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カーナビの地図とWeb地図サービスの地図を比較してみた

2013年9月20日に開通した東関東道 谷津船橋ICを実走チェック

2013年9月20日に開通した東関東自動車道 谷津船橋IC(インターチェンジ)。東関東道と平行に走る湾岸道路(国道357号)だけでなく、千葉船橋海浜線とも接続しているICで、幕張地区に行く際はとても便利に使えるIC。しかしながら新規ICであるためか、GoogleマップにはICとしての登録はあるものの、ナビゲーションルートが引けない状態

 カーナビの記事などを掲載して寄せられる声の1つに「スマートフォンがあれば十分」「Webの地図のほうが更新が早い」というものがある。実際、多くの人がそう判断したから、DVD再生やオーディオ再生機能に劣るPND(Portable Navigation Device)は急速に市場を失っていったし、逆に据え置き型のAV機能を持つナビは、MP3やAACなどのファイルオーディオ再生、スマートフォンと連携しての音楽・映像再生機能を強化することで、存在価値が見直されている。

 では、地図に限った場合、本当にWeb地図サービスのほうが更新が早いのだろうか。筆者はCar Watchで道路開通記事をこれまでに掲載してきたが、「Web地図が早い場合もあるが、遅い場合もある」という印象を持っており、Web地図サービスが必ずしも最速ではないと思っている。

 今、日本のスマートフォンでもっとも使われているWeb地図サービスと言えば「Googleマップ」だろう。Android携帯の標準地図サービスでもあるし、iPhoneなどのiOS端末も地図サービス切り替え時の失敗があったために、結局Googleマップを使い続けている人は多いと思う。筆者自身もスマートフォン地図のメインはGoogleマップで、サブにiPhone標準アプリの「マップ」を使っている。

 Googleマップを使っていて思うのは、「新規道路開通の反映が実は遅い」ということ。たとえば、新東名高速の一部開通区間の開通(2012年4月14日)の反映は数カ月遅れていたし、新東名高速よりも前に開通したはずの圏央道 高尾山ICは、新東名高速の開通を反映した後だった(おそらく新東名の反映を前倒ししたのだろう)。また、今回取り上げる東関東自動車道 谷津船橋ICは2013年9月20日に開通しているのだが、2014年4月15日時点で、検索では見つかるもののICへの出入り口が点線で表示されているのみ。半年が経過しているが、ナビゲーション用のルート案内データは実装されていないようだ。

●NEXCO東日本、東関東道 谷津船橋ICを9月20日15時開通
http://car.watch.impress.co.jp/docs/news/20130807_610689.html

東関東道 谷津船橋ICは谷津干潟の近辺に設けられている。4月15日現在、Googleマップにはデータが反映されていないように見える
検索すると地点データとして見つかる
拡大すると、ICへの出入り口らしき道が点線で表示されているのが分かる。残念ながら、ルート案内用のデータは整備されていないようだ

 これには基準となる地図データがゼンリンから提供されていることが関係しているのかもしれないが、Googleマップが新規道路開通情報の反映に積極的でないのは、道路好き・地図好きであればよく知っていることだろう。

カロッツェリアのベストセラーカーナビ「楽ナビ AVIC-MRZ099」。上位シリーズの「サイバーナビ」では地図の自動更新が可能な通信モジュールが最初から付属するモデルもあるが、楽ナビではオプション。今回は通信モジュールを使わない状態での記事とした

 では、据え置き型ナビはどうだろう。売り切り型の販売モデルを採用し、地図更新にそれほど積極的でないメーカーもあるが、頻繁な地図更新をウリにしているメーカーもある。それがカロッツェリアブランドで知られるパイオニアの「サイバーナビ」や「楽ナビ」だ。本記事では、カロッツェリアの普及機種である楽ナビと、代表的なWeb地図サービスであるGoogleマップの地図の鮮度を比較してみた。

地図の鮮度の比較は簡単。ただし、楽ナビへの反映は一手間必要

 実は地図の鮮度の比較は簡単だ。パイオニアはカロッツェリアのナビ用地図データのどの部分を更新したのか毎月掲載しているからだ。そのWebサイトは「マップチャージ更新情報」(http://pioneer.jp/carrozzeria/support/map_charge/)となり、ここを見ると更新個所一覧が分かる。後はこの更新個所をGoogleマップと比べればよい。と、これでは簡単に記事が終わってしまうので、実際に楽ナビでGoogleマップにはない部分を走ってみることにした。

 パイオニアから楽ナビを借り、車速パルス配線などして実際にクルマに取り付け。楽ナビを起動して、あたりをつけていた場所をカーナビの地図をスクロールして探す。「さすが楽ナビ、最初から反映されている!!」なんてことにはならない。

