SUPER GT第4戦SUGOはENEOS SUSTINA SC430が優勝
GT300は今季から参戦のGT-Rが初優勝

ENEOS SUSTINA SC430

2012年7月29日決勝開催



 7月29日、2012 AUTOBACS SUPER GT第4戦「SUGO GT 300km RACE」の決勝レースがスポーツランドSUGO(宮城県柴田郡村田町)で開催された。GT500クラスは6号車 ENEOS SUSTINA SC430(伊藤大輔/大嶋和也)がチームとして9年ぶりに優勝。GT300クラスは3号車 S Road NDDP GT-R(関口雄飛/千代勝正)が初優勝を飾った。

 全8戦で争われるSUPER GTシリーズはこの第4戦で折返しとなり、チャンピオン争いをするチームにとっては重要な1戦だ。昨年は雨のレースとなったが、今年は一転、予選、決勝とも30度を超える暑さとの戦いとなった。

GT500クラス
 第3戦を終えた段階のドライバーズポイントは以下のとおり。ウエイトハンデはポイントの2倍kgとなるため、38ポイントでトップに立つ38号車 ZENT CERUMO SC430は38×2kg=76kgとなる。

順位マシン名(ドライバー名)ポイント
1位38号車 ZENT CERUMO SC430(立川祐路/平手晃平)38
2位100号車 RAYBRIG HSV-010(伊沢拓也/山本尚貴)35
3位39号車 DENSO KOBELCO SC430(脇阪寿一/石浦宏明)30
4位18号車 ウイダー HSV-010(小暮卓史/カルロ・ヴァン・ダム)26
5位23号車 MOTUL AUTECH GT-R(本山哲/ミハエル・クルム)22
6位17号車 KEIHIN HSV-010(金石年弘/塚越広大)20
7位36号車 PETRONAS TOM'S SC430(中嶋一貴)14
8位12号車 カルソニックIMPUL GT-R(松田次生/ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ)13
9位6号車 ENEOS SUSTINA SC430(伊藤大輔/大嶋和也)12
10位36号車 PETRONAS TOM'S SC430(リチャード・ライアン)8
11位1号車 S Road REITO MOLA GT-R(柳田真孝/ロニー・クインタレッリ)7
12位36号車 PETRONAS TOM'S SC430(ロイック・デュバル)6
13位8号車 ARTA HSV-010(ラルフ・ファーマン/小林崇志)5
14位19号車 WedsSport ADVAN SC430(荒聖治/アンドレ・クート)2
15位35号車 KeePer Kraft SC430(国本雄資/アンドレア・カルダレッリ)1

 前日に行われた予選でポールポジションを獲得したのは6号車 ENEOS SUSTINA SC430。前戦のセパンで最後尾から3位となった好調さを維持し久しぶりの優勝を狙えるポジションとなった。2位は23号車 MOTUL AUTECH GT-R(本山哲/ミハエル・クルム)、3位は12号車 カルソニックIMPUL GT-R(松田次生/ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ)となった。

 午後2時、81周の決勝レースのスタートが切られた。スタート直後の1コーナーでアクシデントが発生した。ポールポジションからスタートした6号車 ENEOS SUSTINA SC430(伊藤大輔)のアウトから予選2位の23号車 MOTUL AUTECH GT-R(本山哲)、インから予選3位の12号車 カルソニックIMPUL GT-R(ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ)が並びかけスリーワイドで1コーナーへ進入。2台のGT-Rが先行し、12号車 カルソニックIMPUL GT-Rがアウトへマシンを振ったため6号車 ENEOS SUSTINA SC430と接触。挙動を乱した12号車 カルソニックIMPUL GT-Rとインに切り込んだ23号車 MOTUL AUTECH GT-Rが激しく接触し、そのままスポンジバリアに突っ込んでしまった。

GT500クラスのスタートシーン。6号車に12号車、23号車の2台のGT-Rが並びかける(Photo:Burner Images)3台はスリーワイドで1コーナーへ(Photo:Burner Images)両側のGT-Rが半車身先行。イン側の12号車がマシンをアウトへ振る(Photo:Burner Images)
6号車と12号車が接触し12号車が姿勢を乱す。23号車はインに切り込む(Photo:Burner Images)GT-R同士が激しく接触(Photo:Burner Images)GT-Rはそのまま直進(Photo:Burner Images)
2台のGT-Rはグラベルを突っ切りスポンジバリアへ6号車はそのままトップで2コーナーへ6号車は右フロントフェンダーを傷めたがそのまま走行を続けた

