SUPER GT第4戦菅生は、デビュー4戦目のS Road MOLA GT-Rが優勝
GT300ではSG CHANGI IS350がチーム結成後初優勝

GT500で優勝したS Road MOLA GT-R

2011年7月31日決勝開催



 7月31日、2011 AUTOBACS SUPER GT第4戦「GT SUGO 250km RACE」の決勝がスポーツランドSUGO(宮城県)で開催された。GT500クラスはミシュランタイヤを履く46号車 S Road MOLA GT-R(柳田真孝/ロニー・クインタレッリ)が初優勝、GT300クラスは14号車 SG CHANGI IS350(折目遼/アレキサンドレ・インペラトーリ)がチーム結成後初優勝した。

 シリーズ全8戦で行われるSUPER GTシリーズは、今回のレースで折り返しとなる。前半戦の最後を締めくくるレースなので、出遅れたチームは是が非でも上位入賞でポイントを稼ぎシリーズチャンピオン争いに残りたいところだ。逆にポイントを稼いでいるチームは後続を引き離し、有利に後半戦を戦いたいところだろう。

 今年のSUGOは土曜の練習走行から雨が降り、1回目の予選も雨、スーパーラップも雨、日曜朝のフリー走行も雨となった。その後曇天が続き、決勝がスタートする14時には路面はドライ、気温21度、路面温度22度と例年より低い温度でのレースとなった。

GT500クラス
 GT500クラスは3戦を終えて優勝マシンはGT-R、GT-R、HSV-010となり、SC430がやや出遅れた感じだ。タイヤメーカーではブリヂストンが3連勝。ミシュラン、ヨコハマ、ダンロップは一矢を報いたいところだ。3戦を終えた時点のドライバーズポイントは以下の通り。

順位マシン(ドライバー)ポイント
1位23号車 MOTUL AUTECH GT-R(本山哲/ブノワ・トレルイエ)26
2位17号車 KEIHIN HSV-010(金石年弘/塚越広大)25
3位1号車 ウイダー HSV-010(小暮卓史/ロイック・デュバル)24
4位46号車 S Road MOLA GT-R(柳田真孝/ロニー・クインタレッリ)21
5位36号車 PETRONAS TOM'S SC430(アンドレ・ロッテラー/中嶋一貴)21
6位12号車 カルソニック IMPUL GT-R(松田次生/ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ)20
7位100号車 RAYBRIG HSV-010(伊沢拓也/山本尚貴)19
8位6号車 ENEOS SUSTINA SC430(伊藤大輔/大嶋和也)18
9位38号車 ZENT CERUMO SC430(立川祐路/平手晃平)15
10位24号車 ADVAN KONDO GT-R(安田裕信/ビヨン・ビルドハイム)14
11位19号車 WedsSport ADVAN SC430(片岡龍也/荒聖治)11
12位39号車 DENSO SARD SC430(石浦宏明/井口卓人)5
13位8号車 ARTA HSV-010(武藤英紀/小林崇志)4
14位32号車 EPSON HSV-010(道上龍/中山友貴)1
15位35号車 D'STATION KeePer SC430(脇阪寿一/アンドレ・クート)1

 優勝したチームがそれ以外のレースでのポイント獲得が少ないため、独走するチームはなく混戦模様となっている。そのため、下位チームにも巻き返しのチャンスは大いにありそうだ。

 練習走行、予選で速さが光ったのは46号車 S Road MOLA GT-R(柳田真孝/ロニー・クインタレッリ)。土曜のすべてのセッションでトップタイムをたたき出し、堂々のポールポジション獲得だ。2番グリッドは39号車 DENSO SARD SC430(石浦宏明/井口卓人)。フロントローをミシュランタイヤが独占する形となった。

 ミシュランタイヤは、開幕戦の富士スピードウェイでもフロントローを独占している。開幕戦の決勝は豪雨の路面に選んだタイヤがフィットせず2台とも順位を落としたが、雨のSUGOでは圧倒的な速さでフロントローを獲得することとなった。

