ミシュラン装着のS Road MOLA GT-Rがシリーズチャンピオン
SUPER GT最終戦もてぎ【GT500編】

最終戦で2位に入り、シリーズチャンピオンを獲得した46号車 S Road MOLA GT-R

2011年10月16日決勝開催



 10月16日、2011 AUTOBACS SUPER GT 第8戦 MOTEGI GT 250km RACEの決勝がツインリンクもてぎ(栃木県茂木町)で開催された。GT500クラスは最終戦までチャンピオン争いに残った23号車 MOTUL AUTECH GT-R(本山哲/ブノワ・トレルイエ)が優勝。2位に入った46号車 S Road MOLA GT-R(柳田真孝/ロニー・クインタレッリ)がシリーズチャンピオンを獲得した。

 GT500クラスのシリーズポイントは46号車 S Road MOLA GT-R(柳田真孝/ロニー・クインタレッリ)が75ポイントでトップ。2位の23号車 MOTUL AUTECH GT-R(本山哲/ブノワ・トレルイエ)が59ポイントでその差は16ポイント。最終戦を迎えこの2チームだけがチャンピオン争いに残った。

 23号車 MOTUL AUTECH GT-R(本山哲/ブノワ・トレルイエ)が逆転でチャンピオンを獲得する条件は優勝して46号車 S Road MOLA GT-R(柳田真孝/ロニー・クインタレッリ)がが7位以下という厳しいもの。数字上では46号車 S Road MOLA GT-Rが相当有利だが、マシントラブルやアクシデントでリタイヤすれば逆転もあり得るだけに安心とは言えない。

GT500クラスドライバーズポイントランキング トップ2

順位マシン名(ドライバー名)ポイント
1位46号車 S Road MOLA GT-R(柳田真孝/ロニー・クインタレッリ)75
2位23号車 MOTUL AUTECH GT-R(本山哲/ブノワ・トレルイエ)59

 最終戦が行われたツインリンクもてぎの天候は予選が行われた土曜は雨、日曜も朝のフリー走行まで雨が降り続き、決勝だけ晴れ、路面はドライとなった。雨の中で行われ予選では、今回もミシュランタイヤ勢が速さを見せ、46号車 S Road MOLA GT-R(柳田真孝)がポールポジションを獲得。2位には39号車 DENSO SARD SC430(石浦宏明)が入り、ミシュランタイヤが6回目のポールポジション獲得、5回目のフロントロー独占となった。

 シリーズチャンピオンを争う23号車 MOTUL AUTECH GT-Rは予選5位。優勝がチャンピオン獲得の必須条件なので、やや厳しいポジションからスタートすることとなった。

 朝のフリー走行まで降っていた雨が止み、空は快晴、路面は急速に乾きドライ路面で決勝レースはスタートした。ポールポジションの46号車 S Road MOLA GT-R(ロニー・クインタレッリ)はスタートでトップをキープ。予選3位の12号車 カルソニック IMPUL GT-R(ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ)が39号車 DENSO SARD SC430(石浦宏明)を2コーナーでアウトから抜き2位に浮上、23号車 MOTUL AUTECH GT-R(ブノワ・トレルイエ)は32号車 EPSON HSV-010(道上龍)を2コーナーでインから抜き4位にポジションアップした。

GT500クラスのスタートシーン(Photo:Burner Images)1周目、46号車はトップをキープ。12号車が2位にポジションアップ23号車は32号車を抜き4位へ浮上

 続く3コーナーで36号車 PETRONAS TOM'S SC430(アンドレ・ロッテラー)が6号車 ENEOS SUSTINA SC430(大嶋和也)に追突。6号車 ENEOS SUSTINA SC430はコース復帰に手間取りGT300クラスの後方へ沈み、巻き込まれた8号車 ARTA HSV-010(小林崇志)も大きく後退した。36号車 PETRONAS TOM'S SC430はフロントを大破、後退した上にドライブスルーペナルティも受け後方に沈んだ。

3コーナーで36号車が6号車に追突するアクシデント発生
6号車は発進に手間取り最後尾へ36号車は右フロントを大きく破損。ドライブスルーペナルティが課せられる

46号車を攻め立てる12号車

 オープニングラップは12号車 カルソニック IMPUL GT-Rが、トップの46号車 S Road MOLA GT-Rの背後に迫るが、1周1秒ずつ差が開き、逆に3位に落ちた39号車 DENSO SARD SC430が12号車 カルソニック IMPUL GT-Rに迫りテール・トゥ・ノーズの争いに。6周目の1コーナーでインに飛び込んだ39号車 DENSO SARD SC430が早々に2位を取り戻した。

