「スーパー耐久 第5戦 SUPER TEC」レースリポート
断続的に雨の降る中、激しい戦いが随所で展開

ST-1クラスで優勝したPETRONAS SYNTIUM BMW Z4M COUPE

2009年8月2日開催
富士スピードウェイ



 「スーパー耐久シリーズ2009 第5戦 SUPER TEC」の決勝レースが8月2日、富士スピードウェイ(静岡県小山町)で開催された。断続的に雨の降る難しいコースコンディションの中、ST-1クラスの優勝は1号車「PETRONAS SYNTIUM BMW Z4M COUPE」(谷口信輝/柳田真孝/ファリーク・ハイルマン)。PETRONAS SYNTIUM BMW Z4M COUPEは、序盤から終始トップを快走し、4時間のレースで116周を走破した。2位には28号車「PETRONAS SYNTIUM BMW Z4M COUPE」(片岡龍也/吉田広樹/ジョハン・アズミ)、3位には21号車「YASAKA MAX ADVAN PORSCHE997」(織戸学/中村嘉宏/中山良明)が入った。

 ST-2クラスの優勝は20号車「RSオガワ ユークスADVANランサー」(阪口良平/谷口行規/小川日出生)、ST-3クラスの優勝は、最終ラップの最終コーナーで大逆転を演じた5号車「5ZIGEN NSX」(平中克幸/吉本大樹/松浦孝亮)、ST-4クラスは67号車「YAMATO CIVIC」(内山慎也/大村和生/野間一)が優勝した。

 スーパー耐久(S耐)は市販車をファインチューニングしたマシンによる耐久レースで、参加車両はST-1からST-4まで4つのクラスに分けられている。ST-1クラスは排気量3501cc以上の量産車と年間生産台数2500台未満の車両で、BMW Z4M COUPE、日産フェアレディZ 380RS-C、ポルシェ911 GT3が参戦している。ST-2クラスは2001~3500ccの4WDが対象で、三菱ランサーエボリューション、スバルインプレッサWRX STIが参戦、ST-3クラスはST-2クラスと同排気量の2WDが対象で、日産フェアレディZ、マツダRX-7、ホンダNSX、BMW M3と多彩なマシンが参戦中。ST-4クラスは2000cc以下の車両が対象でシビックTYPE R、インテグラTYPE R、S2000とホンダ車による争いが行われている。

 シリーズは全8戦が予定されていたが、北海道の十勝スピードウェイで行われる予定だった第4戦が休止となったため、全7戦となり、今回の第5戦が折返しの4戦目となる。ここまでの各クラスのシリーズポイントトップはST-1クラスが10号車「Y.K.M. ADVAN Z」(横溝直輝/佐藤公哉/田中哲也)、ST-2クラスが3号車「ENDLESS ADVAN CS-X」(峰尾恭輔/村田信博/山田英二)、ST-3クラスが16号車「T-MANOILディクセル岡部自動車Z」(なかむら たかひろ/太田侑弥/田畑勇)、ST-4クラスが55号車「BOLD WORLD Absolute DIXCEL CIVIC」(谷川達也/松井考允/河村直樹)となっていた。

 決勝前から降り続いた雨がスタート直前に止み、このまま天候は持ち直すかと思われたが、スタートして10周目あたりから、再び大粒の雨が降り出した。その後も降ったり止んだりを繰り返し、路面は常にウェット。ゴール直前には視界を遮るほどの激しい雨となるなど、難しいコースコンディションのレースとなった。

ST-1クラスは1号車のPETRONAS Z4Mが
 ST-1クラスは1号車、28号車のPETRONAS Z4M同士の争いでレースが始まった。予選2位の1号車がスタート直後の1コーナーを制しトップに立つが、2周目には予選1位の28号車がトップを奪い返す。8周目に再びトップに立った1号車が徐々に差を広げる展開となった。

 その後、28号車は他クラスの車両と接触し緊急ピットイン。右フロントの修復に2周をロスし優勝争いから脱落した。1号車はその後も安定した走りでトップをキープ、4時間耐久のレースで116周、約530kmを走破し優勝した。1号車は2連勝、今季3勝目をマークして、シリーズランキングでもトップに立った。

