ルノー、マイナーチェンジした「コレオス」発表会
「昨年の販売台数は120.9%を記録」と大極COO。ブレン氏のコレオス欧州試乗記も

新型コレオスと大極COO

2012年1月26日発売
3,248,000円~3,648,000円



 ルノー・ジャポンは1月26日、SUV「コレオス」をマイナーチェンジして発売した。価格は3,248,000円~3,648,000円。同日、都内で発表会を開催した。

 ルノー車で唯一のクロスオーバーモデルとなるコレオスのラインアップは、従来どおりベースグレードの「ダイナミック」、上級グレードの「プレミアム」、プレミアムに電動パノラミックグラスルーフを加えた「プレミアム グラスルーフ」の3グレード構成。ダイナミックとプレミアム グラスルーフは注文生産となる。

 今回のマイナーチェンジでは、“ダイナミック”“タフ”“モダン”をキーワードとしたフロントフェイスと17インチアルミホイールのデザインを刷新。また、インテリアでは新しいシート、新デザインのメーター、ピアノ調パネル(ダイナミックのぞく)、光沢のアルミ調エアコン吹き出し口フィニッシャー(ダイナミックのぞく)、ワンタッチウインカー機能付きドアミラーなどを採用し、室内の質感や機能性を高めた。

 パワートレーンも従来どおりで、いずれも直列4気筒DOHC 2.5リッターエンジン「2TR」を搭載し、CVTを介して4輪を駆動する。


ダイナミックプレミアムプレミアム グラスルーフ
定員(名)5
価格3,248,000円3,548,000円3,648,000円
ステアリング
全長×全幅×全高[mm]4,525×1,855×1,710
ホイールベース2,690
前/後トレッド[mm]1,545/1,550
重量[kg]1,6701,7001,730
エンジン直列4気筒DOHC 2.5リッター
最高出力[kW(PS)/rpm]126(170)/6,000
最大トルク[Nm(kgm)/rpm]226(23.1)/4,400
トランスミッションCVT
駆動方式4WD
前/後ブレーキベンチレーテッドディスク
タイヤ225/60 R17
ホイールサイズ6.5J×17

 コレオスは街中、高速道路、オフロードと路面状況を問わず快適な乗り心地と快適性を追求したSUV。これは開発にあたって重要視した点で、サスペンションシステム、ラバーブッシュやサブフレームでのエンジン振動の吸収、シートクッションの弾力性などの組み合わせに注力したと言う。

 また、静粛性を高めるためにドアシーリング、アンダーフロア、サイドシルにウレタンなどの防音材を多用したほか、リアタイヤハウス内側に遮音材を貼り付けた。さらに車体に開ける穴の数を減らす、防振構造のサブフレームや密閉性の高いドアを採用するなど、静粛性の向上には余念がない。

 一方で、コレオスならではの装備としては、上下分割式のテールゲートが挙げられる。テールゲートは、上部を電動スイッチで開閉させることが可能で、狭い駐車スペースでの荷物の出し入れに一役買う。また下部ゲートの内側はレール状のプラスチックを採用しているので、荷物をスライドさせて積み込むことができる。この下部ゲートは200kgまでの重量に耐えるので、ベンチとして活用することもできる。荷室のサイズは1,071×940×805mm(幅×奥行き×高さ)。

 こうした特徴により、コレオスは本格的な4WDモデルながら「快適な乗り心地のフレンチクロスオーバー」を謳う。


ルノー・ジャポン 商品企画 フレデリック・ブレン氏

ブレン氏、新型コレオスで欧州を走る
 発表会では、ルノー・ジャポン 商品企画 フレデリック・ブレン氏が、コレオスの概要を説明した。一般的な発表会では車両の説明に終始するが、今回はブレン氏が年末年始に新型コレオスで欧州の地をドライブしたインプレッションを紹介し、フレンチクロスオーバーの魅力をアピールした。