12号車は46号車から徐々に離れていく
39号車が12号車の背後に迫る39号車の12号車を抜き2位浮上

12号車はペースダウン。23号車に迫られたところで、タイヤ交換のためピットイン

 3位に後退した12号車 カルソニック IMPUL GT-Rは、スタート直後は1分46秒台だったラップタイムが4周目に47秒台、5周目に48秒台、6周目に50秒台まで落ち、4位の23号車 MOTUL AUTECH GT-Rとの差があっと言う間に縮まった。8周目には2台の差は0.4秒となり、わずか9周で12号車 カルソニック IMPUL GT-Rはタイヤ交換のためピットイン、上位争いから姿を消すこととなった。

 10周を終えてトップを快走する46号車 S Road MOLA GT-Rの7.3秒後方に2位の39号車 DENSO SARD SC430、その6.8秒後方に3位の23号車 MOTUL AUTECH GT-Rが続いた。20周目のタイム差もそれぞれ7.1秒、7.0秒とほぼ互角の展開が続いたが、20周を過ぎて39号車 DENSO SARD SC430がややペースダウン。ピットイン直前の27周目にはトップ46号車 S Road MOLA GT-Rとの差が10.8秒に開き、3位23号車 MOTUL AUTECH GT-Rとの差が2.7秒まで縮まっていた。


トップの46号車は39号車を大きく引き離し独走39号車も3位の23号車を引き離す

 上位3台で最初にピットインしたのは39号車 DENSO SARD SC430。39号車 DENSO SARD SC430が28周目にピットインすると続く29周目に46号車 S Road MOLA GT-R、30周目に23号車 MOTUL AUTECH GT-Rピットに入った。各車の停止時間は39号車 DENSO SARD SC430が31.1秒、46号車 S Road MOLA GT-Rが32秒、23号車 MOTUL AUTECH GT-Rが30.7秒。

 23号車 MOTUL AUTECH GT-R(本山哲)は39号車 DENSO SARD SC430(井口卓人)の前でコースに復帰し、事実上の2位へポジションアップした。最後にピットインした23号車 MOTUL AUTECH GT-Rがアウトラップを終えるた31周目の差は、事実上のトップ46号車 S Road MOLA GT-R(柳田真孝)と2位23号車 MOTUL AUTECH GT-Rの差が5.1秒、2位23号車 MOTUL AUTECH GT-Rと3位39号車 DENSO SARD SC430の差が3.2秒となった。


チャンピオン争いをする2台の差が縮まってきた

 3台のピットインで大きな差が付いたのはアウトラップ。46号車 S Road MOLA GT-Rと39号車 DENSO SARD SC430の1分57秒台に対し、23号車 MOTUL AUTECH GT-Rは1分53秒台。この差で23号車 MOTUL AUTECH GT-Rは2位に浮上、インラップ、停止時間も遅かったトップ46号車 S Road MOLA GT-Rとの差もピットイン前の13.7秒を5.1秒まで詰めることができた。

 ここから23号車 MOTUL AUTECH GT-Rのトップ追撃が始まった。その差を32周目に4.3秒、33周目に3.1秒、34周目に2.0秒と縮め35周目には1秒を切り背後に迫った。数周にわたりテール・トゥ・ノーズの争いが続き、41周目のV字コーナーでインに飛び込み逆転、ついにトップに立った。


一気に差を縮めテール・トゥ・ノーズの争いに

ついに23号車がトップ浮上

 トップに立った23号車 MOTUL AUTECH GT-Rはそのまま後続を引き離し逆転チャンピオンの最低条件となる優勝は見えてきた。後は2位に後退した46号車 S Road MOLA GT-Rが7位以下に落ちればシリーズチャンピオン獲得となる。

 2位に後退したとはいえ46号車 S Road MOLA GT-Rは無理せずこのまま最後まで走りきればチャンピオン獲得だ。終盤には39号車 DENSO SARD SC430、32号車 EPSON HSV-010(中山友貴)、100号車 RAYBRIG HSV-010(山本尚貴)、1号車 ウイダー HSV-010(小暮卓史)が数珠つなぎとなる5台の2位集団を形成するが、仮にハーフスピン等でこの集団の最後尾に落ちても6位、ギリギリでチャンピオンに手が届く順位だ。


後方では38号車と19号車がサイド・バイ・サイド8号車と3台のレクサス勢レース後半で36号車は12位から9位へポジションを上げた
残り2周。後続を引き離す23号車2位争いは46、39、32、100、1号車の5台4位を走る32号車

 2位集団の中では残り2周の90度コーナーで、100号車 RAYBRIG HSV-010が32号車 EPSON HSV-010を抜き4位にポジションアップするなどバトルは続いた。46号車 S Road MOLA GT-Rはそのまま2位をキープ。トップ23号車 MOTUL AUTECH GT-Rの2秒後方でゴールした。

