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マツダ、“コンパクトカーのクラス概念を打破する”新型「デミオ」発表会
SKYACTIV-D 1.5エンジンを今後B/Cセグメントの複数車種に搭載、欧州市場などグローバルに展開
(2014/9/12 00:00)
マツダは9月11日、同日に受注を開始した新型コンパクトカー「デミオ」の発表会を都内で開催した。
新型デミオは、直列4気筒DOHC 1.3リッター直噴ガソリンエンジン「SKYACTIV-G 1.3」または直列4気筒DOHC 1.5リッター直噴ディーゼルターボエンジン「SKYACTIV-D 1.5」を搭載。それぞれ6速ATの「SKYACTIV-DRIVE」、5速MT(ガソリン車)/6速MT(ディーゼル車)の「SKYACTIV-MT」を組み合わせるなど、「CX-5」「アテンザ」「アクセラ」に続く、SKYACTIV技術と新デザインテーマ「魂動(こどう)-Soul of Motion」を全面採用した新世代商品の第4弾モデルとなる。
ガソリンエンジンは「13C」「13S」「13S L Package」、ディーゼルエンジンは「XD」「XD Touring」「XD Touring L Package」とそれぞれに3グレードを設定し、いずれも2WD(FF)車と4WD車を展開する。新型デミオの正式発売予定日は、ガソリンの2WD車が9月26日、ディーゼル車の2WD車が10月23日。4WD車は12月を予定している。価格は135万円~219万2400円。
デザイン、走り、機能性など、あらゆる領域でセグメントの常識を超えた上質さをお届けする
発表会はマツダ 代表取締役社長兼CEOの小飼雅道氏から挨拶が行われた後、開発担当主査の土井歩氏から製品概要について紹介された。
小飼氏は冒頭、「1996年の初代発表以来、モデルチェンジの度に私たちはデミオでコンパクトカーの新しいあり方をお客様にご提案してきた。初代では、機能的で広々とした室内空間、2代目ではBセグメントとは思えない走行性能、そして2011年にSKYACTIVガソリンエンジンを初搭載し、当時の内燃機関でハイブリッド車並みの低燃費を実現したのもデミオでした。その甲斐もあり、18年間で世界累計240万台を販売するなど、今やマツダの基幹車種の1つになっている」と、同社におけるデミオのポジショニングなどについて紹介。
そして4代目となる今回の新型デミオについては、「CX-5以降の新世代商品に採用してきた新しいマツダの技術とデザインの考え方のすべてをコンパクトなボディーに凝縮させることを目指した」とし、新型デミオでは「コンパクトカーのクラス概念を打破する」「SKYACTIV-D 1.5の搭載」「グローバル生産体制の進化」という3つの革新に挑戦したことを説明。
1つ目の「コンパクトカーのクラス概念を打破する」については、「新型デミオでは、デザイン、走り、機能性など、あらゆる領域でセグメントの常識を超えた上質さをお届けする。安全かつ疲れにくい、ロングドライブを可能にする理想的なドライビングポジションやペダル配置、アクティブ・ドライビング・ディスプレイ(ヘッドアップ・ディスプレイ)など安全最優先のヒューマン・マシン・インターフェイス(HMI)、質感が高く精緻なインテリア、コンパクトボディーに凝縮した魂動デザイン、人馬一体の運動性能などは、上級セグメントからお乗り換えいただいたお客様にもご満足いただけるものに仕上がっている」と、その完成度に自信を覗かせる。
クリーンディーゼルエンジンのさらなる普及を目指した2つ目の「SKYACTIV-D 1.5の搭載」では、「すべてのお客様に走る喜びと、優れた環境・安全性能をお届けするため、コンパクトカーに搭載可能な小型ディーゼルエンジンであるSKYACTIV-D 1.5を開発し、国内最量販車種であるデミオに採用する。おかげさまで、2013年の国内ディーゼル乗用車販売実績の6割がマツダだった。我々がマーケットを開拓してきた国内での先駆者としての責任を果たすために、クリーンディーゼルの一層の普及を目指していく」と語ったほか、SKYACTIV-D 1.5はCX-5などに搭載する「SKYACTIV-D 2.2」と同じく低圧縮コンセプトにより、高価なNOx後処理装置なしで高い環境性能を実現しながら2.5リッターガソリンエンジン車並みの最大トルク(250Nm)を達成し、高回転までリニアに加速する優れた運動性能が特徴だとした。
また、SKYACTIV-D 1.5搭載車のJC08モード燃費が30.0km/L(2WD/6速MT)を達成していることに加え、SKYACTIV-D 1.5エンジンを今後B/Cセグメントの複数車種に搭載し、ディーゼル車が普及している欧州市場などグローバルに導入することが明らかにされている。
