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三菱ふそう、スーパーグレートVによる「燃費合戦(ねんぴグランプリ)」説明会

“燃費合戦カラー”のスーパーグレートVが日本全国で燃費改善を競う

2016年2月9日 開催

“燃費合戦カラー”のスーパーグレートV 2016年モデルの前に立つ、三菱ふそうのスタッフ

 三菱ふそうトラック・バスは2月9日、「燃費合戦出陣式」と題して、1月から6月までの期間に開催する「燃費合戦(ねんぴグランプリ)~Fuel Grand Prix~」の開催概要の説明と、実際に参戦する車両の一部公開を実施した。

 この“合戦”イベントは、同社の大型トラック「スーパーグレートV 2016年モデル」5タイプを用意。計250社の一般ユーザーに、現在利用中のトラックとスーパーグレートV 2016年モデルの燃費を比較してもらい、合わせてスーパーグレートV 2016年モデル同士でも燃費を競うという内容となっている。

ユーザーに実燃費を実感してもらうことが狙い

“燃費合戦カラー”が与えられたスーパーグレートV 2016年モデル(ダンプ)
スーパーグレートV 2016年モデル50台を用意して行なわれる「燃費合戦(ねんぴグランプリ)」

 このイベントの狙いは燃費を競い合うことにもあるが、参加したユーザーにスーパーグレートVの実燃費を比較・体感してもらうことが中心となっている。カタログ記載の数値やメーカーが示す実燃費だけでは、個々のユーザーが実際に導入したときの燃費として直接的な参考にはなりにくい。そのため、現在使っているトラックと同等のスーパーグレートV 2016年モデルをイベントで提供して、同じように日々の業務で使ってもらい、燃費の違いを感じてもらうことを目指している。

 単純な燃費比較ではスーパーグレートVの燃費性能を理解してもらいにくいと考え、ユーザーのエリアごと、車種ごとなどに燃費を競い合ってもらうことで、より燃費に対する理解と省燃費運転の実践を進めることも狙いとなっている。

 さらにユーザーにとっては、自分の会社で働くドライバーが低燃費運転をしているのか他社のドライバーと比較することができ、今後の輸送コスト削減にも役立つという。

 個々のユーザーが取り組む既存車両との燃費比較では、同社の従来モデルだけでなく、新旧を問わない競合他社の車両も対象となっている。今回参加する250社のうち、所有車種の割合で、他社製を主に使うユーザーが45%ほどになり、単なるスーパーグレートの新旧比較にならないようにしている。

 そのため、イベントが終わったときに他社製のトラックのほうが燃費がよかったという結果になる可能性もあるが、「スーパーグレートV 2016年モデル」の実燃費を信頼しており、他社よりも優位になる自信があるからこそこのイベントを実施するとのこと。

既存車に2週間乗り、その後にスーパーグレートV 2016年モデルを4週間乗って1クールとする
対抗戦は3部門を設定。「駆動軸別対抗」が個人戦でもあり、異なる車種とは競わないため盛り上がるだろうとの予測

“合戦”での具体的な戦い方は、まず既存車両を2週間、各種データを取りながら乗ってもらう。日々の走行距離、軽油給油量、AdBlue給水量を計測。燃費は原則として満タン法で、積み荷の状況などについても合わせてデータ化してもらう。その後、4週間に渡ってスーパーグレートV 2016年モデルを使い、同様のデータを取得。加えて念のためにデジタルタコグラフの燃費データも記録し、既存車両と燃費を比較する。

 スーパーグレートV 2016年モデルの燃費データについては3つの部門別に争われる。1つめは全国を5ブロックに分けた「地域別対抗」(団体戦)。2つめは車種と駆動軸単位での平均燃費を競う「駆動軸別対抗」(個人戦)。3つめは車両タイプに関係なく平均燃費を競う「総合部門」(個人戦)となる。

 用意された車両は50台で、これによって5クールを行なうため250社が参加することになる。「駆動軸別対抗」は各クールごとの競争で、ほか2つの部門は5クール合計で競う。

低燃費はお客様のビジネスのため、低燃費を体感してもらう

三菱ふそうトラック・バス株式会社 喜連川研究所所長 安藤寛信氏

 イベントの概要説明は、三菱ふそうトラック・バス 喜連川研究所所長の安藤寛信氏、三菱ふそうトラック・バス 営業推進部部長の大田譲氏の2人が行なった。

 安藤氏は2015年10月に喜連川研究所所長に就任するまで、同社の川崎製作所で20年に渡り設計を担当していた人物。そんな安藤氏は「弊社がなぜ燃費に重要度を置いているか。もちろん環境保護などもあるが、お客様のビジネスに利益をもたらすため燃費の改善を行なっている」と語り、同社での燃費に対する考え方を説明。「燃費データは分かりにくい。カタログ燃費は実際とずれることがあり、弊社では実燃費として別に出しているが、今度は各社条件がいろいろなので比較しにくい」と話し、示した数字の勝負でなく、今回のイベントで実際に燃費のよさを実感してもらうとした。