雨の予選を制した46号車 S Road MOLA GT-R

 ミシュランタイヤにはもう1つアドバンテージがある。昨年のSUGOはミシュランタイヤを履く23号車 MOTUL AUTECH GT-R(本山哲/ブノワ・トレルイエ)がすべてのセッションでトップタイムを記録。決勝も残り8周までトップを独走している。2009年セパン以来となる優勝の可能性は高い。

 3番グリッドはヨコハマタイヤの24号車 ADVAN KONDO GT-R(安田裕信/ビヨン・ビルドハイム)。これも開幕戦の富士と同じポジションだ。開幕戦の予選は予想以上に路面温度が上がらない中、ミシュランタイヤとヨコハマタイヤが結果を残した。例年より大幅に路面温度が低くなった決勝で、ミシュラン、ヨコハマがどの様な戦いを見せるか注目だ。

 4番グリッドは、ここまで低迷が続いていた32号車 EPSON HSV-010(道上龍/中山友貴)。GT500クラスで唯一ダンロップタイヤを履くチームだ。開幕から予選は12位、13位、14位と低迷してきたので、上位グリッドからのスタートに期待が高まることとなった。

GT500クラスのスタートシーン(Photo:Burner Images)

 グリッド2列目までにブリヂストンタイヤを履くチームは1台もない予選結果となったが、土曜から日曜の朝のセッションまですべてウェット路面。ドライ路面での走行はすべてのチームが決勝で初めて走ることとなるので、ブリヂストン勢の大躍進があるかもしれない。

 14時、68周の決勝レースがスタートした。上位4台はポジションキープ、予選6位の36号車 PETRONAS TOM'S SC430(アンドレ・ロッテラー)が1つポジションを上げ5位で1コーナーを通過した。

 46号車 S Road MOLA GT-R(ロニー・クインタレッリ)は、2番手以下を1周目で2.4秒引き離し独走態勢。2位から5位までが2位集団となる。2周目の1コーナーで、4位の32号車 EPSON HSV-010(中山友貴)が24号車 ADVAN KONDO GT-R(ビヨン・ビルドハイム)のインを狙うが失敗、やや失速したところを逆に36号車 PETRONAS TOM'S SC430に攻め立てられ防戦一方。3位の24号車 ADVAN KONDO GT-Rとの差が広がってしまった。

2コーナーですでに46号車が後続を引き離す2周目には独走態勢を築く32号車を36号車が攻め立てる

 ポジションアップを狙った36号車 PETRONAS TOM'S SC430だが、徐々にラップタイムが落ち6周目には32号車 EPSON HSV-010との差が5秒に広がり、逆に5位から12位まで8台の大集団の先頭を塞ぐ形となった。

 36号車 PETRONAS TOM'S SC430は、7周目のレインボーコーナーの立ち上がりでラインが膨らみアウト側のタイヤを芝生に落とし失速。続くバックストレッチで後続に次々に抜かれ9位までポジションを落としてしまった。

 トップは46号車 S Road MOLA GT-Rが序盤で5秒ほどのマージンを作り独走、2位の39号車 DENSO SARD SC430(石浦宏明)と3位の24号車 ADVAN KONDO GT-Rは僅差の争いを展開した。

36号車を先頭にした5位争い2位争いをする39号車と24号車

 19周目の1コーナー。9位を走る1号車 ウイダー HSV-010(ロイック・デュバル)が、19号車 WedsSport ADVAN SC430(片岡龍也)に攻められてブレーキングに失敗。アウトにタイヤを落として失速し、2コーナーでインに飛び込んだ12号車 カルソニック IMPUL GT-R(松田次生)と接触しスピン、右リアタイヤを傷めスロー走行となってしまった。

 12号車 カルソニック IMPUL GT-Rもタイヤを傷めピットイン、1号車 ウイダー HSV-010も遅れてピットインしてタイヤ交換を行った。そして、ピットアウトした1号車 ウイダー HSV-010はなんとピットロードでガードレールにクラッシュ。オフィシャルの手助けでコースに戻るが左フロントのサスペンションを大破、ディフェンディングチャンピオンは再びピットに戻り、リタイアとなった。

1号車と12号車が接触。1号車がスピン、右リアタイヤを破損するがスロー走行でピットに戻るタイヤ交換後にピットロードでクラッシュ。左前輪を大破しリタイアとなってしまった