 このドライブでは、フランス、イタリア、オーストリア、ドイツの4カ国を巡ったと言う。その総走行距離は実に3,595km。その模様を写真ととともに紹介する。


パリの縦列駐車の様子。この状態を“フレンチ・キス”と呼ぶそうで、これが一昔前のフランス車やイタリア車が塗装なしのブラックバンパーを採用していた理由とブレン氏パリの郊外にあるルノーの広報部にて撮影。ここから南仏のアヴィニョンに向けて出発。その距離は690kmで、およそ7時間かけて走行したアヴィニョンのローヌ川にかかる、石造りのサンベネゼ橋の前で記念撮影
アヴィニョンにあるブレン氏の実家とコレオス。ここからミラノに向け590kmのドライブがスタート。途中のマルセイユやニースの高速はワインディング路となっているが、コレオスはロールが抑えられていてクルーズコントロールで130km/hに設定していてもまったく問題なかったと言う。また、新デザインのバンパー、45度に寝かされたテールゲートなどは空力性能に優れ、高速でも横風であおられることもなかったとアピールミラノに到着。その道中、パーキングに寄った際にテールゲートに座りながら食事を楽しんだそうだが、その写真は取り忘れのためなしレオナルド・ダ・ヴィンチの「最後の晩餐」がある、サンタ・マリア・デッレ・グラツィエ教会の前で撮影。ミラノの道は大きめの石畳や路面電車のレールなどがあり、クルマには悪環境だが、ストロークに余裕があるコレオスのサスペンションによりスムーズに走行できたと言う
ミラノからヴェネチアまで275km走行。この区間は3ないし4車線の一直線の高速道路で、イタリアの法定速度はフランスと同じく130km/hだそうだが、この区間で法定速度を守る車両は少ないのだとかヴェネチアからウィーンに向かう道中。距離は587km。ここからの高速は2車線でワインディング路が続くため、前後トルク配分を100:0~50:50に変化させるオールモード4×4-iシステムにより、雪交じりの路面もなんなくこなしたと言うウィーンのシェーンブルン宮殿。オーストリアは高速道路に料金所がないかわりに、車両にシールを貼らなければならない。シールはオートストリア全土の高速道路に対応し、10日間有効で8ユーロ、1年間有効で70ユーロ程度と言う。ちなみにオーストリア国民のマナーは非常によく、縦列駐車でも最低1mあけて止めるのだとか
続いてウィーンからドイツのバートヴィンプフェンを目指す657kmのドライブ。その道中にアウトバーンも走行したそうで、そこは200km/で走るクルマから100km/hで走行するトラックまでいて、トラックもお構いなしで追い越し車線に入ってくると言う。ブレン氏は推奨巡航速度の130km/h程度で走行したそうだが、そんなシチュエーションでもストッピングパワー(コレオスはフロントブレーキに320mmのベンチレーテッドディスクを装備)に優れ、安心してブレーキを踏めたと言うウィーンとパリは約1,200kmの距離があるため、その途中のバートヴィンプフェンに宿泊。朝は石畳が凍って路面が滑りやすい状況になるそうだが、コレオスは勾配が10%以上の坂道を下る際に車速を約7km/hに自動で保つシステム「ヒルダウンコントロール」を備えているため、安心して下ることができたそうだバートヴィンプフェンからパリに向かう途中、アウトバーンでクルーズコントロールを190km/hに設定して走行。ハイスピードでもコレオスの静粛性やバランスのよさを味わえたと言う。ちなみに190km/hで走行しても、10台以上のクルマに追い抜かれたそうだ
パリに向かう途中、フランケンシュタイン城で記念撮影パリに到着

ルノー・ジャポン 大極司COO

2011年度の販売台数は120.9%を記録
 発表会ではルノー・ジャポンの大極司COOがオリックス自動車と共同で実施する「『ルノー コレオス』キャンペーン」を実施することを紹介した。

 このキャンペーンは、2月4日~5月6日の期間限定で新型コレオスをレンタルできるもので、利用時間は3時間まで(4,725円)、6時間まで(6,300円)、12時間まで(7,350円)が用意される。実施店舗はオリックスレンタカー札幌駅前店、東京駅八重洲口店、港北センター南店、名古屋新幹線口店、西本町店、博多駅筑紫口店の6店舗となる。

 大極COOは「オリックス自動車は、輸入車のレンタルに積極的に取り組んでいられる。クルマの楽しさを多くの人に提供したい、そうした共通のコンセプトがあり、それが今回コラボレーションをするきっかけとなった」と説明した。

 また、ルノー・ジャポンの昨年の販売実績についても紹介した。

 2011年は東日本大震災が発生したものの、販売台数は前年を上回る120.9%(3,066台)を記録。その理由について、「震災により日本車から輸入車に移ってきた人が増えたのではないかという声を聞くが、私はそう簡単な話ではないと思っている」とし、ルノー車に興味を持つユーザーの底上げができたことについて、「3年前に打ち出した『FTS(フレンチタッチ、トレンディ、スポーツ)戦略』が着実に実を結んでいるのではないか」と結んだ。

 なお、今後導入が決定しているモデルについても触れ、今回のコレオスを皮切りに「ルーテシア ナイト&デイ」を2月下旬に、東京モーターショーにも出展した「ウインド ゴルディーニ」を3月上旬に、カングーとビボップのデザイン性のよさをあわせた「カングー イマージュ」を3月下旬に発売することを明らかにした。それ以降も、「FTS戦略に沿った車両を順次投入していく」と大極COOは述べた。

(編集部:小林 隆)
2012年 1月 26日