 接触された6号車 ENEOS SUSTINA SC430は右フロントフェンダーを少し破損したが走行に影響はなく、そのままトップの座を守り周回を続けることができた。

 12号車 カルソニックIMPUL GT-Rはそのまま動くことができずリタイヤ、23号車 MOTUL AUTECH GT-Rはコースに戻ったが足回りを傷めピットロード出口のグリーンゾーンににマシンを停め、こちらも0周でリタイヤとなった。

23号車は自力でコースに戻ったが、足回りを傷めピット出口にマシンを止めた

 序盤は6号車 ENEOS SUSTINA SC430と2位の35号車 KeePer Kraft SC430(アンドレア・カルダレッリ)、3位の36号車 PETRONAS TOM'S SC430(ロイック・デュバル)がトップ集団を形成、すこし離れて1号車 S Road REITO MOLA GT-R(ロニー・クインタレッリ)、17号車 KEIHIN HSV-010(金石年弘)、38号車 ZENT CERUMO SC430(平手晃平)、39号車 DENSO KOBELCO SC430(石浦宏明)が第2集団を形成した。

トップグループは6号車、35号車、36号車のレクサス3台第2集団は1号車、17号車、38号車、39号車となった

 6周目に17号車 KEIHIN HSV-010を抜いた38号車 ZENT CERUMO SC430と39号車 DENSO KOBELCO SC430が5位、6位に浮上。2台はバトルを展開するが順位を入れ替えることはなかった。

39号車が38号車を抜きに掛かるが順位は変わらなかった

 10周を過ぎるとトップの6号車が2位以下を引き離し、35号車 KeePer Kraft SC430と36号車 PETRONAS TOM'S SC430の2位争いが激化、さらにこの2位争いに4位の1号車 S Road REITO MOLA GT-Rが追い付き3台のバトルへと展開した。

6号車が逃げ、35号車と36号車が2位争いのバトルを展開2位争いする2台に1号車が追い付いた

 21周目、最終コーナーからの登り勾配でGT300のマシンに35号車 KeePer Kraft SC430、36号車 PETRONAS TOM'S SC430が引っかかったところを1号車 S Road REITO MOLA GT-Rが一気にパスして4位から2位へジャンプアップした。1号車 S Road REITO MOLA GT-Rはここからトップの6号車 ENEOS SUSTINA SC430との差を急速に縮めることになる。

GT300につまった2台を1号車がまとめてパッシング

 スタートから35号車 KeePer Kraft SC430の後塵を拝していた36号車 PETRONAS TOM'S SC430だが、31周目の1コーナーでようやくパッシングに成功し3位にポジションを回復。前が開けた36号車 PETRONAS TOM'S SC430もややペースの落ちたトップ6号車 ENEOS SUSTINA SC430への追撃を開始した

35号車を36号車が抜き3位にポジションアップ

 トップを快走していた6号車 ENEOS SUSTINA SC430だが徐々にラップタイムが落ち後続の追撃を受けることとなる。21周目に2位に浮上した1号車 S Road REITO MOLA GT-Rは4.8秒の差を32周目には0.7秒まで縮め6号車 ENEOS SUSTINA SC430の背後に迫った。

 31周目に3位に上がった36号車 PETRONAS TOM'S SC430も8.7秒の差を36周目には1.2秒まで縮め37周目にはトップ3台が僅差の争いとなった。6号車 ENEOS SUSTINA SC430は37周を終えピットへ。36号車 PETRONAS TOM'S SC430はストレートで1号車 S Road REITO MOLA GT-Rを抜き暫定だがトップに立った。

トップの6号車に迫る1号車36号車は1号車も抜き暫定だがトップへ

 6号車 ENEOS SUSTINA SC430はスタート直後の接触で傷めたフロントフェンダーを修復。給油、タイヤ交換を行い伊藤大輔選手から大嶋和也選手にドライバー交代をしてコースに復帰した。ピットイン前にはラップタイムが1分23秒前後まで落ちていたが、アウトラップを終えた39周目から1分19秒台を連発し、見えない敵とのバトルとなった。

