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京都発のEVスポーツカー「トミーカイラZZ」量産開始発表会

0-100km/h加速3.9秒、車両重量850kg。本体価格は800万円(税別)

2016年3月21日 開催

京都府舞鶴市 赤レンガパーク

量産開始記念展示とプレス向け発表会で公開されたEVスポーツカー「トミーカイラZZ」。写真は左から舞鶴市長 多々見良三氏、GLM株式会社 代表取締役社長 小間裕康氏、小阪金属工業株式会社 代表取締役社長 櫛田美樹氏

 GLM(京都府京都市)は3月21日、京都府舞鶴市の赤レンガパーク5号棟において同社が開発・販売を手がける電気自動車(EV)のスポーツカー「トミーカイラZZ」の量産開始を記念し、報道陣向けの発表会を開催した。生産は京都府舞鶴市の小阪金属工業が担当し、2015年12月からすでに開始している。

 発表会の冒頭、GLM 代表取締役社長の小間裕康氏は「我々の目指すEVは環境や経済的メリットはもちろんだが、何より乗っていて楽しい、ワクワクするような自動車を目指している」と語り、0-100km/h3.9秒の加速力、850kgの軽量な車体というスポーツカーとしての資質をアピールした。

GLM株式会社 代表取締役社長 小間裕康氏
小阪金属工業株式会社 代表取締役社長 櫛田美樹氏
舞鶴市長 多々見良三氏

 トミーカイラZZで採用されるプラットフォーム(車台)とボディは、分離することによりさまざまなデザインが展開でき、プラットフォーム自体もバスタブ型のメインフレーム、前後サブフレームという3つのモジュールで構成されているのでサイズの変更にも対応する。そこに組み合わされるモーターやインバータ、バッテリー等の組み合わせによりさまざまな新しい需要にも対応できる。すでにサウジアラビア、中国からの注文を受けており、特に中国においては3月にこの新しいプラットフォームを利用する新しい自動車メーカーが誕生したとのことだ。

 オムロン(電子部品)、ニチコン(コンデンサー)、GSユアサを親会社とするリチウムエナジージャパン(バッテリー)、そして小阪金属工業の溶接技術など、京都発の技術によって生まれたトミーカイラZZだが、「これからも自動車産業以外からの知恵もどんどん自動車産業に送り込み、世界中に新しい自動車産業を生み、そこから京都のテクノロジーが詰め込まれた新しい感覚の自動車を生んでいく。それが我々GLMのプラットフォームビジネスの考え方」と小間氏は語った。

量産EVスポーツカー「トミーカイラZZ」。本体価格は800万円(税別)だが、クリーンエネルギー自動車等導入促進対策費補助事業(CEV補助金)の対象車種であることから最大85万円の補助を受けられるという
小阪金属工業の高い溶接技術により量産が実現したというプラットフォーム(車台)
前後サスペンション
バッテリーやコンデンサー、電子部品、そのテクノロジーすべてが京都の企業によるものだ

 なお、このトミーカイラZZは、1997年に同じく京都のトミタ夢工場が生み出したトミーカイラZZ(ガソリン車)を原点に持っているが、今回量産を開始したモデルは設計からデザインまですべて新設計。受け継いだのはスポーツカーのエッセンスであり、共通する部品はノーズにあるエンブレムのみだという。継承されたのはまさに1990年代に生まれたトミタ夢工房の「想い」であり、トミタ夢工房創業者の冨田義一氏もこの新型EVスポーツカーのプロジェクトに参画している。

 また、このプロジェクトのチーフクラスのエンジニアは、実はすべて大手自動車メーカー出身のスタッフで、デザインは初代トミーカイラZZの実質的後継車ともいえる「ガライヤ」のデザインも担当した西田典幸氏、開発ドライバーはレーシングドライバーの白石勇樹氏が務めている。

デザインは「ガライヤ」のデザインも担当した西田典幸氏によるもの。ボディサイズは3865×1735×1140mm(全長×全幅×全高)、ホイールベース2370mm。サスペンション構造は前後ともにダブルウィッシュボーン式を採用。モーターをミッドシップに搭載し、システムの最高出力は225kW(305PS)、最大トルク415Nm(42.3kgm)とアナウンスされている
フロントフェンダー/ホイール
リアフェンダー/ホイール
フロントのエンブレムのみが初代トミーカイラZZとの唯一の共通パーツだ
シンプルなインテリア
EVにとって温度の重要性が高いことがメーター表示を見ると感じられる

 小間氏による挨拶のあと、量産を担当する小阪金属工業 代表取締役社長の櫛田美樹氏、舞鶴市長 多々見良三氏がスピーチを行なった。

 櫛田氏は、このプロジェクトの依頼を受けた時、自社の培ってきた溶接技術を活かす仕事であると同時に、小間氏の提案するワクワクする仕事がしたかったとのこと。また、普段の仕事は裏方であることが多いが、この夢のある仕事が社員のモチベーション向上にもつながっていると語った。

 そして多々見氏は、舞鶴市の雇用状況が決してわるいわけではないのに、子供たちが故郷には仕事が少ないとのイメージを持ち京阪神へ就職しようとする状況に触れ、舞鶴の企業が生産を担当するこのプロジェクトに賛辞を贈った。

 このあと、小間氏がステアリングを握り、助手席に多々美氏を乗せて敷地内での試乗を行なってプレス向け発表会が終了した。発表会終了後は、一般公開に向けふたたび京都府舞鶴市の赤レンガパークの5号棟に展示された。

小間氏の運転で多々見 舞鶴市長が助手席体験
乗り込むのにもちょっとしたコツが必要なので小間氏がレクチャーした
明治〜大正期に建てられた貴重な赤レンガの倉庫群で最先端の技術の結晶が披露された

(高橋 学)