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SUPER GT第2戦富士は、12号車 カルソニック IMPUL GT-R(安田裕信/ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ組)がポール

GT300クラスは、55号車 ARTA BMW M6 GT3(高木真一/小林崇志組)

2016年5月3日~4日 開催

GT500クラスのポールポジションを獲得した12号車 カルソニック IMPUL GT-R(安田裕信/ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ組)

 「2016 AUTOBACS SUPER GT Round 2 富士GT500km レース」が、5月3日~4日の2日間にわたって富士スピードウェイ(静岡県駿東郡小山町)で開催されている。5月3日は練習走行と予選が行なわれ、4日の決勝レースのグリッドポジションが決定された。

 午後に行なわれた予選では、GT500は12号車 カルソニック IMPUL GT-R(安田裕信/ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ組)、GT300は55号車 ARTA BMW M6 GT3(高木真一/小林崇志組)がそれぞれポールポジションを獲得した。

 決勝レースは通常の距離(250km)の倍の距離となる500kmで行なわれ、4日の14時にスタート予定だ。

大本命12号車 カルソニック IMPUL GT-Rがポール獲得、ホンダの2台が今シーズン初のQ2へ進出

 8位までが次に進むことができるQ1では、最初の6分は誰も走らず、残り9分となった段階で続々とコースインする展開となった。タイムはすぐに出ないようで、早めにコースインし、各車ともゆっくりタイヤを温める展開に。練習走行では、ニッサン GT-Rとレクサス RC Fが拮抗し、ホンダ NSX勢が下位に固まるという結果になっていた。

 予選Q1では上位5台のうち4台までがニッサン GT-Rになるという、GT-Rだけが突出して速いという結果になった。トップは46号車 S Road CRAFTSPORTS GT-R(本山哲/千代勝正組)をドライブする千代勝正選手。千代選手は、開幕戦の岡山のQ1でもトップタイムをマークしており、2戦連続でのQ1トップタイムとなった。2位は午前中の練習走行でトップタイムをマークした12号車 カルソニック IMPUL GT-R(安田裕信/ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ組)。3位は24号車 フォーラムエンジニアリング ADVAN GT-R(佐々木大樹/柳田真孝組)。

 練習走行では下位に沈んだNSX勢だが、Q1では15号車 ドラゴ モデューロ NSX CONCEPT-GT(武藤英紀/オリバー・ターベイ組)が7位、100号車 RAYBRIG NSX CONCEPT-GT(山本尚貴/伊沢拓也組)が8位となり、2戦目にして今シーズン初めてのQ2へ進出となった。これに対して、レクサス勢は6号車 WAKO'S 4CR RC F(大嶋和也/アンドレア・カルダレッリ組)が9位、19号車 WedsSport ADVAN RC F(関口雄飛/国本雄資組)、さらにはトムスの2台がQ1落ちになるという意外な結果となった。

 Q2でも、そうしたGT-R勢の好調は続いた。ポールを獲ったのは、12号車 カルソニック IMPUL GT-Rのジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ選手。1分27秒453のコースレコードをマークしてポールポジションを獲得した。2位は本山選手がドライブする46号車 S Road CRAFTSPORTS GT-Rで、GT-R勢が1位、2位を独占した。開幕戦優勝した1号車 MOTUL AUTECH GT-R(松田次生/ロニー・クインタレッリ組)も4位となり、GT-R勢が引き続き好調であるという様子を見せつけた。3位は38号車 ZENT CERUMO RC F(立川祐路/石浦宏明組)。