 トップに立った36号車 PETRONAS TOM'S SC430と2位の1号車 S Road REITO MOLA GT-Rは2周遅れて39周目にピットイン。36号車 PETRONAS TOM'S SC430(中嶋一貴)がコースに復帰すると6号車 ENEOS SUSTINA SC430はすでに1コーナーを抜け、タイヤが冷えた状態でペースの上がらない36号車 PETRONAS TOM'S SC430に3コーナーで追い付き、続くヘアピンの進入であっさり抜き去りトップに返り咲いた。

ピットインし右フロントを修復した6号車がコースに復帰36号車がコースに復帰すると6号車は2コーナーまで迫ってきた6号車は3コーナーで追い付き続くヘアピンで36号車を抜きトップへ

 36号車 PETRONAS TOM'S SC430と1号車 S Road REITO MOLA GT-Rがアウトラップを終えた40周目のタイム差は36号車 PETRONAS TOM'S SC430が3.3秒、1号車 S Road REITO MOLA GT-R(柳田真孝)は9.4秒と6号車 ENEOS SUSTINA SC430が大きく差を広げることに成功した。

 ピットイン前にテール・トゥ・ノーズの争いだった3台の差が大きく開いた要因を見てみよう。3台のインラップ、アウトラップを比べると1号車 S Road REITO MOLA GT-Rはアウトラップが5秒ほど遅かったが、逆に36号車 PETRONAS TOM'S SC430は6号車 PETRONAS TOM'S SC430よりインラップで稼いだ1.6秒ほど短いラップとなっている。

 6号車36号車1号車
インラップ1分27秒8841分26秒2911分26秒017
アウトラップ2分20秒5762分20秒5472分25秒894
2周の合計3分48秒4603分46秒8383分51秒911
6号車との
タイム差
 -1秒622+3秒451

 6号車 PETRONAS TOM'S SC430がピットインした37周目から36号車 PETRONAS TOM'S SC430と1号車 S Road REITO MOLA GT-Rがアウトラップを終えた40周目までの4周のラップタイムを見ると、6号車 PETRONAS TOM'S SC430がアウトラップ後に出した1分19秒台のラップで差を広げたことが分かる。

 6号車36号車1号車
37周目1分27秒8841分22秒5131分23秒512
38周目2分20秒5761分19秒7621分20秒779
39周目1分19秒0581分26秒2911分26秒017
40周目1分19秒5022分20秒5472分25秒894
4周の合計6分27秒0206分29秒1136分36秒202
6号車との
タイム差
 +2秒093+9秒182

 上位陣がピット作業を終えた段階の順位は6号車 PETRONAS TOM'S SC430、36号車 PETRONAS TOM'S SC430、1号車 S Road REITO MOLA GT-R、38号車 ZENT CERUMO SC430(立川祐路)、39号車 DENSO KOBELCO SC430(脇阪寿一)、35号車 KeePer Kraft SC430(国本雄資)となった。

6号車は36号車を引き離しトップを快走3位の1号車と少し離れて4位の38号車

徐々に6号車に迫る36号車

 トップの6号車 PETRONAS TOM'S SC430は2位の36号車 PETRONAS TOM'S SC430との差を49周目に10秒まで開き独走状態となった。このまま大差で逃げ切るかと思われたが、60周を超え残り20周あたりからその差が徐々に縮まり始めた。

 早めにピットに入ったためか、ピットアウト後に攻めすぎたためか、2台の差は65周目には7秒、69周目には5秒、71周目には4秒と接近、72周目には1.5秒に迫り残り10周で最後のバトルが勃発した。

 残り1周、2台は0.46秒差でファイナルラップに突入した。GT300クラスのマシンを掻き分け2台はテール・トゥ・ノーズの争いを展開。緊迫の中、0.6秒差で6号車 PETRONAS TOM'S SC430が逃げ切り悲願の優勝を果たした。LEXUS Team Le Mansは9年ぶりの勝利、伊藤大輔選手も2008年にホンダでチャンピオンを獲得し、レクサスに移籍してから4シーズン目でようやく優勝することができた。

終盤、トップの6号車に急速に迫る36号車6号車は36号車の追撃をかわしトップでチェッカーを受けたGT500クラスの表彰式(Photo:Burner Images)

