ニュース
三菱自動車、コンパクトSUV「エクスフォース」のハイブリッド世界初披露 燃費は約24.4km/Lを実現
2025年3月20日 13:59
- 2025年3月20日(現地時間)世界初披露
三菱自動車工業は3月20日(現地時間)、コンパクトSUV「エクスフォース」のハイブリッドEV(HEV)モデルをタイ バンコクで世界初披露した。同モデルはタイにおける生産・販売会社であるミツビシ・モーターズ・タイランドのレムチャバン工場で生産され、同日よりタイで受注を開始した。
エクスフォースは2023年8月に開かれた第30回インドネシア国際オートショーで世界初披露された、アセアン地域でのコンパクトSUVの使われ方にこだわって開発した5人乗りのコンパクトSUV。
今回追加されたエクスフォース HEVモデルは、2024年2月にタイで発表、発売した「エクスパンダー」「エクスパンダークロス」に続く三菱自動車のHEVシリーズで、PHEV由来のHEVシステムを搭載。FF方式の2WDをベースに、アクティブヨーコントロール(AYC)を始めとした独自の四輪制御技術を採用するとともに、ドライバーがシチュエーションに応じてEV走行を選択できることも可能にした。
HEVシステムは三菱自動車初となるエクスパンダーのHEVモデルから進化したもので、伝達効率を向上させた新開発のトランスアクスル、高速領域においてモーターをドライブシャフトから切り離すモーターディスコネクト機構を新規に追加することでエネルギーロスを大幅に低減し、クラストップレベルの燃費となる約24.4km/Lを実現。
ハイブリッド走行では2速ギヤシステムを採用し、高速走行時の静粛性と登坂時の加速性を両立させるとともに、モーター、ジェネレーター、トランスミッションを一体化することで高周波ノイズを大幅に低減。これらによりEVらしいシームレスな走行フィーリングを実現したという。
走行モードはEVモード、ハイブリッドモード、回生モードで構成。走行状況や駆動用バッテリ残量に応じて、システムが最適な走行モードを自動で選択して低燃費化するとともに、力強く気持ちのよいモータードライブを実現。発進時や低速域では、駆動用バッテリからの電力でモーター駆動するEVモードによって電気の力だけで走行(図1)。登坂時や加速時は、エンジンを発電用として動かして駆動用バッテリの電力と合わせてモーターで走行し(図2)、高速域ではエンジンの動力で走行してモーターがアシストするハイブリッドモードに切り替わる(図3)。さらに今回追加したモーターディスコネクト機構により、アクセル操作の少ない高速域ではモーターとドライブシャフトが接続されない状態となり、駆動抵抗を低減し、燃費が向上。回生モードでは、減速時に回生ブレーキによって減速エネルギーを回収して電力変換し、駆動用バッテリに蓄電する(図4)。
駆動用バッテリには高出力なモーター、ハイブリッド専用に開発した高性能なものを採用し、エンジンはエクスパンダーのHEVモデルで初搭載された、HEV専用の1.6リッター DOHC 16バルブ MIVECエンジンを従来より高出力化して搭載。電動ウォーターポンプを採用することでエンジン燃費の向上、補機駆動損失を低減して40%を超える熱効率を達成し、燃費向上に寄与している。このガソリンエンジンに、ジェネレーターと最高出力85kWのモーターを組み合わせたことで、電動車ならではの滑らかで力強くレスポンスの良い加速を実現しているとのこと。
そのほか路面状況に応じた制御を行なう5つのドライブモードは、FF方式の2WDをベースとしながら、前輪左右の駆動力を調整して高い操縦性を実現するアクティブヨーコントロール(AYC)、前輪のスリップを制御するトラクションコントロール、四輪の安定性を制御するアクティブスタビリティコンロール、加速時のモーターやエンジン出力を調整するアクセルレスポンス制御、速度域や路面状況に応じてステアリングの手ごたえを調整する電制ステアリングなどを統合制御することで、さまざまな路面状況に対応。日常走行でのバランスが取れた「ノーマル」、ワインディングロードなどでキビキビとした走りと意のままのハンドリングを実現する「ターマック」、未舗装路で滑りやすさを抑えて安心感のある操縦性を発揮する「グラベル」、ぬかるんだ悪路でも力強い走破性を発揮する「マッド」、雨天時の濡れた路面でもタイヤのスリップを抑えて高い安定性を発揮する「ウェット」を設定した。