最終ラップへ突入5台の2位争いは僅差のまま最終ラップへ100号車が32号車を抜き4位浮上

 優勝した23号車 MOTUL AUTECH GT-Rは今期3勝目。GT-Rが8戦中5戦を制し圧倒的な強さを見せた1年だった。2位入った46号車 S Road MOLA GT-Rは優勝こそSUGOの1勝だったが2位4回と着実にポイントを稼ぎシリーズチャンピオンを獲得。柳田選手、クインタレッリ選手ともGT500クラスでは初のチャンピオン獲得。

 柳田選手は2003年、2010年(昨年)にGT300クラスでチャンピオンを獲得しており、SUPER GT史上初の両クラス制覇となった。MOLAはGT500クラス参戦初年度でチャンピオン獲得の偉業と達成、ミシュランタイヤも悲願のGT500クラスチャンピオン獲得を果たした。

ウィニングラップを走る46号車柳田選手の目に涙レースの表彰式。優勝は23号車(Photo:Burner Images)シリーズの表彰式。シリーズチャンピオンは46号車が獲得(Photo:Burner Images)


最終順位

順位マシン名(ドライバー名)
1位23号車 MOTUL AUTECH GT-R(本山哲/ブノワ・トレルイエ)
2位46号車 S Road MOLA GT-R(柳田真孝/ロニー・クインタレッリ)
3位39号車 DENSO SARD SC430(石浦宏明/井口卓人)
4位100号車 RAYBRIG HSV-010(伊沢拓也/山本尚貴)
5位32号車 EPSON HSV-010(道上龍/中山友貴)
6位1号車 ウイダー HSV-010(小暮卓史/ロイック・デュバル)
7位17号車 KEIHIN HSV-010(金石年弘/塚越広大)
8位36号車 PETRONAS TOM'S SC430(アンドレ・ロッテラー/中嶋一貴)
9位12号車 カルソニック IMPUL GT-R(松田次生/ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ)
10位38号車 ZENT CERUMO SC430(立川祐路/平手晃平)
11位19号車 WedsSport ADVAN SC430(片岡龍也/荒聖治)
12位24号車 ADVAN KONDO GT-R(安田裕信/ビヨン・ビルドハイム)
13位8号車 ARTA HSV-010(武藤英紀/小林崇志)
14位35号車 D'STATION KeePer SC430(脇阪寿一/アンドレ・クート)
15位6号車 ENEOS SUSTINA SC430(伊藤大輔/大嶋和也)

GT500クラスのドライバーズポイントランキング

順位マシン名(ドライバー名)ポイント
1位46号車 S Road MOLA GT-R(柳田真孝/ロニー・クインタレッリ)90
2位23号車 MOTUL AUTECH GT-R(本山哲/ブノワ・トレルイエ)79
3位1号車 ウイダー HSV-010(小暮卓史/ロイック・デュバル)57
4位17号車 KEIHIN HSV-010(金石年弘/塚越広大)50
5位12号車 カルソニック IMPUL GT-R(松田次生/ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ)49
6位38号車 ZENT CERUMO SC430(立川祐路/平手晃平)47
7位39号車 DENSO SARD SC430(石浦宏明/井口卓人)40
8位36号車 PETRONAS TOM'S SC430(アンドレ・ロッテラー/中嶋一貴)39
9位100号車 RAYBRIG HSV-010(伊沢拓也/山本尚貴)37
10位24号車 ADVAN KONDO GT-R(安田裕信/ビヨン・ビルドハイム)29
11位6号車 ENEOS SUSTINA SC430(伊藤大輔/大嶋和也)28
12位32号車 EPSON HSV-010(道上龍/中山友貴)21
13位19号車 WedsSport ADVAN SC430(片岡龍也/荒聖治)18
14位35号車 D'STATION KeePer SC430(脇阪寿一/アンドレ・クート)9
15位8号車 ARTA HSV-010(武藤英紀/小林崇志)7

 このレースの模様はテレビ東京系列で毎週日曜23時30分からの「SUPER GTプラス」(BSジャパンでは毎週日曜10時30分から)で放送される。

優勝した23号車 MOTUL AUTECH GT-R(本山哲/ブノワ・トレルイエ)
2位に入りシリーズチャンピオンを獲得した46号車 S Road MOLA GT-R(柳田真孝/ロニー・クインタレッリ)
3位の39号車 DENSO SARD SC430(石浦宏明/井口卓人)

 SUPER GTは、この第8戦もてぎで最終戦となったが、11月11日~13日には、SUPER GTとフォーミュラ・ニッポンが同日に走行する「富士スプリントカップ」が富士スピードウェイで開催される。GT300クラスとGT500クラスの戦いも個別に行われるスプリントレースで、マシンやドライバーの強さではなく速さが問われるものとなる。ぜひ、国内最速の戦いを見ていただきたい。

(奥川浩彦/Photo:奥川浩彦、Burner Images)
2011年 10月 21日