「スマート」がフェイスリフト、EVとターボが登場
159万円から。150台限定の特別仕様車も

2012年5月24日発売
159万~295万円



 メルセデス・ベンツ日本は、「スマート」をマイナーチェンジし、5月24日に発売した。ステアリング位置は右のみ。

 同社は同日、東京 六本木の同社ショールーム「メルセデス・ベンツ コネクション」で、報道関係者向けの発表会を開催した。

モデル価格(円)
スマート フォーツー クーペ mhd159万
スマート フォーツー クーペ mhd プラス168万
スマート フォーツー クーペ mhd パッション184万
スマート フォーツー クーペ ターボ195万
スマート フォーツー カブリオ ターボ219万
スマート電気自動車295万

 

フォーツー クーペ mhdフォーツー クーペ mhd プラスフォーツー クーペ mhd パッション
フォーツー クーペ ターボ電気自動車

 1997年に初代が発売された、2シーターのマイクロコンパクトカー。リアアクスル上のエンジンで後輪を駆動する、RRレイアウトを採用する。

 マイナーチェンジしたのは、2007年に発売された2代目。2740×1560×1540mm(全長×全幅×全高)、ホイールベース1865mmのボディーに、乗員を保護する鋼鉄製骨格「トリディオンセーフティーセル」を備える。トリディオンセーフティーセルは、外板と色を変えることで、外観上のアクセントにもなっている。

 フェイスリフトにより全車に大型のブランドロゴを配したフロントグリルが与えられ、スカートのデザインが変更された。また外装色に新色のダークグレーマットが用意された。

 このデザイン変更について同社の上野金太郎副社長は「デザインのポイントは“セルフコンフィデンス”(自信)。発売から14年余りが経った今、スマートが世界中の街に根付き、時代が求めるモビリティになったことの自信を表現している」とした。

発表会場のメルセデス・ベンツ コネクションに走りこんで来たスマートたち。その1台からメルセデス・ベンツ日本のスピークス社長が降り立った。「スマートはフレッシュでアイコニックなブランド。ファッション、テクノロジー、実用性で個性を表現できる」とスピークス社長

「フォーツー クーペ mhd」は3グレードに
 「フォーツー クーペ mhd」は直列3気筒DOHC 1リッター(アイドリングストップ機構付き)を搭載するモデル。トランスミッションは5速のシングルクラッチAT(MTモード付き)。JC08モード燃費は22km/Lで、エコカー補助金の対象となる。

 ベースグレードのほかに「プラス」「パッション」が用意される。ベースグレードは従来より25万円安い159万円という「戦略的」(上野副社長)なプライスタグをつける。クローズドボディーのみで、カブリオレは用意されていない。

 ベースグレードはブラックのトリディオンセーフティーセルとフロントグリル、インテリア、ウレタンのミラーやステアリングホイール、シフトノブ、15インチスチールホイール、樹脂製のフロントスポイラー、サイド/リアスカート、iPhone/iPod対応ラジオ/CDプレーヤー、エアコンを備える。

 「プラス」はベースグレードに運転席アームレスト、電動調整ヒーテッド・ドアミラーを追加し、ホイールを15インチ9スポークアルミとした。

 「パッション」はフロントフォグランプ、パノラミックルーフ、ネット付きラゲッジルームカバーを装備し、ドアミラーがシルバーに、ステアリングホイールとシフトノブが本革巻きに、フロントスポイラーとサイド/リアスカートがボディー同色になる。また、インテリアはデザインブラック、デザインレッド、デザインベージュから選べる。

会場に展示されたフォーツー クーペ mhdの「パッション」。ちなみに「mhd」は「マイクロハイブリッド」、つまりアイドリングストップを表す
エンジンはリアのラゲッジルームの下ホイールは15インチアルミ
デザインレッドのインテリア。パノラミックルーフを標準で装備する
フォーツー クーペ mhdのベースグレードにシートカバーやカーナビなど、さまざまなアクセサリーを装備した展示車

 なおこの3モデルと後述のターボモデルにはガソリン車用メンテナンスパッケージ「smartメンテパック」を用意する。新車登録35カ月までと、36~59カ月までの点検と定期交換部品の交換・補充が含まれたパッケージで、35カ月までの「スタンダードプラン」が6万8000円、36カ月以降の「セカンドプラン」が8万7000円。また運転中にトラブルが起きた場合は現場に駆けつける「smartツーリングサポート」も有償で用意される。

 また、5年間の残価設定ローンと5年間のメンテナンス保証をパッケージにした「ウェルカムプラン」が用意される。

スピークス社長(左)と上野副社長とフォーツー カブリオ ターボ

最高出力62kWのターボモデルが登場
 マイナーチェンジにあたり、特別仕様車でのみ用意されていたターボエンジン搭載モデルが、レギュラーのモデルとして用意された。上野副社長はターボモデルについて「RR設計が生み出す後ろから押し出されるような力強い加速感と、マイクロコンパクトなボディーをきびきびと動かすハンドリングと相まって、スポーティーな運転を楽しむことができる」と紹介した。

