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日産、環境対策活動の進捗を説明、2016年度までに15のハイブリッド車を投入
「EVの普及は社会全体の仕組みを変えるトリガーになる」
(2012/12/13 00:00)
日産自動車は12月12日、グローバル本社で環境への取り組みを説明した。
同社は環境対策活動を「ニッサン・グリーンプログラム」(NGP)と称し、2002年の「NGP2005」から開始。2006年の「NGP2010」を経て、現在は2011年に始まった「NPG2016」を進めている。
これまでのNGPでは排出ガスのクリーン化による大気汚染の抑制、CO2排出量と廃棄物の削減を行なってきており、NGP2016ではこれらに加えて、資源の循環利用などにより、資源利用を持続可能なレベルに持っていくことに取り組んでいる。長期的には、2020年代にCO2排出量を低下に転じさせ、新規に採掘する天然資源の増加を抑制することを目標としている。
今回は、開始から1年を迎えたNGP2016の進捗状況を同社の志賀俊之COOが説明した。NGP2016では「ゼロ・エミッション車の普及」「低燃費車の拡大」「企業活動におけるカーボンフットプリントの最小化」「新たに採掘する天然資源の最小化」の4つを重点活動としている。
「ゼロ・エミッション車の普及」は、EV(電気自動車)の拡販を意味する。ルノーとともに2016年までに累計150万台のEVを販売し、充電器などのインフラを整備する目標だが、金融危機以降は「経済が環境より優先されている状態に世界がある」(志賀COO)ことから、リーフ発売以来の販売台数は4万6000台にとどまっている。
そのうちわけは日本が2万500台強、米国が1万8000台強 欧州が7000台弱。2013年からは米国、欧州での現地生産を始めること、これまでのリーフ・オーナーからのフィードバックを生かして製品やサービスを改善すること、2014年には「e-NV200」とインフィニティブランドのEVを発売することなどで、目標達成を図る。
志賀COOはEVを普及について「EVの普及自体にも環境負荷低減効果があるが、EVが大量の大きなバッテリーを使うことでバッテリーの大量生産が進み、コストが下がり、コストが下がったバッテリーで自然エネルギーを蓄えることができる。EVの普及は、単に走行中に排出ガスを出さないクルマが普及するということだけではなく、社会全体の仕組みを変えるトリガーになるのではないかと期待を込めている」と述べた。
「低燃費車の拡大」は、2050年までに日産車が排出するCO2を2000年比で90%削減するという目標を掲げている。このために、NGP2016期間中に35%のCO2排出を削減する必要があるが、2012年度末までに19%削減される見込みが立っており、引き続き改善を続ける。
このため、2016年度末までに新たに15モデルのハイブリッド車(HEV)を投入、さらに「ATより燃費を10%改善できる」(志賀COO)というCVTを、2016年度末までに累計2000万台販売する。
「企業活動におけるカーボンフットプリントの最小化」は、販売するクルマが排出するCO2だけでなく、生産・物流・オフィス・販売の段階でのCO2排出を減らす取り組みで、2050年までに2005年比で80%を削減する目標を掲げている。このため、NGP2016期間中に20%を削減する必要があるが、2012年度で15%が削減される見込みであり、推移は順調と言える。
また世界各地の工場で再生可能エネルギーを導入しており、世界のフルラインアップメーカーの中ではCO2排出量は最小としている。
「新たに採掘する天然資源の最小化」は、具体的にはクルマに使用する素材のリサイクルと、使用するレアアースの削減の取り組み。2050年までに再生材使用率を70%まで引き上げる目標を掲げており、GP2016期間中には25%まで引き上げる。
再生するのは樹脂のほか、アルミ、鋼材で、日産自身がリサイクルしやすい部品を開発することで、リサイクル比率を高める。
また、レアアースはNGP2016期間中に30%削減する。なかでもEV用モーターに使われるジスプロシウムは60%削減する目標を掲げているが、リーフのマイナーチェンジですでに40%削減している。