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三菱自動車のデリカシリーズで雪山へGO! ミニバンSUV「デリカD:5」&軽スーパーハイトワゴン「デリカミニ」が魅せる冬の走破力!
- 提供:
- 三菱自動車工業株式会社
2025年3月10日 00:00
「デリカ」シリーズはガンガン走ってこそ本領を発揮する
三菱自動車の「デリカD:5」と「デリカミニ」の2台を連れだって、上信越を目指した。日本海側の雪上路面を通して、“デリカ兄弟”(親子か?)のウインター性能を一緒に走り比べるためだ。デリカD:5とデリカミニでは性能が違いすぎる? いやいや、決してそんなことないのである。
長いトンネルを抜けると、そこは本当に雪国だった。
群馬と新潟の県境。約11kmにおよぶ関越トンネルを過ぎると、それまで黒々としていたアスファルトには雪の絨毯が敷き詰められていた。フロントガラスには粉雪が激しく吹き付け、空は一気に曇天模様だ。
厳しい天候のなか、目の前にはシャモニー仕様のデリカミニが力強く走り続けていた。ホワイトダイヤモンドのボディカラーは吹雪のなかで埋没するかと思いきや、意外にもより一層の白さでその存在を目立たせていた。ブラックマイカのトリムはコントラストが強く、イエローのナンバープレートとLEDテールライトが、くっきりと浮かび上がっている。
キビキビと雪道をリードするデリカミニとは対象的に、しんがりを務めるデリカD:5走りは力強くも穏やかだ。ふっかりとしたシートに体を預けながらアクセルを踏んでいくと、豊かなトルクと確かなトラクションで、デリカミニのあとを着実に追いかけていける。
家族一緒にタフに遊べる“ミニバン×SUV”は「デリカD:5」だけ
デリカD:5は2024年11月にマイナーチェンジを受け、新たにブラックのアクセントカラーを内外装の要所に配した特別仕様車「BLACK Edition(ブラックエディション)」を設定。さらに今回の試乗車である特別仕様車「シャモニー」に待望の8人乗りを追加している。
今回試乗したのは、従来からある7人乗り仕様の特別仕様車「シャモニー(電動サイドステップ装着車)」に、ディーラーオプションのChamonixコンプリートパッケージを装着したモデルで、カモフラージュカラーのサイドデカールをはじめとした外装の追加変更が施されるだけでなく、運転席と助手席にはドア開時に専用ブラックライトが点灯し、フロアマットのカモフラージュ柄とCHAMONIXロゴを浮かび上がらせる。
より世界観を追求したChamonixコンプリートパッケージも設定
ちなみにデリカD:5の登場は2007年と、今から20年近くも前の話になる。車名がスペースギアからD:5へと変わったのは、それが「デリカの5代目」を意味するからという、とてもシンプルな理由だった。
その後、もっとも大きな変更は2019年で、フロントマスクが現行三菱車のファミリーフェイスである「ダイナミックシールド」に変更された。
パワーユニットは、直列4気筒2.2リッターディーゼルターボに一本化し、構成部品の5割以上を刷新。最高出力を148PSから145PSへと抑えながらも、最大トルクを360Nmから380Nmへと向上させたのは、運転しやすさと環境性能を向上させるためだ。さらに三菱としては初となる尿素SCRシステムを採用して、クリーンディーゼルとしての性能に磨きをかけた。
またその駆動方式は4WDのみに絞られ、シャシーまわりが改良された。トランスミッションも従来の6速から、大ぶりなパドルシフト付きの8速スポーツATへと進化した。
その後も毎年必ず何らかの形で先進安全技術の向上や装備の追加、そして内外装のテコ入れを行なってきたわけだが、走りにおいては大きな変更はなされていない。そう、なされていないのだが、そこに今もって不足を感じないことが、むしろすごい。
