ITS Japan、豊田章一郎会長退任、新会長はトヨタ渡邉技監
ITSで社会経済の難局を乗り切る

懇親会でくす玉を割る参列者。中央が野田聖子大臣、その右が豊田章一郎氏、その右が渡邉浩之氏

2009年6月1日開催



新会長の渡邉氏(中央)と豊田氏(左)

 ITS Japanは6月1日、都内経団連会館で2009年度通常総会を開催、豊田章一郎会長が退任し、トヨタ自動車技監の渡邉浩之氏が新会長に選任された。

 豊田氏は1994年に設立されたITS Japanの前身である「VERTIS」(道路・交通・車両インテリジェント化推進協議会)から通算15年間会長を務め、ITSの開発・普及を推進してきた。2008年に産官学民によるITS技術の大規模実証実験“ITS Safty 2010”を行い、「実現可能性について技術的社会的見通しをつけることができた」のを機に退任、「新生ITS Japanで社会経済の難局を乗り切る」ことを決めたと言う。

会長と専務理事新常任理事も選任2008年度は大規模実証実験ITS-SAFETY2010を実施

 新会長の渡邉氏は1967年に九州大学大学院光学研究科修士課程を修了し、同年トヨタ自動車に入社。クラウン、レクサスGS、燃料電池車、プリウスなどの開発に携わってきた。同氏は総会後の懇親会で「交通事故死0という豊田前会長の夢を実現するのが使命」と豊田路線の継承を宣言し、20世紀初頭の米国で高速道路網を整備したことが米国産業全体の大躍進につながったことをひきあいに、産学官民が連携してITSによる産業振興を目指すとした。

 また2013年のITS世界会議の開催地が東京に決まったことにも触れ、海外に日本のITS技術をアピールし、アジア・パシフィック地域でのリーダーシップを確立するとした。

ニューヨークで行われたITS世界会議のほかにも海外への情報発信を行ったアジア・パシフィック地域でのリーダーシップ中国版VICSの実用化を支援
2009年は政府により新たなIT戦略が策定されるITSへの取り組みは世界的に活発2009年も引き続き、国内外で提言と実行によるITS普及を図る
2009年はインフラ整備など普及を具体化する。また安心安全だけでなく環境への貢献も視野に2013年のITS世界会議は東京で開催

 

懇親会でスピーチする野田大臣

 このほか、専務理事にはトヨタ自動車IT・ITS企画部調査渉外室長の天野肇氏、常務理事に本田技研工業取締役の田内常夫氏、日立製作所執行役員常務の鈴木學氏、トヨタ自動車専務取締役の佐々木眞一氏が就任する。

 懇親会には野田聖子内閣府特命担当大臣が来場し、「早く日本縦断をハンドフリードライブでできるようにしてほしい」とITS Japanを激励。また高齢社会において「消費性向の低い高齢者がますます増えている。また、高齢者が交通事故の加害者になる事例が増えている。高齢だからと言って運転できないような差別的なことが起きてはいけない」と、経済的、社会道義的側面からITSにより高齢者が安全に運転できる車の開発を訴えた。

(編集部:編集部:田中真一郎)
2009年 6月 2日