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首都高、横浜環状北線の「シールドマシン(コッピー号)解体現場」「馬場出入口拡幅部」を公開
本線シールドトンネルを“地中で楕円形に広げる”世界に類を見ない拡幅工事の現場も
(2014/6/6 20:54)
首都高速道路は、3月7日に掘進作業を終了した「横浜環状北線」の本線シールドマシンの解体現場などを報道機関向けに公開した。
横浜環状北線は、2007年12月から本格的な工事に着工した第三京浜・港北IC(インターチェンジ)と首都高の神奈川1号線・生麦JCT(ジャンクション)を接続する全長約8.2kmの高速道路。予定地のうち約5.9kmは地下にトンネルを掘って建設され、約5.5kmがシールドトンネル区間。2013年10月に生麦方面行きトンネルを掘進する「ナッピー号」が子安台にある目的地の「到達立坑(横浜市神奈川区子安台一丁目)」に到達。今年3月には港北方面行きトンネルを掘進する「コッピー号」も同じ到達立坑までトンネルを掘り進め、本線シールドマシンの掘進がすべて完了している。
今回は、到達立坑目前まで進んで役割を終え、運び出すために解体作業を受けているコッピー号の姿と、本線トンネルの完成を受け、トンネル内に新設が予定されている「馬場出入口」のトンネル拡幅工事現場などが公開された。
シールドマシン(コッピー号)解体現場
2010年10月に新横浜に用意された「発進立坑(横浜市港北区新羽町)」から港北方面行きトンネルの掘削を始め、3年5カ月作業を続けてきたコッピー号。直径が約12.5mで長さは11.5m、重量は約2000t。じつは取材陣が立っているあたりもコッピー号の内部という位置づけになる。
地面を掘進しながら内部でトンネルの壁面であるセグメントを組み立ててトンネルを構築してきたコッピー号は、ゴールとなる到達立坑のコンクリート壁に到達した段階で役目を終え、本体外周はコンクリートセグメントを内側から追加してトンネルの一部になり、内部に収められていた機械などは5000分割されて運びだされることになるという。すでに本体外周と地下を掘り進むためのカッターフェイス、カッターフェイスを駆動する支持部分を残すのみという状態になっていた。分割されたコッピー号は、再利用可能なパーツをほかの工事現場でも活用する予定とのこと。ちなみに、コッピー号より半年ほど先に掘進作業を終えたナッピー号は、すでに解体作業が終了している。
馬場出入口のシールドトンネル拡幅工事
次に訪れたのは馬場出入口の工事現場。通常であれば、ランプウェイの工事はトンネル内でも地表から掘り進めていくのが一般的だが、このエリアは地上部分のほとんどが一般の住宅地などとなっており、横浜環状北線のトンネルは地上に影響を与えないため深い位置にある硬い「上総層群」と呼ばれる地盤を利用しているため深すぎる。そこで、この馬場出入口では世界的にも類を見ない「本線シールドトンネル拡幅工事」を採用。本線トンネルの完成を受けて、まさにこれから本格的な工事に着工したばかりだという。
この拡幅工事では、本線トンネルの外周を取り囲むように鋼管の「パイプルーフ」をトンネル延長方向に打設。拡幅したい方向に向けてパイプルーフは放射状に広げられており、パイプルーフで補強したあとで本線トンネルのセグメントを一部取り外して横方向に掘削し、トンネルを部分的に楕円形に拡張する工事となっている。パイプルーフの先端には、シールドマシンと同じようなカッターフェイスが備えられ、掘り出された土砂は水と混ぜてポンプで後方に送られる。パイプルーフが放射状に広がって隙間ができても、周囲の土砂を支える強度には問題がなく、浸透してくる水分は土砂に水止め剤を送り込んで対応する。この水止め剤の散布にもパイプ内部の空間が利用され、作業員がパイプ内部から作業するとのこと。
高速道路の建設現場にトロッコを発見!
このほか、取材中に工事中の横浜環状北線で気になったものについて紹介したい。まずはシールドマシン解体現場までの移動で利用したトンネル床版下を走る工事用トロッコ。
今回の取材では解体現場まで横浜環状北線内をバスで移動したが、まだ最後まで床版が完成していないため、途中からトンネル底面にレールを敷いた工事用トロッコに乗り換えることになった。このトンネルは走行路面となる床版と呼ばれる板で上下に分割され、上側を利用者が高速道路として日常的に走るスペースに設定し、下はトンネル内で事故などが起きてしまった場合に使う避難通路や、道路の維持・管理といったメンテナンスなどの管理用道路に利用される。これにあたり、トンネルの一番下の部分は最終的にコンクリートを敷き詰めて平らな路面とするので、工事が終わる前にはこの工事用トロッコのレールもすべて撤去される