 28号車は後方から追い上げ、2周遅れながら残り3周で2位に上がった。3位には21号車が入り表彰台を獲得した。

 シリーズポイント1位の10号車は2位を走っていたが、78周目にトランスミッションのトラブルが発生し、ヘアピンでストップ。無念のリタイアとなり、シリーズランキングトップの座を明け渡すこととなった。

スタート直後の1コーナー。予選2位の1号車がインを取ったコカ・コーラ コーナーに向け駆け下りる各車。1号車がトップに立つトップをキープしてコカ・コーラ コーナーへ切り込む1号車
2周目のコカ・コーラ コーナー。トップを28号車が取り返す他車との接触で右フロントを傷めた28号車ピットに入って応急処置を施す
修復してコースに復帰するが2周をロスした前戦までポイントトップだった10号車はトランスミッションのトラブルでリタイヤ

 ST-1クラスの表彰台獲得は以下のとおり。
1位:No.1 谷口信輝/柳田真孝/F.ハルマン PETRONAS SYNTIUM BMW Z4M COUPE
2位:No.28 片岡龍也/吉田広樹/J.アズミ PETRONAS SYNTIUM BMW Z4M COUPE
3位:No.21 織戸学/中村嘉宏/中山良明 YASAKA MAX ADVAN PORSCHE997

優勝したのは1号車、PETRONAS SYNTIUM BMW Z4M COUPE(谷口信輝/柳田真孝/ファリーク・ハイルマン)
最終的に2位まで上がった28号車、PETRONAS SYNTIUM BMW Z4M COUPE(片岡龍也/吉田広樹/ジョハン・アズミ)
3位に入った21号車、YASAKA MAX ADVAN PORSCHE997(織戸学/中村嘉宏/中山良明)
序盤トップ争いをしたがマシントラブルで後退した56号車「眠眠打破ingsランサー」(服部尚貴/松本達哉)

激しいバトルの続いたST-2クラス
 雨に有利な4WDのST-2クラスは、予選でクラス4位だった20号車「RSオガワ ユークスADVANランサー」(阪口良平/谷口行規/小川日出生)がオープニングラップで2位に浮上。2周目にはトップに立った。

 それに続いたのが56号車「眠眠打破ingsランサー」(服部尚貴/松本達哉)。18周目に56号車がトップに立つも、24周目には再び20号車がトップを奪い返す激しいバトルが続いた。

 ピットインを遅らせる戦略で56号車が再逆転し20号車を引き離す展開となったが、クラッチトラブルが発生し無念のピットイン。これでトップに立った20号車がポジションをキープし今季初優勝を飾った。

 2位には3号車「ENDLESS ADVAN CS-X」(峰尾恭輔/村田信博/山田英二)が入りシリーズポイント1位の座をキープした。

 ST-2クラスの表彰台獲得は以下のとおり。
1位:No.20 阪口良平/谷口行規/小川日出生 RSオガワ ユークスADVANランサー
2位:No.3 峰尾恭輔/村田信博/山田英二 ENDLESS ADVAN CS-X
3位:No.6 冨桝朋宏/関豊 新菱オート☆DIXCEL☆EVO IX

ST-2クラスの優勝は20号車、RSオガワ ユークスADVANランサー(阪口良平/谷口行規/小川日出生)
2位は3号車、ENDLESS ADVAN CS-X(峰尾恭輔/村田信博/山田英二)3位は6号車、新菱オート☆DIXCEL☆EVO IX(冨桝朋宏/関豊)

ST-3クラスは、最終ラップに逆転劇
 ST-3クラスは、最終ラップの最終コーナーで大逆転劇が待っていた。予選クラス2位の14号車「協新計測マイロード岡部自動車RX-7」(増田芳信/小松一臣/杉林健一)が序盤をリードしたが、6周目に39号車「TRACY SPORTS AY-DESIGN ADVAN NSX」(川口正敬/井入宏之/吉本晶哉)がトップに立った。ところがリアウインドーが外れるアクシデントが発生しピットイン、遅れを取ってしまう。