それは各ピラーおよびテールゲートを環状構造でつなぐ「リボーンフレーム」の剛性が、いまだに現役感に溢れているからだろう。
なお、デリカD:5の車体をジャッキアップさせてもスライドドアをスムーズに開けられることが三菱の自慢だと、編集担当は教えてくれた。さすがに今回それを試すことはできなかったけれど、そのくらい開発陣もデリカD:5のボディに自信を持っている。
かたや2019年に大幅改良を受けたきりの直列4気筒2.2リッターディーゼルターボは、「さすがに少し古くなったかな?」と感じた。
ハイブリッドやEVのモーターアシストが当たり前となった現代では、ディーゼルターボといえどもその出足が、やや鈍くなったように思えたのだ。
しかしこの評価は、半分合っていて半分違うと、都内を抜けて新潟に差し掛かったときに筆者は感じた。なぜならこの「4N14」型ディーゼルターボは、雪道でとても扱いやすいのだ。
たとえば信号待ちからの発進。確かにアクセルを踏んだときのレスポンスはおっとりしているのだが、これがスノーブーツを履いた足でも、実に操作しやすいのだ。そしていったんタイヤが転がり出してしまえば、あとは時折アクセルを踏み足してやるだけで、その勢いをつないでいくことができる。
さらにパドルでギアを固定して2000回転くらいまでまわすと、今度はクルマとの一体感がグッと増してくる。そのトルクバンドは実に広く、4.8mの大柄なボディを身軽に走らせるだけの力がある。またアクセルのオン/オフに対して、ギクシャク感がないのもすごくいい。
また高速巡航も割と得意で、8速スポーツATのギヤ比をうまく使いながら静かにクルージングしてくれる。レーダークルーズコントロール(ACC)に操舵支援がないのは時代を感じさせるが、しなやかな足まわりが直進安定性を高めているから、実際それに不満を感じることはなかった。
1500rpm以下の領域で穏やかな制御をしている理由には、扱いやすさと同時に環境性能への対応があるのだろう。今回の燃費は街中から高速道路、ワインディングをくまなく走らせて、メーター読みだが12.4kmと、WLTC総合モード燃費(12.6km/L)に肉薄した。走行距離は553kmだった。
ブレーキも同様に、繊細すぎず鈍すぎず操作しやすい。スノーブーツ越しにですらパッドがローターを挟む感じが分かるから、きっちり踏み込むのはもちろん、フェザータッチで車速やコーナリング時の姿勢を微調整できる。
4WDの制御は、極めて安定志向。ドライ路面でゆったり穏やかにストロークしていたサスペンションは、低ミュー路だとそのしなやかさを生かしてゴツゴツとした路面を捉える。
普段はおっとりしていても、厳しい環境になるほどデリカD:5の操作性のよさは際立ってくる。このタフ・ガジェット感がたまらない。
また最初はその着座姿勢がかなりアップライトでトラック的だと感じたが、背筋を伸ばして座るとドラポジがピタッと決まるのにも驚かされた。
ポルシェもこうした着座姿勢を好む傾向にあるのだが、背筋を伸ばす着座姿勢は、実は疲れにくい。三菱の開発陣がこうした姿勢を意識したのかは分からないが、そこにはアドベンチャーラリーでの経験が生かされているのかもしれない。
2列目シートの乗り心地は、数あるミニバンのなかでも1番ではないか。座面は少し小ぶりだが、上下左右、そして足下の空間が広いから圧迫感はまったくない。シート自体も過度な機能がない代わりに軽く、カーブや不整地で横揺れしない。それでいてシートスライドがスムーズなのにも改めて感心した。
3列目シートは、いたって普通だ。とりわけゴージャスなところもないが、緊急用というわけでもない。リクライニングができるから身長171cmの筆者が座っても、割と長い距離を普通にすごせる。唯一不満があるとすれば、室内灯がないことくらいだろうか。