 優勝した6号車 PETRONAS TOM'S SC430と36号車 PETRONAS TOM'S SC430、1号車 S Road REITO MOLA GT-Rの各周のギャップをグラフにしてみた。レース前半、36号車 PETRONAS TOM'S SC430は35号車 KeePer Kraft SC430に抑えられていたことでトップとの差が広がったことが分かる。たらればの話しだが、もし36号車 PETRONAS TOM'S SC430がもう少し早めに35号車を抜いていたら、異なる結果になったかもしれない。

 最終順位とドライバーズポイントは以下のとおり。

GT500最終順位

順位マシン名(ドライバー名)
1位6号車 ENEOS SUSTINA SC430(伊藤大輔/大嶋和也)
2位36号車 PETRONAS TOM'S SC430(中嶋一貴/ロイック・デュバル)
3位1号車 S Road REITO MOLA GT-R(柳田真孝/ロニー・クインタレッリ)
4位39号車 DENSO KOBELCO SC430(脇阪寿一/石浦宏明)
5位38号車 ZENT CERUMO SC430(立川祐路/平手晃平)
6位35号車 KeePer Kraft SC430(国本雄資/アンドレア・カルダレッリ)
7位18号車 ウイダー HSV-010(小暮卓史/カルロ・ヴァン・ダム)
8位100号車 RAYBRIG HSV-010(伊沢拓也/山本尚貴)
9位17号車 KEIHIN HSV-010(金石年弘/塚越広大)
10位24号車 D'station ADVAN GT-R(安田裕信/ビヨン・ビルドハイム)
11位32号車 EPSON HSV-010(道上龍/中山友貴)
12位19号車 WedsSport ADVAN SC430(荒聖治/アンドレ・クート)

GT500ドライバーズポイント

順位マシン名(ドライバー名)ポイント
1位38号車 ZENT CERUMO SC430(立川祐路/平手晃平)44
2位39号車 DENSO KOBELCO SC430(脇阪寿一/石浦宏明)38
3位100号車 RAYBRIG HSV-010(伊沢拓也/山本尚貴)38
4位6号車 ENEOS SUSTINA SC430(伊藤大輔/大嶋和也)32
5位18号車 ウイダー HSV-010(小暮卓史/カルロ・ヴァン・ダム)30
6位36号車 PETRONAS TOM'S SC430(中嶋一貴)29
7位23号車 MOTUL AUTECH GT-R(本山哲/ミハエル・クルム)22
8位17号車 KEIHIN HSV-010(金石年弘/塚越広大)22
9位36号車 PETRONAS TOM'S SC430(ロイック・デュバル)21
10位1号車 S Road REITO MOLA GT-R(柳田真孝/ロニー・クインタレッリ)18
11位12号車 カルソニックIMPUL GT-R(松田次生/ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ)13
12位36号車 PETRONAS TOM'S SC430(リチャード・ライアン)8
13位35号車 KeePer Kraft SC430(国本雄資/アンドレア・カルダレッリ)6
14位8号車 ARTA HSV-010(ラルフ・ファーマン/小林崇志)5
15位19号車 WedsSport ADVAN SC430(荒聖治/アンドレ・クート)2
16位24号車 D'station ADVAN GT-R(安田裕信/ビヨン・ビルドハイム)1



注目の無限 CR-Z GT

GT300クラス
 GT300クラスは3戦を終えFIA-GT勢がシリーズランキングの上位を独占している。今回のSUGOで注目のマシンは16号車 無限 CR-Z GT(武藤英紀/中嶋大祐)だ。デビュー戦ながら予選で9位に食い込みポテンシャルの高さを感じさせた。


ドライバーズポイント

順位マシン名(ドライバー名)ポイント
1位911号車 エンドレス TAISAN 911(峰尾恭輔/横溝直輝)33
2位0号車 GSR 初音ミク BMW(谷口信輝/片岡龍也)31
3位11号車 GAINER DIXCEL R8 LMS(田中哲也/平中克幸)30
4位33号車 HANKOOK PORSCHE(影山正美/藤井誠暢)26
5位2号車 エヴァンゲリオンRT初号機アップル紫電(高橋一穂/加藤寛規)25
6位66号車 triple a Vantage GT3(吉本大樹/星野一樹)22
7位43号車 ARTA Garaiya(高木真一/松浦孝亮)15
8位3号車 S Road NDDP GT-R(関口雄飛/千代勝正)8
9位15号車 ART TASTE PORSCHE(ティム・ベルグマイスター/土屋武士)8
10位52号車 GREEN TEC & LEON SLS(竹内浩典/黒澤治樹)6
11位31号車 apr HASEPRO PRIUS GT(新田守男/嵯峨宏紀)5
12位61号車 SUBARU BRZ R&D SPORT(山野哲也/佐々木孝太)5