 これは、今回実地で試してみようとした東関東道 谷津船橋ICが、楽ナビ最新モデル発売直前の2013年9月20日に開通しているためで、さすがに直前に開通したインターまで反映するのは無理な話(サイバーナビでは、あらかじめ開通情報を埋め込むことで可能としている道路もある)。常に最新の道路情報を反映するために楽ナビではオプションで3年間通信アップデートなどが可能な通信モジュールを用意している。上位機種の「サイバーナビ」であれば、最初から通信モジュールがセットになっている機種があるため、ナビを起動すればアップデートが始まり、手間をかけずにアップデートが可能となっている。

 Car Watchを読んでいる人の多くはパソコンを使っていると思うが、楽ナビのアップデートはパソコン(とSDカード)さえあればそれほど手間ではない。楽ナビを購入してユーザー登録をすれば、パイオニアのWebサイトから「NAVI STUDIO」をダウンロードして、アップデートファイルを手に入れることが可能になる。アップデート手順も簡単で、楽ナビ側でSDカードにID情報を記録。そのID情報を記録したSDカードをパソコンにセットし、NAVI STUDIOの「アップデートマネージャー」を起動すればよい。画面の指示に従えば、最新のアップデートファイルが入手できるので、今度はそのアップデートファイルが記録されたSDカードを楽ナビにセットすればよい。地点更新程度であれば数分で、プログラムのアップデートが伴うと30分程度(但し、その間もナビは使えるのでとくに待つ必要はない)で終了する。

起動直後の楽ナビの画面。東関東道 谷津船橋ICは地図データとして存在しない
東関東道 谷津船橋ICがない状態で海浜公園まで引いたルート。湾岸習志野ICを利用している
もっとも短い距離を走るルートは一般道をそのまま走るルート。しかしながら、先ほどのルートよりも燃料代が上がっているほかCO2排出量が増えている。高速代はかからないが、渋滞の発生を考慮すると、先ほどのルートがよいだろう
ちなみに楽ナビの計算のもとになっているデータはこのような感じにセットし、楽ナビが自動計算したのが右の画面のデータ。自分の愛車にあわせてセットし、調整すればよいだろう
まずはSDカードに楽ナビのID情報を記録し、アップデート作業を行う
パソコンでNAVI STUDIOの「アップデートマネージャー」を使い、先ほどのSDカードに更新をダウンロード
プログラムファイルのほか、地図データなどの更新情報も見つかり、それをSDカードに記録。その後、楽ナビにSDカードを差してアップデートした
楽ナビがSDカード内のアップデートファイルを見つけると、このような表示が出るので「はい」をタッチ
プログラムバージョンアップのため再起動を行う
バージョンアップ中
バージョンアップ完了
自動的に再起動中
さらなる更新作業に入る
プログラムバージョンを最新のものにした
次に地図データをバージョンアップ。3月11日に最新のものが配信されていた
地図データの更新は、ナビを使いながらのバックグラウンド更新が可能。画面下に「更新中」表示が出ている
一通り更新が終わると、最終作業として再起動が必要なようだ。好きなタイミングで再起動すればよい
新しいデータを有効にするとのこと
地図データと、検索データが最新のものになった。先ほどの画面よりバージョンが進んでいる
谷津船橋ICができていた

 出発地点は東京の豊洲駅付近、目的地を千葉県習志野市の海浜公園にセットする。アップデート前と後で楽ナビの引くルートが異なり、アップデート後は東関道にできた谷津船橋ICを使っている。こちらのほうが高速道路を長めに走るのでより短い時間で到着するようで、楽ナビのエコルート探索でも、よりエコであるとの結果が出た。高速道路を長めに走るのでお財布には優しくないが、渋滞しがちな湾岸道路(国道357号)を走らずに到着するのがポイントとなっている。なお、カーナビの画面撮影は消費税増税前に行っているため、4月以降の新料金となっていない。消費増税に対応した新料金のアップデータは、6月の全データ更新から順次対応していく予定になっている。

谷津船橋ICを地図データとして持つことで、より効率的なルートが可能になる。谷津船橋ICがないときのデータと比べ、所要時間を41分から39分へ短縮することで、燃料費を310円から290円に引き下げている。よりエコなルートを利用できるわけだ

 では、Googleマップはどうなのだろう。記事作成のために走行したのは2月下旬。現在4月中旬だが、いまだに当時と同様、谷津船橋ICは地図にルート情報が反映されておらず、ルートも渋滞しがちな湾岸道を延々と走るものとなっている。