そして筆者は今回の試乗を通して、今こそデリカD:5だと感じた。
確かに電動化は進んでいない。そしてそろそろフルモデルチェンジの声も、聞こえてきている。
仮に「デリカD:6(?)」が登場すれば、間違いなく洗練されるだろう。しかしこれだけ高い走破性を持ったミニバンが、アンダー500万円で手に入れられるのはむしろ、今だけだと思うのだ。
軽自動車とはいえ“デリカ”の名を継ぐ高い走破性が魅力の「デリカミニ」
対するデリカミニが、兄貴分のデリカD:5にも見劣りしない走りを見せたのにはちょっと嬉しくなった。
試乗したデリカミニの「シャモニーパッケージ」は、2023年11月にデリカのシャモニーが登場したとき、同時にディーラーオプションとして用意された人気メニューである。シャモニー専用色のグリーンを各部にあしらい、フェンダーやサイドにカモフラージュ柄を施すことでアウトドアイメージをより高めている。
また、既存ディーラーオプションのフロントグリルガーニッシュやマッドフラップ、ルーフラックアタッチメントやベースキャリアを組み合わせることで、さらに機能性を高めた「シャモニーコンプリートパッケージ」も設定している。
特に街中ではダッシュが効いて、出足でデリカD:5をリードする。軽自動車ゆえに排気量は660ccしかないが、直列3気筒ターボの瞬発力と4WDの加速力、そして1060kgという車体の軽さが効くのだろう。
別に逃げているわけでもないのだが、2台で走っていると大抵デリカミニが先行しているのだ。2.7PS/4.1Nmの交流モーターがどれだけのアシストをしてくれているのかハッキリとは体感できないが、試乗車は軽快に走る印象だった。総じて街中ではデリカミニの機動性が高いといえるだろう。
高速巡航性能も、軽自動車視点で見るとかなり優秀。スーパーハイトワゴンは横風に弱いが、常時後輪にトルクがかかるフルタイム4WDの特性から安定性が高い。高速道路でも雪道を走ったからなおさらだが、通常路面でも筆者は4WDモデルをお勧めしたい。
追い越し加速は、計画性が必要だ。最高出力64PS、最大トルク100Nmのパワー&トルクを最大に使い切っても余裕があるとはいえないから、周囲の状況をしっかりと見て加速のタイミングを計る必要がある。
それでも雑な運転をしない限りCVTのレスポンスはかなり自然だし、遮音性が高いからフル加速も不快じゃない。割とハイペースで走ることもできるが、高速道路はのんびり走らせると乗り心地も含めて、デリカミニのよさがでると思う。特に4WD車は後部座席の乗り心地もいい。専用にあつらえられた大容量ダンパーと、リアサスペンション(トルクアーム式3リンク)の剛性が、こうした場面にも効いているのだと思う。
そのハンドリングは、デリカD:5と同じ“穏やか系”。ナロートレッドなスーパーハイトワゴンというボディ形状ゆえに、重心の急激な移動を抑えるべくそのレスポンスはさらにおっとりしている。
そしてこの穏やかな応答性を持つ足まわりが、同じく雪道だと生き生きしてくる。ゴツゴツとした路面をタイヤが捉え、結果としてキビキビ走れてしまう。
今回は深雪には遭遇しなかったが、グリップコントロールがブレーキ制御してくれるから、かなり足場が悪い状況でもデリカミニはグイグイ進んでくれるのを筆者は知っている。もちろんクロカン4WDのようにはいかないが、かなりの段差でも足を伸ばして、タイヤを接地させてくれる。
またヒルディセントコントロールを使えば雪のある坂道でもゆっくり降りられるし(時速4~20km/h)、ヒルスタート機能を使えば坂道発進でペダルの踏み替え時に最大2秒間ブレーキをキープしてくれる。
特別ハイテクなわけではないけれど、実に頼もしい。まさに「かわいいフリして、タフなヤツ」を地でいっていることが、今回のロングドライブで分かった。
デリカD:5とデリカミニの2台持ち、結構アリかもしれない。
Photo:堤晋一