パイオニア、サイクルナビ「ポタナビ(PotterNavi)」を2月発売
新規事業に参入

サイクルナビ「ポタナビ(PotterNavi)」

2012年2月発売
オープンプライス



 パイオニアは、自転車専用サイクルナビゲーション「ポタナビ(PotterNavi)」を、2012年2月に発売する。本体色は白(SGX-CN700-W)と黒(SGX-CN700-K)の2種類をラインアップし、価格はいずれもオープンプライス。店頭予想価格は各4万円前後。

SGX-CN700-WSGX-CN700-K

10月25日に行われたポタナビの発表会において、代表取締役社長の小谷進氏は、このポタナビが新規事業の大きな製品の1つであると語った

 同社は、家庭用機器でも自動車用機器でもない分野への進出を狙っており、その第1弾が自転車専用のサイクルナビゲーションシステム「ポタナビ」になる。ポタナビとは、自転車で散歩のようにゆっくりと走ることを示す“ポタリング”という言葉と、“ナビゲーションシステム”から作られた造語だ。

 すでにサイクルコンピューターのプロトタイプを展示済みだが、製品として発表するのは今回が初。早く発売することも可能だが、スポーツ関連用品ということで、春商戦に乗せることで拡販を狙う。

 ポタナビの本体サイズは60×16×90mm(幅×奥行き×高さ)で、奥行き以外は名刺サイズ。2.4型(240×320ピクセル)液晶を搭載し、重量は約100g。こうしたコンパクトなナビは、各種のスマートフォン+ナビアプリという選択肢もあるが、ポタナビは自転車にしっかりと装着できる専用のクレイドルが用意されているほか、IPX5相当の防滴性能(あらゆる方向から噴流水をかけても、該当商品の機能を有することが基準)を備えており、アウトドアでの使用に十分に耐えうる性能を確保しているとする。


ポタナビの取り付けイメージ。本体も十分薄く、防滴性能を確保している
シンプルなナビ画面。カーナビでの豊富な経験を持つパイオニアだけに、直感的で見やすいクレードルは、手軽に取り外せる構造を持つ

 自転車用に特化したことで、操作方法に独自の方式を採用している。操作に使うボタンは本体正面のアクション(決定)ボタン、右側の選択ボタン、上側の戻るボタンの3種のみ。この3種のボタンで基本的な操作を行う。また、画面のスクロールは、本体を傾けることで内蔵されている加速度センサーによって行える。グローブをしたままでも操作が可能というわけだ。

 地図情報は全国版(スケール:50m/200m/1km/5km/20km)を収録。店舗情報やスポット情報は通信によってダウンロードするシステムを採用している。通信方法はNTTドコモの3G通信で、通信を開始してから最大2年間は通信料は無料。それ以降はユーザーが独自に契約延長をすることで通信システムを延長利用できる。延長料金は、今後発表される予定。

 自転車の場合はクルマと比べてかなり道路を自由に選ぶことが可能なため、基本のナビ画面は、自車位置を表すポインタ、出発地と自車位置を結ぶライン、目的地と自車位置を結ぶラインが地図上に表示されるだけというシンプルさ。カーナビのように、道路に沿ったルート案内は行わない。

 「時間を決めて散策したい」や「夕刻までには帰りたい」などといったユーザーのリクエストには、地図上に往復で移動可能な範囲を円として表示する「タイムサークル」を表示することで応える。時間の経過とともに範囲を示す円が小さくなるほか、圏外に出た場合には表示を赤くしてアラームを鳴らすなど警告する。

 パイオニアはポタナビ用の専用Webサイトを立ち上げる予定で、このWebサイトに蓄積されているさまざまな情報を使い、ルート上の周辺検索が行えるほか、自分の感想を記録することも可能となっている。

 ポタナビはナビゲーションとしての機能だけでなく、さまざまな情報をモニター上に表示するサイクルコンピューター機能も備えている。ポタナビをサイクルコンピューターとして使うために欠かせないのが、付属のケイデンス(スピード)センサー。自転車のフレームにセンサーを、クランクとスポークにマグネットを装着することで、ケイデンス(クランクの回転数)やタイヤの回転数を収集でき、速度表示が可能になっている。本体とセンサーの通信はANT+による無線通信となる。

ケイデンス(スピード)センサー。本体とはANT+で通信クランクにケイデンス用ペダルマグネットを装着し、ケイデンス(クランク回転数)を検出するスポーク部にスピード用スポークマグネットを装着。タイヤの回転数を検出し、速度を算出する

 サイクルコンピューターのメイン画面となるメーターモードでは8分割されたモニター上にスピード、回転数、走行距離、残距離などさまざまな情報が表示可能。ダイエットモードでは消費カロリーなどをグラフィカルに表示し、効率のよい脂肪燃焼が行えるようになっている。

メーターモードでは各種の表示をタイル状に並べることが可能。文字だけでなく、アイコンを用いた表示も行うダイエットモードの表示画面。消費カロリーだけでなく、ホイッスルによる応援メッセージ(音声)も流れるようになっている

 3G通信機能を備えているので、こうした情報をリアルタイムでWebサイトにアップすることもできる。また、専用のWebサイトを通じてポタナビにメッセージを送ることも可能。ポタナビ側からは「Yes」「No」「Maybe」の3種の定型文の返信を可能としており、家族から「午後8時までに帰宅できますか?」とメッセージが入り「Maybe」(たぶん)と返信できるわけだ。

 本体の充電はUSBによって行い、フル充電で約10時間の使用が可能。ポタナビは日本国内だけの販売にとどまらず、海外への販売も予定されている。自転車利用者の多いヨーロッパへは、来年の夏をめどに販売を開始。2015年には海外で100万台の販売を目指している。

 なお、同社は、このポタナビを、11月4日~6日に幕張メッセで開催される「サイクルモードインターナショナル2011」に先行展示。製品を使っての走行体験を実施する。Androidベースのアスリート向けサイクルコンピューター、ペダルにかかる「力の大きさ」「方向」「ペダリング効率」を計測するペダリングモニタセンサーも参考出品する。

(諸星陽一)
2011年 10月 26日