 2位争いは、39号車 DENSO SARD SC430と24号車 ADVAN KONDO GT-Rに32号車 EPSON HSV-010が追いつき、3台の争いとなった。24周目の最終コーナーからの登り勾配で、3位の24号車 ADVAN KONDO GT-RがGT300マシンに引っかかりたまらずブレーキング。失速したところを32号車 EPSON HSV-010が抜き3位に浮上するが、1コーナーのブレーキングでタイヤをロック、アウトに膨らんだところを抜き返され4位にポジションを戻した。

 29周目の1コーナーでも32号車 EPSON HSV-010が24号車 ADVAN KONDO GT-Rのインに飛び込み順位を上げるが、24号車 ADVAN KONDO GT-Rがクロスラインで抜き返す白熱のバトルを繰り返した。

24号車に迫る32号車

 30周を過ぎ、上位陣のピットインが始まった。30周目に24号車 ADVAN KONDO GT-Rがピットインして安田裕信選手に交代。続く31周目に39号車 DENSO SARD SC430が井口卓人選手に、33周目には32号車 EPSON HSV-010が道上龍選手にそれぞれ交代した。

 32号車 EPSON HSV-010がピットアウトすると、39号車 DENSO SARD SC430がヘアピンであっさりオーバーテイク。さらに24号車 ADVAN KONDO GT-Rがバックストレッチで後方に迫ってきた。万事休すかと思われたSPコーナーで運よくGT300マシンと遭遇。コース幅の狭いSUGOの特性を活かし、GT300マシンとSPアウトまで2台でコースを塞ぐ形で併走しブロック。最終コーナーも追撃をしのぎ、そのままストレートを駆け抜け事実上の3位にポジションアップした。

 トップを快走する46号車 S Road MOLA GT-Rは後続を10秒以上引き離し一人旅。39周目にピットインし柳田真孝選手に交代、残り29周を初優勝に向けて走りきるだけとなった。

 全車ピットイン、ドライバー交代を済ませた時点の上位陣の順位は46号車 S Road MOLA GT-R、39号車 DENSO SARD SC430、32号車 EPSON HSV-010、24号車 ADVAN KONDO GT-R、100号車 RAYBRIG HSV-010、6号車 ENEOS SUSTINA SC430の順。レース終盤は2位、3位争いと5位、6位争いに注目が集まった。

 2位争いは50周目には8.6秒差だったが、55周目には5秒、60周目には1秒を切り、61周目には0.2秒まで肉薄するが、39号車 DENSO SARD SC430の若い井口卓人選手が32号車 EPSON HSV-010のベテラン道上龍選手の追撃を振り切りポジションを死守した。

 一方5位争いは15周に渡り1秒以下のバトルが続いた。65周目のストレートで6号車 ENEOS SUSTINA SC430がアウト側に並びかけサイド・バイ・サイドで1コーナーへ。インで踏ん張る100号車 RAYBRIG HSV-010がブレーキングで白煙を上げ膨らんだところをクロスラインで6号車 ENEOS SUSTINA SC430が抜き5位に浮上した。

ピットアウト後の攻防を凌ぎ32号車が3位に浮上32号車は39号車に迫り2位争いとなる100号車と6号車のバトルは15周以上続いた

 抜かれた100号車 RAYBRIG HSV-010は、直後のヘアピンで強引にインに飛び込むが2台は接触。ハーフスピンした6号車 ENEOS SUSTINA SC430のインをすり抜け5位を取り戻すが、明らかにペナルティの対象となるパッシング。残り2周となる67周目に100号車 RAYBRIG HSV-010がペースを落とし6号車 ENEOS SUSTINA SC430に5位のポジションを譲った。こちらは6号車 ENEOS SUSTINA SC430のベテラン・伊藤大輔選手に軍配が上がる形となった。100号車 RAYBRIG HSV-010の山本尚貴選手の若さが最後に出てしまったが、それまでの果敢な走りは称賛とこれからの期待が膨らむ内容だった。