 これでトップに躍り出たのが5号車「5ZIGEN NSX」(平中克幸/吉本大樹/松浦孝亮)。5号車は快走を続け約1分の大差でトップをキープした。ところが残り10分、黄旗提示中の追い越しで10秒ストップのペナルティが科せられてしまった。

 ペナルティを終えコースに戻ったときには27号車「FINA ADVAN M3」(伊橋勲/三澤伸輔/行方由久)が7秒ほど前に。このままの順位でゴールかと思われたが、残り1周となった時点で、この日最も激しい雨がコースを襲った。

 必死の追い上げを見せる5号車だが、最終ラップのプリウスコーナーではまだ数車長の差があり万事休すと思われた。ところが視界を遮るほどの豪雨に足をすくわれた27号車が最終コーナーでまさかのスピン。大逆転で5号車が今季初優勝を飾った。2位には27号車、3位には16号車「T-MANOILディクセル岡部自動車Z」(なかむらたかひろ/太田侑弥/田畑勇)が入り表彰台を獲得、シリーズポイントトップの座もキープした。

序盤をリードした14号車、協新計測マイロード岡部自動車RX-7(増田芳信/小松一臣/杉林健一)マシントラブルで後退した39号車「TRACY SPORTS AY-DESIGN ADVAN NSX」(川口正敬/井入宏之/吉本晶哉)

 ST-3クラスの表彰台獲得は以下のとおり。
1位:No.5 平中克幸/吉本大樹/松浦孝亮 5ZIGEN NSX
2位:No.27 伊橋勲/三澤伸輔/行方由久 FINA ADVAN M3
3位:No.16 なかむらたかひろ/太田侑弥/田畑勇 T-MANOILディクセル岡部自動車Z

後半は大差でトップを走るがペナルティで後退、大逆転で優勝した5号車、5ZIGEN NSX(平中克幸/吉本大樹/松浦孝亮)
最終ラップ、最終コーナーでスピンし優勝を逃した27号車「FINA ADVAN M3」(伊橋勲/三澤伸輔/行方由久)3位の16号車、T-MANOILディクセル岡部自動車Z(なかむらたかひろ/太田侑弥/田畑勇)

ST-4クラスは「YAMATO CIVIC」が初優勝
 ST-4クラスは、予選でクラス6位と出遅れたシリーズポイントトップの55号車「BOLD WORLD Absolute DIXCELCIVIC」(谷川達也/松井考允/河村直樹)が序盤に快進撃を見せた。オープニングラップのうちにトップ浮上し、そのままトップを走り続ける。予選クラストップだった62号車「ホンダカーズ東京μ SSRDC5」(塩谷烈州/デパマン石渡/吉橋孝之)は、電気系トラブルでわずか7周でリタイアとなった。

 トップを快走する55号車だったが、エンジンがミスファイアを起こして、ペースダウン。67号車「YAMATO CIVIC」(内山慎也/大村和生/野間一)にトップを譲ることとなった。55号車は最終ラップには73号車「ERGグローリーR★A-ONEDC5」(下山和寿/北川剛/藤田弘幸)にもかわされて3位となった。

 優勝した67号車は初優勝。シリーズポイントは55号車がトップをキープした。

 ST-4クラスの表彰台獲得は以下のとおり。
1位:No.67 内山慎也/大村和生/野間一 YAMATO CIVIC
2位:No.73 下山和寿/北川剛/藤田弘幸 ERGグローリーR★A-ONEDC5
3位:No.55 谷川達也/松井考允/河村直樹 BOLD WORLD Absolute DIXCEL CIVIC

ST-4クラスで初優勝した67号車、YAMATO CIVIC(内山慎也/大村和生/野間一)序盤2位争いをする67号車と73号車
2位になった73号車、ERGグローリーR★A-ONEDC5(下山和寿/北川剛/藤田弘幸)3位の55号車、BOLD WORLD Absolute DIXCELCIVIC(谷川達也/松井考允/河村直樹)
ST-1クラスの表彰式ST-2クラスの表彰式
ST-3クラスの表彰式ST-4クラスの表彰式

 次戦は岡山国際サーキット(岡山県美作市)で9月5日、6日に400kmレースが開催される。

(奥川浩彦)
2009年 8月 4日