ニュース

メルセデス・ベンツ、新型「Sクラス」発表会を「日本丸」で開催

2~3年以内にPHV、ディーゼルHV車を日本市場に導入

メルセデス・ベンツ日本の上野金太郎CEO(右)と副社長のマーク・ボデルケ氏、新型Sクラス
2013年8月23日開催

 メルセデス・ベンツ日本は8月23日、東京・晴海に停泊する「日本丸」で10月1日に発売する新型「Sクラス」の発表会を開催した。発表会にはメルセデス・ベンツ日本の上野金太郎社長兼最高執行経営役員(CEO)、副社長のマーク・ボデルケ氏、ダイムラーAG デザイン統括 バイスプレジデントのゴードン・ワグナー氏が出席し、新型Sクラスの魅力を語った。

新型Sクラスの発表会は東京・晴海の日本丸船内で行われた。船内にはプールもあり、豪華な仕様はまさにSクラスといったところ
上野金太郎社長兼最高執行経営役員(CEO)
副社長のマーク・ボデルケ氏
ダイムラーAG デザイン統括 バイスプレジデントのゴードン・ワグナー氏
日本丸船内ではオリジナルグッズの販売も

 新型Sクラスのラインアップは、V型6気筒3.5リッター直噴エンジンにモーターを組み合わせる「S 400 HYBRID」(1090万円)と「S 400 HYBRID エクスクルーシブ」(1270万円)、V型8気筒4.7リッター直噴ツインターボの「S 550 long」(1545万円)、V型8気筒5.5リッターツインターボの「S 63 AMG long」(2340万円)と「S 63 AMG 4MATIC long」(2340万円)の5モデル。S 63 AMG 4MATIC longのみ左ハンドルで、S 550 longは左右から選択可能。そのほかのモデルは右ハンドルのみとなっている。

 先代Sクラス(W221)ではV型6気筒3.5リッター直噴エンジンを搭載した「S 350 BlueEFFICIENCY」がベーシックモデルとなっていたが、新型SクラスではS 400 HYBRIDがそのポジションを担うことになる。

S 63 AMG long(左)とS 550 longのショーファーパッケージ装着車

 また、新型Sクラスの発売を記念した特別仕様車「S 550 long Edition 1」(1750万円)も10月1日に発売する。こちらは専用となるフルレザー仕様のインテリアとともに、43.5度までリクライニングが可能なエグゼクティブシートやレッグレスト、フットレストからなる「ショーファーパッケージ」などを装備しており、限定280台の設定となっている。

 ボディーサイズは、ショートホイールベース版(3035mm)のS 400 HYBRIDシリーズが5116×1899×1493mm(全長×全幅×全高)、ロングホイールベース版(3165mm)のS 550 longが5250×1900×1495mm(同)、S 63 AMGシリーズが5287×1915×1499mm(同)。先代Sクラスと全高は変わらないものの、全長・全幅はわずかに拡大し、これにより室内では前席のショルダールームが14mm、エルボールームが10mm拡大。後席ではニールームが14mm拡大するとともに、ショルダールームが最大で9mm改善され、快適性を一層向上させている。

 また、これまでSクラスはショートホイールベースモデルを主体に開発を進めてきたが、特にアジア地域ではショーファードリブンとしての利用が多いことから、新型Sクラスではロングホイールベースモデルを主体とし、後席の快適性や安全性に関する装備を数多く採用しているという。

V型8気筒 5.5リッター直噴ツインターボエンジンを搭載するS63 AMG long。最高出力430kW(585PS)/5500rpm、最大トルク900Nm(91.7kgm)/2250-3750rpmを発生。ボディーはロングホイールベース版を採用し、サイズは5287×1915×1499mm(全長×全幅×全高)。室内では12.3インチTFT液晶画パネルを2つ横に並べたインストルメントパネルが目立つ
S 550 long(ショーファーパッケージ装着車)はV型8気筒 4.7リッター直噴ツインターボエンジンで、最高出力は335kW(455PS)/5250-5500rpm、最大トルクは700Nm(71.3kgm)/1800-3500rpm

「すべての領域で最善」を目指した新型Sクラス

新型Sクラスを「未来の自動車を予感させる“新時代のプレステージカー”」と評する上野CEO

 発表会の冒頭、上野CEOは「Sクラスはメルセデス・ベンツのフラグシップモデルとして、常に時代の最先端技術を搭載し、世界の自動車のベンチマークとされてきた。新型Sクラスは、驚くべき進化を遂げ、未来の自動車を予感させる“新時代のプレステージカー”として生まれ変わり、ここにお披露目することができた」と述べるとともに、“安全性か、デザイン性か”“パワーか、効率か”、“快適性か、運動性能か”。これらの二者択一ではなく、すべての領域で新型Sクラスが「最善」を目指したと説明。

 また、商品概要については副社長のマーク・ボデルケ氏が解説を行った。この新型Sクラスについて、「とてもユニークなクルマで、人間と同じように自ら考え行動する」と述べる。