100号車はペースダウンし接触して抜いた6号車を先行させた

 46号車 S Road MOLA GT-Rは、ゴールまで快走を続け22秒の大差をつけ初優勝。2位には39号車 DENSO SARD SC430が入り、ミシュランタイヤが1-2フィニッシュとなった。3位にはこれまでの低迷が嘘のような走りでダンロップタイヤを履く32号車 EPSON HSV-010が入り、表彰台を獲得した。

46号車は独走でチェッカーを受けた2位の39号車と3位の32号車もゴール。ピットウォールでは石浦選手が井口選手を迎えるGT500の表彰台

 4位はヨコハマタイヤを履く24号車 ADVAN KONDO GT-R、5位は長いバトルを制した6号車 ENEOS SUSTINA SC430、6位でフィニッシュした100号車 RAYBRIG HSV-010は接触によるペナルティで30秒加算となり7位に後退、繰り上がって17号車 KEIHIN HSV-010が6位となった。

 最終順位は以下の通り。

順位マシン(ドライバー)
1位46号車 S Road MOLA GT-R(柳田真孝/ロニー・クインタレッリ)
2位39号車 DENSO SARD SC430(石浦宏明/井口卓人)
3位32号車 EPSON HSV-010(道上龍/中山友貴)
4位24号車 ADVAN KONDO GT-R(安田裕信/ビヨン・ビルドハイム)
5位6号車 ENEOS SUSTINA SC430(伊藤大輔/大嶋和也)
6位17号車 KEIHIN HSV-010(金石年弘/塚越広大)
7位100号車 RAYBRIG HSV-010(伊沢拓也/山本尚貴)
8位19号車 WedsSport ADVAN SC430(片岡龍也/荒聖治)
9位36号車 PETRONAS TOM'S SC430(アンドレ・ロッテラー/中嶋一貴)
10位8号車 ARTA HSV-010(武藤英紀/小林崇志)
11位38号車 ZENT CERUMO SC430(立川祐路/平手晃平)
12位23号車 MOTUL AUTECH GT-R(本山哲/ブノワ・トレルイエ)
13位12号車 カルソニック IMPUL GT-R(松田次生/ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ)

 前半の4戦を終えてGT-Rが3勝、HSV-010が1勝。ドライバーズポイントは46号車 S Road MOLA GT-R(柳田真孝/ロニー・クインタレッリ)が41ポイントを獲得しトップに立った。

 ポイントランキングは以下の通り。

順位マシン(ドライバー)ポイント
1位46号車 S Road MOLA GT-R(柳田真孝/ロニー・クインタレッリ)41
2位17号車 KEIHIN HSV-010(金石年弘/塚越広大)30
3位23号車 MOTUL AUTECH GT-R(本山哲/ブノワ・トレルイエ)26
4位1号車 ウイダー HSV-010(小暮卓史/ロイック・デュバル)24
5位6号車 ENEOS SUSTINA SC430(伊藤大輔/大嶋和也)24
6位100号車 RAYBRIG HSV-010(伊沢拓也/山本尚貴)23
7位36号車 PETRONAS TOM'S SC430(アンドレ・ロッテラー/中嶋一貴)23
8位24号車 ADVAN KONDO GT-R(安田裕信/ビヨン・ビルドハイム)22
9位12号車 カルソニック IMPUL GT-R(松田次生/ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ)20
10位39号車 DENSO SARD SC430(石浦宏明/井口卓人)20
11位38号車 ZENT CERUMO SC430(立川祐路/平手晃平)15
12位19号車 WedsSport ADVAN SC430(片岡龍也/荒聖治)14
13位32号車 EPSON HSV-010(道上龍/中山友貴)12
14位8号車 ARTA HSV-010(武藤英紀/小林崇志)5
15位35号車 D'STATION KeePer SC430(脇阪寿一/アンドレ・クート)1
優勝した46号車 S Road MOLA GT-R(柳田真孝/ロニー・クインタレッリ)
2位の39号車 DENSO SARD SC430(石浦宏明/井口卓人)
3位の32号車 EPSON HSV-010(道上龍/中山友貴)

