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メルセデス・ベンツ、豊橋新車整備センターに納車を行う施設「デリバリーコーナー」新設

日本で唯一となるナンバープレートの封印取り付けが可能に。センター内の厳しい検査工程も公開

メルセデス・ベンツ日本が所有する豊橋新車整備センター(VPC)内デリバリーコーナーで初めての納車式が行われた
2014年10月20日開催

 メルセデス・ベンツ日本は10月20日、愛知県の豊橋新車整備センター(VPC)に納車を行う施設「デリバリーコーナー」を新設したことを発表、このデリバリーコーナーで初めての納車式が行われ、その模様を報道陣に公開した。

 納車式にはメルセデス・ベンツ日本 代表取締役社長兼CEOの上野金太郎氏、愛知県 副知事の中西肇氏、豊橋市市長の佐原光一氏が登壇して挨拶を行うとともに、メルセデス・ベンツ日本 代表取締役副社長 サービス・パーツ部門担当の荒垣信賢氏が豊橋新車整備センターの概要について説明した。

豊橋VPCはJR豊橋駅から約8kmの三河湾沿いに位置する。住所は愛知県豊橋市神野西町1-1-3
デリバリーコーナーのエントランス
取材当日は、エントランス横に圧倒的な存在感を誇る8000万円の6輪駆動G クラス「G 63 AMG 6×6」が展示されていた
デリバリーコーナーの一角。入ってすぐのところに1886年にカール・ベンツが発明した世界初といわれるガソリン自動車「ベンツ・パテント・モーターカー」(写真右)のレプリカモデルが展示してあった

 同社は2009年まで、茨城県日立市にある日立VPCと豊橋VPCの2拠点に新車整備を行う施設を持っていたが、リーマンショック以降は市場環境の変化や販売状況を鑑みて、日立VPCの1拠点に集約。その一方で、2010年以降の販売実績は4年連続で対前年比を上回り、2013年は5万5000台を超えて過去最高台数を記録したほか、商品多様化に対応するための新車整備能力の拡張が急務と判断し、再び豊橋VPCを新設することを決定(2014年8月に操業開始)。この豊橋VPCの新設によって新車整備能力は従来の約3割向上し、安定的に6万台以上を整備できる体制が整ったという。

 そんな豊橋VPCでは、新たにデリバリーコーナーを設置した。これは新車を購入したユーザーに整備を行ったばかりの車両を直接納車するという施設で、豊橋VPCのある三河港において、メルセデス・ベンツなどのインポーターをナンバープレートの封印取付代行者として容認することなどを盛り込んだ「国際輸入自動車特区」案が、規制緩和という形で認められたことから実現したもの。従来は陸運局で行われていたナンバープレートの封印作業が豊橋VPCのデリバリーコーナーでも可能になり、このような取り組みは日本で初めてのことだという。

 なお、デリバリーコーナーは納車時の手続きなどが行える専用ラウンジを備えるほか、コレクショングッズの展示、納車されるマイカーと記念撮影が行えるガラス張りのスペースが用意される。さらにメルセデス・ベンツオーナー向けに加え、一般来場者向けの新車整備の工程などを見学できる豊橋VPC見学ツアーも新たに設定した。

豊橋VPCのデリバリーコーナーとして初めての納車式を実施。車両はメルセデス・ベンツ浜松和田店でオーナーの森田氏が購入した「S 550 long Premium Sport(ダイアモンドホワイト)」
納車式では森田氏に花束やビックキーが贈呈された
車両は販売店を介することなく乗って帰ることが可能だ
ナンバープレートの封印作業が豊橋VPCのデリバリーコーナーでも可能になった

より多くの人にメルセデスを身近に感じていただきたい

メルセデス・ベンツ日本 代表取締役社長兼CEOの上野金太郎氏

 納車式の冒頭に登壇した上野社長は、「おかげさまでメルセデス・ベンツの販売台数は、1〜9月の累計で対前年比+12%の約4万4000台と大変好調を喫している。また、7月に発表した新型C クラスは日本カー・オブ・ザ・イヤー実行委員会よりインポートカー・オブ・ザ・イヤーを受賞させていただき、今後さらなる新型C クラスの販売増を期待している」と述べるとともに、「ドイツ本国をはじめ、世界の工場で製造された車両は約40日以上かけて日本の地に到着するが、私たちはお客様に最高の状態の車両をお届けする使命がある。販売店様に配車する前に、責任をもって点検・整備を行う施設が新車整備センター」と日立VPCおよび豊橋VPCの存在意義を説明。

 また、「今後、お客様の選択肢の1つとして豊橋市にお越しいただき、待望の新車をここで受け取っていただき、ドライブしながらお帰りいただくというブランド体験がご提案できるようになった。一般の方にも新車整備センターをご見学いただけるツアーを11月から開始させていただく。多くの方に遊びにきていただき、より多くの人にメルセデスを身近に感じていただきたいと思っている」とし、豊橋VPCの新サービスの紹介も行った。