開幕戦優勝の1号車 MOTUL AUTECH GT-R(松田次生/ロニー・クインタレッリ組)は2位
3位は38号車 ZENT CERUMO RC F(立川祐路/石浦宏明組)
GT500クラス予選結果(暫定)
順位号車車両名ドライバータイヤウエイトハンデ(kg)Q1Q2
112カルソニック IMPUL GT-R安田 裕信/ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラBS121'27.9311'27.453
246S Road CRAFTSPORTS GT-R本山 哲/千代 勝正MI221'27.3661'27.687
338ZENT CERUMO RC F立川 祐路/石浦 宏明BS101'28.3051'27.960
41MOTUL AUTECH GT-R松田 次生/ロニー・クインタレッリMI401'28.4181'27.973
539DENSO KOBELCO SARD RC Fヘイキ・コバライネン/平手 晃平BS81'28.4931'27.996
615ドラゴ モデューロ NSX CONCEPT-GT武藤 英紀/オリバー・ターベイBS-1'28.5321'28.326
724フォーラムエンジニアリング ADVAN GT-R佐々木 大樹/柳田 真孝YH-1'28.2681'28.538
8100RAYBRIG NSX CONCEPT-GT山本 尚貴/伊沢 拓也BS21'28.5331'28.736
937KeePer TOM'S RC Fジェームス・ロシター/平川 亮BS321'28.653-
108ARTA NSX CONCEPT-GT松浦 孝亮/野尻 智紀BS-1'28.769-
1119WedsSport ADVAN RC F関口 雄飛/国本 雄資YH41'28.832-
1217KEIHIN NSX CONCEPT-GT塚越 広大/小暮 卓史BS-1'28.864-
1336au TOM'S RC F伊藤 大輔/ニック・キャシディBS61'29.061-
1464Epson NSX CONCEPT-GT中嶋 大祐/ベルトラン・バゲットDL-1'29.289-
156WAKO'S 4CR RC F大嶋 和也/アンドレア・カルダレッリBS161'32.026-

午前中の練習走行はほとんど走れなかった55号車 ARTA BMW M6 GT3がQ1、Q2ともトップ

GT300クラスは55号車 ARTA BMW M6 GT3(高木真一/小林崇志組)がポールポジション

 14時30分から行なわれたQ1でトップタイムをマークしたのは、55号車 ARTA BMW M6 GT3(高木真一/小林崇志組)の高木真一選手。高木選手はコースレコードとなる1分36秒012をマークし、トップでQ1を通過した。実は55号車は、午前中はエンジンのトラブルでほとんど走ることができていない状態。特にハード、ソフトの2種類のタイヤのうち、ソフトでしか走行できておらず、決勝でも使うハードタイヤで走るのはQ1が初めてという状況の中でのトップタイムで、これにはチーム自身も驚いたようだった。

 2位になったのは、開幕戦に思ったよりも厳しいBOPにより下位に沈んだ88号車 マネパ ランボルギーニ GT3の平峰一貴選手。3位は55号車と同じBMW勢の7号車 Studie BMW M6(ヨルグ・ミューラー選手)となった。14台までがQ2に進めるQ1で、優勝候補の一角とも言える11号車 GAINER TANAX AMG GT3(ビヨン・ビルドハイム選手)が16位で、さらに前戦優勝の65号車 LEON CVSTOS AMG-GT(黒澤治樹選手)も18位となり、Q1敗退となってしまった。

 上位14台が進んだQ2でも、55号車の勢いは止まらず、小林選手がドライブしたARTA BMW M6 GT3は1分35秒707という、Q1の高木選手のレコードタイムをさらに縮めるタイムをマークして、見事にポールポジションを奪取した。2位は、開幕戦のポールポジションだった25号車VivaC 86 MC(土屋武士/松井孝允組)。3位は31号車 TOYOTA PRIUS apr GT(嵯峨宏紀/中山雄一組)となった。