エクステリアは優雅さと堅牢性を融合させた「Silky & Solid」をコンセプトとし、ボディ上部はフロントのスリーダイヤからサイド、リアへと連続的に繋がり流れるような面と、浮いているような視覚効果を与えるフローティングルーフによってシルクのように滑らかな軽やかさを表現。ボディ下部はSUVらしい力強くソリッドなプロポーションとし、183mmの最低地上高や、空力性能を向上した専用の18インチアルミホイールと大径タイヤによって悪路走破性を確保。がっしりとした筋肉を思わせるフェンダーフレアの造形で、アスリートのような敏捷性を感じさせるデザインとした。
コンセプトに合わせて進化した「ダイナミックシールド」は、フロントグリルを左右バンパーでプロテクトする造形と立体的に一体化させることで、奥行き感のあるスポーティなフロントフェイスを表現。ボディサイドは彫刻的な前後フェンダーフレアやキャラクターラインによって立体的な面構成にメリハリをつけ、SUVのたくましさや躍動感を表現した。LEDデイタイムランニングランプとLEDテールランプはともにT字型に発光させ、アイコニックなデザインとするとともにワイドで安定感のあるスタンスを強調している。
また、電動車の先進性を表現するブルーをアクセントカラーにした「HEV」バッヂをフロントグリルとテールゲート、「HYBRID EV」バッヂをフロントドアにあしらった。ボディカラーはクリーンなイメージを与えるホワイトダイヤモンド、エナジェティックイエロー、レッド、グラファイトグレーメタリックにはルーフカラーがブラックの2トーンカラーを設定。モノトーンはホワイトダイヤモンド、グラファイトグレーメタリック、ブレードシルバーメタリック、ジェットブラックマイカの計8色を用意した。
インテリアでは、水平基調の「HORIZONTAL AXIS(ホリゾンタル・アクシス)」コンセプトのインストルメントパネルを採用し、前方の視認性を高めるとともに、悪路走行時の車体姿勢の変化をつかみやすくした。また、パネルのパッド素材にはメランジ生地を採用し、モダンで洗練された印象を与えながら汚れにも強い実用性の高い生地によって、自宅のリビングルームのように落ち着いて過ごすことができる快適な空間に仕上げたという。そのほか、12.3インチのスマートフォン連携ディスプレイオーディオとデジタルドライバーディスプレイを一体化させた大型のモノリス形状のパネルと、コンパクトなパワーシフトによってHEVらしい先進感を演出している。
また、コンパクトなボディサイズでありながらすべての乗員がゆったりと過ごせる広々とした室内空間を実現したといい、前席では肩口のゆとりなど、クラストップレベルの座席空間を確保し、快適性を高めた。後席では大人3名が乗車しても快適に過ごせる空間にこだわり、クラストップレベルの座席空間を確保することでゆとりある足下スペースを実現。また、リクライニングは8段階調整とし、乗員がゆったりと座れる角度から、荷室容量をより広く確保できる角度まで幅広いニーズをカバーした。
12.3インチのスマートフォン連携ディスプレイオーディオについては起動時にオリジナルのオープニングムービーが再生される仕様とし、マルチウィジェット表示では画面を3分割することで1画面に多くの情報を表示することが可能。また、往年の「パジェロ」で使われていた3連メーターをオマージュしたマルチメーター表示では、高度や前後左右傾斜、方角などの情報を組み合わせて表示することで運転の楽しさを高めた。また、Apple CarPlay、Android Auto、WebLinkを搭載し、スマートフォンとの連携を可能にしている。
そのほかヤマハと共同開発したオーディオシステム「ダイナミックサウンドヤマハプレミアム」を搭載。すべての座席で高品質な音楽を快適に楽しめる8スピーカー構成とし、両サイドのAピラーにフロントツイーター、フロントドアにウーファー、リアドアにはウーファーの同軸上にツイーターをレイアウトしたコアキシャル2-wayスピーカーを配置する。