GT300クラス
 GT300クラスは3戦を終え、FIA GTマシンの速さばかりが目立つ展開となっているが、第4戦SUGOを前にして性能調整が行われた。

 リストリクター径が絞られたのは3戦連続で2位の11号車 JIMGAINER DIXCEL DUNLOP 458と、第3戦セパンで優勝を飾った4号車 初音ミク グッドスマイル BMW。リストリクター径が広げられたのは2号車 エヴァンゲリオンRT初号機アップル紫電、5号車 マッハGOGOGO車検RD320R、14号車 SG CHANGI IS350、22号車 R'Qs Vemac 350R、31号車 ハセプロMAイワサキaprカローラ、43号車 ARTA Garaiya、62号車 R&D SPORT LEGACY B4、74号車 COROLLA Axio apr GT。また、26号車 Verity TAISAN Porscheと41号車 NetMove TAISAN Ferrariも性能調整値の軽減を受けた。

 3戦を終えた時点の上位陣のドライバーズポイントは以下の通り。上位2台が飛び抜けており、性能調整により接戦になることが期待される。1位の11号車 JIMGAINER DIXCEL DUNLOP 458はウェイトハンディも90kgとなっていて、かなり厳しい戦いが予想される。

順位マシン(ドライバー)ポイント
1位11号車 JIMGAINER DIXCEL DUNLOP 458(田中哲也/平中克幸)45
2位4号車 初音ミク グッドスマイル BMW(谷口信輝/番場琢)34
3位33号車 HANKOOK PORSCHE(影山正美/藤井誠暢)22
4位66号車 triple a Vantage GT2(吉本大樹/星野一樹)20
5位27号車 PACIFIC NAC イカ娘 フェラーリ(山岸大/山内英輝)17
6位87号車 リール ランボルギーニ RG-3(余郷敦/織戸学)15
7位74号車 COROLLA Axio apr GT(新田守男/国本雄資)14
8位25号車 ZENT Porsche RSR(都筑晶裕/土屋武士)11
9位88号車 JLOC ランボルギーニ RG-3(井入宏之/関口雄飛)11
10位43号車 ARTA Garaiya(高木真一/松浦孝亮)11

 雨の中で行われたスーパーラップだが、雨足が弱まったタイミングでアタックしたのは74号車 COROLLA Axio apr GT、11号車 JIMGAINER DIXCEL DUNLOP 458、43号車 ARTA Garaiya。その中で43号車 ARTA Garaiyaがポールポジションを獲得している。

 スタート直後の1コーナーをトップで抜けたのは、43号車 ARTA Garaiya(高木真一)。予選3位の14号車 SG CHANGI IS350(折目遼)が11号車 JIMGAINER DIXCEL DUNLOP 458(田中哲也)を抜き2位に浮上、予選7位の33号車 HANKOOK PORSCHE(影山正美)も2号車 エヴァンゲリオンRT初号機アップル紫電(加藤寛規)を抜き6位となった。

GT300クラスのスタートシーン。14号車が11号車のインに飛び込む(Photo:Burner Images)14号車が3位、33号車が6位に浮上

 スタートで3位に落ちた11号車 JIMGAINER DIXCEL DUNLOP 458は、1周目のバックストレッチエンドで62号車 R&D SPORT LEGACY B4(山野哲也)に抜かれ4位、2周目には33号車 HANKOOK PORSCHEに抜かれ5位、その後も後続に抜かれ徐々に順位を落とした。さすがにウェイトハンディ90kgと性能調整では、これまでのような走りは難しいようだ。

 同じくウェイトハンディ68kgおよび性能調整を受けた4号車 初音ミク グッドスマイル BMW(谷口信輝)だが、5周目に2号車 エヴァンゲリオンRT初号機アップル紫電と74号車 COROLLA Axio apr GT(新田守男)を抜き6位に。6周目には11号車 JIMGAINER DIXCEL DUNLOP 458を抜き5位と、悪条件をものともせず元気な走りを見せた。