2位は25号車VivaC 86 MC(土屋武士/松井孝允組)
3位は31号車 TOYOTA PRIUS apr GT(嵯峨宏紀/中山雄一組)
GT300クラス予選結果(暫定)
順位車番車両名ドライバータイヤウェイトハンデQ1Q2
1位55ARTA BMW M6 GT3高木 真一/小林 崇志BS-1'36.0121'35.707
2位25VivaC 86 MC土屋 武士/松井 孝允YH121'36.6061'35.961
3位31TOYOTA PRIUS apr GT嵯峨 宏紀/中山 雄一BS-1'37.3161'36.063
4位7Studie BMW M6ヨルグ・ミューラー/荒 聖治YH221'36.3991'36.053
5位3B-MAX NDDP GT-R星野 一樹/ヤン・マーデンボローYH21'36.9071'36.194
6位21Hitotsuyama Audi R8 LMSリチャード・ライアン/藤井 誠暢DL81'36.9651'36.264
7位18UPGARAGE BANDOH 86中山 友貴/山田 真之亮YH-1'37.2741'36.424
8位61SUBARU BRZ R&D SPORT井口 卓人/山内 英輝DL-1'36.9241'36.609
9位0GAINER TANAX GT-Rアンドレ・クート/富田 竜一郎DL61'37.1871'36.618
10位4グッドスマイル 初音ミク AMG谷口 信輝/片岡 龍也YH301'37.0281'36.893
11位51JMS LMcorsa 488 GT3都筑 晶裕/新田 守男/脇阪 薫一YH121'36.9691'36.954
12位88マネパ ランボルギーニ GT3織戸 学/平峰 一貴YH41'36.1901'36.994
13位26AUDI R8 LMS密山 祥吾/元嶋 佑弥YH-1'37.1101'37.839
14位2シンティアム・アップル・ロータス高橋 一穂/加藤 寛規YH-1'36.5781'38.420
15位5マッハ車検 MC86玉中 哲二/山下 潤一郎/影山 正美YH-1'37.414-
16位11GAINER TANAX AMG GT3平中 克幸/ビヨン・ビルドハイムDL161'37.441-
17位30TOYOTA PRIUS apr GT永井 宏明/佐々木 孝太YH-1'37.541-
18位65LEON CVSTOS AMG-GT黒澤 治樹/蒲生 尚弥YH401'37.671-
19位360RUNUP Group&DOES GT-R柴田 優作/田中 篤/清原 章太YH-1'37.685-
20位48DIJON Racing GT-R高森 博士/田中 勝輝/青木 孝行YH-1'37.760-
21位33Excellence Porsche山野 直也/ヨルグ・ベルグマイスターYH-1'37.935-
22位108DIRECTION 108 HURACAN峰尾 恭輔/ケイ・コッツォリーノYH-1'38.032-
23位9GULF NAC PORSCHE 911阪口 良平/吉田 広樹/ディラン・ダーダエルYH-1'38.046-
24位87triple a ランボルギーニ GT3細川 慎弥/佐藤 公哉/飯田 太陽YH-1'38.071-
25位50ODYSSEY SLS安岡 秀徒/久保 凜太郎/加納 政樹YH-1'38.156-
26位111エヴァRT初号機 Rn-s AMG GT植田 正幸/鶴田 和弥YH-1'38.360-
27位22アールキューズ SLS AMG GT3和田 久/城内 政樹YH-1'38.386-
28位63DIRECTION 108 HURACANエイドリアン・ザウグ/横溝 直輝YH-1'38.646-
29位60SYNTIUM LMcorsa RC F GT3飯田 章/吉本 大樹YH-1'39.150

持ち込んだタイヤが当たったと話す12号車のクルー。55号車の2人はハードタイヤのチョイスが正解だったと語る

予選終了後には、両クラスのポールポジションを獲得した両チームのドライバーによる記者会見が行われた。以下はその概要になる。

GT300クラスのポールポジション。高木真一選手(左)、小林崇志選手(右)

――今日の午前中から予選までを振り返ってほしい。

高木真一選手:午前中は走行があったか忘れちゃったんだけど(笑)、車庫入れしていた気がする(筆者注:コース上に止まってしまいコース外へリアからコース外に撤去されたことのことを意味している)。皆さんに迷惑をかけたのにここにいてに申し訳ない。午前中には何度試してもエンジンが吹けないという状況だったが、そうした中でわずかにできた周回では、非常にいいと感じていた。ただ、その時はソフトタイヤで走っていて、予選では決勝が熱くなると予想されたためハードタイヤを選択したのだが、それが思ったよりよくてタイムを出すことができた。

小林崇志選手:朝はトラブルで、アウトインで3周ぐらいとほとんど走ることができなかった。Q2でいきなりタイムを出してこいという状況。いつもはQ1担当で高木さんにプレッシャーをかける立場だったけど、今回はQ2担当でプレッシャーを受ける側になて緊張した。だが、ブリヂストンが持ってきてくれたタイヤがテストの時では考えられないぐらいよいタイヤだった。そういうよいパッケージをもってきたチームに感謝したい。

GT500クラスのポールポジション。安田裕信選手(左)、ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ選手(右)

安田裕信選手:朝はピットロードの出口で車が壊れてしまい、最後のニュータイヤでのタイムアタックができない状況で不安はあったが、監督やJPが思い切って行ってこいといってくれて、思い切り走ることができた。Q2では、僕が課題だと感じていたセクター2のことについて伝えてそれをJPがカバーしてくれて、いいタイムを出すことができた。ここでは一昨年もポールが取れたけど、またここに戻ってくることができて嬉しい。

ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ選手:午前中にはちょっと問題があって、最後の10分でアタックができなかった。でも安田選手はいい仕事をしてくれた。彼が情報をくれたのでそれで車を改善して、Q2に挑んだ。この調子で明日も頑張りたい、明日は長いレースになると思うから。

――前のレースと今回のレースでの車や環境の違いは何で、ポールを取れるだけの速さを見せられたのはなぜか?

