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日産、社内体制を強化して「ニッサン・グリーンプログラム」をさらに推進
「環境への取り組み」に関する説明会を実施
(2013/7/5 12:30)
日産自動車は7月4日、「日産 環境への取り組み説明会」を横浜のグローバル本社で行い、「ニッサン・グリーンプログラム2016」の2012年度における実績、CO2削減に向けた取り組みという2テーマについて担当者が解説した。
2012年度の活動実績については、日産自動車 経営企画本部環境企画室の今西朗夫室長が解説。日産は2002年1月から企業全体での環境対策活動に「ニッサン・グリーンプログラム」(NGP)という名称を与え、4~5年先までの中期行動計画として取り組みをスタート。初期段階となる「NGP2005」に続き、2006年12月に「NGP2010」、2011年10月に「NGP2016」を策定し、現在はこのNGP2016で掲げたさまざまな目標をクリアするべく取り組みを続けている。
NGP2016では、「ゼロ・エミッション車の普及」「低燃費車の拡大」「カーボンフットプリントの削減」「新たに採掘する天然資源の最小化」の4項目を大きな柱として活動を実施。「低燃費車の拡大」では、日産は「2050年に、2000年の数値をベースにCO2排出量を90%削減する」という大きな目標を持っており、NGP2016でも車両の企業平均燃費を35%改善することを目標としているが、2012年度は2005年度比でCO2排出量を24.9%改善し、目標達成に向けて加速している。2012年度に発売された新車では、日本ではノート(JC08モード燃費で25.2km/L)、アメリカではアルティマ(Combine燃費値で31.0mpg)、ヨーロッパではシルフィ(NEDCで6.3L/100km)とティアナ(NEDCで7.3L/100km)といったモデルがそれぞれの市場で好評を受け、数値改善に貢献しているという。
「ゼロ・エミッション車の普及」では、2010年12月のリーフ発売当初は販売台数の伸びが鈍かったものの、2012年からはアメリカのスマーナ工場、イギリスのサンダーランド工場でも生産を始めたことで普及が加速。累計台数が約7万台となり、EVのグローバルシェアでもトップを維持している。走行時にCO2を排出しないEVだけに、今後の販売推移がNGP2016の計画実現に向けた大きな鍵になるのは間違いないだろう。
このほかに「新たに採掘する天然資源の最小化」では、すでに行なっている使用済みバンパーを新車用バンパーとして生まれ変わらせる樹脂製品の再利用に加え、クルマに使った素材を回収・再利用してクルマを作る「クローズド・ループリサイクル」の考え方を鋼材、アルミにまで広げ、2016年までに新車1台あたりの再生材使用率を25%まで高めるというロードマップを示している。こうした数々の取り組みが評価され、インターブランド社が行った企業イメージ評価「ベスト・グローバル・グリーンブランド2013」で、前年度の21位から5位に大きく躍進。最も飛躍したブランドとなったと紹介している。
今年度から計画立案と実行体制を強化
車両生産技術本部環境エネルギー技術部の岸エキスパートリーダーからは、CO2排出の要因分析や、2012年度に行ったCO2排出量削減に向けた具体策などが紹介された。
日産全体でのCO2排出量は、2005年度を基点とした数値で、2011年度が92.0%まで削減していたのに対し、2012年は91.7%と、わずか0.3%の削減にとどまっている。この大きな要因になっているのは、2011年3月に起きた東日本大震災から連動する原子力発電所の停止。これによって電力係数に含まれるCO2排出量が大きく増加してしまい、日本国内での生産、販売など他方に影響して排出量削減のハードルとなっているという。原子力発電所の多くは現在でも停止状態で、この影響は2013年度も続くものと見られている。
電力問題では、グローバル規模では「再生可能エネルギー」へのシフトが始まっており、世界各地で風力発電、太陽光発電などの導入が進められている。また、日本では日産が「特定規模電気事業者」(PPS)の免許を取得。現在は再生可能エネルギーを購入して利用する段階にとどまっているが、今後は発電にも乗り出し、周辺にある販売会社などで使う電力も供給する予定としている。このほか、NGPの中核となる日産の社内組織が、2013年度から環境企画グループが環境企画室に格上げ、環境エネルギーグループと環境リサイクル統括部は統合されて環境エネルギー技術部になったこともこのなかで発表された。これにより、環境企画と実行体制が強化されるとしている。
CO2排出量削減に向けた具体策としては、国内と海外でそれぞれ1例を紹介。国内での取り組みでは、2010年に始まった日産自動車九州の「3Wet塗装技術」を例として挙げ、従来技術では塗装面の平滑化で必要となっていた中塗り工程での焼付けを最後の上塗り工程に集約。ライン上での作業時間を大幅に短縮し、CO2排出量を30%以上削減する効果を発揮していると解説した。同様の生産技術は他社にも採用する工場が存在するが、日産の場合、既存の工場で内部の配置入れ替えなどを行ないながら実現したことに大きな意義があるとしている。また、今後は2013年にメキシコ日産のアグアスカリエンテス第2工場、2014年稼動予定のブラジル新工場でも「3Wet塗装技術」を導入し、日産の全工場に「3Wet塗装技術」が展開できれば、全体で10%のCO2排出量削減につながると説明された。
海外の事例では、メキシコ日産が推し進めている電力会社の選択について報告。メキシコにあるアグアスカリエンテス工場では2007年から天然ガスによって発電された電力の使用を開始。2012年からは生ゴミを使った「バイオガス発電」の購入も加えられ、さらに2013年から風力発電事業による電力利用を大規模導入。これにより、2013年以降はバイオガス発電、風力発電などの再生可能エネルギーの使用率が50%を超え、2016年には80%以上を再生可能エネルギーとする計画だ。
最後に岸エキスパートリーダーは、「われわれがサスティナビリティな会社になるために環境は非常に重要な項目。今後も様々なことを学んでいき、環境問題に真摯に取り組んでいきたい」と語った。