 また、「お客様にいい燃費を出すレクチャーをして、弊社の新製品の使い方も知っていただけるのでは」と語り、燃費合戦をつうじて別の効果が出ることにも期待を見せた。

燃費合戦を率いる三菱ふそうトラック・バス株式会社 営業推進部部長 大田譲氏

 一方、燃費合戦を率いる三菱ふそうトラック・バス 営業推進部部長の大田譲氏は「2014年に発売したスーパーグレートVは、これまでに1万台を超える受注をいただいた」と好調ぶりを説明。燃費を改善した2016年モデルで燃費合戦を行なうことは「まさに三菱ふそうの真価を問われるチャレンジ」と意気込みを表した。

 さらに2016年モデルについて「2014年の登場時よりも5%の燃費改善をした」と説明し、「2014年モデルでもお客様から高い評価をいただいている。競合他社に対して5~10%の優位性を持つと確信している」と自信を示した。

 大田氏は参加するユーザーの属性についても答え、他社製を主に使うユーザーが全体の45%、そのほかは三菱ふそう車を多く所有するユーザーが15%、他社と併用しているユーザーは40%だとし、他社のユーザーが多く集まったことは狙いどおりとした。

 燃費合戦の結果は、途中経過も含めて同社Webサイトの専用コーナーで公開している。また、燃費合戦の優秀ユーザーを集め、表彰式などの開催も検討しているという。

燃費合戦で使われる車両ラインアップ。カーゴ(ウイング)は6×2と8×4の2タイプ、トラクタはトランスミッションがマニュアルとAMTで2タイプを用意する

“燃費合戦カラー”のスーパーグレートVが街を走る

燃費合戦ということで、出陣式に武将役として登場した三菱ふそうトラック・バス株式会社 販売統括部トラック販売部 永山敬一氏

 スーパーグレートV 2016年モデルでは、燃費改善のために細かな改良を行なうとともに、カーゴ系のAMTである12速INOMAT-II(イノマット ツー)搭載車に「エコドライブパッケージ装着車」を追加設定。変速タイミングの最適化と惰性走行を積極的に活用する動力遮断自動制御システム、オートクルーズ エコノミーコントロール機能を搭載した。

 GVW(車両総重量)20tダンプは平成27年度重量車燃費基準+5%達成車を新規設定し、ISS(アイドリングストップ&スタートシステム)の標準装備とした。停止の多いダンプカーの利用シーンでの燃費を改善したという。

 燃費合戦は1月15日から一部ユーザーに対してスーパーグレートV 2016年モデルを引き渡してすでにスタートしているが、今回、報道陣向けに喜連川研究所内で燃費合戦の参戦車両を公開した。披露されたのはダンプで、総重量1万9990kg、積載量9300kg、7速MT仕様という車両。エンジンは380PS/185kgmを発生する「6R10(T3)」型を搭載する。

車型モデル仕様エンジン変速機重量車モード燃費値提供台数
FUFU64VUZ3XVBカーゴエコドライブパッケージ6R10(T3)12段AMT INOMAT-II4.25km/L15
FSFS64VVZ3XVB15
FP-RFP64VDR4XKセミトラクタ6R10(T4)7段MT3.25km/L5
FP64VDR4XKV12段AMT INOMAT-II10
FVFV60VJXD3Xダンプ6R10(T3)7段MT4.40km/L5

 車両には「燃費合戦」をイメージしてもらうため、炎やロゴをデザインした専用ラッピングが施されており、ひと目で燃費合戦参戦車両であることが分かるようになっている。ユーザーが使う際は使用者登録の関係でユーザーの社名をボディに記載するが、基本的にはこのカラーのまま使用され、日本国内を走行する。

 なお、今回はカーゴ(ウイング)、トラクタは展示されなかった。これらの車両はすでにユーザーに引き渡されて燃費合戦をスタートしており、すでに燃費の記録も集まり始めているとのこと。ダンプのみ架装の関係で納期がずれたため、この会場で展示されることになった。

スーパーグレートV 2016年モデルのGVW 20tダンプ
キャブチルトした状態
荷台アオリには特にロゴなどは入っていない
タイヤは地域によって冬季にスタッドレスタイヤを装着することもある。タイヤにもよるが、標準装着タイヤと比べて燃費が1割ほど低下することもあるという
燃料タンクはボディ左側面にある。このダンプ仕様のタンク容量は200L
2016年モデルでは、オイルポンプやエアーポンプといったエンジンの補機類にも改良が加えられた
同社では基本的にドライバーの習熟度に関係なく低燃費化できるAMTのINOMAT-II(イノマット ツー)をすすめている。カーゴでは全車INOMAT-IIとなるが、ダンプやトラクタにはMT仕様も設定。こちらは7速MT車
運転席。デジタルタコグラフ関連の機器や、荷台の昇降操作部が取り付けられている
ドライバー側にラウンドした形状のダッシュボード
7速MTのシフトレバー。基本は2速発進となる
アナログ2眼式のメーターパネル。エンジンをかけると中央部分がカラーディスプレイとなり、各種情報が表示される
ダンプ仕様はカーゴ仕様などと比べれば機能は少ないが、センターコンソールのシフトレバー後方に多数のスイッチを設定。2016年モデルの特徴的機能であるISS(アイドリングストップ&スタートシステム)の解除スイッチも用意している。
ペダル類はアクセルとブレーキがオルガン式。ステアリングシャフトで見えないが、クラッチペダルは吊り下げ式となる
レッドのカラーリングの燃費合戦車
ブルーのカラーリングの燃費合戦車
イエローのカラーリングの燃費合戦車

(正田拓也)