搭載する「GT」「GTC」に対し、「GT V8」は「ダウンサイジング」モデルという位置づけ。

 エンジンが小さくなっただけではなく、トランスミッションには8速ATを初めて採用し(GT、GTCは6速AT)、低負荷時に4気筒を休止して“V4”エンジンになる「可変排気量システム」などで燃費を改善、フルタンクで800kmの航続距離を実現している。

 エンジンはアウディと共同開発されたもの。2.3barで過給されるツインターボチャージャーはVバンクの内側に収められているが、これにより「排気マニフォールドの熱エネルギーを最大限に活用すると同時に、エアのパスを短くすることでスロットルレスポンスやターボ・ラグを改善した」(英ベントレー モーターズのポール・ウィリアムズ ヘッド・オブ・パワートレーン)と言う。

 4気筒を休止するシステムは、低負荷時にカムシャフトを軸方向にスライドさせてバルブの動きを止め、休止気筒への燃料噴射と点火を止める。このシステムはフラッグシップ・サルーンの「ミュルザンヌ」に先行して搭載されているが、ミュルザンヌでは9%以上の燃費改善効果が見られていると言う。

V8エンジンの概要。燃焼室に渦を起こして燃焼効率を高める「タンブルフロー」が取り入れられている

 このほか8速ATは、強くアクセルを踏むと低いギアに素早くジャンプする「ブロックシフティング」や、暖気を早めるための専用クーラント水路などを備える。またW12モデルと同じく、前後トルク配分4:6のフルタイム4WDシステムを備える。

 一方で、ロビン・ピール ヘッドオブマーケティング&コミュニケーションが「新型エンジンはV8エンジンに期待される見事なパワー、ドラマ、パフォーマンスのすべてを備える」と言うように、最高出力373kW(507PS)/6,000rpm、最大トルク660Nm/1,700-5,000rpmを確保。最高速度は290km/hで、0-100km/h加速は5秒以下と言う。

 W12モデルと同じく、V8モデルもGTとGTCが用意されるが、会場に用意されたのはGT。W12モデルとの外観上の違いは、3分割デザインのフロントロワーバンパー、ブラックアウトされたフロントグリルとリアロワーバンパー、8の字型のテールパイプ。さらにいわゆる「Bウィングド」と呼ばれるベントレーのエンブレムは赤となる。歴代ベントレーはスポーツモデルのバッヂに赤、サルーンに青、スーパースポーツに黒を採用している。標準のボディーカラーは7色を用意する。

W12モデルとV8モデルのエクステリアの違い

 一方インテリアは、フロントアームレストがシングルになり、リアのコンソールが短くなり、スキーハッチとアームレストが廃止され、ヘッドライニングとピラーのトリムが合成皮革「エリエイド」になる。標準のインテリアカラーは4色、ヘッドライニングも4色用意される。ウッドパネルはユーカリの木から作られたダーク・フィドルバック・ユーカリプタスのみ。


【お詫びと訂正】記事初出時、ボディーサイズの記述を誤っておりました。お詫びして訂正させて頂きます。

(編集部:田中真一郎)
2011年 12月 22日