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第4戦菅生で80kgのウエイトハンデを背負う1号車 MOTUL AUTECH GT-R

SUPER GT第2戦富士 優勝記者会見

2016年5月4日 開催

GT500クラスで優勝した1号車 MOTUL AUTECH GT-R(松田次生/ロニー・クインタレッリ組)

 5月4日に開催されたSUPER GT第2戦富士。その模様は、関連記事(終盤の大逆転で1号車 MOTUL AUTECH GT-R(松田次生/ロニー・クインタレッリ組)が開幕2連勝)でお届けしたとおり、GT500クラスは1号車 MOTUL AUTECH GT-R(松田次生/ロニー・クインタレッリ組)が開幕2連勝を、GT300クラスは3号車 B-MAX NDDP GT-R(星野一樹/ヤン・マーデンボロー組)が今季初優勝を飾った。

 決勝レース後には、GT500、GT300両クラスの優勝ドライバーによる記者会見が行なわれた。その概要をお届けする。

GT300クラスで優勝した3号車 B-MAX NDDP GT-R(星野一樹/ヤン・マーデンボロー組)

GT300、GT500ともGT-Rが優勝

ヤン・マーデンボロー選手:SUPER GTの2回目のレースで優勝できるなんて最高の気分。富士に向けてはテストもあったし、今回に向けてチームメイトと協力してクルマを仕上げてきた。レースではミスなく走り、優勝することができて嬉しい。

ヤン・マーデンボロー選手

星野一樹選手:今年はヤン・マーデンボロー選手という素晴らしいパートナーを迎えた新体制。昨年のこのレースでは2位だったので、ここでは勝ちたいと思っていた。横浜ゴムを含めて、チームとも話し合って、絶対勝とうと言いながらここに来て、勝つことができたので嬉しい。チームメイトであるヤン選手、横浜ゴム、チームのおかげ。今回はBMWが後ろから来ていたのは分かっていたけど、なんとか抜かれないように頑張った。

星野一樹選手

ロニー・クインタレッリ選手:開幕と違って40kgのウエイトハンデを積んでいた。予選は4位で、12号車は難しいとしても前の2台とは戦えるかなとは思っていた。でも実際に走ってみたら、特に第1スティントが厳しかった。それでもタイヤをマネジメントしながら、ピットインのタイミングもよくて、それが成功した理由の1つ。第2スティントで松田選手が満タンでいい走りをしてくれて、セーフティカーが出たことで12号車との差がなくなり、僕たちの最後のピットインをうまくやって短くできたことで優勝できた。最後のスティントでは、クルマが軽くなったこともあってプッシュすることができた。

ロニー・クインタレッリ選手

松田次生選手:クインタレッリ選手が言ったように、40kgというハンデがどうなるのか最初は分からなかったし、やはりハンデがないマシンの方が有利だとは思っていた。でも今週もGT-Rは戦闘力があって、それなりには戦えるだろうと思っていた。その中でどのようにタイヤを持たせるかが重要だったが、セーフティカーが出た後2周引っ張ることができたことが勝負を分けた。そのおかげで補給する燃料も少なくて済んだし。また、セーフティカーにより12号車との差が詰まったことも流れがこっちに来た要因の1つ。同じGT-R勢として、12号車がああいう形で戦線を離脱したのは喜べないが、シーズンを考えるとこういうレースで勝てたことは大きいと考えている。

松田次生選手

――GT500で開幕2連勝は、過去2例あり、どちらもニスモなのだが、いずれもチャンピオンになっている。流れが来ていると感じているか?