Googleマップでのルート検索。谷津船橋ICのデータがないため、首都高千鳥町で高速を下りるルートとなる。湾岸道の渋滞に捕まりやすい
谷津船橋ICのデータが本当にないのか確認のため、さらに西に目的地を設定してみたところ。300mほど西に設定すると、湾岸習志野ICを提案された。やはり谷津船橋ICのルート案内用データはもっていないようだ

 実は、この谷津船橋ICを使えるようになると、幕張のイオンに湾岸道路を使わずアクセスでき、近辺に住む人にとっては絶大なメリットがある。逆に言えば、更新がそれほど早いとは言えないGoogleマップのナビでは渋滞に巻き込まれる可能性が高いのに対し、最新地図の楽ナビやサイバーナビではその可能性が低くなる。ナビの地図は新しいほうがよいし、地図が新しくないとルートの質も下がってしまう典型的な例だろう。

実際に豊洲から海浜公園まで走ってみた。楽ナビでは谷津船橋ICがハイウェイモードでもきちんと表示された
出口を案内中。天気は雨。NAVI STUDIOで天気情報も取得したためだ
実際の天気も雨。谷津船橋IC出口は分かりやすいとはいえず、カーナビでの案内が非常にありがたい
間もなく谷津船橋IC。湾岸道(国道357号)方面ではなく、千葉船橋海浜道路をルート案内しているのがポイント
谷津船橋IC
谷津船橋ICを出るとすぐに分岐があるので右へいく。ここでの方面車線データは、楽ナビのアップデート後でも収録されていなかった
谷津船橋ICから千葉船橋海浜道路へ。最初の交差点を左折
最初の交差点を左折する
しばらく走れば目的地の海浜公園へ
せっかく来たので、海浜公園で写真を1枚撮影。雨なので誰もいないように見えた
実は海浜公園を少し西へ向かうとイオンモール幕張新都心が見えてくる。東京方面から向かう場合、湾岸習志野ICが案内される。しかし、渋滞時などは谷津船橋ICから向かうのがお勧めだ。この日は平日のため渋滞していなかったが、休日など湾岸習志野IC渋滞時は谷津船橋ICからのルートが提案されるだろう

カーナビとWeb地図サービスの両方の活用を

 ここでは、Googleマップを例に挙げたが、実はGoogleマップは地図更新の遅さでは定評のあるWeb地図サービス(だが、利用シェアは高い)。すべての道路をチェックしているわけではないが、筆者の感覚で地図更新が早いのは、「Yahoo!地図」(http://maps.loco.yahoo.co.jp/)と、パイオニアとカーナビの地図データを作っているインクリメントPが運営する「MapFanWeb(マップファン・ウェブ)」(http://www.mapfan.com/)だ。Yahoo!地図は開通前の道路のルートを独自に調査して掲載しており、開通後の反映も早め。MapFanWebは道案内のために道路開通の反映を優先しているカーナビ地図と比べタイミングが遅くなる場合もあるが、原則として月1回の更新で地図情報を新しく書き換えている。

 また、一見地図データが更新されたように見えても、実際はルートが引けないということがWeb地図サービスにはあるのも事実。これは、ルートを引くのに必要なベクトルデータの整備が追いついておらず、見た目だけの道路が存在する状態。逆にベクトルデータだけ入っていることもある(道路がないところにルートが引かれる)。適宜修正されていくのがWeb地図サービスのよいところだが、安定したナビゲーションという点では、もう1つな部分だ。

 2013年度末は、各地で道路の開通が相次いでいた。2014年度には、東名高速と中央道を結ぶ圏央道(相模原愛川IC〜高尾山ICおよび寒川北IC〜海老名JCT[ジャンクション])の開通(6月)、新東名高速名古屋区間(浜松いなさJCT〜豊田東JCT)の開通、首都高中央環状品川線の開通などが控えている。いずれも道路ネットワークを根本から変えるほどのもので、このルートがナビゲーションに反映されるかされないかは、ドライブだけでなく通勤路においても大きなものだろう。

 カーナビを購入する際は地図アップデートのサービスに留意して、またWeb地図サービスを利用する際は地図更新の反映具合を確認していただきたい。

2013年11月23日に全通した名古屋高速4号東海線 六番北〜木場間の例。左が更新前の楽ナビ、右が更新後の楽ナビ。高速道路が全通するなどの場合は、よりルートの品質が向上するだろう
左から、Googleマップ、Yahoo!地図、MapFanWeb。Googleマップでは高速道路がまったく開通していないのが分かる。一番利用されている地図が、一番更新が遅いのは正直どうなのだろうと思う。今後の更新速度アップに期待したい

(編集部:谷川 潔)