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マツダの新世代フルタイム4WDシステム「i-ACTIV AWD」を北海道 剣淵町で体感してきた

「アテンザ」から「デミオ」まで、同一コントロールシステム搭載

マツダの新世代フルタイム4WDシステム「i-ACTIV AWD」を、北海道上川郡剣淵町で体感してきました

初公開されたマツダの冬のテストコース「剣淵試験場」

 北海道旭川市から北へ50kmほど行ったところに、マツダの「北海道剣淵試験場」がある。1985年に開設された同試験場において、マツダは毎年1月から2月にかけて、冬季耐寒試験を行なっている。そして今回、報道陣に初めて同試験場が公開された。

マツダの北海道剣淵試験場にずらりと並ぶi-ACTIV AWD搭載車
i-ACTIV AWD搭載車には、左リアに「AWD」バッジが装着される。初期のCX-5には何も付いておらず、外見からの判別ができなかった

 12月の中旬、1週間にわたって開催された雪上取材会において、実は我々が参加した日程がもっともコンディションがテストには芳しくなかった(雪や寒さに恵まれなかった)とのことだが、それでもマツダの新世代フルタイム4WDシステム「i-ACTIV AWD」の実力の高さは十分に感じ取ることができた。

 最初に試験場ではなく周辺の公道を「アテンザワゴン」でドライブ。約1年前のマイナーチェンジでi-ACTIV AWDが選べるようになったアテンザワゴンは、こうしたワゴン自体の選択肢が少なくなった世の中で、フルタイム4WDに加え、ディーゼルやMTが選べるという貴重なモデルでもある。

アテンザワゴンは、2WD(FF)もi-ACTIV AWDも選択でき、ガソリンエンジン、ディーゼルエンジン、6速AT、6速MTなど好みのパワートレーンを選択できる貴重なクルマ
SKYACTIV-D 2.2+6速MT+i-ACTIV AWDという組み合わせで一般道を試乗した

 登場した当初のアテンザワゴンは乗り心地が硬く、ディーゼルの6速MTは最初のひと転がりでトルクがついてこないなど、いろいろ気になることもあった。最新版はそのあたりも改善されている。

 先ほども述べたとおり、今回は雪が少なく、わざわざ雪のある道を探さなければならないぐらいだったのだが、舗装路ではいたって快適な乗り心地が印象的だった。そして雪道もとても走りやすい。10〜20cmぐらい積もった坂道も、なんら問題なく走っていける。地上高は一般的な数値なので、あまり深くなると車体との干渉が気になるものの、ある程度は大丈夫だ。

しゃぶしゃぶの雪だったが、路面を捉える力は強く、走破力は高い
数少ない雪道走行
雪が積もっている場所もあるが、ほとんどの道路で積雪を見ることはできなかった
スタッドレスタイヤは、ブリヂストン ブリザック VRX。剣淵町の隣にある士別市で開発されている
JR剣淵駅で記念写真
一般道走行を終え、剣淵試験場へ向かう

 このクラスのワゴンは多くがオンデマンド式の4WDを採用しており、前輪がだいぶ滑ってから後輪を駆動させるのに対し、アテンザワゴンは空転することもなく、タイムラグをほとんど感じさせない。実際には、かなり滑りやすい路面だったり、勾配がついている状況でも気にせず駆け上っていける。実は難しい状況でも、そう感じさせないところが優れているのだ。

コース内でさまざまな走行を体験

 一般道走行でi-ACTIV AWDの十分すぎる能力を確認後、次に剣淵試験場で各種の走行を行なってみた。まずは場内の直線路や旋回場・周回路で、おなじみ虫谷氏の解説でスラロームなどを試す。車種は「アクセラ」だ。

 本来であれば、操縦安定性に関するもっと微妙なところを体感するはずだったところ、この日はすぐに轍ができてしまい、それができなかったのは残念なものの、i-ACTIV AWDの走破性の高さは実感することができた。FFの2WDも走り出してしまえば結構いけるが、発進性やライントレース性の違いは明白だ。i-ACTIV AWDはアンダーステアが小さく、高めの車速を維持したままでもイメージしたラインに乗せやすい。

