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SUPER GT、九州の震災に対する今後の展開と支援活動、DTMとの規則統一について

第3戦オートポリスの代替案は、2レース制が有力

2016年5月4日 発表

 SUPER GTを運営するGTアソシエイションは5月4日、第2戦決勝日の富士スピードウェイで定例記者会見を行なった。

開幕戦(岡山)を振り返って

 会見にてGTアソシエイション代表取締役 坂東正明氏は4月9日~10日に行なわれた岡山国際サーキットでの開幕戦を振り返り、イエローフラッグが一度も出ずにレースが終了したことに触れ「期則正しい青少年のようなキレイなものではなくバチバチ(に競い合う)レースでありながら、マナーはきっちり守れるドライバーが多くなってくるのはいいことだ」と述べた。また「岡山国際サーキットは過去のデータから見て2週目の土日の晴天率が高かったので今年は2週目の開催となったが目論見どおり晴れ、よかったと思っている。そういう点で興行的にはよかった半面、駐車場不足が露呈した側面があったのでこれから改善策を講じていく」とのこと。

熊本の震災について

 熊本地震により被災した熊本市内の状況、オートポリス周辺のさまざまなアクセス路については現在調査中。オートポリスからの情報によると、新しいほうのクリスタルルームのガラスや壁、柱、ピットの壁が破損。コース上にも1コーナーの先、下のヘアピンに、コースを横断する亀裂が発生。水捌けのため設置されたコース外側の溝とコースには段差が生じ、横にもずれているとのことだ。GTAとしてはクリスタルルームにお客さんを入れることは難しく、また、取り壊しになるだろうと考えているため、そこに通常の観戦スタンドを設置し、また、(現在のオートポリスはほかのコースとは違い進行方向の左側にピットレーンがあるので)思い切って現在とは逆の進行方向になるようなコースになればマシンの給油口の問題も解決するのでは?との提案等を行なっているとのことだ。

 以上の点を鑑み、GTアソシエイションの取締役会の決定事項として今期のオートポリスでの開催中止を決定。代替案としてこれから開催されるレースのどこかで2レース制を導入するなどの検討を始めていて5月末には決定する方向という。

 新規のレースを新たに計画することはなく、夏の富士(第5戦)、もしくはツインリンクもてぎでの最終戦で2レース制の導入が有力とのこと。

 熊本の震災支援については、熊本県合志市に御殿場の水2Lボトル1200本を横浜ゴムのADVANカラーの4トン車で運び、今回のレースでも富士スピードウェイ、SUPER GT、FIA-F4、PCCJ(ポルシェカレラカップジャパン)との協力のもとに義援金の受付を行なっている。これからもモータースポーツ界全体を一本化して熊本の支援を続けるという。なお、一本化するための銀行口座も開設済みとのことだ。

DTMとの規則統一について

 現状ではDTMはワンメイクタイヤ、SUPER GTは複数タイヤメーカーによるコンペティションという違いが大きく、サスペンションパーツの規則統一が難しいという。2017年、2018年シリーズを使い、2019年シリースに向けサスペンションまわりを合わせていく。

 空力パーツに関しても、2017年はすでにモノコックでのダウンフォース削減も含め開発が始まっているので、現状では空力における統一も難しい。サスペンション同様2019年にその差が収束できるよう進行し、現在目指しているClass One規則(SGT-DTM共通技術規則)に向け歩んでいるという。5月11日に東京で行なわれるステアリングコミッティでは、そういうプロセスに対する認識を確認してもらうことになるとのことだ。

 なお会見で坂東氏は「一緒にやってコストを落とそう、コストを落としながらグローバル化を進めましょう、というこの取り組みによりワールドワイドな大会となり、夢のような話だがさまざまな諸問題を乗り越え、このレースがワールドチャンピオンシップになることが一番いいことだと思っています」と、会見を締めくくった。

(高橋 学)