 一方、愛知県 副知事の中西氏は「今後デリバリーコーナーを通じてこの地に訪れた方々については、この地域は大変おいしい食べ物やさまざまな文化が寄っているところ。そうしたところを肌で感じていただきたい」、豊橋市市長の佐原氏は「デリバリーコーナーの開設にあたりましては、プランを立てて担当官庁の国土交通省と話を始めてから5年ほどが経つ。“ナンバープレートは車検場のあるところでつける”という常識を何とか覆したいということで話を進めてきた。当初は特区で話を進めていたが、結果として規制緩和という形で2年ほど前に(国土交通省に)受けていただき、昨年規制緩和が実現した。時間をかけてきたメンバーにとって最高の喜び」と述べるなど、これまでの苦労について語られるとともに、今後の豊橋VPCの発展に期待を寄せた。

愛知県 副知事の中西肇氏
豊橋市市長の佐原光一氏
メルセデス・ベンツ日本 代表取締役副社長 サービス・パーツ部門担当の荒垣信賢氏が豊橋VPCやデリバリーコーナーなどについて紹介を行った
新車整備センターは日本のユーザーに最高のコンディションの車両を届けるための機能、法規に適合した車両かどうかを検査して完成検査証を発行する機能の大きく2つの役割がある
ドイツ本国など製造された国から車両が日本に届いてからの流れ。細かな検査に加えロードテストも行われている
2013年は過去最高となる5万5000台以上の年間新車整備台数を記録するといったニーズの高まりを受け、豊橋VPCを設立
豊橋VPC新設の目的
豊橋VPCの概要。当面は東海・近畿エリアを中心に担い、その他の地域は日立VPCが担当する
VPCの新たな取り組みとして、デリバリーコーナーの新設とともにVPC見学ツアーを用意した
デリバリーコーナーについて。開始当初は愛知県、岐阜県、三重県、静岡県のオーナーを対象に行い、2015年1月以降は近畿地方まで対象を拡大予定。さらに2015年4月以降は関東、北陸、四国、中国地方のオーナーも対象予定としている

豊橋VPCの見学ツアーを紹介

 納車式の後には豊橋VPCの見学ツアー(通常の見学会の簡易版)が行われたので、写真で紹介する。

船から豊橋VPCに搬入される前の車両群。ドイツ本国から約1カ月半かけて運ばれてくるという。航海中にバッテリーなどが低下していないかの確認がここで行われるが、最近のモデルは一部の機能しか利用できないようにする「トランスポートモード」と呼ばれるモードにして運搬されるため、ほぼバッテリーへの影響はないという
搬入車両は外装チェックなどを行う前にエンジンからの異音やサスペンションにガタがないかなど、走行性能に問題ないか実際に構内を走行(約1km)して確認を行う。写真はそのスタート地点
走行チェック後、鉄粉除去剤で車両について鉄粉を取る。ドイツの生産工場から港へ運ぶ際に鉄道が使われ、鉄道の車輪とレールの摩擦でメタルダストが発生し、それが外装に付着してしまうことがあるため。写真では分かりにくいが、テールゲート付近を寄りで見ると(写真右)うっすらとした紫色の液体が見える。これが鉄粉除去剤が反応して鉄粉を落としている証拠だという
鉄粉除去剤をきれいに取り除いた後、洗車機をかけてボディー全体をきれいにする。ふき取りも人の手で行われる
コンベアラインに乗せ、内外装やエンジン、下回り、オーディオが確実に操作できるかなどのチェックを行う。ベルトコンベアは1分間に約95cm進む設定だそうで、1時間で15台(2レーン合計)をチェックすることが目標という
外装のチェック後、塗装のムラなどがあるとピンク色のテープでその個所をチェック。必要とあらばポリッシャーで磨きをかけて修正を行う。1台1台の車両のコンディションはPCで管理され、その情報は工場内はもとより東京 六本木にある本社でも確認が行えるようになっている。作業者は1mm程度のキズ、ムラも見逃さないという
板金やポリッシュなどを行うスペース。デリケートな作業のため、経験を積んだ作業者しか行わないという
完成検査ライン。国土交通省が定めた規定に沿って作業は行われ、主にヘッドライトの光軸やサイドスリップのテスト、ブレーキが効くがどうかのテストなどをテスターを使って実施
最後にクオリティゲートと呼ばれる最終チェックを実施し、その検査を通過すればボンネットフード、ルーフ、トランクフードに白い保護フィルムを、さらに外装のクローム部に保護フィルムを貼って全行程は終了となる。いずれの工程もメルセデス・ベンツの名にふさわしい、厳しいチェックが行われていたのが印象的だった

(編集部:小林 隆)