松田選手:ありがとうございます、それは嬉しい話だ(笑)。500kmの長いレースを安定してミスなく走ることを心掛けた。重さとの勝負だと思っていて、ロニーと2人で我慢して走ってきたことがよい流れにつながったと考えている。

クインタレッリ選手:苦しい中でも我慢してクルマのポテンシャルを発揮させることができた。チームが、ピット作戦などを含めていい作戦を決めてくれている。すべてチームのみんなの力。セーフティカーがなかったとしても、ピット作業などで2位争いができる、表彰台には十分乗れると考えていた。

――タイヤが左右するレースとなったが、それぞれのタイヤへの感想を教えてほしい。

マーデンボロー選手:僕らのチョイスはハードだったんだが、それがよかったと思っている。一貫して性能を発揮しており、レース終盤になってもいいペースで走ることができた。

星野選手:結論から言うとすごくよかった。コンスタントに走ることができていた。55号車のBMWが履いているブリヂストンがよさげだということは分かっていたが、序盤に頑張りすぎるとタイヤを痛めてしまうのでおとなしくいって、BMWが疲れてから頑張った。横浜ゴムに感謝したい。

クインタレッリ選手:予選、決勝の3スティントともハードコンパウンドを選んだ。昨晩の降雨により、路面についたラバーが洗い流されてしまったので、最初のスティントはちょっとスライドがあった。最後のスティントはラバーがついていい感じになった。

松田選手:ロニーと同じ。予選は若干気温が我々の想定よりも下がった。しかし今日は気温が上がり、タイヤの安定感があった。僕たちの問題は40kgのウエイトを積んだ状態のセットアップが詰め切れていないことで、タイヤに関しては問題はなかった。

――(クインタレッリ選手に)トップを走っていた12号車がバーストする際に、12号車の直後を走っていたと思うが状況を説明してほしい。

クインタレッリ選手:後ろから見ていると、タイヤがちょっと苦しくなってきたかなという雰囲気があって、バーストする2周前からブレーキあたりから煙がでているのは確認していた。特におかしいと感じることはなかったけど、いきなり目の前で爆発したという感じだった。

――オートポリス戦が中止になったため、次回は7月23日~24日開催の菅生戦になる。そこに向けた抱負を。

マーデンボロー選手:菅生はまだ走ったことがないので楽しみ。オートポリスに行けないことは残念だけど、シミュレータやビデオ、チームメイトの星野選手に聞いて準備したい。

星野選手:昨年の菅生は世紀の大渋滞で(笑)、表彰台に乗れるレースを落としてしまったので今年はリベンジしたい。オートポリスが中止となったのは本当に残念で、この勝利を地震で犠牲になった方や避難されている方に捧げたい。菅生ではいつも結果が出ていないので、ヤンと協力してやっていきたい

クインタレッリ選手:菅生は大好きなサーキットだけど、(富士で優勝したことで40kg増の)80kgのウエイトハンデはかなり厳しいと思う。その前に菅生でのテストを入れて3回テストがあるので、まずは完走をして1点でも取れれば嬉しい。

松田選手:(自分が)80kgやせるというのは難しい(笑)。去年ダイエットして結構絞ったので、ここからさらにというのは難しい(笑)。ウエイトトハンデは40kgでも結構効いてくるが、それが80kgだとまさに未知の領域。1ポイントでも、2ポイントでも取れるようにやっていきたい。


 次戦第3戦に予定されていたオートポリスのレースは中止となることが決定している(関連記事:SUPER GT第3戦オートポリスの開催は延期ではなく中止)。そのため、次戦は7月23日~24日に開催されるスポーツランドSUGOでの第4戦となる。

 GT500クラスでは、昨年まではウエイトハンデが50kgを超えたときには、燃料リストリクターの制限に変えることができていたが、2016年はそれがなくなり、ウエイトが100kgまで積まれていくことになる。今回の結果により、1号車 MOTUL AUTECH GT-Rが80kg、37号車 KeePer TOM'S RC Fが57kgと、それぞれ50kgを超えるウエイトを搭載することになり、それが性能やタイヤの持ちなどにどういう影響を与えるのか、それが1つの注目点になるのではないだろうか。

 日産に2連勝を許してしまった、レクサス勢、ホンダ勢の巻き返しにも期待したいところだ。

(笠原一輝/Photo:安田 剛)