メルセデス・ベンツ、「Sクラス HYBRID」のショート版
「S 63 AMG ロング」は新開発エンジンに換装

Sクラス HYBRID

2010年11月10日発売
Sクラス HYBRID:1270万円
S 63 AMG ロング:2292万円



 メルセデス・ベンツ日本は、「Sクラス HYBRID」の標準ホイールベース仕様モデルと、「S 63 AMG ロング」に新開発エンジンを搭載したモデルを、11月10日に発売した。

オーナードライバー向けのSクラス HYBRID
 2009年9月に発売されたハイブリッド・サルーン「Sクラス HYBRID ロング」の、標準ホイールベース版。Sクラス HYBRID ロングは発売以来、Sクラスの販売構成比の約15%を占めており、オーナードライバーにも使いやすいサイズのバリエーションを投入して、拡大を図る。価格は1270万円。左ハンドルのみとなる。

 ロングとの違いは、ホイールベースと全長がロングより130mm短くなったことで、最小回転半径が約200mm小さくなり、重量が2070kgから1980kgになった。

Sクラス HYBRID
LEDポジションランプとLEDドライビングランプを装備タイヤはポテンザRE050エコピア奥がロング、手前が標準ホイールベース
標準ホイールベース(左)とロングホイールベース。リアドアの長さ、室内のリアの足下の広さが異なるのみ

 このほかはメカニズム、装備ともにロングと同様。ハイブリッド機構は、V型6気筒エンジンと7速ATの間に薄型モーターを置くレイアウトを採用。通常のSクラスの鉛バッテリーが置かれるスペースに、駆動系とエアコン用のリチウムイオンバッテリー搭載し、後席とトランクルームの間にそのほかのアクセサリー電源用の鉛バッテリーを移動した。

 モーターは発進・加速などのエンジンのアシストと、減速時のエネルギー回生に特化し、モーターのみでの走行はしない。しかし、ハイブリッドシステムを小型軽量にすることで、重量増を75kgにとどめ、ガソリンエンジン車と同サイズの居住空間とトランクルームを維持した。

 また専用設計の7速ATを採用し、減速時に15km/h以下でエンジンを停止するアイドリングストップ機能を備える。

 V型6気筒3.5リッターDOHCエンジンは「S 350」のそれと同じ272型だが、HYBRID用にチューンされ、アトキンソンサイクルを採用している。最高出力は205kW(279PS)/6000rpm、最大トルクは350Nm(35.7kgm)/3000-5500rpm。モーターの最大出力は15kW(20PS)、最大トルクは160Nm(16.3kgm)。

 10・15モード燃費はロングと同じ11.2km/L。平成22年度燃費基準+25%、平成17年基準排出ガス75%低減レベルを達成しており、エコカー減税も同様に自動車取得税・重量税免除、自動車税50%減免となる。

エンジンルームエンジンルーム奥、通常のSクラスなら鉛バッテリーのあるところに、リチウムイオンバッテリーが搭載される。オレンジ色の高電圧配線が見える
トランクルームのサイズは通常のSクラスと同じ。この奥、リアシートの後ろに鉛バッテリーが搭載されている
ハイブリッドシステムのレイアウト薄型のモーターリチウムイオンバッテリー
電動系はエンジンのアシスト、減速時の回生とアイドリングストップに使い、モーターのみでの走行はしない
スピードメーター中央にエネルギーフローを表示する。エネルギーフロー以外にも、カーナビやオーディオなどの情報も表示できる

S 63 AMG ロングは出力も燃費も改善
 「S 63 AMG ロング」はSクラスのスポーツモデル。従来はV型8気筒DOHC 6.3リッターエンジンを搭載していたが、新開発のV型8気筒DOHC 5.5リッター直噴ツインターボエンジンに変更した。価格は2292万円で、左右ハンドルが用意される。

 新しいパワーユニットは、8日に発売された「CL 63 AMG」にも搭載されたもの。7速のプラネタリーギアと、トルコンの代わりに湿式多板クラッチを使用するAT「AMGスピードシフトMCT」を組み合わせ、アイドリングストップ機能を備える。

S 63 AMG搭載された新開発エンジン

 最高出力は400kW(544PS)/5250-5750rpm、最大トルクは800Nm(81.8kgm)/2000-4500rpmで、従来比+14kW(19PS)、+170Nmとなった一方で、10・15モード燃費は従来の5.4km/Lから8.4km/Lに改善されている。

 またオプションで「AMGパフォーマンスパッケージ」を用意。最高出力が+20kW(27PS)の420kW(571PS)/5500rpmに、最大トルクが+100Nmの900Nm(91.8kgm)/2250-3750rpmに向上するとともに、スピードリミッターの設定が変更される。合わせてAMGカーボンファイバーエンジンカバーと、AMGパフォーマンスステアリング、チタニウムグレーペイント20インチAMG5ツインスポークアルミホイール(鍛造)が装着される。

 なおHYBRIDを除くSクラス全車に、「ドライバーズアシスタンスパッケージ」オプションを用意した。このパッケージには、車線逸脱を検知するとステアリングホイールを振動させて警告し、さらに逸脱側と逆側のブレーキをかけて車線をキープするのをサポートする「アクティブレーンキーピングアシスト」、ミリ波レーダーで先行車との車間を維持し、低速時には停止まで行う「ディストロニック・プラス」、衝突の可能性があるときに警告とブレーキの予圧を行う「ブレーキアシスト・プラス」が含まれる。

(編集部:田中真一郎)
2010年 11月 10日