 予選でポールポジションを獲得したのは33号車 HANKOOK PORSCHE(影山正美/藤井誠暢)。2位は88号車 マネパ ランボルギーニ GT3(織戸学/青木孝行)。31号車 apr HASEPRO PRIUS GT(新田守男/嵯峨宏紀)が3位に入る健闘をみせた。

 決勝のスタートはGT500クラスが1コーナーでアクシデントがあったため、1コーナーはイエローフラッグは振られ追い越し禁止。予選順位通りの静かなスタートが切られた。決勝の周回数は81周だが、GT300クラスはGT500クラスに5~6回は抜かれるので75周前後でゴールとなる。

GT300クラスのスタートシーン(Photo:Burner Images)

 スタート直後に戦線を離脱したのは66号車 triple a Vantage GT3(星野一樹)。クラッチトラブルのため2周でリタイヤとなった。速さは見せるが、前戦セパンでもミッショントラブルが発生するなど、マシンの信頼性がやや低いことを印象づけた。

 序盤はトップの33号車 HANKOOK PORSCHE(影山正美)が集団を抑える展開となり、1位から9位までが数珠つなぎの状態となった。15周目のヘアピンで8位の2号車 エヴァンゲリオンRT初号機アップル紫電(加藤寛規)が7位の87号車 JLOC ランボルギーニ GT3(山西康司)のインに飛び込むが、ラインを塞がれ2台は接触。87号車 JLOC ランボルギーニ GT3はコース復帰に手間取り後退、2号車 エヴァンゲリオンRT初号機アップル紫電はピットインし、周回遅れでコースに戻ったがすぐにピットに入りリタイヤとなった。

1周目の2コーナーは33号車、88号車、31号車と予選順位のまま8位の66号車は早々にリタイヤ。この後2号車が16号車を抜き8位にポジションアップする。
5周目に31号車が88号車を抜きに掛かるが順位は変わらず
トップ3台の接近戦4位争いも接近戦
6位、7位も接近戦7位、8位も接近戦87号車と2号車のバトル。この後2台は接触する
2号車と接触グラベルに入りコース復帰が遅れた87号車2号車はピットインしコースに戻るが直後にリタイヤ

 20周を過ぎ7台に減ったトップ集団から16号車 無限 CR-Z GT(武藤英紀)が遅れはじめ6台の争いとなる。6位を走行していた3号車 S Road NDDP GT-R(千代勝正)が20周目に52号車 GREEN TEC & LEON SLS(竹内浩典)を抜き5位に浮上。逆に31号車 apr HASEPRO PRIUS GT(新田守男)は徐々にペースを落とし始め26周目に911号車 エンドレス TAISAN 911(横溝直輝)に抜かれ4位に後退した。

 3号車 S Road NDDP GT-Rは27周目にペースの落ちた31号車 apr HASEPRO PRIUS GTを抜き4位、31周目に911号車 エンドレス TAISAN 911も抜き3位までポジションアップした。さらに88号車 マネパ ランボルギーニ GT3のピットイン、33号車 HANKOOK PORSCHEのピットインで暫定ながらトップまで登りつめた。5位に後退した31号車 apr HASEPRO PRIUS GTは28周目に早々にピットイン。嵯峨宏紀にドライバー交代し、後方から追い上げることとなった。

3位の911号車、4位の52号車を6位の3号車が追う展開52号車を抜き5位に浮上した3号車31号車を抜き4位へ
3号車は911号車も抜き2位の88号車に迫る31号車は早めにピットインをしコースに復帰88号車がピットインし3号車は2位浮上。トップの33号車を追う

 ピット戦略はチームごとに差がみられた。上位陣で最初にピットインしたのは31号車 apr HASEPRO PRIUS GTで28周目。52号車 GREEN TEC & LEON SLSは30周目。レースの折返しとなる37周目にピットインしたのは88号車 マネパ ランボルギーニ GT3、続く38周目には33号車車 HANKOOK PORSCHEと911号車 エンドレス TAISAN 911がピットイン。3号車 S Road NDDP GT-Rが最後で42周目にピットインを行っている。