 新型Sクラスでは、先に登場した「Eクラス」でも採用される、フロントウインドー内側のルームミラー付近にステレオマルチパーパスカメラ(SMPC、射程500m、立体検出は射程約50m、画角45度)を搭載するとともに、フロントに近距離レーダーセンサー(射程30m、ビーム幅80度)×2と長距離レーダーセンサー(200m/18度)、リア側面に近距離レーダーセンサー(同)、リアにマルチモードレーダーセンサー(30m/80度、80m/16度)を搭載する。ボデルケ氏の言う“自ら考え行動する”というのはこのカメラ、レーダーセンサーから得た情報を統合し、さまざまな機能・システムに活かしていることを指している。

 その一例である「レーダーセーフティパッケージ」に関してはEクラスのインプレッション(http://car.watch.impress.co.jp/docs/news/impression/20130704_606156.html)を参照されたいが、そのほかにも世界初のサスペンションシステム「マジックボディコントロール」(S 63 AMG longに標準装備、S 550 longにオプション設定)を初採用。マジックボディコントロールはSMPCを用いるシステムで、前方15mまでの路面を走査し、路面状況に合わせてダンパーの硬さを調整して衝撃を最小限にするとともに、フラットな乗り心地を実現するというもの。

 また、夜間走行時に歩行者などを検知した際にインストルメントパネル中央の表示をナイトビュー映像に切り替え、対象を赤く強調して表示することでドライバーに注意を促す「ナイトビューアシストプラス」では、ヘッドライト光を歩行者に当てて注意を促す(動物と歩行者を選別可能とし、動物には刺激を与えない)スポットライト機能を備えたほか、横風の影響を検知して必要に応じて車両片側のブレーキ制御を行う「クロスウインドアシスト」、SMPCを使って対向車などにハイビームが当たらないように自動で照射範囲をコントロールする「アダプティブハイビームアシスト・プラス」、ステアリングに触れずに縦列駐車が可能な「アクティブパーキングアシスト」、空から見下ろすように見える「360°カメラシステム」などを装備している。

特別仕様車「S 550 long Edition 1」は、AMGスタイリングパッケージや19インチAMG5ツインスポークアルミホイールといった専用装備とともに、インテリアではダイヤモンドステッチ入りのフルレザー内装を採用する
S400 HYBRIDは、最高出力225kW(306PS)/6500rpm、最大トルク370Nm(37.7kgm)/3500-5250rpmのV型6気筒 3.5リッター直噴エンジンに、20kW(27PS)/250Nm(25.5kgm)のモーターを組み合わせる

 このほか、新型Sクラスではショーファーパッケージに加え、バックレストに内蔵したエアクッションによるマッサージ機能に温熱機能を備えた世界初の「ホットストーンマッサージ」(前席:S 400 HYBRID エクスクルーシブ、AMGモデルに標準装備、S 550 longにオプション設定。後席:S 550 long、AMGモデルにオプション設定)、空気清浄機能やイオン放出によるウイルス除去といった効果のある「エアバランスパッケージ」に含まれる「パフュームアトマイザー機能」(S 400 HYBRIDにオプション設定、その他の全モデルに標準装備)、前面衝突時に後席左右のシートベルトストラップの幅を約3倍に膨張させることで、肩や胸にかかる衝撃を軽減する「SRSベルトバッグ」、左右独立のリアシートや格納式テーブルを備える「ファーストクラスパッケージ」など、多数の装備を採用している。

 このことから、ボデルケ氏は「快適性はSクラスの長い歴史の中で常にもっとも重要な要素の1つであり、ドライバーの快適性こそが安全につながるという思想がSクラスにはある。新型Sクラスは五感で品質の高さや究極の心地よさを感じてもらえる」「効率を改善するための画期的な技術開発も、新型Sクラスの重要な柱となっており、S 400 HYBRIDを日本市場でエントリーモデルに設定したことも、徹底した効率追求という我々の戦略をお分かりいただけると思う」と述べたほか、PHV(プラグインハイブリッド)車やディーゼルハイブリッド車を2~3年以内に日本市場へ導入することを明言した。

夜間走行時に、対象を赤く強調して表示することでドライバーに注意を促す「ナイトビューアシストプラス」では、ヘッドライト光を歩行者に当てて注意を促すスポットライト機能を備えた
「パフュームアトマイザー機能」は空気清浄機能やイオン放出によるウイルス除去といった効果がある
バックレストに内蔵したエアクッションによるマッサージ機能に温熱機能を備えた、世界初の「ホットストーンマッサージ」
前面衝突時に後席左右のシートベルトストラップの幅を約3倍に膨張させることで、肩や胸にかかる衝撃を軽減する「SRSベルトバッグ」
S400 HYBRIDのエンジンスペック
S550 longのエンジンスペック
「アルミニウムハイブリッドボディシェル」を採用し、アルミニウム素材を最適配置。これによりねじれ剛性を従来モデル比で約50%向上させることに成功している
「CLA」のCd値0.23に迫る0.24という空力性能を誇る
AMGモデルに搭載するV型8気筒 5.5リッター直噴ツインターボエンジンのスペック

(編集部:小林 隆)