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2016年度開通を目指す新名神高速 高槻JCT~神戸JCT間の建設現場を見る
六石山トンネルの発破作業映像も紹介
(2014/6/2 12:47)
- 2014年5月中旬
2014年5月中旬、NEXCO西日本(西日本高速道路)は現在建設中の新名神高速道路 高槻JCT(ジャンクション)~神戸JCT間の建設現場を報道陣向けに公開した。
新名神高速 高槻JCT~神戸JCT間は、2018年度(平成30年度)完成として計画された区間だが、現在工事を進めている中で2016年度の完成を目指している。この区間は、中国自動車道 宝塚付近~吹田JCTで起きる宝塚渋滞を解消する道路にもなり、7月20日に全通する舞鶴若狭自動車道と合わせて3つの高速道路が用意されることになる。
前回紹介した「(仮称)猪渕トンネル」の開通式もこの区間に含まれ、今回公開された個所である、「(仮称)川西IC(インターチェンジ)」「六石山トンネル」「広根第一高架橋」はいずれも猪渕トンネルの東側(大阪より)の区間となる。本記事では、これらの区間を東から紹介していく。
川西IC
川西ICは兵庫県川西地域で建設中のIC。この工区を担当するNEXCO西日本 新名神兵庫事務所 真伸行所長によると、新名神高速の工事では土の管理が重要な要素になっているという。土の管理とは、ある個所では山を切り崩し、ある個所では土を盛る必要があるということ。川西地区では220万m3の土を切り出し、凹んでいる個所である宝塚SA(サービスエリア)にダンプカーで運んでいく。当然ながら、これらダンプカーは周辺の環境を考慮して通過台数などが地元自治体と調整され、ダンプカー1台1台が管理されている。
六石山トンネル
六石山トンネルは、川西市と猪名川町に位置するトンネルで、2013年11月から掘削を開始。2014年5月現在で約6割ほど掘削が進んでいる。工法は掘削部分をコンクリートで固め、ロックボルトを打ち込んでいくNATM(ナトム)工法で、猪名川トンネルと同様のもの。将来的には上下別々のトンネルを開通させるが、当面は下り線のトンネル開通を優先し、川西ICの建設などで出た土を宝塚SA(サービスエリア)方面へと運んでいく。
ここではトンネルを掘り進む際に使う発破(ダイナマイト)による爆破を見学。といっても、爆発する瞬間を見られるのではなく、100m以上離れた個所から爆破音だけを聞くことができた。
実際の発破による爆発音は上記の映像を見てほしいが(音が割れているのは、それだけ爆発音が大きかった)、「ドーン」と大きな音がするのではく、複数の爆発音が聞こえてくることだ。これは爆発した際に土がキレイに吹き飛ぶように爆発をグループ分けしているため。最初に中央で爆発させ、次にその外周を、さらにその外周をというように、円周上にグループ分けして爆発させている。およそ7グループに分けているとのことだ。
広根第一高架橋
広根第一高架橋は、猪名川町道を超えるように架かる。六石山トンネルの西に位置し、川西IC建設で出た土を宝塚SAの工事へ運べるよう先行して工事されている。六石山トンネル、広根第一高架橋、そして猪名川トンネルと部分開通することで一般道を走る土運用のトラックを減らそうとしている。工事による周辺環境への影響をできるだけ避けるためだ。
見学した広根第一高架橋は、下り線のもの。全長159mの高架橋となり、PC(プレストレストコンクリート)が使われている。一般的にコンクリートは、圧縮方向の力には強く、引っ張り方向の力には弱い。そのため、コンクリート内部に鉄筋を通して引っ張り方向の力を受ける部分を用意したのが鉄筋コンクリートで、マンション建設などによく使われている。
PCは、あらかじめコンクリートに圧縮方向の力(プレストレス)を加えておくことでより強度を増そうというものだ。以前は、コンクリート内部にプレストレス用のケーブルが走っていたが、経年変化やメンテナンスのコストを考慮し、コンクリート外部にケーブルが用意されている。図を見てもらうと分かると思うが、箱形のコンクリートブロックを長辺方向から圧縮するように配置されていた。しかも、単純に真っ直ぐケーブルが張られているのではなく、ところどころ斜めにケーブルを張ることで適切な強度を得ている。このような設計は1999年2月から採り入れられており、耐震設計についても東日本大震災クラスを考慮したものになっているとのことだ。
冒頭に記したように、新名神高速 高槻JCT~神戸JCT間は2016年度の前倒し開通を目指している。これにより渋滞の名所となっている中国道 宝塚トンネル付近の渋滞解消など、関西圏の道路ネットワークの充実を図っていく。