オリベイラ選手:前回のレースではさほどわるくなかったけど、上位を狙えるほどでもなかった。大きな違いはタイヤ。今のSUPER GTはちょっとした温度の違いで、タイヤの性能が大きく違ってくる。今週末の気候に向けて正しいタイヤチョイスができたのだと考えている。

安田選手:JPの言ったとおり。岡山では我々が想定していたよりも温度が上がってしまった。今回はエンジニアと天気予報などを参考にしながら相談して持ち込むタイヤを決めたのだが、それが当たった。

高木選手:開幕戦はセッティングのパーツが届いてなかった。あるものでやらないといけない、そこがつらかった。タイヤにも負担がかかっていたし。開幕戦では1種類しかなかったスプリングが、今回は5種類持ち込めた。そうしたこともあり、前のレースでは一発のタイムはでるけど、レースではそのしわ寄せが来てしまっていた。

小林選手:タイヤ的にも、去年のCR-Zでのデータを使っていたのだけど、BMWにはそれが合わなかった。その経験をもとに、CR-Zでは考えられないほど固めのタイヤを持ち込んでいる。それでもしっかり走れている、その開幕戦での経験が今回につながっている。

――(GT300の2人に)今シーズンからクルマが変わったが、電子制御とか、運転の変わったところを教えてほしい。

高木選手:ハイブリッドだと、バッテリーをチャージしてから1ラップだけのアタックをしないといけないという難しさがある。今のクルマだと2ラップ連続でアタックできる。ハイブリッドだと、抜かれたくない時だけハイブリッドを使うなどの、操作の難しさがある。

小林選手:一言で言うと簡単になった。CR-Zの時はマップを変えて、ハイブリッドにしたり、キャンセルしたり、バッテリーの残量を考えながらオンにしたりとかしないといけなかった。このため、CR-Zの時はタイムを予想できなかったけど、BMWだとタイムや先を読んでセットアップできる。

――明日に向けての抱負を教えて欲しい

オリベイラ選手:どんなコンディションでも冷静でいないといけないと考えている。集中して自分のレースをして、ミスしなければ勝てると思う。

安田選手:ドライでもウェットでも自信がある。こんなにお客さんが来てくれているので、ドライでレースして勝ちたい。

高木選手:午前中走れなかったので、ニュータイヤから6ラップぐらいしか走れていない。レースペースが予想できない状況の中で、明日午前のフリー走行もレインになる可能性がある。自信はもてていないけど、明らかに車はよくなっていて、タイヤもレースを見据えて固めの方を選んでいるのでよい結果がでると思う。

小林選手:明日の練習走行が雨だと、ドライでの走行ができないので、楽観視はできない。それでも、予選の中でも決勝がこうなるのではという情報は得ることができた。前半戦で勝つことはシリーズを考えると重要なので頑張りたい。


 4日の決勝レースは午前中まで雨の予報で、その後徐々に天候が回復することになると予想されている。このため、今日の予選までに路面についたラバー(タイヤのゴムが路面に付着すること)が洗い落とされることが予想されるほか、雨の降り具合によってはウェット路面でのスタートや、ウェットパッチが残った中でのスタートになる可能性がある。その場合でも、徐々に乾いていく方向になっていくと予想されるため、各チームのタイヤ選択やピットタイミングなどの違いでレースが大きく動く可能性もあり、予選結果から大きくシャッフルされる可能性が高い。

 通常250kmで行なわれるSUPER GTだが、4日の決勝レースはその倍の距離となる500kmで行なわれる。このため、通常は1回のピットストップも2回が予想されている。決勝レースは5月4日14時にスタートし、スポーツ放送局J-SPORTS4で生中継される予定だ。

(笠原一輝/Photo:奥川浩彦/高橋 学)