3つ目の「グローバル生産体制の進化」については、「新型デミオ(Mazda2)をいち早く世界中のお客様へお届けするため、7月に生産を始めた山口県の防府工場に続き、タイとメキシコの海外工場でも同時期に立ち上げる。まず『オートアライアンス(タイランド)』では近日中に生産を開始し、オセアニアおよびASEAN諸国へ出荷する。また、メキシコ新工場『マツダモトールマヌファクトゥリングデメヒコS.A.de C.V.』でも2014年度中に生産をスタートさせ、中南米、北米、欧州に向けてMazda2を展開していく。グローバルに3つの工場でほぼ同時期に新型車生産を立ち上げることは、私たちにとって大きな挑戦であり、マツダの歴史で初めてのこと」と述べるとともに、「防府工場がマザープラントとしての役割を果たし、新しいモノづくりをグローバルに展開することで、タイとメキシコでも日本国内と同じ高品質のクルマを生産し、お客様にお届けすることをお約束する」「新世代商品の導入に合わせて、マツダは生産・開発のプロセスをモノづくり革新により根本から刷新してきた。とりわけ新型デミオは国内生産を維持しながら海外生産を加速させ、為替変動に強いビジネス基盤を作ることにより構造改革をより堅固なものにしていく」と、同社にとって新たな試みに挑戦しつつ、引き続き改革を実施することを誓った。
なお、小飼氏は先日広島で発生した土砂災害についても触れ、「災害発生以降、広島は全国の皆様からさまざまなご支援を賜り、弊社社員もご心配や励ましのお言葉を頂戴している。この場をお借りしまして心より御礼申し上げます。今後は復旧に向け弊社もできる限りのサポートをして参る所存であります」と述べている。
セグメントの常識を超える高い技能・価値を実現し、既成のクラス概念を打ち破ることに挑戦
次に開発担当主査の土井氏から、新型デミオの商品概要について紹介が行われた。
土井氏は、「『大きなクルマだから立派じゃなきゃいけない』『コンパクトなクルマだからそれなりでいい』といった、各セグメントにクルマの価値が結びついている風潮があるように感じる。そこで新型デミオではセグメントの常識を超える高い技能・価値を実現して、既成のクラス概念を打ち破ることに挑戦した」とし、「長距離ドライブ性能」「スタイリングと品質感」という大きく2つの項目に着目して開発にチャレンジしたことを紹介。
コンパクトカーが苦手とする「長距離ドライブ性能」においては、「コンパクトカーは通常、市街地走行をメインに考えられる。しかし我々はコンパクトカーでもドライビングの楽しさを味わっていただいて、どこまでも遠くに走って行っていただきたい。そういう想いを込めて新型デミオでは長距離ドライブに関わるさまざまな性能を向上させた」といい、「ドライビングポジション」「安全技術・HMI技術」「走りと燃費」にスポットを当てて性能向上を図ったという。
ドライビングポジションについては特にペダルレイアウトにこだわった。コンパクトカーは全長が短く、幅が狭いため足下のペダルレイアウトにしわ寄せがきていたそうだが、「新型デミオではペダル間をできるだけ広くして、なるべく左右対称にして下半身をねじらなくてもペダルを踏めるようにした。これによってコンパクトカーながらより大きなクルマと同じように疲れにくく、踏み間違えることのない最適なペダルレイアウトを実現した」。この最適なペダルレイアウトを実現したポイントは、先代モデルよりフロントタイヤを80mm前方に配置したことにあり、骨格をイチから作り直したことで実現したものという。
そして「安全技術・HMI技術」では、低速走行時の追突事故による被害を軽減する「スマート・シティ・ブレーキ・サポート(SCBS)」、走行中に後側方からの接近車両を検知しドライバーに知らせる「ブラインド・スポット・モニタリング(BSM)」、後退時に接近する車両を検知しドライバーに知らせる「リア・クロス・トラフィックアラート(RCTA)」といったマツダの先進安全技術「i-ACTIVSENSE(アイ・アクティブセンス)」や「マツダコネクト」を新型デミオでも採用したことに触れ、「これらで新型デミオの長距離ドライブをサポートしていきたい」と土井氏は語っている。なお、新型デミオではDSC(ダイナミック・スタビリティ・コントロールシステム)&TCS(トラクション・コントロール・システム)を全車に標準装備するとともに、SCBS&AT誤発進抑制制御(MT車はSCBSのみ)を13Cをのぞく全モデルに採用するなど、安全装備面の充実化を図っている。
また、「走りと燃費」では新開発のSKYACTIV-G 1.3とSKYACTIV-D 1.5を設定したことに触れ、「SKYACTIV-G 1.3は優れた低燃費を維持しながら出力性能を向上」「SKYACTIV-D 1.5は超低燃費と走りを高次元で両立」と、それぞれの特徴について紹介するとともに、「(いずれのエンジンも)お客様が実際に使用される実用燃費で高い実力を発揮するようチューニングした。航続距離(モード燃費×タンク容量)では1000kmを超えている」と、その魅力について紹介した。
もう1つのチャレンジ項目である「スタイリングと品質感」では、「マツダのデザインテーマである“魂動”デザインをグッと新型デミオのコンパクトなボディーに凝縮して進化させた。そしてクルマ全体、細部にわたって活き活きとした生命感を与えるなど独創的な存在感を持たせた」「インテリアは世界のベンチマークになるというテーマを掲げ、クラスを超える品質感を実現することにチャレンジした。ドライビングを楽しむコクピットと開放的な助手席という2つの空間を対比させた室内にするなど、すべてを劇的に変革させている」とアピール。
最後に土井氏は、「新型デミオは新世代商品で培ってきた思想・技術をコンパクトなボディーにグッと凝縮してセグメントの常識を超える高い機能と価値を実現し、既存のクラス概念を打ち破っていく。ぜひ実車で確認いただきたい」と述べて解説を終えた。