11号車は62、33号車にも抜かれ徐々に順位を落とす4号車は2号車を抜き7位74号車も抜き6位浮上。5位の11号車に迫る

 トップを走る43号車 ARTA Garaiyaは、2位の14号車 SG CHANGI IS350に攻められ防戦一方となった。4周目の1コーナーでアウトから並ばれサイド・バイ・サイド、7周目の1コーナーではインに並ばれ2コーナーまで併走、3コーナーのインをキープして辛くもトップを守った。直後のバックストレッチでもサイド・バイ・サイドとなるがアウトから被せて凌ぎきるも、8周目の1コーナーではついにパスされトップの座を譲ってしまった。

43号車の背後に迫る14号車
14号車が43号車のインに入りサイド・バイ・サイドとなるが続く3コーナーは43号車が制すついに14号車がトップに立つ

 2位に落ちた43号車 ARTA Garaiyaはさらなる攻勢を受けることとなる。9周目の1コーナーで62号車 R&D SPORT LEGACY B4、バックストレッチで4号車 初音ミク グッドスマイル BMWに立て続けに抜かれ4位に後退した。17周目には2号車 エヴァンゲリオンRT初号機アップル紫電にも抜かれ5位、規定周回数ギリギリの21周でピットインしタイヤ交換、ドライバー交代もして後方から追い上げる作戦をとった。

43号車は62号車にも抜かれ3位へ4号車にも抜かれ徐々に後退
早々にピットインした43号車と74号車はピットアウト直後に74号車が43号車を抜く

 序盤で元気な走りを見せたのは、SUGOを得意とする62号車 R&D SPORT LEGACY B4だ。9周目に2位に浮上。トップを走る14号車 SG CHANGI IS350との差を14周目には4.7秒、17周目には2.9秒、19周目には1.7秒、21周目には0.5秒と縮め、テール・トゥ・ノーズの争いに持ち込んだ。

14号車の背後に62号車が迫ってくるテール・トゥ・ノーズの争いとなるが直後に62号車がコースアウト

 23周目の3コーナーで、ピットインで周回遅れとなった43号車 ARTA Garaiya(松浦孝亮)をアウトから抜こうとするが、43号車 ARTA Garaiyaがレコードラインをキープしたため押し出される形でコースアウト。スピンして足まわりを傷めピットインするが、修復できずリタイヤとなった。

 昨年SUGOで優勝した2号車 エヴァンゲリオンRT初号機アップル紫電は、スタートで1つ順位を落とし7位。5周目に4号車 初音ミク グッドスマイル BMWに抜かれ8位まで後退したが、ここからいつも通りの追い上げを見せた。

 8周目に33号車 HANKOOK PORSCHEのスピンで7位。10周目の1コーナーで74号車 COROLLA Axio apr GTを抜き6位。14周目に11号車 JIMGAINER DIXCEL DUNLOP 458、17周目に43号車 ARTA Garaiyaを抜き4位まで浮上した。23周目に62号車 R&D SPORT LEGACY B4がリタイヤして3位、32周目にトップの14号車 SG CHANGI IS350、33周目に2位の4号車 初音ミク グッドスマイル BMWがピットインしトップに立った。

74号車を抜き6位に浮上した2号車11号車を抜き5位43号車の背後に迫る
43号車を抜き4位へ3位の4号車に迫る2号車

 そのまま44周目までトップをキープしてピットイン。高橋一穂選手に交代し、事実上の2位でコースに復帰した。アウトラップのS字を抜けたところで事実上3位の74号車 COROLLA Axio apr GT(国本雄資)に抜かれポジションダウン、アウトラップにしてはあまりにもペースが遅く、バックストレッチで次々に後続に抜かれてしまった。

 タイヤ交換で右リアタイヤの装着に失敗したのが原因だった。スロー走行でそのままピットイン、すぐにコースに戻るが手の届きかけた表彰台が遠い彼方へ離れていった。開幕戦は早々に電気系トラブルでリタイア、岡山では走行中にドアが開くトラブル、セパンでも接触によりドアが開くトラブルでレースを失っているだけに、悔やまれるミスとなった。

 全車ピットインを済ませた時点の順位は、1位が14号車 SG CHANGI IS350(アレキサンドレ・インペラトーリ)。安定したペースで独走態勢を築いた。2位と3位はスタート時点のタイヤが合わず21周目に早々にタイヤ交換をした74号車 COROLLA Axio apr GTと、43号車 ARTA Garaiyaが粘り強い走りで後方から追い上げてきた。