アクセラの2WDとi-ACTIV AWDを乗り比べ。同乗者はマツダの走りの味に深く関わっている操安性能開発部 主幹 虫谷泰典氏

 クルマを上り勾配で斜めに止めた状態からの発進も、一般的には少しずり下がってから進み出すところ、何事もないかのように発進できてしまう。FFの2WDでは難しい場面だ。また、横滑り防止装置をOFFにすると、ドライバーの運転の特徴をセンサーが読み取って積極的に攻めて走ろうとしていると判断するため、まるで後輪駆動車のように走れてしまう。

 ドリフト走行もこなせる。アクセルOFFでノーズがグンとインを向き、そこからパワーをかけるとテールスライド状態を維持させて走ることもできるのだ。やっぱりドリフトは楽しい! こういうことができるのもi-ACTIV AWDならではである。

アクセラのi-ACTIV AWDでは、横滑り防止装置をOFFにしてドリフト走行を試した

 次いで、アクセルコントロール性のよさを体感した。SKYACTIV(スカイアクティブ)以降のマツダ車がドライビングポジションにこだわって設計されていることは、すでによく理解しているが、降雪地での使われ方にも大いに配慮していることが分かった。実際にブーツに履き替えてコースを走行したのだが、あまり違和感を覚えることなく走れた。オルガンペダルは、厚底で曲がりにくいスノーブーツでもカカトを踏みかえる必要がないので、アクセルの踏み込み量を調整しやすい。また、ペダル自体の模様も、スノーブーツのように裏底が深く尖っていても、ひっかかることがないようにされているのだ。

スノーブーツ使用時を考慮して作られているマツダの新世代車。最も小型となる「デミオ」でもそれは同様だ。このセッションは、走行・環境性能開発部 主幹 井上政雄氏と同乗した

 続いて、「高速登坂、山岳路」を走行および視察。マツダではリアルワールドでの走行試験を重視しており、剣淵試験場につながっている町道で、冬季には積雪により封鎖される区間も使ってテストしているとのことで、そこを我々も走ることができた。この日はかなり滑りやすい状況だったのでゆっくり走ったが、テスト時には決して広くないワインディングを80〜90km/hの車速で走るというから驚きだ。

高速登坂、山岳路は、「アテンザ」「CX-3」で走行。雪の状態が非常にわるく、高速で走れる状態ではないとのこと

 最後に、i-ACTIV AWD機構に関する解説を聞き、さらに「急急登坂路、坂道発進性能」へ。急急登坂路では「CX-5」で走行。ここでは7〜8%と、それなりにきつめの勾配で、アクセル開度を変えて2WDとAWDの違いを試した。そっと踏んだときはスタッドレスタイヤの性能が高いため両者の差は小さく、全開で試したときの差は歴然。どちらもトラクションコントロールによりパワーが絞り込まれるのだが、前に進み始めるのはi-ACTIV AWDのほうが圧倒的に早い。先でも述べたが、この空転することなく、タイムラグもなく発進できる点において、マツダのi-ACTIV AWDは非常に優れている。

2WDのCX-5と、i-ACTIV AWDのCX-5。タイヤの回転などからどちらが2WDで、どちらがi-ACTIV AWDだか分かるだろうか? 正解は動画を見ていただければと思う
MAZDA CX-5 i-ACTIV AWD vs. 2WD

 こうして、やや条件は厳しかったものの、マツダ i-ACTIV AWDの性能の高さを一部ではあるが体感することができた。あまりAWDのイメージがなかったマツダだが、i-ACTIV AWDの訴求に力を入れていく方針を打ち出し、1年前に初めて冬季の試乗会を実施するなどしたところ、今ではディーラーを訪れる人からも、AWD性能の高さが認識されつつあることがうかがえるようになったとのこと。i-ACTIV AWDは、「アテンザ」「CX-5」「アクセラ」「デミオ」「CX-3」に搭載され、同クラスの中でもトップクラスの実力を身に着けているように思う。好調のマツダは、AWDも絶好調であった。

剣淵試験場で見かけたキタキツネ

(岡本幸一郎 / Photo:安田 剛)