 さらに、作業時間を短縮するため、タイヤ2本交換を選択したのは3号車 S Road NDDP GT-R、52号車 GREEN TEC & LEON SLS、88号車 マネパ ランボルギーニ GT3の3台。上位6台のインラップ、アウトラップのタイムを比較すると、最も短かったのは52号車 GREEN TEC & LEON SLS。0.6秒差で3号車 S Road NDDP GT-R。33号車車 HANKOOK PORSCHEと911号車 エンドレス TAISAN 911は12秒、15秒とピットインで大きく遅れたことが分かる。

 3号車31号車33号車52号車88号車911号車
インラップ1分32秒5751分30秒5591分30秒5821分31秒2691分32秒2921分32秒120
アウトラップ2分28秒8082分35秒3122分42秒2652分29秒5222分37秒3942分43秒377
2周合計4分01秒3834分05秒8714分12秒8474分00秒7914分09秒6864分15秒497
52号車との
タイム差
0秒5925秒08012秒0560秒0008秒89514秒706

 インラップ、アウトラップにはピット作業の時間だけでなくコースを走る時間も入っているので、当然トラフィックなどの影響もあるが、燃費の差による給油時間やタイヤ2本交換による作業時間の短縮が影響していると考えられる。

 上位陣のピットインが終わるとトップに立ったのはなんと31号車 apr HASEPRO PRIUS GT(嵯峨宏紀)。2位は52号車 GREEN TEC & LEON SLS(黒澤治樹)、3位は3号車 S Road NDDP GT-R(関口雄飛)、4位は88号車 マネパ ランボルギーニ GT3(織戸学)、5位は33号車 HANKOOK PORSCHE(藤井誠暢)、6位は911号車 エンドレス TAISAN 911(峰尾恭輔)となった。

 31号車 apr HASEPRO PRIUS GTはピットアウト後に空いた空間と新しいタイヤでラップタイムを上げ大幅にポジションアップに成功した。52号車 GREEN TEC & LEON SLS、3号車 S Road NDDP GT-R、88号車 マネパ ランボルギーニ GT3の3台はタイヤ2本交換作戦が功をそうした。33号車 HANKOOK PORSCHEと911号車 エンドレス TAISAN 911は給油時間の影響で順位を落としたと考えられる。

 31号車 apr HASEPRO PRIUS GTがピットインしてから、3号車 S Road NDDP GT-Rがピットアウトするまでを、最後にピットインした3号車 S Road NDDP GT-Rを基準にタイムギャップをグラフにしてみた。

 グラフから31号車 apr HASEPRO PRIUS GTのピットアウト後のペースアップ、タイヤ2本交換の効果、33号車 HANKOOK PORSCHEと911号車 エンドレス TAISAN 911のピットでのタイムロスが見て取れる。

3号車が52号車を抜き2位に浮上2位に落ちた31号車に52号車が迫ってきた

 ピット作業で大きく順位が変わったが、レースはまだ30周も残っている。後半のスティントで圧倒的な速さを見せたのは最後にピットインした3号車 S Road NDDP GT-Rだ。51周目に52号車 GREEN TEC & LEON SLSを抜き2位へ。57周目にトップの31号車 apr HASEPRO PRIUS GTも抜きついにトップに立った。

 逆にペースを落としたのは31号車 apr HASEPRO PRIUS GTだ。早めのタイヤ交換とピットアウト後のハイペースな走行が裏目と出たのか一気にペースダウン。トップの座を譲ると、62周目には3位、67周目には4位、69周目には5位、72周目には6位とズルズルと後退してしまった。

1コーナーで31号車を抜き52号車が2位浮上
88号車も31号車に追い付き、数周にわたりバトルを展開。3位に浮上した

 さらに重いウエイトハンデを背負い、後方で我慢の走りをしていたポイントランキング2位の0号車 GSR 初音ミク BMW(片岡龍也)と3位の11号車 GAINER DIXCEL R8 LMS(平中克幸)が残り3周で背後に迫ってきた。残り2周の1コーナーで31号車 apr HASEPRO PRIUS GTのイン側に0号車 GSR 初音ミク BMW、アウト側に11号車 GAINER DIXCEL R8 LMSが並びスリーワイドへ。0号車 GSR 初音ミク BMWがブレーキングを遅らせ6位浮上かと思われたが、止まりきれずにややオーバーラン。31号車 apr HASEPRO PRIUS GTは押し出される形でアウト側の縁石に追いやられ、ガラ空きになったイン側を11号車 GAINER DIXCEL R8 LMSがすり抜け6位に浮上、31号車 apr HASEPRO PRIUS GTは8位へ後退した。