 序盤にハンディを跳ね返し速さを見せた4号車 初音ミク グッドスマイル BMWは事実上の2位でピットインをしたが、ピット作業に手間取りコースに復帰すると、事実上の6位まで後退した。さらに40周目の1コーナーで後方から抜きにきた12号車 カルソニック IMPUL GT-Rと接触しスピン、大きく順位を落としてしまった。

終盤4位争いをする25号車と33号車ともにハンディを背負った4号車と11号車は6位争い14号車が独走で初優勝のチェッカーを受けた
4位~7位争いはそのままの順位でゴールGT300クラスの表彰台

 14号車 SG CHANGI IS350は終盤も30秒近い差をキープしてチェッカーを受け、チーム設立以来の初優勝となった。2位には74号車 COROLLA Axio apr GT、3位には43号車 ARTA Garaiyaが入り、序盤のピットイン作戦が功を奏した。

 完走16台の最終順位は以下の通り。

順位マシン(ドライバー)
1位14号車 SG CHANGI IS350(折目遼/アレキサンドレ・インペラトーリ)
2位74号車 COROLLA Axio apr GT(新田守男/国本雄資)
3位43号車 ARTA Garaiya(高木真一/松浦孝亮)
4位25号車 ZENT Porsche RSR(都筑晶裕/土屋武士)
5位33号車 HANKOOK PORSCHE(影山正美/藤井誠暢)
6位4号車 初音ミク グッドスマイル BMW(谷口信輝/番場琢)
7位11号車 JIMGAINER DIXCEL DUNLOP 458(田中哲也/平中克幸)
8位66号車 triple a Vantage GT2(吉本大樹/星野一樹)
9位5号車 マッハGOGOGO車検RD320R(玉中哲二/黒澤治樹)
10位88号車 JLOC ランボルギーニ RG-3(井入宏之/関口雄飛)
11位26号車 Verity TAISAN Porsche(松田秀士/峰尾恭輔)
12位41号車 NetMove TAISAN Ferrari(山路慎一/小泉洋史)
13位2号車 エヴァンゲリオンRT初号機アップル紫電(高橋一穂/加藤寛規)
14位7号車 エヴァンゲリオンRT弐号機DIRECTION(カルロ・ヴァン・ダム/水谷晃)
15位86号車 JLOC ランボルギーニ RG-3(坂本祐也/青木孝行)
16位87号車 リール ランボルギーニ RG-3(余郷敦/織戸学)

 第4戦を終えてドライバーズポイント上位はは以下の通りとなった。

順位マシン(ドライバー)ポイント
1位11号車 JIMGAINER DIXCEL DUNLOP 458(田中哲也/平中克幸)49
2位4号車 初音ミク グッドスマイル BMW(谷口信輝/番場琢)39
3位74号車 COROLLA Axio apr GT(新田守男/国本雄資)29
4位33号車 HANKOOK PORSCHE(影山正美/藤井誠暢)28
5位66号車 triple a Vantage GT2(吉本大樹/星野一樹)23
6位43号車 ARTA Garaiya(高木真一/松浦孝亮)22
7位14号車 SG CHANGI IS350(折目遼/アレキサンドレ・インペラトーリ)20
9位25号車 ZENT Porsche RSR(都筑晶裕/土屋武士)19
10位27号車 PACIFIC NAC イカ娘 フェラーリ(山岸大/山内英輝)17
優勝した14号車 SG CHANGI IS350(折目遼/アレキサンドレ・インペラトーリ)
2位は74号車 COROLLA Axio apr GT(新田守男/国本雄資)
3位は43号車 ARTA Garaiya(高木真一/松浦孝亮)

 このレースの模様はテレビ東京系列で毎週日曜23時30分からの「SUPER GTプラス」(BSジャパンでは毎週日曜10時30分から)で放送される。次戦は8月20日、21日に鈴鹿サーキット(三重県鈴鹿市)にて開催される。

(奥川浩彦/Photo:奥川浩彦、Burner Images)
2011年 8月 4日