日産、2015年にプラグインハイブリッド車を投入
中期環境行動計画「ニッサン・グリーンプログラム2016」を発表

ゴーンCEO

2011年10月24日発表



 日産自動車は10月24日、中期環境行動計画「ニッサン・グリーンプログラム2016」(NGP2016)を発表した。神奈川県横浜市の同社グローバル本社で開かれた発表会で、同社のカルロス・ゴーン会長兼CEOは、電気自動車(EV)や燃料電池車(FCEV)、改良型内燃機関による目標達成の展望を明らかにした。

 同社の2016年に向けての環境関連の目標であり、6月に発表した中期経営計画「日産パワー88」とともに経営方針の柱となる。NGP2016の目標は次の4つ。


  1. ルノーと累計150万台のゼロ・エミッション車を販売
  2. 日本・中国・欧州・米国で販売する日産車の企業平均燃費(CAFE)を2005年比35%改善
  3. 企業活動によるCO2排出量を2005年比で1台あたり20%削減
  4. 新車の再生材利用率を1台あたり25%まで拡大

 1は、すでに発表されているとおり、リーフに続いて3車種のEVを2016年までに投入する。さらに、FCEVの開発はダイムラーと共同で行う。ゴーンCEOによればFCEVは「日産とダイムラーの技術を融合させる。(発売は)2~3年以内でなく、もう少し時間がかかるが、必ず実現する。FCEVもアライアンスが源泉となって、リーダーとして、パイオニアとして車両を輩出していくだろう」と述べた。

2016年までにEVのラインアップを6車種に拡大使用済みバッテリーのリサイクルや、スマートグリッドにもコミットする燃料電池車はダイムラーと共同開発

 2は改良型内燃機関車、同社のブランド名で言う「ピュア・ドライブ」車と、ハイブリッド車(HEV)が主役となる。

 HEVはすでに発表されているとおり、FF用の1モーター2クラッチシステムを2013年に発売するほか、1モーター2クラッチシステムの搭載車を拡大する。

 また2015年には日産オリジナルのプラグインハイブリッド車(PHEV)も投入すると発表した。

 ピュア・ドライブ車は、これも発表済みの新世代エクストロニックCVTを2012年3月に投入。1992年のCVT投入以来、2016年までに累計200万台のCVT搭載車を販売する。

 なお同社のアンディ・パーマー副社長は、「ピュア・ドライブは、CO2排出量140g以下の車両。(日産車の)50%くらいをピュア・ドライブに値するようにしたい。たとえば、マーチなら1.2リッターのスーパーチャージャーエンジンで95gを達成している」と述べ、さらに三菱自動車と合弁で開発する軽自動車は30km/Lの燃費を目標とし、海外のスモールセグメントにも投入するとした。

ピュア・ドライブ車は累計87万台を販売した車体軽量化などによる燃費改善も進める

 3は、自動車の低炭素化ではなく、製造、物流、オフィス、販売でのCO2削減に取り組むことを意味する。世界中の拠点で再生可能エネルギーの導入を進め、コンパクトな塗装工程をやはり世界で順次採用する。

 4は自動車メーカーとして初となる、リサイクルについての目標設定。すでに追浜工場ではバンパーのリサイクルを行なっているが、鋼材、アルミ、樹脂などのリサイクルを進め、レア・アースの使用料削減も図る。

 ゴーンCEOは発表会で、「日産は今や売上高で世界上位50位に入る企業となり、世界のブランドランキングトップ100にも入っている。当社の経済への影響は小さくないので、これまで以上に社会的責任を担うことが求められている。より安全で効率的なクルマづくりを進め、雇用を創出し、教育・環境・人道支援など、重要な社会のニーズに貢献する」とし、「先行き不透明な環境下で、生産性と社会的責任のバランスをとりながら会社の舵取りをする」と述べた。

(編集部:田中真一郎)
2011年 10月 24日