終盤88号車に33号車が迫ってきたが順位は変わらず残り3周。31号車に0号車と11号車が接近
残り2周。31号車をイン側から0号車、アウト側から11号車が抜きに掛かる。0号車が抜いたかと思われたが、ブレーキングが遅れ31号車を押し出す形でアウトに膨らみ、ガラ空きになったインを11号車がすり抜け6位に浮上した

 トップに立った3号車 S Road NDDP GT-Rは最後までハイペースで飛ばし、終わってみれば2位に30秒の差を付け圧勝。2位には52号車 GREEN TEC & LEON SLSが入り初表彰台をゲット。3位は88号車 マネパ ランボルギーニ GT3が33号車 HANKOOK PORSCHEの追撃を振り切り表彰台の確保した。

 優勝した3号車 S Road NDDP GT-Rはデビュー4戦目で勝利し、千代勝正選手もルーキーイヤーで優勝することができた。話題となった16号車 無限 CR-Z GTは序盤は健闘するもピット作業中にトラブルが発生し16位で完走を果たした。

トップでチェッカーを受けピットクルーの祝福を受ける3号車GT300クラスの表彰台(Photo:Burner Images)

 上位陣の最終順位とドライバーズポイント上位は以下のとおり。

GT300最終順位

順位マシン名(ドライバー名)
1位3号車 S Road NDDP GT-R(関口雄飛/千代勝正)
2位52号車 GREEN TEC & LEON SLS(竹内浩典/黒澤治樹)
3位88号車 マネパ ランボルギーニ GT3(織戸学/青木孝行)
4位33号車 HANKOOK PORSCHE(影山正美/藤井誠暢)
5位911号車 エンドレス TAISAN 911(峰尾恭輔/横溝直輝)
6位11号車 GAINER DIXCEL R8 LMS(田中哲也/平中克幸)
7位0号車 GSR 初音ミク BMW(谷口信輝/片岡龍也)
8位31号車 apr HASEPRO PRIUS GT(新田守男/嵯峨宏紀)
9位43号車 ARTA Garaiya(高木真一/松浦孝亮)
10位61号車 SUBARU BRZ R&D SPORT(山野哲也/佐々木孝太)

GT300ドライバーズポイント

順位マシン名(ドライバー名)ポイント
1位911号車 エンドレス TAISAN 911(峰尾恭輔/横溝直輝)39
2位0号車 GSR 初音ミク BMW(谷口信輝/片岡龍也)35
3位11号車 GAINER DIXCEL R8 LMS(田中哲也/平中克幸)35
4位33号車 HANKOOK PORSCHE(影山正美/藤井誠暢)34
5位3号車 S Road NDDP GT-R(関口雄飛/千代勝正)28
6位2号車 エヴァンゲリオンRT初号機PETRONAS紫電(高橋一穂/加藤寛規)25
7位66号車 triple a Vantage GT3(吉本大樹/星野一樹)22
8位52号車 GREEN TEC & LEON SLS(竹内浩典/黒澤治樹)21
9位43号車 ARTA Garaiya(高木真一/松浦孝亮)17
10位88号車 マネパ ランボルギーニ GT3(織戸学/青木孝行)11
11位15号車 ART TASTE PORSCHE(ティム・ベルグマイスター/土屋武士)8
12位31号車 apr HASEPRO PRIUS GT(新田守男/嵯峨宏紀)8
13位61号車 SUBARU BRZ R&D SPORT(山野哲也/佐々木孝太)6

 このレースの模様はテレビ東京系列で毎週日曜23時30分からの「SUPER GTプラス」(BSジャパンでは毎週日曜10時30分から)で放送される。次戦は8月18日~19日に鈴鹿サーキット(三重県鈴鹿市)でPokka1000kmとしてシリーズ最長1000km、6時間の灼熱バトルが行われる。

(奥川浩彦/Photo:奥川浩彦/報道専用レースフォトデータベース Burner Images)
2012年 8月 8日