 こちらはパノラミックルーフ付きクーペの「フォーツー クーペ ターボ」と、ソフトトップの「フォーツー カブリオ ターボ」が用意される。

 エンジンは直列3気筒DOHC 1リッターターボで、最高出力は62kW(84PS)/5250rpm、最大トルクは120Nm(12.2kgm)/2000-4750rpm。トランスミッションは自然吸気モデルと同じく5速シングルクラッチAT(MTモード付き)。アイドリングストップ機構は搭載されない。タイヤは自然吸気の155/60 R15+175/55 R15に対し、175/55 R15+195/50 R15を履く。また重量は自然吸気の840kgに対し、クーペが850kg、カブリオが870kgとなる。

 装備は自然吸気モデルの「パッション」に準ずるが、ホイールは15インチ3スポークアルミとなり、ミラーがウレタンに、ステアリングホイールが3本スポークのシフトパドル付きスポーツタイプ(本革巻き)になる。インテリアはブラックのみだが、シートがレザーツインとなる。またダッシュボード上にコックピットクロックとレブカウンターが備わる。

フォーツー カブリオ ターボこちらはフォーツー クーペ ターボ。ボディーカラーは新色のダークグレーマット
カブリオ ターボのコックピット両シートをいちばん後ろまでスライドさせた状態。側突時に2人の乗員がぶつからないよう、シートが前後にオフセットされているシングルクラッチATのシフトレバー
レブカウンターと時計を装備するiPhone/iPod対応ラジオ/CDプレーヤーは全車標準
ターボモデルには「パルス」(プラスではない)と表記されているグレードバッジが付く

ターボの限定特別仕様車「エディション シャープレッド」
 なおフォーツー クーペ ターボをベースとした「エディション シャープレッド」が限定150台で用意される。価格は212万円。

 エクステリアは、ブラックの外板とフロントグリル、15インチ3ダブルスポークアルミホイールに、赤いトリディオンセーフティーセルとドアミラーカバーの組み合わせ。シャープレッド専用エンブレムを備える。インテリアはレッドステッチ入りのナッパレザーシートとやはりレッドステッチ入りのブラックレザー調ダッシュボード、2スポークの本革巻きステアリングホイールとシフトノブ、専用ベロアマットを装備する。

エディション シャープレッド

 

いよいよ「電気自動車」市販へ
 2010年から日本での実証実験が行われてきた「スマート電気自動車」が、いよいよ市販される。ただし、このモデルのみ現時点ではまだ「予約受付」であり、納車は年内開始予定とされている。こちらは300万円を切る価格が設定された。

 ガソリンエンジンの代わりに出力55kW(74PS)のモーターと、容量17.6kWhのリチウムイオンバッテリーを搭載。航続距離は140kmで、上野副社長は「一晩の充電で140km以上走ることができる。平均的なクルマの1日の走行距離は30km以下。実証実験においても日常生活で140km以上という航続距離は、十分な性能であることが証明されている」と言う。

 ちなみに日本仕様の充電口は日産「リーフ」や三菱「i-MiEV」と同様のものが付くが、急速充電には対応しない。

 「ダイムラーは、EVは短距離移動に最適なエコカーとして位置づけている」と上野副社長が言うとおり、シティーコミューターとしての活用が期待され、カーシェアリングなどの新しい利用形態も想定されるスマート電気自動車だが、一方で「実証実験でお客様が求めたのは、日常づかいでの加速力」(上野副社長)ということで、ターボモデルを上まわる130Nmのトルクを発生する。ただしタイヤサイズは自然吸気モデルと同じだ。重量は明らかにされていない。

 装備は「パッション」「ターボ」に準ずるが、トリディオンセーフティーセルがエレクトリックグリーンになり、車両接近通報装置が装備される。

 インテリアはデザインブラックでファブリックシートだが、エレクトリックグリーンのアクセントパーツが備わる。またコックピットクロックとレブカウンターはパワーメーターと駆動用バッテリー残量計に、シフトパドルは回生ブレーキパドルになる。

 なお電気自動車には一般保証のほかに、リチウムイオンバッテリーに6年間/10万kmの特別保証が付く。さらに、「smartメンテパック」に12万9000円の「EV専用プラン」を用意。新車登録後71カ月までの点検表と定期交換部品の交換・補充が付く。さらに、ガソリン車同様に「smartツーリングサポート」にも加入できる。

スマート電気自動車
ホワイトペイントのアルミホイール給電口(まだドイツ仕様の給電口が付いているとのことで、リッドの中を見ることはできなかった)
リアに搭載されたモーター。バッテリーはシートの下
インテリアはブラックのファブリック電気自動車のシフトレバー。MTモードがない
バッテリーの残量計とパワーメーターが付く
ダイムラーが考えるEVの理想の立ち位置は「短距離移動」。よってカーシェアリングのような新しいモビリティにも適する。「CAR2GO」は欧州、米国13都市でダイムラーが展開するカーシェアリングサービスで、予約不要、片道利用可、1分ごとの料金体系などを特徴とする
スマートのイメージビデオ。ハイパードライブ、空飛ぶほうきといったファンタジックな移動手段と並んでスマートが紹介されるという仕掛け
これは1982年にダイムラーが発表したコンセプトカー「NAFA」。2シーターのショートホイールベース&トールスタイルであるところまではスマートと同じだが、こちらはスライドドア、4輪操舵と、より狭い空間での利用を考慮している
スマートのデザイン案
スマートのためにフランスに製造拠点「スマートヴィル」が建てられた自分より大きなクルマとの衝突安全に配慮されている
発表会場のスタッフはTシャツで「159万円」をアピール

(編集部:田中真一郎)
2012年 5月 25日